ビースト・マーダー   作:ヒシモチ

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青「前"回"の"あ"ら"す"じぃ!!!」(クソデカデスボイス)

優「いやうっるっさ…」

ネ「音割れ。」

陸「前回は蒼太が、とある麻薬密売、製造とかしていた組織のアジトを潰したぞ。そこでリーダー格の女に七海が人質として捕らわれた。七海を助けるために蒼太は取り引きとして自らの両目を
抉った。」(←耳塞いでた)

七「アジトを潰した蒼太さんと私は事務所に戻り、蒼太さんの両目を治すべく、「ネコ」さんにお願いして、禁忌の魔法使い「グローサー」さんを呼び出しました。今回は少しだけ時間が経っています!」(←耳塞いでた)

蒼「じゃあ、今回もお願いします!スタート!…まだ耳が痛いや…後で青谷ぶっ飛ばしてやろ。」




第12話 騎士と侍 前編

グローサーが「ネコ」に呼び出され、工房で蒼太の目の治療を開始してから数時間が経った

 

12月24日 事務所 地下魔法工房

 

グ「ふむ…これでいいだろう。視界はどうだ?両目ともしっかり見えるか?」

 

そう言われて、蒼太は辺りをキョロキョロと見回した。

 

特に異常は無いようだ

 

蒼「すげぇ…バッチリだ…本当にこれ(左目)人形の目?」

 

グ「まぁ「部分的」にだがな。水晶体と角膜・強膜は人形だが、眼球内部の硝子体と視神経及び虹彩は、お前自身のものを使用している。拒絶反応とかの心配も無い。」

 

そう言うと、グローサーはタバコに火を着け、吸い始めた

 

グ「………フゥー…吸うか?」

 

蒼「いや、いらない。…医者も吸うんだね。」

 

グ「よく言われる。…その言い方だと、前は吸ってたのか?」

 

蒼「中学の時にね…とっくの昔にやめたよ。」

 

グ「そうか、それが良い………フゥー…」

 

暫くして、グローサーがタバコを吸い終わった。

 

吸殻を手の上で、魔法で燃やし尽くすと言った

 

グ「さて、戻るか。」

 

蒼「はーい。」

 

そしていつもの部屋に戻った

 

グ「終わったぞ。」

 

優「凄い…ちゃんと見えてるか!?違和感は!?痛みとか…無い?良かった…」

 

ネ「さっすがグローサー。ところでタバコ吸った?変わんないねぇ…」

 

グ「まぁ、な…」

 

陸「お騒がせな奴だな、ホント。」

 

青「よかった、よかった…」

 

すると、勢いよく入り口のドアが開き、近くに立っていた青谷をぶっ飛ばした。

 

シャルルだ

 

青「ヘブッ!」

 

陸「あ。」

 

シ「お邪魔します!聞いたよ陸君!刀を手に入れたんだって!?」

 

青「ホギャース!!(ガシャーン

 

シ「あ"。…ごめん!大丈夫!?」

 

ネ「いいよ気にしないで、直しとくから。」

 

青「イタイ…」

 

シ「ええ…(困惑)」

 

グ「おいシャルル、俺のことは無視か?」

 

シ「え?…て、グローサーじゃないか!元気だった?…あれ、タバコ吸った?」

 

グ「悪いか。」

 

シ「イシャノクセニ。」

 

グ「よく言われる。」

 

陸「それで…刀だったか。あれまだ千子のところで研いでもらってる。」

 

シ「彩花のとこかい?まだ掛かるんだ…手合わせできると思ったから、ちょっと残念だなぁ…」

 

陸「刀って意外と繊細だからな…魔法でも時間掛かるんだろうさ…」

 

そう言って肩を落としていると、「ネコ」が言った

 

ネ「ボクで良ければ、刀を錬成してあげようか?」

 

陸「え!?良いのか!?」(尻尾ブンブン)

 

ネ「え、あ、うん。彩花ほど正確じゃないけど…良ければ…(…凄い嬉しそう。)」

 

陸「お願いします!!」(珍しく敬語)

 

ネ「あっはい。それと、やるんだったら地下の工房でね。外だと銃刀法で捕まっちゃうから。今さっき、かなり広くしたからさ。」

 

シ「はい!先生ありがとうございます!行こう。」(尻尾ブンブン)

 

陸「おう!」

 

ネ「…よっぽど暴れたかったのかな。」

 

暫くして

 

地下魔法工房

 

シ「よし…こっちは準備完了!」

 

シャルルの装備は意外と軽装だった。

 

籠手と、胸当て、80cmくらいの無骨な灰色の魔法剣。

 

灰色の部分は外郭だろうか…刃は付いているが、鞘のようにも見える。

 

それに対して陸は「ネコ」が錬成した太刀一本のみだった

 

シ「え…それだけで良いのかい?」

 

陸「ああ、これでいい。」

 

陸は抜刀すると言った

 

陸「よし、じゃあ…はじめるか…。」

 

シ「……!(なんだ?…ただの剣気じゃない…!)」

 

剣気、殺気とはまた違い、剣や刀を持つことで放たれる気合いや威圧のこと。

 

シャルルが驚いていたのは、それだけじゃなかった

 

陸「………。」

 

シ「……。(剣道だけやってれば身に付くようなものじゃない…でもなぜ………構えない…?)」

 

陸は抜刀してから構えずに、ごく自然体で立っていた

 

陸「………。」

 

シ「……。(先攻は譲る…てことか……なら!)」

 

シャルルは構え直し、勢いよく踏み込み、陸に斬りかかった

 

シ「ッ!!」

 

その時だった

 

キンッ! ヒュンッ!

 

シ「うおっ!?」

 

シャルルはバランスを崩したものの、機転を利かし、大きく飛び退いた

 

シ「…。(あり得ない…あの瞬間に二撃加えるなんて…)」

 

あの瞬間、何が起こったのか。

 

先ほどシャルルは、間違いなく先手を打ち、袈裟に斬りかかった

 

しかし陸は、それに合わせて、斬り上げの勢いでシャルルの剣を弾き、二撃目に刀を返し、シャルルの首を狙った

 

シ「…。(仕方ない…もう一度!)」

 

シャルルは、もう一度陸に斬りかかった

 

シ「ヤァアッ!!」

 

陸「………。」

 

しかし、何回か繰り返すも、結果は同じだった

 

カンッ! キンッ! ヒュン! ヒュン!

 

陸「………。」

 

シ「…。(どういうことだ…気合いも力もコチラが上、先手も打っている…なのに…)」

 

陸「………。」

 

シ「…ッ!!(なぜ攻防が逆転する!?)」

 

今度は連続で斬り掛かった。

 

しかし、結果はまた同じ。数秒で攻防が逆転した

 

シャルルが飛び退くと、陸が言った

 

陸「…フフッ…いやぁ凄いな。異種対抗とはいえ、ここまで張り合えるなんてな…そのうえ汗1つかかないとは…」

 

シ「………ああ、僕も同じだよ。…こんなに間近で日本古来の技が見れるなんてね…。」

 

陸「ただ、気になるんだが…シャルル……数秒先かもしれないが…」

 

シ「…。」

 

陸「未来、見えてないか?」

 

シ「…!!」

 

シャルルはリサ程ではないものの、ほんの少し先だけ未来が見える。

 

たった数秒でもシャルルにとっては、攻めも防御もこれで事足りる。

 

だが実際は…

 

陸「俺の動きが分かってるような…動きがちらほらとあったから、気になってな…」

 

シ「……それをわかってて攻め返しているんだろう!?」

 

陸「…フフッ…バレたか(笑)」

 

陸は、あらかじめ「魔法使いは未来が見えている可能性がある」という予測をたてていた。

 

そのうえで、相手に予想外の攻め方をして、防御の未来しか見させないようにしていた

 

陸「じゃあ、続きだな。もうじきその剣の真髄も見れるだろうし。」

 

シ「…。(この剣の本質を見破ったのか?)」

 

陸「…そろそろ本気で来ないと死んじまうぞ?」

 

シ「クッ…!」

 

相手は死角を縫うようにして急所を取ろうとしてくる。

 

挙げ句の果てに、全てが初見。

 

一般的によく知られている剣道のような、人を活かす剣。いわゆる「活人剣」ではなく、こちらは人を殺す刀。いわゆる「殺人刀」。

ただ人を殺すための剣術。

 

無理に防ごうとすれば、どうなるか…

 

陸「…そら。」

 

今度は陸が先手を打ち、刃を横にして喉元を突いてきた

 

シ「グッ!…ぅう!」

 

対してシャルルは剣を立て、防御を取ったが防ぎきれず、首に掠めてしまった

 

陸「…そら、そら、そら。」

 

次は死角を縫うようにして、連続で首、胴、心臓を突き、斬り裂こうとしてきた。

 

シャルルは防ごうとするも、防ぎきれず、実際は「凌いでいる」という方が正しい。

 

こうしているうちに、どんどんと切り傷や掠り傷が増えていく

 

そして…

 

シ「…フゥゥゥ……。」

 

陸「…流石、フランス最強の騎士…10回以上は殺したはずなんだが…まだ五体満足とは…」

 

シ「僕もびっくりだよ…日本の剣術がこれ程までに恐ろしいなんてね…」

 

陸「安心しろ、この剣術は俺だけだ…。人を殺すのに術理なんぞ不要。ただ死角を縫い、急所を斬ればよろしい…。それが俺の剣術であり、考え方だよ。」

 

シ「…。」

 

陸「しかし、シャルルに強敵と認めてもらえたのは、嬉しいが…その剣は…まだ俺のことを認めてないみたいだな…」

 

シ「…。(この剣のギミックをもう理解してるなんて…)」

 

陸「主に認められても、その剣に認めてもらえないのは…些か癪(しゃく)だな。ガキっぽいが…」

 

シ「…。(何をするつもりだ…。)」

 

陸「とは言えど…最初から本気じゃなかったのは、こっちが先…それなら、俺から本気を出すのが………礼儀だよな?」

 

そう言うと、陸は「下段の構え」を取った

 

陸「フウゥゥゥ…………………シャルル…「死ぬなよ?」…」

 

シ「ッッ!!!」

 

「死ぬなよ?」陸がそう言った瞬間だった。

 

数秒先の未来を「見た」。

 

違う…嫌でも「見えてしまった」。

 

ズタズタに切り裂かれ、大量の血を噴き出しながら倒れ、死に行く自分が…

 

シ「クッ!!(防御を…!)」

 

シャルルは咄嗟に防御のルーン魔法を発動させる。が…

 

陸「受けてみろ…」

 

シ「…!!(間に合わない!)」

 

刹那。陸から一本の剣線が放たれた。

 

そして、その剣線は三本に変化し、シャルルに襲いかかった

 

ガキンッ!!

 

シ「ガァッ!!」

 

シャルルは防いだ衝撃で、思いっきり壁に背中を打ち付けた

 

陸「…「防いだ」というよりは「凌いだ」の方が正しいか。」

 

シ「グゥッ……(今…何が起こった?)」

 

陸「それでも凄いな…三つの斬撃を凌ぐことができたとは…」

 

先ほどの瞬間に何があったのか…。

 

陸は下段の構えから、上から下へ袈裟斬り、切り返して下から上へ逆袈裟斬り、最後に横一文字に一閃。

 

この三つの技を一息に重ねて放った。

 

一方シャルルは、これをどうやって凌いだのか。

 

あの瞬間、間に合わないと判断すると、剣を立てて防御の姿勢を取り、バックステップで後退。

 

すると、シャルルの剣がそれに呼応し、剣の外郭が盾に変化してシャルルを守った。

 

だが、斬撃に耐えきれず、砕けてしまったようだ

 

陸「…さて、ようやく姿を見せたな…。本当に…綺麗だ…。」

 

灰色の外郭が砕け、ようやく見せた真の姿。

 

白金(プラチナ)色に輝く細身の刀身、翼を広げた天使がモチーフであろうガード(鍔)とグリップ(握り)。

 

千子 彩花が打った銘のない聖剣

陸が剣に見とれていると、シャルルが起き上がり、言った

 

シ「見とれているとこ悪いんだけどさ、僕…思ったんだ。」

 

陸「うん?」

 

シ「スピードと技術で負けているなら…手数を増やせばいいんじゃないか…て。」

 

シャルルはそう言うと、砕けた外郭の破片を左手に集合させた

 

陸「へぇ…二刀か」

 

集められた破片は、剣へと変化した。

 

全体的には灰色だが、ダマスカスのような模様が浮かび上がった輝く細身の刀身、翼を広げた悪魔がモチーフであろうガード(鍔)とグリップ(握り)。

どうやら姉妹剣のようだ。

 

二振りの剣を構えて言った

 

シ「さぁ…行くぞ!」

 

太刀を構えて応えた

 

陸「おもしれぇ…望むところ!」

 

騎士と侍が戦うという、異色の仕合。

 

勝つのはどちらだろうか…。

 

二人の剣士は同時に踏み込んだ。




作「お待たせしました。ヒシモチです!…って、なんで生首なの?将大。」ヒョイッ

青「(口パク)"いやぁ…前書きの部分でふざけすぎちゃって…したらさ、蒼太に真顔でぶん殴られて…"」

作「あららそんなことが…体は?」

青「(口パク)"あっち。"」

作「あっち?」

蒼「………。」

グチャッ ベキッ ドチャッ…

青「………。」

作「ヤダ…うちの子怖すぎ!?」

青「(口パク)"いや古…あ、次回に続きまーす。"」
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