自作小説の世界に転移したから別ルートから魔王討伐を阻止する   作:九戸政景

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政実「どうも、竜全般が好きな片倉政実です」
創「どうも、幾世創です。ドラゴンって結構どれもかっこいいよな」
政実「うん。それに、大抵の物語では強いイメージもあるし、仲間に出来るタイプのゲームなんかでは是非とも仲間にしたいよね」
創「そうだな。さて……それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・創「それでは、第8話をどうぞ」


第8話 獄炎竜ルスム

 さてと、『獄炎竜ルスム』の方も気にはなるけど、アーヴィングさんからの頼みをどうにかするために、まずは部下のモンスター達の事をどうにかしないといけないな。

 

 俺達を見ながら武器を手に取り出したモンスター達をチラッと見た後、俺は立ち止まってから『創世(クリエイト)』のスキルを使って、幾つかスキルを作り上げた。そして、その内の一つを使う準備を整えた後、俺は天井に右手を向けながらスキルを発動した。

 

「『磁力(マグネ)N極(ノース)』!」

 

 すると、俺の手からバチバチと火花を散らす黒い球体が現れ、それは広間の四方へ向かってすごい勢いで飛び、そのまま姿を消した。

 

 よし、それじゃあ次は……!

 

「『自動照準(オートエイム)』!」

 

 その名の通り、視界に入れていなくても遠距離系の攻撃の照準を自動で合わせてくれる『自動照準』のスキルで周囲のモンスター達に照準を合わせた後、俺は今度は左手を天井へと向けた。

 

「『磁力・S極(サウス)』!」

 

 すると、さっきと同じような黒い球体が現れ、天井へ向かってすごい勢いで飛んだ。そして、天井すれすれのところで止まると、それは小さな黒い球体となって周囲のモンスター達へ飛び、そのままモンスター達の中へ入り込んだ。

 

「な、何だ今のは……?」

「何かはわからんが、ダメージを受けていないなら、問題は──」

 

 モンスター達が余裕そうな笑みを浮かべたその時、モンスター達の身体が急に宙に浮き、『磁力・N極』を打ち込んだ方へと次々()()()()()()()()()()

 

「なっ……!?」

「何だこれは──うわぁっ!?」

「お前達!」

 

『獄炎竜ルスム』の声が広間に響く中、部下のモンスター達の身体は広間の四方の壁に叩きつけられ、そこから逃げようとしても身体を壁から引き剥がせなくなっていた。

 

「くっ……貴様、部下達に何をした!」

「少なくともこの戦いの間は、貴方の援護を出来ないようにしただけですよ。俺が使える術の一つ、『磁力』によってね」

「『磁力』……だと?」

「ええ。その名前の通り、ある場所をN極かS極に定め、誰かを反対の極に定める事で、その場所にその人物を引き寄せ、最終的にはそこから動けなくさせる。それが『磁力』です。本来なら、魔法対策もした方が良いですけど、見たところ貴方の部下達は誰も魔法を使えなそうだったので、とりあえずこれだけにしました」

 

 クスリと笑いながら説明を終えると、『獄炎竜ルスム』は警戒した様子で俺に話しかけてきた。

 

「……貴様、只者ではないな」

「俺はただの『魔物使い』ですよ。『ちょっと変わった事』が出来るだけの、ね」

「……そうか。だが、部下達を封じただけで勝った気になるな!」

「勝った気になんてなってませんよ。一番の脅威は他でもない貴方ですからね。だからこそ、ここからは本気で臨ませてもらいます。みんな、行こう!」

「はい!」

「ああ」

『はいはーい』

 

 返事をした後、イアとフォルは『獄炎竜ルスム』を見ながら詠唱を始めた。

 

「数多を凍てつかせる吹雪よ、いまここに! 『氷魔法(ブリズド)』!」

『天より降りそそげ、怒りの雷。『雷魔法(ライトニング)』』

 

 イアの杖から出た吹雪が吹き荒び、『獄炎竜ルスム』の頭上に次々と雷が落ちる中、『獄炎竜ルスム』はそれをものともしない様子で鼻を鳴らした。

 

「ふん、その程度か。ならば、この『獄炎竜ルスム』の炎で全てを焼き尽くしてくれる!」

 

 そう言うと、『獄炎竜ルスム』は大きく息を吸い込みだし、その様子からヤバイと感じた俺はすぐにみんなの前へと出た。そして、急いでスキルを作り上げた瞬間、「はあぁーっ!!」という声が聞こえると同時に、『獄炎竜ルスム』の口から灼熱の炎が吐き出され、俺はそれを見ながら作り上げたばかりのスキルを発動した。

 

「『魔障壁(マジックバリア)』!」

 

 すると、俺達の目の前に大きなバリアが現れ、『獄炎竜ルスム』の口から吐き出された灼熱の炎をいとも容易く受け止め始めた。

 

「なっ……!?」

「よし! アーヴィングさん、今の内に『獄炎竜ルスム』にダメージを!」

「……ああ、任せておけ」

 

 アーヴィングさんは頷きながら答えると、血液が入った小瓶の蓋を開けた。すると、入っていた血液が独りでに動き出し、それはやがて一本の大鎌の形に変わった。

 

「血液が……」

「大鎌に……!?」

『わあ……これはすごいねぇ』

「……これが私の持つ能力、『血液操作(ブラッディ・コントロール)』だ。今は小瓶に入れていた血液を操作して武器を生成したが、本気になれば対象から流れる血液を操作してそれを更なる武器に変えたり、相手の血流の向きを変えたり止めたりも出来る」

「え……それじゃあ、アーヴィングさんはほぼ無敵なんじゃ……」

「いや、無敵ではない。私が操作出来るのは、私が視認している血液だけだからな。つまり、血流の操作も相手が流血していなければどうにも出来ない」

『そっか。まあ、今みたいに血を武器に変えるだけでも十分そうだけどねー』

「そうだな。さて……『獄炎竜ルスム』よ。行くぞ!」

 

 アーヴィングさんは大鎌を振り翳しながら俊敏な動きで『獄炎竜ルスム』に近づくと、『獄炎竜ルスム』の身体に大鎌の一撃を見舞った。

 

「はあっ!」

「ぐうっ……!」

 

 大鎌が『獄炎竜ルスム』の身体を切り裂くと、『獄炎竜ルスム』の身体からは鮮血が吹き出し、その血は独りでに動き出すと、アーヴィングさんが持つ大鎌に次々と吸収され、大鎌は更に紅くなっていった。

 

「ぐ……流石だな、『深淵の吸血鬼』」

「……ふ、その名も懐かしいものだな」

「だが、我とてそう簡単に負けるわけにはいかんのだ! たとえ、相手が魔王の側近であったお前であろうともな!」

「……良いだろう。来るが良い、『獄炎竜ルスム』!」

「言われずとも!」

 

『獄炎竜ルスム』はアーヴィングさんへ向かって走り出すと、その大きな爪をアーヴィングさんへと振りかざした。

 

「があぁっ!!」

「真っ正面から来るか。ならば、それに応えるとしよう!」

 

 そう言うと、アーヴィングさんは『獄炎竜ルスム』の爪での一撃を大鎌で受け止めた。

 

「ぐっ……!」

「ぐむむ……!」

 

 アーヴィングさんと『獄炎竜ルスム』が押し合いを続ける中、イアは不安げな様子で話しかけてきた。

 

「ハジメさん……」

「大丈夫だよ。アーヴィングさんなら勝てる」

『そうだね。ところで、僕達は何もしなくて良いの?』

「ああ。むしろ、何もしない方がいい。これはアーヴィングさんと『獄炎竜ルスム』の戦いだからな」

 

 そう言いながら二人へと視線を戻したその時、「はあっ!」という気合いのこもった声を発すると同時に、アーヴィングさんは『獄炎竜ルスム』の爪を押し退けると、大鎌を上に放り投げてから静かに目を瞑った。

 

「これで終いにしよう。『深紅裂爪(ブラッディスラスト)』!」

 

 すると、宙に浮いた大鎌は複数に分裂し、次々と『獄炎竜ルスム』の身体を切り裂いていった。そして、『獄炎竜ルスム』の身体から血が流れるのと同時に大鎌の数は増えていき、更に『獄炎竜ルスム』の身体を切り裂いていった。

 

「ぐ……あぐっ……!」

「己の血によって切り刻まれろ、『獄炎竜ルスム』!」

「……ま、まだだ! 部下達のためにもこのようなところで負けるわけには……!」

「いや、お前の沙汰は決まった。そして──」

 

 大鎌は一つに合わさり、一本の巨大な鎌になると、『獄炎竜ルスム』の頭上で振り翳された。

 

「これが最後の一撃だ」

 

 その言葉と同時に『獄炎竜ルスム』に向けて深紅の大鎌が振り下ろされ、イアが「うぅっ……!」と言いながら目を背けたその時、大鎌は寸でのところで動きを止めた。そして、それを見ながら『獄炎竜ルスム』は怒りに満ちた目でアーヴィングさんを見た。

 

「……何の真似だ、アーヴィング……!」

「……仲間が、イアがお前が傷つくのをこれ以上見たくなさそうだったからな。それに、お前の命を刈り取るのは私の本意ではない」

「なんだと……!」

「『獄炎竜ルスム』、私達と共に来い。お前とて先代の魔王様が復活したとあれば、馳せ参じないわけにはいかんだろう?」

「そんな事……!」

「……誰よりも仲間を想い、仲間が傷ついたとあれば、その敵を完膚なきまでに倒すために勇敢に戦ったお前の事だ。この気持ち、わからないわけではないだろう?」

「ぐ、ぐぐぐ……!」

 

『獄炎竜ルスム』はアーヴィングさんの言葉に唸り声を上げていたが、やがて諦めたように項垂れると、その場に崩れ落ちた。

 

「……我の負けだ、アーヴィング」

「……そうか。ハジメ、頼む」

「あ、はい」

 

 俺は『磁力』を解除した後、『獄炎竜ルスム』に近付きながらスキルを一つ作り、それを『獄炎竜ルスム』に向かって使用した。

 

「『神聖治癒(セイントヒール)』」

 

 すると、『獄炎竜ルスム』の身体は白い光に包まれ、『獄炎竜ルスム』が安らいだ表情を浮かべる中、アーヴィングさんとの戦いで負った傷がどんどん癒えていった。そして、傷が完全に癒えると、『獄炎竜ルスム』はとても驚いた様子を見せた。

 

「あそこまでの傷が一瞬にして……」

「これが私の仲間、ハジメの力だ」

「……は、はははっ! ここまでの事が出来る奴を我は相手にしていたのか。まったく……世の中というのは広いものだ」

「そうだな。さて、『獄炎竜ルスム』よ。先程は私達と共に来いと言ったが、お前はどうしたい?」

「そうだな……せっかくだ、我もお前達の旅に同行しよう。お前の言う通り、我も先代の魔王が生まれ変わったとあれば、その下に行かないわけにはいかないからな。だが、部下達は……」

 

『獄炎竜ルスム』が部下のモンスター達に視線を向けると、モンスター達は頷き合ってから『獄炎竜ルスム』に話し掛けた。

 

「俺達は大丈夫です、ルスム様」

「俺達なんかよりも先代の魔王様の方を優先してください」

「お前達……ああ、わかった。では、我が留守の間は任せたぞ」

『はい!』

 

 部下のモンスター達が同時に返事をすると、『獄炎竜ルスム』の身体が白い光に包まれ出し、その光が消えた頃には『獄炎竜ルスム』の身体はフォルと同じくらいにまで小さくなっていた。

 

「身体が小さく……」

「こうすれば、『ガルス』の住人達も驚かんだろう」

『たしかにねー。それで、『獄炎竜ルスム』はこれからはハジメが使役(テイム)してるモンスターの一体っていう扱いになるのかな?』

「いや、お前と同じで使役という形は取らないよ。『獄炎竜ルスム』さんも俺達の大切な仲間だからな」

『ふーん、そっか。でも、それじゃあクエストは達成出来ないんじゃない?』

「いや、ここに来るまでに言ったように、たぶんギルド長だって俺達がドラゴンをどうにか出来ると思ってないだろうから、仲間にしたという形でも認めてはくれると思うぜ?」

「そうですね。どうにか出来ると思ってないところに仲間にしたという報告が来れば、その人も認めざるをえないと思います」

「ああ。さて、それじゃあみんな行こうか」

「はいっ!」

『うん』

「ああ」

「うむ」

 

 そして、『獄炎竜ルスム』さんの部下のモンスター達に見送られながら、俺達は『ガルス』の街に戻るために洞窟を後にした。




政実「第8話、いかがでしたでしょうか」
創「次回はガルスの街に戻るわけだけど、一体どうなるもんかな」
政実「それは次回のお楽しみということで」
創「わかった。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いていただけると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さてと、それじゃあそろそろ締めていこうか」
創「ああ」
政実・創「それでは、また次回」
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