流星のロックマン~彗星の記憶~   作:pageshi

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遅くなってすいません。いろいろ忙しく、待ってくださった方には本当に申し訳ないです。

今回はようやくあの人が登場、です


6話 紅き閃光

 ルナの厳しい指導の元で宿題を片付けてから2日後、熱も下がりスバルはアメロッパ行きへの準備を済ませた。と言っても、家族に心配をかけるわけにはいかないので日中は遊びに行くという形でアメロッパへ出かけ、夜になればウェーブロードを使用してこちらに戻ってくるよう計画した。

 

「よし!」

「行くか!」

「トランスコード003!シューティングスター ロックマン!いざアメロッパへ―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 多くの人、乗り物が行き来し、あらゆる文化、人が入り混じっているこの国が鎮まることはほとんどない―アメロッパ、その中心地にある高層ビルの最上階から少年は街全体を見下ろしていた。

 

「―おい、最近人が多くないか?ミソラちゃんのライブは終わっただろう?」

「はっ、近日から開催されている歴史資料博覧会による影響と思われます」

 

 ハンター内から彼のウィザードがそう言うと、少年はハンターの中を覗き込んだ。

 

「なんだそれ?」

「なんでも世界中のあらゆる歴史的資料を集めた博覧会だそうで、人目見ようと多くの観光客、学者が各国から集まっています」

「…今日の予定、午前中は空いていたよな?」

 

 少年が少し笑みを浮かべながら言うとウィザードはオペレーターの言いたいことがわかったようで少し厳しい口調で返した。

 

「煌輔様、なりません。直ぐにではなくとも仕事は先に片付けなくては…」

「うるせえ!息抜きだよー息抜き」

「先日ライブへ行かれたばかりではありませんか」

「硬いことを言うなよ、見聞を広げることも大切。異国とのやり取りの際、相手の国の歴史を知っといたほうがいいことはあるだろ?」

 

 先程まではまるで聞く耳を持たなかったというのに、急に最もらしいことを言われウィザードは説教を続けようとしていた口をつぐんだ。彼のウィザードになって3年近くなるが未だに人柄を掴めていない。

 

「さ、行こうぜ。時間がなくなる前に」

 

 考えるウィザードをよそに少年は意気揚々と部屋の出口の方へ向かった。

 

「少しだけ…ですよ」

「わかってるって―」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ココがアメロッパ……」

「ほう、なかなかかっこいい国じゃねえか」

 

 ロックマンはワープホールからアメロッパの電波世界へ出るや思わずその景観に圧倒されてしまった。多くの人、聳え立つ数多の高層ビル――何もかもが日本よりも大きく感じられた。

 

「おい、いつまで見とれてるんだ、さっさと博覧会とやらへ向かおうぜ」

「あ、そうだね…えーと…」

 

 ロックマンはハンターで周辺の位置情報を検索した。データが読み込まれ、地図が目の前に映し出された。

 

「ここからすぐみたいだ、行こう」

「おうよ!」

 

 

 

~アメロッパ城公園~

 

 ロックマンは城の傍にあったウェーブステーションから現実世界に降り、人目を忍んでウェーブアウトした。そして一目見ただけでも歴史と誇りを漂わす城の正面に立ってみた。前の広場にはたくさんの人で溢れている。

 

「うわ~、すごい…。日本のお城とはまた違う荘厳さが…」

「なんか遊園地とかにありそうだな」

「ホント…。さ、中に入ろうか。まずは調べ物しないとね…」

 

 そう、のんびりと羽を伸ばしている時間はないのだ。人々はまだ知らないだろうが、時期に地球は再び危機に直面する―その被害を最小限に食い止めるためにも今できることを自分はしなくてはいけないのだ。

 大きく風格ある扉を開けると中にはたくさんの展示物とそれを鑑賞する人々がいた。

 

「うわー、すごい……これだけあれば探すのにも時間がかかりそう…」

「200年前のブースとかねーのか?」

「とりあえず探してみよう…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―なあ」

「どうかなさいましたか、煌輔様」

「あの髪型…かの星河スバルじゃないか?」

 

 煌輔は視線の先の展示物を眺めている少年をまっすぐ指さした。一風変わった髪型、しかしそれは地球の英雄である証でもある。一部ではあの髪型がブームらしいが。

 

「まさか…なぜ彼がアメロッパに…が、確かに髪型は似ていますし…」

「…ちょっと戦ってみてえと思わないか?ロックマン、と」

 

 煌輔がそう言ってニヤリと微笑む。ハンターの中に目をやるとウィザードは一瞬、間をおいて首を横に振った。

 

「なりません。万が一のことがあれば…」

「俺たちが負けると思う?」

「………いいえ。しかし、万が一のことがあれば大変ですから」

「万が一なんてそうそう起こりえないからOKって事だな?」

「どういう考え方ですか。そんなのだから交渉も難航するんです」

「うるせーなぁ…折角の機会なんだから―――」

 

 その後二人のやり取りは数十分続いたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だめだ、広すぎて見つかられない…まるで迷路だ」

 

 スバルは城内の廊下にあった椅子に腰掛けた。大きくため息をつく。ハンターで位置情報は掴めても人が多く、なかなか思うように探せないのだ。人の数も、ここは少し少ないが、展示室まで行けば多くの人でまだ溢れている。

 

「来る時期間違ったかな?」

「それはないだろう。例えそうだとしても、早いところ情報を見つけておかないと困るしな」

「だよねー…あれ、ここは?」

 

 スバルはふと部屋の中の片隅に目をやった。開けっ放しの扉の先にずっと道が続いているが先は暗く、晴れやかな展覧会にはそぐわない不気味な雰囲気を漂わしている。スバルは先の見えない廊下を見つめた。

 

「古城だから、抜け道かなこれ?」

「面白そうだ、先へ進んでみようぜ!」

「ダメだよ、情報を…」

「どうせ今は人が多いんだ。ちょっとくらい待ったほうがスムーズに進められるぜ」

「…さっきと言ってることが違うけど…まあそれもそうか…」

 

 そう言うとスバルは真っ暗な廊下を進んでいった。人々の雑踏が徐々に遠くなっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…煌輔様、こちらです」

 

 結局ウィザードの方が折れ、ロックマンである張本人、星河スバルを追いかけることとなった。

 煌輔は気分良く暗い廊下をハンターの明かりを頼りに進んでいった。石でできた地面と靴底がコツコツと音を立てる。まだ春先、陽の光がないここは寒い。が、彼はそんな素振りを見せない。ウィザードが指示した床の部分には取っ手が有り、ふたのように取ると下に梯子が続いていた。

 

「へー、このお城にこんなところがあったんだな」

「彼らはここをまっすぐを進んで行きましたが、先回りして待ちましょう」

「ああ……でもなんでこんな道知っているんだ?普通、こんなところ仕事でも来ないだろ?」

 

 煌輔がそう言うとウィザードは少し気まずそうに黙って間を置いた。

 

「普通じゃない事件に巻き込まれた際にこの通路を使いました。かれこれ200年前でしょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 長く続いたまっすぐの通路の先にあった重い扉を開けると、石畳で味気ない部屋であった。扉が左に見える。扉の隣には何やらボタンやレバーのようなものがあるが如何せん、かなり年季が入っている。スバルは扉を開けようとしたができなかった。どうやらこのレバーなどを弄らなくてはいけないらしい。

 

「どうすれば…もう戻る?」

「いいや、ここまで来たんだ、最奥まで行こうぜ!」

「でもこれの使い方とかわからないし…」

「んなこと気にすんな。オラッ!!!」

「ウォーロック!?」

 

 ハンターから出たウォーロックはすぐさまお得意のビーストスイングを扉に食らわせた。すると扉は勢いよく倒れ、床にぶつかって大きな音を立てた。

 

「な?」

「もう…危なっかしいのはやめてよ…文化財にも登録されている城だよ?」

「どうせこんなところ誰も見ねーよ。さ、行こうぜ」

 

 ウォーロックはハンターから出たまま長い石の階段をどんどん進んでいく。ようやくのことで登りきったが、そこに広がる空間にも何もなく、ただ冷たい風が吹き抜けていた。スバルは疲れた様子でため息を漏らした。

 

「ほら、何もないから帰ろう?情報探しがメインだよ?」

「……いや待て、スバル…」

 

 疲弊した顔のスバルとは対照的に、ウォーロックの表情は緊張感がありまっすぐ右側にあった扉を見つめていた。

 

「どうしたの?」

「強力な電波反応を感じる…」

「電波反応?」

「ああ、おそらくウィザードがあの扉の向こうにいる…」

 

 スバルも右の扉を見つめた。ウォーロックの表情を伺う。

 

「まさか、敵?新たな試練がもう始まった…?」

「いや、そんな邪悪なものじゃねえ……なんつーか…俺らを呼んでいる気がする」

「呼んでいる?」

 

 スバルはビジライザーをかけてみたが、確かに電波反応はある。が、それが自分たちを呼んでいるかなどはまるでわからなかった。この世に、得体の知れないものに自ら近づいていく人間はそうはいないだろうが、ここにいる2人、正確には1人と1匹(?)は今までの経験上リスクを恐れない。恐れてもそれをも凌駕する勇気の持ち主である。

 

「―行ってみよう。敵なら戦う、そうじゃなかったら…」

「俺たちのファンかもな」

「それは勘弁して欲しいかな…」

 

 スバルは苦笑いするとハンターを構えた。万が一に備えて電波変換しておくのだ。一瞬、スバルの体はまばゆい光に包まれ、ロックマンに変身した――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――来る……」

「オペレートは任せろよ。世界のヒーローのお手並み拝見といこうぜ」

「いいえ、さっさと終わらせて仕事に戻りましょう」

「結局はおなじことだろ?」

 

 煌輔はそう言って白い歯を見せた。その時扉の向こうに足音が響いた。そしてゆっくりと石の扉が開かれた。

 

「きたきた…」

 

 煌輔は部屋に入ってきたロックマンを見て再び笑みをこぼした。

 

「人!?」

 

 部屋に居たのは人間―――予想に反した出来事に思わずロックマンは呆気にとられた。

 

「―いや、スバル、右だ!!」

「え?」

 

 ロックマンが右を向くと赤いウィザードがソードを構え、斬りかかってきた。かなりのスピードだがロックマンはステップを踏んで間一髪のところでかわした。

 

「君たちは何者だ!?」

「今のをかわすとは…流石は『現代』のロックマンだな」

「現代の……まさか、君も200年前の…!?」

「俺と煌輔様に勝てば教えてやる!」

 

 そう言って赤いウィザードは再びソードを構えた。

 

「くそ…」

「おい、スバル、やるしかなさそうだぞ…」

「わかってるよ…誰だか知らないけれど…この人たちも200年前のことに関係してそうだし…」

 

 ロックマンもそう言ってソードのバトルカードを読み込んだ――

 この時ロックマンは少し心に引っかかることがあった。会ったことのあるはずのない目の前にいる赤いウィザードになぜか見覚えを感じたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「感じます……また究極プログラムがぶつかり合おうとしている……最近は多いですね…」

 

 電波世界の迷宮、バミューダラビリンス――セレナードはその場所にいた。

 

「今のあいつでは奴には勝てん」

「あらフォルテ…いらしていたのですか?」

 

 セレナードの隣にフォルテが姿を現した。セレナードを睨みつける。

 

「馬鹿言え、俺たちのような存在はこのような場所に居るしかない。下手に表へ出てみろ、電波障害を起こしかねない」

「ふふふ…そうですね…」

 

 セレナードはにこやかに微笑んで返した。そのまま続ける。

 

「…彼らのところへ行くのですか?」

「はっ、誰かさんのせいでまだ戦える状態ではないからな」

「ふふふ、そうですか――それに、そろそろやってきそうですしね…」

「……ああ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ」

 

 楽器を象ったかのような形をした電波体がアメロッパ城前の広場を歩く少女に話しかけた。少女の目にはサングラス、頭にはニット帽をかぶっていて、そこから少し出ているピンク色の髪もキレイである。

 

「何?」

「何か感じない?」

「何かって」

 

 少女はウィザードの言うことがわからず眉間にしわを寄せた。

 

「こら、アイドルがそんな顔しないの」

「はーい。で、何?」

 

 今日はせっかくの海外在中でのオフなのだ。のんびりしたいのにそれを害さないで欲しい。

 

「何か…激しい攻防というか…ウイルスか電波人間かわからないけれど」

「戦っているの?」

「ええ…多分…このお城の中で」

「ええ!?やばいよ、何かこの中で開かれてんでしょ!?お客さんたちが巻き込まれたりしたら…」

 

 先ほどまでの面倒くさそうな表情が変わる――強く、勇気に満ち溢れている。普段の彼女は見せない、戦士の表情。

 それを見てウィザードは答えを承知で訊いてみる。

 

「行く…オフだけれど?」

「そんなの関係ないよ!何とかしないと!」

「…そうね」

 

 予想通りの答えを受け取って微笑むウィザード。彼女に微笑み返し少女は城内へと走り出した――

 

 

 

 

 

 

 

 

「バトルカード、ヘビーキャノン!!」

 

 ロックマンの腕が大きなキャノン砲へと変化し大きなエネルギー弾を発射した。が、赤いウィザードは難なくかわした。

 

「煌輔様、そろそろ…」

「ああ、なんか大したことねーな!世界のヒーロー様も!」

 

 煌輔がそう言うとウォーロックは声を荒らげた。

 

「ああ!?なんだと!?スバル。一気にいけ!」

「う、うん、バトルカード、ソードファイター!!」

 

 ウォーロックアタックを使用し、敵をロックオンして一瞬にして敵の目の前に接近した。そのまま1秒も経たないうちに複数の斬撃を繰り出す――その斬撃は敵にヒットしたように感じた。

 

「やったぜ!!」

 

 ウォーロックは喜びを表したがロックマンの手には違和感しかなかった。敵を斬りつけた際の手応えが全くなかったのだ。

 

 ――まさか――

 

「おい、どこを見ている」

「!?」

 

 ロックマンが振り向くと目の前にソードの剣先が向けられていた。思わず一歩下がる。

 

「なんでだ!?攻撃は当たったはず…」

「いいや、ロック…手応えがなかったんだ。あの、ものを切り裂く感覚が…」

「フン、そうだ、お前が切りつけたのは俺の残像だ」

「残像だァ!?」

「あの距離でソードファイターを躱した……?」

 

 ロックマンは体が震えるのを感じた。

 あれをよけられたとなると、普通の攻撃はほとんど当たらないのではないか――

 赤いウィザードはソードを下ろした。

 

「もし俺が本気ならば、お前は今頃デリートだ、ロックマン」

「う…」

「テメェ…手加減したとでも言いてえのか…」

「ああ。それにお前はソードファイターを全く使いこなせていない―煌輔様…」

 

 ウィザードはゆっくりと構えを取った。煌輔と呼ばれた少年はバトルカードを選択しウィザードにデータを読み込ませた。

 

「ソードはこう使え――」

「来るぞスバル…」

「う………」

 

 ロックマンが返事をしようとした時であった。突然視界から赤いウィザードが消えたかと思うと体全体に激しい痛みが走った。体の部位がちぎれをそうな痛みだ。ロックマンは力なく石畳の上に倒れ込んだ。赤いウィザードがロックマンを見下ろした。

 

「う…なんてスピード……!」

「本物との格の差だ」

 

 ロックマンは自分を見下ろす赤いウィザードを見て気がついた。どこかで彼を見たことがあったと薄々感じていた。それが今ようやく理解できた。バトルカードのソードファイターに薄ら書かれたシルエット。それが今戦っているウィザードと一致した。

 

「まさか本物って…」

「そう、ソードファイターのバトルカードのモデルは俺だ…」

「何っ!?」

「えー、今気づいたのかよ」

 

 煌輔は笑いながらハンタ―のディスプレイをロックマンに向けた。ソードファイターのカードが映し出されている。間違いない。

 

「く…君たちは一体…?」

 

 ロックマンが問いかけるとウィザードはソードを収めた。

 

「…俺の名は…!!」

「―――ショック・ノート!!!」

 

 赤いウィザードが名乗ろうとしたとき、何処からともなく音符の衝撃波攻撃が彼に襲いかかった。ギリギリのところで躱し、体制を整える。

 

「誰だ!?」

 

 彼がそう言うとピンク色の電波体、もとい電波人間が扉のところに立っていた。

 

「私は戦うアーティスト――ハープ・ノート、推参!!!」

 




はい、戦うアーティストさんの見参です。ようやくですね、待ち焦がれていた、という皆様、お待たせしました。
さらに何か懐かしい人が登場しましたね(敢えて名前は出してませんが)。

そいえば書き忘れていましたが、出てきたアメロッパ城はロックマンがエグゼ2で登場したものです。覚えていらっしゃる方、いるのでしょうか?
そして煌輔達がいたのはかの犯罪組織に手を染めた王女様との戦いが繰り広げられた場所です。個人的には思い入れの強いダンジョンでした。


次回からはさらに話は動いていきます!が、いつ投稿できるかはまた不明です。
できるだけ早く更新するよう心がけますので、何卒、よろしくお願いしますm(_ _)m
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