自作小説の世界に転移したから別ルートから魔王討伐を阻止する   作:九戸政景

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政実「どうも、敵だったキャラクターが仲間になる展開が好きな片倉政実です」
創「どうも、幾世創です。確かにそういう展開って燃えるよな」
政実「うん、そうだね。ゲームなんかだとちょっと弱体化されてるけど、それでも心強い事には変わらないかな」
創「そうだな。さてと、それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・創「それでは、第9話をどうぞ」


第9話 平穏

 先代の魔王の四天王である『獄炎竜ルスム』さんを仲間にした俺達は、クエストの結果を報告するため、『ガルス』の街へ向けて森の中をゆっくりと歩いていた。

 

 ……そういえば、勇者と魔王は今何をしてるのかな……。

 

 そう思った俺は『索点(ポイントサーチ)』を使って勇者と魔王の現在位置を探った。すると、勇者は生まれ故郷である『ルハラ』に、魔王は魔王城に変わらずいる事がわかった。

 

 どうやら勇者はまだ旅に出ていないみたいだ。でも、勇者がいつ旅に出るかまではわからないし、この『索点』で何度か確認はした方が良いかもな……。

 

 顎に手を当てながらそんな事を考えていた時、『そういえば』とフォルは何かを思い出した様子で声を上げたかと思うと、俺のもう片方の肩に乗る『獄炎竜ルスム』さんに声をかけた。

 

『ねえ、どうしてルスム達はあの洞窟にいたの?』

「あ、それは私も気になっていました」

「ふむ、そういえば話していなかったか。これも良い機会だ、話すとしよう。あれは先代の魔王が先代の勇者によって討ち滅ぼされた頃、我は別の任務を命じられ、この近くに部下達と共に隠れ住んでいたのだ」

「その任務っていうのは何なんですか?」

「あの部下達と共にこの近辺に小さな拠点を置き、魔王から次の任務が告げられるまで待機をしている任務だ。その頃の我は何故四天王たる我に対してそのような任務を命じたのかと思ったが、他の四天王達にも同じような任務を命じたと聞き、渋々我もその任務に就く事にした。そして、あの洞窟を拠点とし、次の任務を待っていた時に魔王が討たれたという報せを聞き、すぐに魔王城へ戻ろうと思ったが、今戻ったところで何も出来ないと感じ、そのまま洞窟に住み続けていた」

「……やっぱり、魔王が亡くなったと聞いた時は哀しかったですか?」

「……そうだな。我は四天王ではあるが、先代の魔王とは度々酒を酌み交わす仲ではあったからな」

『そっか……ところで、アーヴィングはその時何をしてたの?』

「私か。私も先代の魔王様よりその頃の人間達の生活の様子について調査をするように命じられ、各地を巡っていた」

『ふーん……そっか。話を聞く限り、先代の魔王は本当に誰も喪いたくはなかったから、アーヴィングやルスム達を勇者に会わせないためにそういう任務を命じたんだろうね』

「そうだろうな。先代の魔王様はとても心優しく、争いを好まない穏和なお方だったからな」

「けど……それなら、どうして先代の魔王は討たれないといけなかったんでしょうか……」

 

 イアが少し哀しげに呟く中、俺は自分の中にあった答えを口にした。

 

「正確なところはわからないけど、この『リューオン』に伝わる伝承のせいで魔王という存在は自分達の脅威だという認識、そして勇者によって討たれるものだという認識がその頃の人達の頭の中にあったからなんだろうな」

「恐らくハジメの言う通りだろう。先代の魔王様はこの『リューオン』を手中に収めようとはしていなかったが、それ以前の魔王は全員世界の征服を目論んでいたと聞くからな。先代の魔王様がそういうお方だと知らなければ、ただの脅威にしか見えんのだろう」

『そっかぁ……』

「まあ、その先代の魔王様よりも脅威だと思われそうな相手がここにいるのだがな」

 

 そう言いながらアーヴィングさんがチラリと俺を見ると、『獄炎竜ルスム』さんは納得顔で頷いた。

 

「そうだな。ハジメ、お前は自身の事を『ちょっと変わった事』が出来る『魔物使い』だと称していたが、あれ以外にも様々な事が出来るのだろう?」

「えっと……まあ、そうですね。『魔物使い』以外にもフォルの言葉がわかるようにしたのも俺ですし、こことは違う空間から道具を取り出す事も出来ます」

「そうか……くく、ますますお前という存在に興味が湧いてきたぞ」

「あはは……先代の魔王の四天王である『獄炎竜ルスム』さんにそう言ってもらえて光栄ですよ」

「ルスムで良いぞ。一々獄炎竜と付けるのは面倒だろうからな」

「わかりました」

 

 ルスムさんの言葉に頷きながら返事をしていたその時、「おーい!」という声が進行方向から聞こえ、立ち止まりながらゆっくりと顔を向けてみると、こちらに向かってアルフレッド達が走ってくるのが見えた。

 

「アルフレッド……それに、エスメラルダ達まで……」

「もしかして、私達を心配して来てくださったんでしょうか?」

「恐らくな」

『まあ、まったく心配は要らなかったんだけどね』

「まあな。けど、その気持ちは嬉しいよな」

「ふふ、そうですね」

 

 そんな事を話しながらアルフレッド達が近付いてくるのを待っていると、アルフレッドはエスメラルダ達と一緒に俺達の目の前で立ち止まり、少し苦しそうに息を切らしながらにっと笑った。

 

「また生きて会えたな、お前達」

「ああ、なんとかな」

「それで、クエストは──って、そこにいるのってまさか……?」

「ああ、件のドラゴンだよ。もっとも、『ガルス』の人達を怖がらせないように小さくなってもらってるけどな」

「これが例のドラゴン……」

「……む?」

「ん……アンガス、どうかしたのか?」

「いや……恐らく勘違いだと思うが、このドラゴン……先代の魔王が従えていたという四天王の『獄炎竜ルスム』に似ているような……」

「あはは、そんなまさか──」

 

 アンガスの言葉をアルフレッドが笑いながら否定しようとしたその時、「ほう……我の事を知る者がいるとはな」とルスムさんが楽しそうな声で言うと、それを聞いたアルフレッドはとても驚いた様子でルスムさんに視線を向けた。

 

「え……今、このドラゴンが喋ったのか……?」

「そうだが、『人間族』の小僧」

「というかちょっと待って……今、我の事とか言った!?」

「言ったぞ、エルフの小娘。我は先代魔王の四天王、『獄炎竜ルスム』だ」

「うそ……」

「お前達……そんな相手を使役(テイム)したのか……!?」

「いや、使役はしてないよ。ルスムさんはあくまでも同じ目的で旅をする事になった俺達の仲間だし、ルスムさんと戦って勝ったのはアーヴィングさんだからな」

「勝ったって……先代の魔王の四天王相手にか!?」

「あなた……どれだけ強いのよ……」

「さてな。だが、私よりもハジメの方が強いのは間違いないぞ」

「先代の魔王の四天王相手に勝ったアーヴィングさんよりも強いって、そんなの一発でSランク──いや、SSランク入りじゃないのか!?」

「うーん……たとえそうだとしても、これはあくまでもフォルを冒険者として認めてもらうためのクエストだったわけだし、俺達はGランクからのスタートで良いかな」

『そうだねぇ。あ、せっかくだからルスムも冒険者登録したら?』

「む、我もか?」

『うん、冒険者として認められれば色々な特典があるらしいよ?』

「ふむ、そうか……それならば我も冒険者となってみるか。何やらその方が面白そうだからな」

『あはは、だねぇ』

 

 ルスムさんとフォルが笑いながら話す中、アーヴィングさんは小さくため息をついてからアルフレッド達に話し掛けた。

 

「それで、お前達は私達を迎えに来てくれたのか?」

「あ……ああ、そうだ。お前達がギルドを出ていった後、やっぱりお前達の事が気になってさ」

「私達なんかでサポートが出来るかはわからないけど、何か出来る事はあるかもしれないって話して、私達もその洞窟に向かって出発したの」

「でも、いくら歩いても貴方達に追い付かなかった。それで、もう少し歩いて見つからなかったら、一回戻る事にしたら」

「偶然見つけたというわけじゃ」

「なるほど……」

「けど、そんなに強いんじゃあ本当に助けはいらなかったみたいだな」

「そうね。先代の魔王の四天王を相手にしてまったくの無傷で勝てる程なんだし、伝承の勇者なんて待たずに貴方達が魔王を倒しちゃえば良いんじゃないかしらね」

 

 エスメラルダが冗談交じりに言うと、それを聞いたアルフレッドはムッとした表情を浮かべた。

 

「おい、魔王を倒すのはこの俺だぞ?」

「そんな事を言う前にまずはもっと修練が必要でしょ? 魔王を倒すなら最低でもSSランクの冒険者にならないと無理よ」

「う……SSランクの冒険者って事は、ハジメくらいにはならないといけないのか……」

「あはは……俺を参考にされてもな……。あ、そういえば……SSランクの冒険者って今は何人くらいいるんだ?」

「噂ではまだ四人しかいない。でも、その人達も本当にいるのかすら怪しいと言われてる」

「SSランクというのはそれくらいなるまでが過酷じゃからな……まあ、なった後に受けられるクエストも中々の物と聞くが……」

「そうなんですか?」

「ああ。じゃが、そのクエストはギルド長達を束ねるギルドマスターからのみ受けられ、内容も他言無用だとされているため、どんな内容なのかは受けた本人達しか知らないのじゃよ」

「それくらい大変なクエストって事なんですね……」

 

 アンガスの話を聞いてイアが身体を震わせる中、俺は自分で書き上げた『勇者の戦記』の内容を想起していた。

 

 アイリスの言う通り、SSランクの冒険者はこの『リューオン』には四人しかいない。そしてその四人は、いずれ勇者の仲間になり、最終的には勇者と一緒に魔王を討伐する。つまり、勇者の魔王討伐阻止を目的にする俺達にとっては、とても強力な敵になる。『創世者(クリエイター)』である俺や先代の魔王の部下だったアーヴィングさんとルスムさんならまだ問題はないけど、今のイアとフォルにその相手を務めさせるのはとても無理だ。

 

「……魔王討伐の阻止、先代の魔王の生まれ変わりの発見の他にSSランクへの到達も俺達の目標になったな……」

「ん、何か言ったか?」

「……いいや、何でもない。さて、クエストの結果を伝えないといけないし、そろそろまた歩き始めようぜ」

 

 その言葉に全員が頷いた後、俺達は色々な話をしながら『ガルス』の街に向けて再び歩き始めた。




政実「第9話、いかがでしたでしょうか」
創「次回はガルス帰還回だけど、フォルはともかくルスムさんはどんな反応をされるかな」
政実「まあそれは、次回のお楽しみということで」
創「わかった。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さて、それじゃあそろそろ締めていこうか」
創「ああ」
政実・創「それでは、また次回」
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