帰宅部ガチ勢の主人公が自分は気がついていないだけで相当なリア充の話 作:A i
感想など聞かせてね!
「あっ!ずるい!いまのハメ技使ったでしょ!?」
「さあ、なんのことかな?」
俺のキャラが岬の使用するキャラに鮮やかにコンボを決め、激しいエフェクトとともに吹き飛ぶ。
すると、岬のキャラのストライクゲージが90%を超え、濃い赤色へと変化した。
「クッ、、、!!」
それに慌てたのか岬が思わず隙の多い大技を繰り出してしまう。
その隙を見逃す俺ではない。
冷静に相手の攻撃範囲から小ジャンプで脱し、敵の硬直時間を作り出す。
「許せ岬。これで最後だ!」
俺は無慈悲に最後のコンボを決め岬の使っていたキャラを場外に吹き飛ばし、勝利した、、、。
気持ちいい〜!!やっぱストブラは最高だぜ!!
そう思いながら、岬の方をちらっと伺うと、ほっぺをぷくっと膨らませ不満げな表情をしていた。
「ぶぅ〜!!さっきのずるい!!あんなハメ技いつのまに覚えたの?」
「フッ昨日は情けで使わなかったのだよ。しかし、今日は本当に背水の陣!これ以上負けると俺は死ぬ、、、財布的に」
「理由がダサい、、、」
こいつ、結構心にグサッと来るdisり方してくるよなぁ。
「ま、なにはともあれこれで1勝したわけだしあと1勝で俺の勝ちってことだな?」
ニヤリと口の端を持ち上げて笑いかけると、ぐぬぬと岬も唸ったがしかし、何かを思いついたのか彼女もニヤリと笑い返して言う。
「そうだね、まずは拓くんの一勝。だけど忘れたわけじゃないよね?今日だけの特別ルール!負けた方が勝った方に一つハンデを求められることを!」
そうだった、忘れてたな。
なぜか、ゲームの勝負をする前に岬がそんな変なルールを言い出したのだが、まあ岬がそういうこと言い出すのはいつものことだし、あんまり気にしていなかった。
「そういや、そうだったな、、、あ、でもあんまり無茶苦茶なのはダメだぞ?」
「もちろんもちろん!ちょっとしたハンデだよ〜!そうじゃないと流石に面白くないからね〜」
どうせ岬の考えるハンデなんて俺のキャラはストライクゲージ50%からスタートとか一機減らしてやるとかそんな感じのハンデだろ?
まぁ昨日は負けたけど、あれは岬に少し遠慮してコンボを封じていた。
いわばあれもハンデ戦だったのだ。
つまり、コンボを解禁したいまの俺なら、おそらくハンデとして一機減らしてでも、難なく勝てるはずだ、、、。
そう考え、余裕ある笑みを浮かべていた俺だったが、岬は思いもよらない提案をした。
「んじゃ、拓くんはこれからの二戦はこの体勢で戦うってことでいいかな?」
「、、、へ?」
思わず俺の口から間抜けな声が漏れた。
だが、それも仕方ないことだろう?
なぜなら今、俺は岬に後ろから抱きつかれているのだから!!
コントローラーを握り、あぐらをかいて座る俺の背中には何とはあえて言わないが柔らかい感触が伝わってくるし、彼女の肩口ほどまで伸びたセミロングの髪の毛が俺の首元にさらさらと流れ、そしてなによりも彼女の整った顔が俺のすぐ耳元に存在する。
な、なんなんだこの状況、、、。
予想外の展開についていけず、フリーズしていると、くすりと隣で彼女が笑う気配。
「ね?これならいいでしょ?」
「、、、ッ!?」
いつもよりも数倍甘い声でそう囁く彼女。
自分でもわかるぐらい身体がビクッ!としてしまった。
すると、そんな俺の様子がおかしかったのかカラカラと楽しそうに笑い出す岬。
「あはは!拓くんおっかしい〜!なんでそんなにビクッとしてるの!?こんなの昔は普通にしてたじゃん?」
おっかし〜!と大爆笑する岬の声を聞いて、俺はようやくハッとして彼女に突っ込んだ。
「、、、いや!!お前、昔はそうでも、今は違うだろ!?」
「え〜?何が違うのかなぁ?私馬鹿だからわっかんないなぁ〜?」
すっとぼける岬はムニムニと背中に何かを押し付ける。
なんかめっちゃ柔らかいし、女子特有のいい匂いがする、、、。
このままこの好ましい感触を楽しんでいたいという、やましい気持ちを鋼の意思によって制し、後ろ手に岬の頭をチョップした。
「あいてっ」
「やりすぎだから」
「はーい」
しぶしぶと言った様子で、返事をした岬だが、なぜか一向に離れようとはしない。
「おい、なんで離れないんだ?」
「へ?だっておっぱい押し付けるなってことじゃないの?」
「いや、それもそうだけど、、、離れないの?」
横目にチラッと彼女を伺うが、彼女は平然と
「いや、離れないけど?」と言う。
「だってこれが今から二連戦やるときのハンデなんだから!」
「それは変えないのね?」
「当たり前じゃん〜!これで拓くんを照れさせて、ミスを誘うという天才的な作戦なのである!!」
「ただのゲスだ、、、」
「策士と呼びたまへ、拓くんよ」
勝ち誇った顔の岬に、俺はため息を吐いた。
「まあいいけど、これで負けたら明日はお前の奢りだからな?」
「おっけー!負けないよ!」
こうして俺たちは絶対に負けられない二戦目へと突入していった。
「はい!私の勝ち〜!!」
「くそっ!最後やらかしたぁ〜!!」
結果はあれから俺の二連敗で岬の勝利だった。
どちらの勝負も俺のコマンド入力ミスによる自滅。
なんとも悔しい結果である。
「まあ勝負は勝負だ。明日は何奢ればいいんだ?」
「ううん、明日は奢らなくていいよ!だけど、お願いが一つあるんだけど、それ聞いてもらえる?」
若干うるんだ瞳で上目遣いにこちらを見つめる岬。
奢らなくてもいいなら、ありがたい。
明日は土曜。
本来なら、家で愛犬と戯れたら、妹と撮りためたアニメを見たりするはずだが、約束は約束だ。
肉体労働だろうとなんだろうとやってやろうじゃないか。
「ああ、いいぞ。なんだ、そのお願いってのは」
俺がそう聞くと、岬はやったー!とぴょんぴょんと跳ねて喜びをあらわにする。
そんなに嬉しいのかぁ、、、なんのお願いだ?と心の中で首を捻っていたのだが、岬は俺の思いもよらぬお願いを口にした。
「明日、私とデートしてください!」
「、、、、、は?」
岬との騒がしい週末が始まる、、、。
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