今回は説明的な回になってしましました…つまらなくてごめんなさい…(T_T)伏線らしきものが多く張りめぐらされています…
それではどうぞ!
―――体が軽い。痛みを感じない心地よい目覚め。スバルが目を開けると見覚えのない慈悲深い顔立ちの電波体がこちらを覗いていた。裸眼で確認できるということはウィザードのようだ。これが先ほどあのフォルテの攻撃を防いだ本人なのだろうか?それにしては随分穏やかだ。何よりフォルテと対峙していた時の威厳がない。
「目が覚めましたか?体調は?」
「え…ああ、大丈夫…です…」
「そう、ならば良かったです」
そう言ってスバルの目の前のウィザードは軽く微笑んだ。思わずドキリとした。その穏やかな表情はヒーリング用のウィザードなのではないかとさえ思われる。何も言わないがスバルとウォーロックの体調があのダメージを受けたにも関わらず元通りなのはこのウィザードのおかげであろう。
「いきなりの襲撃で驚いたことでしょう。私がもう少し早く気づけていれば…。まさか本当にまた彼が戻ってくるなんて思ってもいなかった…」
「あ…あのぉ…」
「おい、テメエらの話は抽象的すぎてわからねー!!アイツ、それにお前は何者だ!?」
ハンター内で大人しくしていたウォーロックが声を荒げた。ハンター内から飛び出した。焦るスバルだったが、確かに謎が多すぎてわけがわからないのは同じだ。
「すいません…コイツ、喧嘩っ早いやつで…」
スバルが申し訳なさそうに言うとそのウィザードはまた微笑んだ。
「いえ。彼の言い分は最もです…そうですね…では順を追って話しましょうか…。まず彼と私の事から…私はセレナード…かつてはインターネット奥深くに存在し『裏の王』なんて恐れられていましたが…もう200年前のことです」
そういうとセレナードはクスリと笑った。スバルには信じられなかった、こんな慈悲深いウィザードが恐れられていたということを。ウォーロックはそれを聞いて鼻で笑った。
「あんたが恐れられていた?200年前は随分とレベルが低いみてぇだな…」
「あはは…まあ、裏の王なって異名、私が滅多に他の者たちと遭遇することがなかったから適当に付けられたあだ名みたいなものですよ…しかし…さっきのフォルテ―最凶の破壊神―も200年前から存在していましたよ?」
「あ…う………そういえばそうだったな…」
「ふふ、知らないのも無理はありません。私の存在は一部の人にしか知られていませんし、彼の存在だって危険すぎるため今の教科書にだって載っていないはずです」
セレナードが微笑んだままそう言うとウォーロックは少し困ったように口をつぐんだ。スバルはフォルテが言っていたことを思い出した。彼、もしくは彼女は―
「あの…セレナードさん…」
「呼び捨てで構いませんよ。所詮ネットナビ、今ではウィザード、と言うんでしたっけ?」
「あ…うん。じゃあセレナード、さっきボクらを守ってくれたのは……やっぱり」
「流石にバレますか。…私です…。私とフォルテは200年前からの知り合い…ということにしておきましょう」
あの攻撃を跳ね返し逆にフォルテに浴びせた―おそらく謙遜はしているがセレナードの実力は本物中の本物だ。自分では全く歯が立たなかったのに。スバルは戦いを思い出す。感じたことのない圧倒的破壊力―
「彼が今、現れたのはおそらくあなたの中に潜む究極ウェーブ、が目的でしょう」
「究極ウェーブ…?」
「ええ、これまた抽象的であなたのウィザードに怒られるかもしれませんが、要するに圧倒的潜在能力が秘められたデータです。これを持つ者は圧倒的な強さを持っています―例えばフォルテ。私の知るもうひとりのロックマンもそうでした。私がここを見つけられたのもあなたたちの究極ウェーブの共鳴を感知したからです」
「そ、それを俺たちが持ってるっていうのか!?」
ウォーロックが乗り出す。セレナードはええ、と返す。そして顔から笑みが消えた。
「しかし残念ながらまだ完璧には使いこなせていないのでしょう。使いこなしていれば彼にそう劣らないはず。彼は強さに固執しています。それを手に入れるため彼は今まで幾千ものものたちと拳を交えてきました。彼の持つGAP(ゲットアビリティプログラム)は底を知りません…」
「GAP?なんだそりゃ?」
ウォーロックは腕組みをした。聞いたことのないプログラム名だから無理もない。
「要するに彼は相手の能力を自分のものとします」
「そうか、だから…!」
スバルは戦闘中にフォルテが自分と同じ変化を遂げたのを思い出した。もともとの能力に自分たちの能力まで――今更ながら恐ろしい。今までで最も強力な敵ではないか。
「おいおい、じゃあ勝つ方法はねえのか!?」
ウォーロックが一段と大きな声を出した。自分たち以外がいない空間に声がよく響く。
「いいえ、彼が享受を受け入れないもの自分の強みにすれば大丈夫。例えば彼は私の力を手にできない。それは彼に慈悲の心、という感情がプログラムされていないからです」
セレナードは一息ついて間を空けた。
「しかし誤解しないで欲しいのは、彼は別にあなたたちの敵ではありません。むしろ彼があなたの究極ウェーブを狙ったのは、地球に降りかかる大きな試練に立ち向かうため……正確には彼がデューオを倒すため……」
「デューオだと!?」
「ウォーロック、何か知っているの?」
「ああ…伝説と思ってたら存在してやがったのか…。詳しいことはわからんが奴は正しくない道を歩んだ惑星を抹殺するようにプログラムされた存在だ…と聞いた。一時期AM星に近い惑星もそいつにやられたらしい」
「…そう、おそらくフォルテはこの間まで強きものを求め宇宙にいたはずです…それでデューオの地球への接近にいち早く気づいたのでしょう…」
スバルの頭の中はもう容量がオーバーしそうだ。200年前、フォルテ、デューオ、セレナード、究極ウェーブ――ダメだ、分かりそうで何もきちんと分かっていない。
「200年前の襲来時、私はどうやら用無しだったので実際に試練に直面した、ということはありません。情報しか知りません。しかし、この時代の人類もデューオの試練を乗り越えなければいけないことには変わりはありません――」
「――スバル君!!」
セレナードの声を遮るように聞きなれた女の子の声、ルナだ。後ろにはもちろんのことゴン太とキザマロがいる。おそらく会場が静かになったのを確認してスバルのことを心配して様子を見に来たのだろう。三人がスバルと隣にいたウォーロックに駆け寄った。それを見てセレナードはまた穏やかな笑みを見せた。小さくスバルに耳打ちした。
――仲間を、絆を大切にしなさい。さらんば…。またお逢いしましょう――
待って、とスバルはセレナードを呼び止めようとしたがすぐに周波数を変えて何処かへ消えてしまった。
駆け寄ってきたルナが首を傾げた。なんとも怪訝そうな顔をしている。
「今の何…?」
「え………ああ、逃げ遅れて会場の隅に隠れていたウィザードだって。傷を癒すのにリカバリーのデータをくれたんだ…」
スバルは思いつきの嘘をついた。リカバリーだけで癒える傷ならばまだロックマンとしてフォルテと戦っているはずだ。スバルは自分の嘘が見透かされるのではないかと思ったが、ルナはそうなの、とだけ言った。意外にもルナたちにはまかり通ったようでスバルは心の中で安堵した。しかし、セレナードのことなどは話さないほうがいいだろうと思った。彼らをゴタゴタに巻き込むのはもうゴメンだ。
「で…押されていたけれど…ロックマン様は勝ったの…?ごめんなさい、会場の崩壊とゴン太のことで途中で避難したから…」
「いいよ、そっちのほうが大切さ…けど…負けちゃった…」
「え…?」
意外な返答にルナの瞳が陰った。不安の色が濃くなる。ゴン太も驚いて身を乗り出してスバルに問い詰める。
「お前が負けたのか!?どんなやつでもぶっ倒してきたお前が!?」
「…ゴン太、オックスは…?」
「え、ああなんとか無事…」
「スバル君、流さないで。あなた、何か隠しているでしょう?あなたが負けるなんて…」
「…………」
―仲間、絆を大切にしなさい―
セレナードの言葉が蘇る。彼(女?)が何を意図していったか、それはスバルの知るところではない。しかし、言われたことの大切さはスバル自身、もう随分と前に理解していた。だったら、ブラザーである彼女たちには包み隠さず告げるべきなのであろう。
彼らは一旦会場を出て人気の少ないスピカモールの隅へ移動した。そしてスバルは今までの段階でわかっていることを包み隠さず話した。戦闘のこと、これから訪れること―ゴン太は正直ついていけてなかったがそれでも真剣に聞いてくれた。
「そう………また危険が………。そしてあなたはそれに立ち向かうのね………」
スバルの横顔を横目にルナは辛そうに言葉を漏らした。今まで降りかかってきた危険でさえ十分に恐ろしいものであった。それなのに今回はスケールが違う。
「心配しなくてもいいよ…まだ敵が少しわかっているだけでも心強い。どんな敵でも、きっと勝てるよ」
スバルはそう言ったが内心不安要素が多かった。万が一フォルテクラスの敵が次々と現れたら、そう思うだけでも心細い。
「スバルくんを圧倒するなんて…相当な実力者、そしてそれを跳ね返す奴も…200年前から存在したなんて信じられませんね…。ダメだ、フォルテ、セレナードについて調べても文書が消されていたりアクセスが禁止されているみたいです…」
キザマロが冷静に言う。ハンターで情報を仕入れようとしているみたいだがやはりセレナードが言うように彼らについては一般公開されていない。その時キザマロのハンターからペディアが飛び出した。
「キザマロ君、200年前の出来事なら6年生の教科書で学習することになっているから調べられるよ」
それを聞きキザマロはすぐにテキストのダウンロードを指示した。ハンターがダウンロード完了の着信音を鳴らした。キザマロが文章を読み上げる。
「これですね…『20XX年、地球外ネットナビ、デューオの15年に及ぶ監視の後、未曾有の試練に直面した地球。その試練を打開すべくロックマンEXEとそのオペレーター光熱斗をはじめとする選ばれしネットバトラーたちはあらゆる困難に立ち向かった。デューオは部下であるスラーというネットナビに指示を与え、アステロイドという敵を地球へ送り込んだ。やがて困難に勝利した光熱斗たちのおかげにより地球の危機は救われた』、とありますが…」
「ザックリしすぎよ!もっと詳しいのないの!?」
「そう言われても……これ以上高等なものはアクセスが制限されていて僕ら一般市民には公開されていません!」
確かにルナの言うとおり、詳しいことは一切分からない。しかしそれでも収穫はあった。アステロイド、という敵の存在だ。今回もそれを送り込んでくるかは分からないが、デューオが直接地球に攻め込んでくる、ということはないらしい。また、選ばれしネットバトラーがいたということも助けになる。つまり今回も誰かはわからない(そもそも今回に関してはロックマンが選ばれるかどうかもわからない)が誰かが選抜され試練に立ち向かうことになるのだろう。
ただもう一つ、スバルには引っかかる点があった。15年に及ぶ監視の後という記述だ。デューオがどのような姿をしているかどうかはわからないが惑星一つを破壊することが容易いというならば相当巨大なはずだ。また、地球外生命体である以上、地球で生けていける保証も無い。ならばどうやって15年も監視したのか。今自分がこうしているのもデューオには見えているのか――それだけがスバルは引っかかっていた。
『―先ほどの騒動の調査のため、サテラポリスからお客様に退去命令が出ております。万が一のため速やかにご帰宅願います』
スピカモール館内に放送が流れた。ルナはみんなに帰ろうと帰宅を促した。スバルも同意する。まだ、今日のことを公にするのか、大吾に相談してからでないと世間が混乱に陥る可能性だってあるのだ。もっとも黙っていても騒ぎは起こるのかもしれないが。
スバル達は多くの客とともに帰路へ向かうウェーブライナーに乗り込んだ。
宇宙の果て、あたりは輝く星々といくつかの惑星、しかしその中の惑星の一つが一瞬にして姿を消した。
低い声が木霊する。
「…地球へ接近する…」
対して冷たく少し高めの声が返す。
「ついに試練を与えるのですか…?」
「近年の地球の発展、それに伴う悪事の増加…いつかを思い出す。また地球を試さねばならん…」
それを聞いて冷たい声はふふふ、と不敵な笑みをこぼした。――低脳な地球人よ、今度は借りを返してくれる――
今回でお分かりかもしれませんが、一応今作のモチーフは「ロックマンエグゼStream」です。あ、けどモチーフであって流れをそのまま借用したり、ってことは避けるつもりです(そりゃ多少はかぶってしまうかもですが…)。
はい、予想通り(?)セレナード様のご登場です(笑)
セレナードはエグゼ3の裏シナリオでしか出会えない貴重なキャラなので「どんな性格なの?」と思われる方も多いかと。実際、自分は3はセレナードと戦えていません(苦笑)。なので、かつて読んだ漫画版と実況プレイ的なのを見た際の記憶をもとにした自分の解釈でできた性格です。
にしても「セレナードの性別は?」って考えた人もいるんじゃないでしょうか?
個人的には伝説のポケモン的に、性別なしなんじゃ、と思っています(公式があるなら女がいいんですが。フォルテと対をなす感じで)。
ていうかネットナビって歳はとらないですよね…(^_^;)普通に最強二人が出てきたけれど…うん、とらないことにしといてください!←
最後に出てきた方々、一人はわかるでしょう。「じゃあもう一人は?」、その答えはいずれ(多分近いうちに)。オリジナルかもだし、出てきたキャラなのかもしれないし…(笑)
あと、「おい、ミソラまだー!?」という皆様、もう少々お待ちください!m(_ _)m
あとがき長くてごめんなさい!ではまた次回もよろしくお願いします!