ビースト・マーダー   作:ヒシモチ

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ネ「前回のあらすじ。」

青「まさか、陸が性転換を申し出るなんて…」

優「いや説明すべきは、そこじゃないし…ぜってぇ違うだろ…」

蒼「陸が担当しているこの事件は、「ヤマノケ」っていう妖怪が黒幕だと判明したよ。」

七「相手は真性の異形…妖怪、果たしてどう相手取るのか…それではスタートです!」


第9話 山ノ怪

陸「俺を魔法で女にできるか?」

 

シ「…い、いきなりどうしたの?」

 

急にこんな事を言うのだからシャルルが戸惑うのも無理もない。

しかし陸は、いたって真面目に答えた

 

陸「相手は女しか狙わない異形だ。男の俺達が行ったところで、現れすらしないと思う。」

 

シ「なるほどね…出来なくはない。でも「完全に」となると、僕には無理だ。それこそ、ここにグローサーか先生を呼ばないとだ。」

 

陸「完全じゃなくていい。…どうやるんだ?」

 

シ「禁忌で幻術を掛ける…それも、神や天使を騙せるくらいのね…」

 

陸「流石、魔法使い。…決まりだな、一旦戻ろう。」

 

シ「わかった。」

 

二人は部屋に戻り、住職と警察の二人に

 

陸「今回は俺ら二人だけで、ヤマノケをやらせて下さい」

 

と言うが、「はいわかりました」と言うはずもなく

 

警「え…だ、大丈夫なのですか!?…相手は妖怪ですよ!?…私達人間が敵うかどうかもわからない…得体の知れない奴が相手なんですよ!?」

 

言っていることは正論だ、「憑依するだけ。」とはいえど、相手は異形そのもの、その気になれば人間なんて軽く殺せてしまうかもしれない。

 

しかし…住職は違った

 

住「お待ち下さい…信じましょう…」

 

警「えっ…ですが…」

 

住職は二人を信じきっていた

 

警「……わかりました…。」

 

住「…お願いできますか?」

 

シ「お任せください。絶対に何とかします!」

 

そうして二人はここを後にした

 

警「どうして、あの二人を信じようと?」

 

住「なぁに、ジジイの直感ですよ(笑)……絶対に、あのお二人は大丈夫ですよ。」

 

一方、事務所組

 

優「なぁ、「ネコ」。グローサーってどんな奴なんだ?」

 

ネ「そうだなー…ちょっとだけ変わり者かな。伊豆大島で小さな病院開いているくらいだし。」

 

七「病院の先生なんですね。」

 

蒼「にしても…なんで母国のドイツじゃなくて伊豆大島?」

 

ネ「さぁ?研究が捗る(はかどる)って言ってたけど。」

 

優「その…禁忌以外にどんな魔法を使うんだ?」

 

ネ「アイツは他にも…「マジック・オートマタ」を作って使役してたり、仮にも医者だから、身体強化の魔法は当然、魔法薬を作ったり…かな。」

 

青「…医者としての腕は?」

 

ネ「かなり優秀だと思うよ?住民からの評判もいい感じだし、何処だったかは忘れちゃったけど、医療大学も首席で卒業するくらいだからね…頭の良さは青谷といい勝負じゃない?」

 

青「ふーん…じゃあ、グローサーさんの見た目は、どんな感じ?」

 

ネ「え?見た目?…えーと…蝙蝠型の翼があって、角が無くって、鱗は黄緑色、髪は金髪、身長は…185くらい、体格はドラゴン系にしては細いかな 。…こんなとこか。」

 

青「…(そういやドラゴンには種類は無いようなもんだっけ…でも角は無いのか…なんか引っ掛かる…)わかった、ありがとう。」

 

優「でもドラゴン系って、もっと肉体的な仕事してるんだと思ってた。」

 

蒼「ね。」

 

七「私は、この前図書館で、ドラゴンの司書さん見ましたよ?…着てた服の上からわかるくらい、すごいムキムキでしたけど…」

 

蒼「アハハ、マジか(笑)」

 

ネ「…でもアイツ、ボクの見立てじゃあ…4人の中で一番強いよ?」

 

優「へぇ…」

 

ネ「魔法に対して理解の速さが違うし、それに魔力の質が良すぎる。挙げ句の果てに自分の魔力を使いこなしているからねぇ…」

 

優「すごいんだな…グローサーさんって…」

 

青「…。(角無しで、黄緑色…どこかで…)」

 

七「…それにしても、出張とはいえ陸さんだけずるいです…。」

 

蒼「じゃあ、今の案件達が終わったらどっか行こうか。青谷、いいだろ?」

 

青「うん?ああ、なら三重県なんてどう?」

 

七「あー良いですね!行ったことないので行きたいです!」

 

そして、10月24日

 

深夜1時40分 出張組 山道の入り口

 

陸「…はぁ。これで山に入るのも7回目だな…いつになったら現れるのやら…」

 

シ「相手は異形…妖怪だからね、そんなポンポン出られても逆に困るよ…」

 

陸「そうだな…。じゃあ、そろそろ魔法を掛けてくれるか?」

 

シ「わかった、じっとしてて…」

 

そう言うと、シャルルは呪文を唱え始めた

 

すると陸の足下に魔方陣が現れ、淡く輝き始めた

 

シ「<北欧の神、ロキよ、力を貸せ…幻を…神を惑わす幻よ…>」

 

陸「…。」

 

詠唱が終わったのか、魔方陣が消えた

 

シ「さて、これで7回目…女子になった気分はどう?」

 

陸「…本当に何も変わって無いよな…」

 

シ「そりゃそうさ、幻術を掛けただけなんだ、本人には分からないよ。でも、僕には女子に見えるよ?」

 

陸「ふむ…ならいいんだが…やっぱりこういうのは慣れないんだ……本当にずっとじゃないよな…。」

 

シ「大丈夫、効き目は2時間だけさ。心配は要らないよ。」

 

陸「なら良いけど。…わかってると思うけど…万が一の時は…」

 

シ「…わかってる、行こう。」

 

そして、深夜2時。その時は来た

 

二人は山の中を暫く進んでいたが、歩みを止めた

 

シ「…。」

 

陸「…。」

 

シ「…陸君。」

 

陸「…わかってる。」

 

テン…ソウ…メツ…テン…ソウ…メツ…

 

陸「…。」

 

シ「…。」

 

テン…ソウ…メツ…

 

声が段々と近づいて来る

 

陸「…。」

 

シ「…。」

 

テン…ソウ…メツ…

 

そして「それ」は遠くの方だが、二人の前に現れた

 

青白い肌、長い両腕、一本の脚、首の無い上半身、胸の部分に大きなニヤけた顔

 

ヤマノケだ

 

奴は上半身をメチャクチャにぶらしながら、陸に近づいて行った

 

だが、させじとシャルルは剣を出現させ、奴を斬り伏せようとしたが…

 

シ「…っ!?(外した!?…いや…実体が無いのか!?)」

 

奴はシャルルに構わず、陸に近付いていく

 

陸「…。(間合いに入ればいけるか?)」

 

陸は構え、奴は陸に飛び掛かった

 

陸はナイフを突き刺そうとした時、奴はフッと消えてしまった

 

陸「…。」

 

シ「逃げられたか…陸君、大丈夫?」

 

陸「…。」

 

シ「…陸君?」

 

陸「…レタ…ハイレタ…」

 

シ「…え?」

 

陸?「ハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタハイレタ」

 

狂った笑顔で「ハイレタ」と繰り返す

 

ヤマノケに憑依された

 

シ「そんな…陸君!戻って来い!!」

 

陸?「テン…ソウ…メツ…テン…ソウ…メツ…」

 

シャルルの呼び声は届かない

 

シ「そんな…」

わかってると思うけど…万が一の時は…

 

シ「…かくなるうえは…」

 

そう言って陸に剣を突き付けた時

陸?「テン…ソウ…メツ…テン…ソウ…メ……チガウ…」

 

シ「…え?」

 

陸?「チガウ!!チガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウ!!」

 

陸?は苦悶に満ちた表情で叫び散らした

 

陸?「デタイ!デル!デレナイ…デレナイ!デレナイデレナイデレナイデレナイデレナイ!!デタイ!デタ…………………やっと…」

 

シ「…!」

 

陸「捕まえた!」

 

シ「陸君!」

 

陸「心配掛けて悪かった!おっと…ヤロウ…ここまで暴れるか…ととっ…」

 

ヤマノケが陸の中で逃げ出そうと暴れているのか、陸は少しふらついている

 

陸「…長い間、好き勝手しやがって…報いだ、逃げられると思うな。」

 

そう言うとナイフを取り出し、刃先を自分の胸に向けた

 

陸「これ以上、好きにはさせない…もといた場所に…」

 

シ「…。」

 

陸「黄泉に帰れ…!」

 

自分の胸に…心臓に突き刺した

 

陸「…。」

 

すると陸から青白い炎のような、煙のようなものがゆっくりと、空に昇っていった

 

陸はナイフを引き抜いた。

 

刺した胸に傷は無かった。どうやら上手いこと能力を使い、ヤマノケだけを殺したらしい

 

しかし、ヤマノケだけを殺したとはいえ、陸の中で暴れていた分と、自分の心臓を刺すという命を傷つける行為、かなりのダメージを負っていた

 

陸「…ぅ…あ…。」

 

シ「っ!陸君!」

 

陸はその場で倒れそうになったが、何とかシャルルが受け止めた

 

陸「…ハハッ…妖怪相手にここまで持ってかれるとは…」

 

シ「能力が使えると言っても、君は人間だ…無茶は駄目だ。」

 

そう言うと、回復魔法を掛け、陸をおぶさった

 

シ「よっこいしょっと…それに――」

 

陸「…?」

 

シ「君を大切に思っている人が…いるからね。」

 

陸「…家族はもういない…誰一人として…。」

 

シ「知ってる、先生から聞いたよ…でも、大切に思っている人はまだいるじゃんか。」

 

陸にもう家族…両親はいない。でも、まだ友人達がいる。蒼太や七海達がいる

 

陸「…そうだよな…。」

 

シ「…さあ、帰ろう。………。」

 

そして、10月25日

 

事務所

 

陸「ただいま。」

 

七「あっ!お帰りなさい!陸さん!と、その方は…」

 

ネ「おー、シャルル!」

 

シ「お邪魔します。…あなたが七海さんかな?…はじめまして、シャルル ローランです。よろしくね。」

 

七「はい、よろしくお願いいたします!」

 

陸「ところで七海。残りの3人は?」

 

七「はい、蒼太さんと青谷さんは、ご自宅で休んでます。優希さんは10分くらい前に、すぐそこのコンビニに行きました。そろそろ戻って来ると思います。」

 

陸「二人とも休みか…俺がいない間なにがあったんだ?」

 

ネ「ああ、それなんだけど―――(説明中)―――てな訳で、事件は解決したんだ。」

 

陸「ふーん、そんなことが…」

 

七「それと、今度のお休みに、皆さんで三重県に旅行しに行くことになりましたので、お願いいたします!」

 

ネ「シャルルはどう?」

 

シ「いえ、遠慮させていただきます。仕事もありますし、それに…」

 

いつもいつも…あなたは仕事の事ばかり…いつも大事な時に限って、仕事だからって…あなたがいない…

 

シ「……私には…あやめが…いますから…」

 

 

 

フランス ブルターニュ

 

?「あら?誰からかしら…シャルルから……」

 

君に伝えたいことがある、今週の日曜日に会えないか?

 

?「…久しぶりに連絡が来たと思ったら……」

 

わかったわ。でも復縁については、お断りだから

 

 

わかってる。ありがとう。今週の日曜日に、海が見えるあの広場で会おう

 

?「…未練タラタラね…私とあなたが出会った場所…ホント、あの人ったら…」

 

 

あの人ったら…変わらないのね…

 

 




お待たせしました。ヒシモチです。

今回のおまけです

残念な青谷さん

コンビニ道中

陸「そう言えば、青谷って頭良い癖して色々残念だよな…」

蒼「あー、わかる。この前なんか一人部屋で、アイドルの動画見て盛り上がってたもん。ボッチで。」

陸「えぇ…、いや…一人ならまだいいか…」

蒼「他にも、やけに真剣にパソコンの画面見てるなーって思ったら、そのアイドルのイラストだった。」

陸「うわ…(引)」

一方その頃

事務所

七「…。」(ファッション雑誌読)

優「…。」(テレビ見)

青「…なんだろう、スゲー馬鹿にされてるような気がする…」

優「は?」

コンビニ道中

蒼「それで、青谷が僕に気づいてブラウザバックで閉じたんだけどさ、トプ画はアイドルだし…デスクトップは整理されてなくてファイルだらけで汚いし…」

陸「うわぁ…(ドン引き)もうアイツ一回死んで転生しろよ…」

一方その頃

事務所

七「…。」(ゲーム実況動画見)

優「…。」(テレビ見)

青「…。ぶへぇあっくしゃぁぁぁぁぁあぁああああはぁぁあああああああああ!!!!!!!!!!!!」(注、くしゃみ。)

優「…っ!!!!!!うるっさいわボケぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

七「…。(にぎやかですねえ…)」(←慣れた)
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