ビースト・マーダー   作:ヒシモチ

1 / 19
第1話 開幕

 30XX年 6月 27日 13:30頃 東京都 港区 どこかの住宅街──

 

「……退屈…。」

 

そう呟き歩いているのは、水月 陸(みなつき りく)犬系獣人の20歳。

 

大学生で、近くのアパートに住んでいるが、大学に入る前まで施設で暮らしていた青年である。

 

(確かにこの町は暮らしやすいけどなぁ……。)

 

そんなことを思いながら歩いていると、少し離れたところのT字路を通る人影を見た。猫獣人のようだ。しかし陸は、

 

「ここら辺に猫系の奴はほとんどいないはずだが……」

 

そう不審に感じ、後を追った。

 

追って数分後、ある建物に着いた。

 

ごく普通の一軒家だ。

 

強いて言えばカフェとかに使われるような小さな建物。

 

陸(…こんなとこあったっけか?)

 

そうは思ったが…興味本位で扉を開け、中に入った。

 

…が、しかし机とソファー、椅子が幾らかあるだけで、後は何もない。しばらく見渡していると、

 

「あれ? キミどうやってここに来たの?」

 

 声がしたほうに目をやると、そこに少年? 少女? が立っていた。さっき追っていた猫獣人のようだ。

 

「普通の人間には、ここ廃墟に見えるようにしてあるんだけどなぁ……」

 

陸「……。」

 

「迷い込んできたって訳でもなさそう……。ねぇ、キミはなんていうの?」

 

陸「……水月 陸だが……。」

 

 急なことで少し驚きながら答えると

 

「陸、だね。ボクは「ネコ」って呼ばれてる。魔法使いだよ」

 

陸「は? 魔法使い? 空想とかに出てくる……あの?」

 

 陸は疑って聞き返したが「ネコ」は、

 

ネ「そそ、しっかし……陸の目は不思議だね……銀色で猫系の人間の瞳みたいになってる……それにその首筋の火傷の跡、まさかとは思うけど……いや、まさかね」

 

陸「待て待て…顔近いしなんの話だよ…って言うか「ネコ」って本名じゃないだろ絶対。」

 

 そう言うと「ネコ」は、おっと失礼と言って顔を離し、

 

ネ「まぁ、確かに偽名なんだけどね、訳あって本名は名乗れないんだ。それとボクが魔法使いというのは嘘じゃない。ぶっちゃけボク以外にも沢山いる。なんなら見せよっか?」

 

陸「……聞けば聞くほど信じがたいが……ってか、そんな簡単に見せて良いのか?」

 

陸はそう言ったが「ネコ」は

 

ネ「勿論見せるとも! だってキミ面白そうだし」

 

陸「いや…面白そう…て…」

 

そう言って、まだ疑いを隠せていない顔をしている陸を奥にある扉に連れていった。

 

扉を開いて見せたが中は掃除用具が少々、残りは見た目だけの役に立たなさそうな物がほとんどだったが…

 

ネ「ここは普段、物置きとして使っているんだけど……見ててね」

 

「ネコ」は扉を一旦閉めて、

 

ネ「このドアノブを180度回転させながら開くと……」

 

 そこには薄暗い下り階段があった。肝心の陸はというと、

 

陸「…………からくりとかじゃないよな…。」

 

 驚きを隠せていないようだった。

 

ネ「フフッ……でもこれは序の口…来て。」

 

陸「おっ……おう」

 

 二人は現れた階段に足を踏み入れたが、少し進んだ先で陸の足が止まった

 

陸「……変だな……。妙な気配がする……」

 

ネ「…え?」

 

陸「……いや、なんでもない…」

 

ネ「わ……かった……(やっぱりあの目は……)」

 

 しばらくして、階段を降りると「ネコ」は、

 

ネ「ようこそ! ボクの工房へ!」

 

 その「工房」と呼ばれた部屋は、先の部屋より3~4倍広く雰囲気も違っていた。

 

ネ「ここでボクは魔法を研究したり、いろんな物を作っているんだ。あ、そうだ。さっきさ、「妙な気配がする」って言ってたけど、もしかしたらコイツのせいかも」

 

 そう言って視線を向けた先に一つの人形があった。ただ違うのは大きさ、形、見た目、まるで本物の人間がそこにいるようであった。

 

陸「人形…なのか?」

 

ネ「うん、あるモノの研究。その時の副産物でね、ついでにコイツで実験したのはいいんだけどさ…」

 

陸「失敗したのか?」

 

ネ「うん、一応封印を施したけど…ボクの使う魔法が合わないみたいで消えないんだよねぇ、困ったことに…。」

陸「確かにそいつから妙な気配を感じるが…消せない?どういうことだ?」

 

ネコ「その人形の中身だよ。幽霊みたいなモノさ。さっきも言ったけど封印は施してあるから、近くでみても大丈夫なハズだよ。」

 

陸「いやお前「ハズ」って…」

 

そう言いながら陸は人形に近づいて、まじまじと見つめた。

 

…人形は本当に、不気味で、どこか美しく、魅了されてしまいそうなモノであった。

 

しかし陸は、その妙な気配のこともあって

 

陸「うーん…ケチつける訳じゃないが……オレには気味悪く見えるな……」

 

 そう言って振り替えると、「妙な気配」の主に気付いた。「ネコ」の背後で襲い掛かろうとしていた。

 

陸「おい「ネコ」避けろ!後ろだ!」

 

気配の正体は「悪霊」。人形の魂だったモノ

 

ネ「なっ! 人形の封印が解けた!?」

 

「ネコ」が振り替えろうとしたその時だった

 

 ズバッ!!

 

 鋭く、切り裂く音と共に悪霊は消え失せた。「ネコ」の視線の先には、ナイフを持ち、銀色に目を輝かせていた陸の姿だった。

 

ネ「……今…陸がやったの?」

 

陸「あぁ、殺した…。」

 

ネ「……やっぱりそうか。その銀色の眼……陸は「神秘殺し」の家系だったんだね……」

 

「ネコ」は陸の銀の眼のこともそうだが、一瞬だけ見えた陸の御技にも感動していたようだった。しばらくして

 

ネ「それと思い出したよ…どこかで見たと思ったら…その首筋の火傷の跡。20年前────」

 

言いかけたその時。

 

「「ネコ」さぁーん。ここにいるんですかぁー?」

 

女性の声だ。階段から聞こえる。

 

ネ「あ、帰ってきたみたいだね。」

 

陸「知り合いか?」

 

陸は持っていたナイフを仕舞いながら尋ねると「ネコ」は、

 

ネ「そうだよ。まぁ、もう一人いるんだけどさ。」

陸「うん?もう一人ってのは?」

 

ネ「そのうち会えるよ。」

 

そんな話をしているうちに、その女性が降りてきた。

 

「あっ、やっぱりここにいたんですね。あれ?お客さんですか?ここは普通の人には気付かないようにしていたのでは?」

 

ネ「あー、それなんだけど…」(説明中…)

 

「それで、今に至ると。」

 

ネ「うん。」

 

「了解です!では「水月さん」ですね。はじめまして!篠原 七海(しのはら ななみ)と言います!20歳で、種族はボーダーコリーです!」

 

陸「うん、よろしく。」

 

七「それにしても、本当に幽霊、倒しちゃったんですか?すごいです!水月さん!」

 

陸「そりゃどーも。」

 

ネ「さて、二人とも。そろそろ上に戻らない?もうじきアイツも帰ってくる頃だし。」

七「そうですね、そうしましょう。」

そう言って3人は階段を上った。

 

そして階段を上りきった時、その「もう一人」がちょうど帰ってきたようだった

ネ「あ、おかえりー。どうだった?「蒼太」。」

蒼「ただいまー。まだ見つかんない…。」

 

陸「……。」

 

陸は何かを感じ取ったのか身構えた

 

蒼「うん?その人は?」

 

ネ「あー、そうそう。この子はねえ…」(説明中)

 

蒼「へぇ「ネコ」の結界もすり抜けたうえに幽霊を殺したねぇ…。僕は「色崎 蒼太」(いろさき そうた)って言うんだー。よろしくー。あ、種族は狼だよー。」

 

陸「あぁ……。一つ聞いていいか?」

 

蒼「なに?陸君。」

 

陸「初対面で失礼だけどさ……お前、今まで何人殺した?」

 

七「水月さん!?」

 

ネ「……」

 

陸がそう聞くと、蒼太は真顔で

 

蒼「…さぁ。何のこと?」

 

陸「惚けるな、お前から血の匂いがする。あと火薬か?」

 

蒼「おやおや、僕は嫌われちゃったみたい…それで?そのナイフで殺すかい?」

 

隠す気はないようだ

 

蒼「まぁ別にいいけどさ、僕は君の御両親の仇じゃないよ?」

 

陸「どういうことだ?」

 

蒼「君、20年前のたぶん被害者だろ?その首筋の火傷の跡、それと水月って名前。これだけでも大方予想は出来る。それに20年前って言ったら僕…そん時4歳だぜ?」

 

陸「……。」

 

20年前、生まれて1ヶ月くらいしか経っていない赤ん坊を除いて、その子の両親を惨殺した挙げ句、家を全焼させるという未曽有の大事件が起こった。

 

その赤ん坊が彼、水月 陸である。

 

蒼「それとさぁ、僕もその犯人追ってるんだよね。国から「見つけ次第殺せ」って言われてる。」

 

陸「殺し屋か、お前。」

 

蒼「まぁ実際は何でも屋で、対象は殺人鬼とかそう言う奴なんだけど。……ねぇ!僕の仲間に入らない?」

 

陸「は?何言ってんだお前。」

 

当然の反応だ。 しかし蒼太は

 

蒼「犯人…探してるんだろ?もうじき居場所が判明するところまできてる…。利害の一致ってことで入らない?」

 

陸は溜息をつくとナイフを仕舞い直し、

 

陸「わかった、協力する…あと陸でいいよ…名字とかで呼ばれるの苦手だからさ…」

 

こうして陸は蒼太達の仲間になった。

 

ネ「あ、ねぇ蒼太。「青谷」(あおや)は?」

 

陸「青谷って?」

 

七「青谷 将大さん(あおや まさひろ)私達の仲間ですよ。アオダイショウの男の人です。」

 

蒼「今さっき僕にメールが来たんだけど、青谷は警視庁で捜査とかの情報提供ってことで呼び出されてる。だからまだしばらく掛かるってさ。」

 

ネ「あー、了解。」

 

蒼「僕がメールで陸のこと紹介しとくから、「ネコ」達はゆっくりしててよ。」

 

ネ「わかった。ありがと。」

 

陸「ところで、蒼太がはじめの方に言ってた「見つかんない」ってのは?誰か探してるのか?」

 

蒼「うん、国と警察からの依頼でね。とある連続殺人事件の犯人なんだけど…」

 

陸「20年前のとは別のか?」

 

蒼「そう、しかも被害者の遺体が一つもない。変わりに大きな血溜まりだけが残されてる。」

 

 

 

その頃、新宿のとある路地裏にて

 

「や…やめろ…こないでくれ……命だけは…。」

 

「……………。」

 

「あ…あ…ギャアアアああああ!!イ"ダイ"イ"ダイイ"ダイ"イ"ダイ"!!だずげ…………で………」

 

メキッ バキッ グチャッ ゴキッ ベチャッ ゴリッ ペキッ パキッ

 

 

 

翌日

 

「これで何件目だ?」

 

「…はい、これで6件目です。報道されていないのと合わせると20件超え…同一犯と見て間違いないでしょう。」

 

新宿のとある路地裏で大きな血溜まりが発見された。




はじめまして。ヒシモチと言います。
小説を書いたのは初めてですが、よろしくお願いいたします。
誰かしら読んでくだされば幸いです。
読んでくれる方がいれば続けようかと思います。

キャラシート

第1主人公

水月 陸(みなつき りく)男性

犬系雑種?

10月15日生まれ 20歳

身長 172cm 体重 62kg

東京都出身

ちょっとツンギレ

剣道3段 (実力は6段以上のレベル…なのにナイフ使ってる)

空手も少しかじった (明らかに達人)

陸の目は概念そのものが見えている魔眼のようなもので、幽霊でも見ることが出来る。と言うより、「見えてしまっている。」の方が正しい。ちなみに実体化させる原理は謎。

20年前、陸が生まれて間もない頃。両親が殺害され、家も燃やされた。このことを施設の職員から聞き、自分の人生を奪ったその犯人を今も探している。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。