流星のロックマン~彗星の記憶~   作:pageshi

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今回は早めの投稿です。

ちなみに言い忘れていたのですが、前回と今回冒頭に出ているアメロッパ城はエグゼ2でプリンセス・プライドと戦った場所のことです。個人的には小学校時代にナイトマンに何回もボコられたので思い入れのあるダンジョン(笑)

今回も拙い文章ですがよろしくお願いします。


7話 抹殺

 

 

「ハープ・ノート……はっ!まずい、ハープ・ノート、今すぐ逃げろ!!」

「……へ?」

 

 格好良く本作での初登場を果たし、少し満足げにポーズを決めながら微笑む彼女にブルースは慌てて言ったが、生憎彼女は意味がわかっておらず、それに不幸にももう時は既に遅かった。

 しかし、ロックマンには見えた―部屋の奥の方でブルースのオペレートをしていたはずの煌輔という少年が全速力でハープ・ノートに駆け寄り彼女の手を取ったのだった。

 

「本物のハープ・ノート…すなわち本物のミソラちゃん…かーッ!!こんな近くで、しかもこんなレアな姿を目撃できるとは思ってなかったぜ…!!最高…!!」

「え…ちょっと、なんで私が響ミソラって…」

 

 手を取られたままハープ・ノートは視線を泳がせた。確かに社会一般ではロックマンはスバルということは知られているが、ハープ・ノートが今や日本だけに留まらず、世界進出中の響ミソラとはごく一部のものしか知らないのだ。

 メテオGの件以来、ハープ・ノートはロックマンの目撃現場でよく見られ共に戦っていたという情報が流れ、一部ニュースにもなってスバルは散々両親から質問の嵐を浴びせられ、ルナからは特に理由のない怒りを買った。ミソラ本人は「まあ、いいんじゃない?」と満更でもなっそうだったが、結局ハープ・ノートの正体が公に報道されることはなかった。つまり、この少年がハープ・ノートの正体を知っているということは不思議なことであった。

 珍しくおどおどするハープ・ノートにマシンガンのごとく話し続ける煌輔を見て赤いウィザードは頭を抱え深く溜め息をついた。

 

「……まさかこんなことになろうとは……」

「……君のオペレーターは響ミソラの……」

「ああ、見ての通り大ファンだ…ハンターの容量の都合で煌輔様は俺のためのハンターと響ミソラの画像、動画、その他もろもろ専用のハンター、二つを所有している。もう一個の方には死んでも入りたくないな………」

「…お前も大変そうだな……」

 

 先程までの緊張感は何処へやら、ロックマンとウォーロックは赤いウィザードに思わず同情した。これはもう戦いの再開はないだろうとロックマンが思っていたとき、突然爆発音のような大きな音が建物の外から聞こえた。

 

「何?」

「おい、スバル、あれを見ろ!」

 

 ウォーロックが窓の方を指さした。窓が小さく確認し難いが、窓から見えるそれはスバル達がよく知るものであった――ただその大きさの違いを除いて。

 

「メットリオ!?でも、大きすぎじゃ…」

「ああ、それに現実世界に普通に現れるとは…まさかこれが『試練』ってやつの始まりじゃねーだろうな…」

「試練…?」

 赤いウィザードがウォーロックに尋ねようとした時、ロックマンのハンターが鳴った。応答するとWAXAの長官であった。

 

「スバル君、また君に連絡する時が来たしまうとはな…」

「実体化した巨大ウイルスですか?」

「わかっているなら話が早い。至急WAXAへ来てくれ、近くに敵が数体現れた!」

「了解しました!ハープ・ノートも一緒にいるので、急いでそちらに向かいます!」

「よろしく頼んだ、こちらからもバトルウィザードで応戦する!」

 

 ロックマンが通話を終了するとようやく煌輔から解放されたハープ・ノートと目があった。

 

「急いでニホンに戻ろう!」

「うん!」

 

 そう言うと二人は一瞬にして部屋から消えた。悔しそうな煌輔とその隣の赤いウィザードを残して。

 

「くっっっそーーー!!折角のミソラちゃん、まだ5分しか堪能してなかったのに…ちくしょーーーーー!!!」

「落ち着いてください。恥ずかしいです……それでどうなさいますか……?」

「決まってんだろ!ウイルスぶっ潰しに行くそ!!この恨みを晴らす!!!」

 

 煌輔は拳を握った。

 

「では、早く行きましょう…サテラポリスが先に片付けてしまいます――」

 

 ウィザードにそう言われると煌輔はハンターにウィザードを戻し、走って部屋を後にした。

 ハンターの中で揺られている間、ウィザードは一人考えていた。以前にも似たようなことが起きなかったか、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~WAXAニホン支部~

 

 ニホンのサテラポリスは世界でもトップクラスの実力を持つが、ここまで巨大なウイルスは想定の範囲を超えており、かなりの苦戦を強いられていた。

 敵はメットリオ2体だったが、1体はなんとかデリートに成功した。しかしそれ以降は苦戦を強いられ敵を建物にちかづけてしまっていた。何はともあれ貫通性能のある攻撃を得意とする彼らに攻撃させてはまずいため、サテライトのバトルウィザード達はマヒ、凍結といった相手の動きを止めるようなカードで応戦していたが体が大きいため、体全体を異常状態に陥れることはできず、しかもその異常状態も長くは続かなかった。

 モニターによる監視により外の状況を確認し指示を出す司令室にも徐々に不安が高まってきた。

 

「くっ……ザコのくせに…」

 

 モニターに映し出されたサテラポリスのメンバーたちと彼らのウィザードの苦戦具合に仲間たちも歯がゆさを隠しきれない。

 

「……そろそろリアルウェーブで建物を守らねばいけないんじゃ……」

「…安心しなさい、その心配は必要ないわ…」

 

 司令室の奥から白衣を着たヨイリーが現れた。周りのものたちとは違い、非常に落ち着いた表情をしている。

 

「博士…ですが…!」

「もうすぐ力強い助っ人が来るから…ね、長官?」

「ああ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―く…後退しろ、これ以上は…」

「しかし…後退してしまっては建物が…」

 

 外で応戦していた隊も焦りを見せ始める。久々の実践だからだろうか、支持も動きも的確さに欠けていた。その時、一体のメットリオが攻撃モーションに入った。

 

「な…まずい!なんとか止めろ――」

「――マシンガンストリング!!!」

 

 メットリオが高々と自分のピッケルを振り上げた時だった。どこからか放たれたギターの弦がメットリオのそれに巻き付き、攻撃モーションを遅らせた。弦の放たれた方向に目をやると、ピンクのボディを纏ったハープ・ノートが全力でギターを引っ張っていた。

 

「ロックマン!」

「うん、バトルカード、ブレイクサーベル!!!」

 

 そして現れたロックマンがウェーブロードから飛び降りながらサーベルをメットリオの脳天に突き刺した。するとあれほどサテラポリスの面々が苦戦していたメットリオは一瞬にして姿を消した。

 

「やったね!!」

「うん!!」

 

 地面に降り立ったハープ・ノートとロックマンは息の合ったコンビネーションでのデリート成功を喜び、ハイタッチをした。サテラポリスの者たちが駆け寄ってきた。

 

「すまん、また助けてもらったな、ロックマン、ハープ・ノート」

「いえ、何も被害がなくてよかったです」

「ロックマン、ハープ・ノート」

 

 建物の中から出てきた長官が二人に呼びかけた。

 

「本当に助かったよ。感謝する」

「お役に立ててよかったです!」

 

 ハープ・ノートは笑顔をほころばせた。

 その時突然、ロックマンのハンターがなった。電話だ。ロックマンは応答し、画面を空間に映し出した。相手はゴン太とオックスが電波変換した姿、オックス・ファイアだ。いつにもなく大きな声、そして焦っている様子だ。

 

「オックス・ファイア!?」

「スバル、今どこだ!!??どこでもいいけど、早くコダマタウンに来てくれ!!巨大なウイルスが実体化して突然現れやがった!俺と尾上さんで応戦しているが、俺たちだけじゃ手に負えねえ!!」

「なんだって!?わかった、すぐ向かうよ!!」

 

 電話を切りロックマンは長官を見た。緊張感が走る。

 

「行きなさい。私たちも援護でメンバーを送る!君たちは速くコダマタウンへ!」

「「はい!」」

 

 返事をするや否、二人は即座にウェーブロードに上がり、コダマタウンを目指した。

 

「急ごう!」

「うん、ママさんやみんなが危ない…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バトルカード、ソードファイター3枚!!」

 

 赤い閃光となったウィザードは一瞬で周囲にいた大型ウイルス3体を切り裂き、デリートした。が、彼が振り返るとまだウイルスがいた。

 

「く…一体何体いるんだ…」

「マジかよ…サテラポリスは何やってやがるんだよ!?」

 

 煌輔が声を荒らげた。普段はバトルが好きな彼も流石に痺れを切らした。多い、敵が多すぎる。殺しても殺してもキリがない。

 

「……!」

 

 ウィザードは気配を察知し煌輔を抱えて横に跳んだ。するとさっきまで彼らがいたとことに瓦礫が落ちてきた。大方、ウイルスに破壊されたのだろう。

 

「こえー…うかうかできないな…」

「今更ですか………何ッ!!??」

 

 赤いウィザードは上空を見たまま突然驚いたのか固まった。

 

「そんな…馬鹿な…」

 

 彼は体が強張るのを感じた。嫌な感覚とともに思い出されたのは昔の嫌な記憶。

 上空には一見綺麗な巨大な彗星のようなものが見えた。確かに、一般人からすれば特に疑いもせず、綺麗という印象だけしか受けないのだろうが、彼はその彗星の恐怖を知ってた。

 

「また始まるのか……あの戦いが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~コダマタウン~

 

「ファイアブレス!!」

「アッパークロー!!」

 

 オックス・ファイアは自慢の炎を吹き散らしまとめて豪快に、ウルフ・フォレストは持ち前のスピードと爪の切れ味で大型ウイルスに攻撃を浴びせた。もう3体はデリートしただろう。これで終わりかと思われたが、BIGWAVEの屋根の上の一体の電波体の姿が二人の目に止まった。二人はBIGWAVEの前に広場に近づき、敵を睨みつけた。彼は不敵な笑みを浮かべながらどこか強力な力を放っていた。オックス・ファイアが口を開く。

 

「…てめえか…ここにあの巨大化したウイルスを撒き散らしたのは…」

「…これはこれは…どこかで目にしたことがあると思えば前の私のコレクションの本体ですか…」

「コレクションだと…?何のことだ?」

 

 まるで自分の持ち駒のような言い方をされて気に食わなかったのか、ウルフ・フォレストが鋭い爪を構えてさらに敵に近づいた。が、敵はそれにも動じず表情も崩さない。浮かべられた笑みがさらにいやらしくなる。

 

「あなたがたのような下等な電波人間には用はありません。この街を攻撃すればロックマンが現れると思ったのですがね…どこで油を売っているんでしょうか…命令がなければこんなことせずにこの街を一瞬で消し去っているのですが…」

「さっきから言いたいことをベラベラと…喰らえ、ファイア…」

「ビットスラッシュ」

 

 オックス・ファイアが攻撃態勢に入った瞬間、シリウスの背中のパーツが分裂し、それから瞬時にレーザーが発射されオックス・ファイアの足を貫いた。

 

「ぎゃあああああ……!!」

 

 見かけ以上に強力な攻撃による痛みはオックス・ファイアの予想を遥かに凌ぎ、その痛みに耐え切れず思わず彼は悲鳴を上げた。打ち抜かれた右足の甲あたりからデータが消えていくのがわかる。

 

「オックス!!」

 

 ウルフ・フォレストは痛みに悶えるオックス・ファイアに駆け寄ろうとしたが、敵の威圧感を感じとり、顔を再び敵の方へ向けた。

 

「大口をたたくとあなたもこうなりますよ…」

「く……」

 

 しかしウルフ・フォレストが悔しさをにじませ歯ぎしりをした瞬間、一瞬敵の表情が揺らぎ彼は自分の周りに薄いシールドを張った。するとそれは上空から放たれた音符による攻撃とバスター攻撃を瞬時に防いだ。シールドと攻撃がぶつかった衝撃で爆発が生じ、あたりは煙に包まれた。そしてその晴れた煙の中からは、再び不敵な笑みを浮かべた電波体が上空のウェーブロードを見つめていた。そしてそこに望んでいた青い影を捉えるやいなや、彼の意識は全てそちらに向けられた。

 

「おや…待ちくたびれましたよ…自ら出てきていただけるとは助かります…ロックマン」

「ロックマン…奴は…?」

 ハープ・ノートが少し不安げな声でロックマンに問うた。しかし、ロックマンの意識も奴に向けられており、しばらくその敵を見つめまるで信じられないといった様子で、嫌味たらしい声に言い返した。

 

「…なぜお前がここに…シリウス。君は僕がデリートしたはず…あのサーバー内で…。そして今回の1件は全てお前の仕業か?」

「フフフ…そうです、確かにあなたはワタシに勝った…が、完全勝利ではなかった。あなたの甘さに助けられましたよ…それ故にあのサーバーは消えることがなく私はなんとか一命を取り留めたのです…デューオの力によってね」」

 

 デューオ、その名を聞いてロックマンは内心かなり驚いたが、一瞬でも隙を作れば負けてしまう相手のため、平静を装った。

 できればこの場にいるハープ・ノート達をシリウスとの戦いに、そして今後訪れると言われた『試練』にも巻き込みたくはない。だが、安易に彼女たちを動かしてしまってもシリウスに攻撃されかねない。そのためできるならばシリウスと1対1の状況を作りたいのだ。

 

(ハープ・ノート…)

(何…?)

 

 ロックマンは隣にいたハープ・ノートにそっと耳打ちした。

 

(僕が今からあいつに攻撃して隙を作るから、その間にウルフ・フォレストと共にオックス・ファイアを連れて安全なところへ行って欲しい)

(うん…じゃあ、できるだけ早く戻ってくるね)

(いや…)

 

 ロックマンがハープ・ノートの提案を断ろうとした時だった、瞬時にシリウスがスっとロックマンの前に現れ、ノーモーションでビットウェーブを放った。間一髪のところでロックマンは更に上のウェーブロードに、ハープ・ノートは地上へ周波数を変えて移動した。そしてシリウスが追いかけるのは勿論ロックマンであった。

 

「バトルカード、マッドバルカン!!!」

 

 ロックマンはマッドバルカンでシリウスの周りのファイアーウォールを破壊し、ウォーロックアタックで瞬時に詰め寄った。腕はワイドソードに変形している。

 

「遅いです」

 

 ロックマンの猛チャージにも関わらず、シリウスは難なくその斬撃をかわし、距離をとった。

 

「デューオは何者なんだ?」

 

 ロックマンは肩で息をしながら尋ねた。対してシリウスは涼しい表情を浮かべている

 

「あの御方は…宇宙の裁判人、とでも言いましょうか…。広大な宇宙の中で不必要と思った惑星はすべて抹殺しています。その途中で私はあのお方によって再構築された…。惑星の抹殺をなさるデューオと私の目的はほぼ一致している。おそらくデューオも私の存在を知っていて、それを理解していたから助け、私がのお方に仕えることをお許しくださった。デューオに助けられた私はあのお方に恩返しをする義務がある」

 

「つまり、デューオが地球を標的にしたからお前は奴に加担し、地球に攻撃を仕掛けたというわけか…」

 

 ウォーロックが低い声で言うとシリウスはご名答、と小さく返した。

 

「200年前にも地球が標的になったことは流石にご存知でしょう。前回は大丈夫だったようですが、先日のメテオGの件でデューオは地球が改めて危険な存在と判断なさりました。もうすでに各国にはウイルスが散蒔かれています。抹殺も時間の問題です」

 

「そんなことはさせない!!お前たちの勝手な判断に振り回されてたまるか!!」

 

 ロックマンは怒りを顕にしてバスターをシリウスに向けた。

 

「お前を倒し、デューオを止める!!」

「私を倒す…?ふふふ…愚かな…。デューオにとって強化された私に今や太刀打ち出来る者はいませんよ…見るがいい!!」

 

 シリウスは左腕を上空に掲げた。その方向を見るとロックマンが今まで見たこともない巨大彗星が燦々と輝いていた。一見綺麗なものであるが、どこか禍々しい雰囲気を放っているようにも見えた。あまりのスケールにロックマンは驚きのあまり声が出なかった。

 

「あれがデューオの彗星です。私はデューオにより管理された超巨大サーバーにより無限の力を得ている…かつての私とは比べ物にはなりません。私を倒さねばデューオのもとにもたどり着けませんよ…さあ、かかっておいでなさい。ついでにかつてのリベンジをここで果たさして貰いますよ…」

 

 シリウスがゆっくり笑ったその瞬間、突然周囲の電波の流れが変わった。ものすごいエネルギーがシリウスに集中しているのだ。

 

「スバル…」

「うん、わかってる。やるしかないよ、今こうしている間にも…被害が拡大している…」

 

 二人もシリウスの危険性については理解していた。しかし、だからこそ彼らは自分たちがやらなければならないと思うのだ。

 今まででも困難を乗り越えてきた、だから今回も――

 

「ウェーブバトル ライド・オン―――」

 

 だがいつものようにそう叫び、バトルカードを読み込んだ瞬間、彼の体には全身を貫くかのような激しい痛みを感じた――

 




はい、シリウスさん登場です。予想していた方もいられたのではないでしょうか?

またよろしければ指摘、批判、感想などよろしくお願いします。
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