ビースト・マーダー   作:ヒシモチ

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陸「前回のあらすじ。」

蒼「シャルルと陸の勝負が引き分けになって、それから1ヶ月が経過。」

七「夜に珍しく陸さんが蒼太さんと一緒にコンビニに行き、その帰りに近道として通った公園内で、謎の廃マンションを見つけました。」

優「今回はその続きから!」

青「…珍しく真面目だなぁ。」

ネ「本当はこうでなきゃいけないの。」



第13話 リヴェンジャー

陸「なぁ…これ…「ネコ」のヤツの人形に似てないか?」

 

とは言えど、この人形も廃マンションと同じようにボロボロ。

 

外装も所々風化して破損が酷く、中身が無い状態

 

蒼「…確かに「ネコ」が作ってる人形にそっくり…だけど…」

 

陸「…言いたいことは分かるよ。」

 

気になる所はそこではない。

 

明らかに古すぎる

 

蒼「この人形もそうだけど、このマンションも…こんなボロボロになるまで…一体いつからここにあったんだろ…。」

 

陸「…。」

 

そんなことを言っていると、マンション内から何かの音がしてきた

 

カシャン……カシャン……

 

陸「…?」

 

蒼「…足音?」

 

どんどん近づいてくる

 

カシャン…カシャン…

 

陸「…。」

 

蒼「…。」

 

そして、音の主が現れた

 

陸「…は?」

 

陶器のような…くすんだ白い外装。

 

犬系の尻尾と頭部。

 

真っ黒な目に、部分部分に球体関節。

蒼「人形…」

 

人形「……。」

 

陸「…。」

 

人形は、ただ二人を凝視しているだけで動かない。

 

…様子を伺っているようにも見えた

 

蒼「…。」

 

人形「……。」

 

陸「なぁ…蒼太。」

 

陸が目を反らした瞬間、人形が陸に襲い掛かって来た

 

陸「ッ!?」

 

蒼「…!」

 

すかさず蒼太が陸の前に飛び出し、人形の頭に一撃を喰らわせた

 

人形「…。」

 

ガチャンッ

 

さすがに人形でも蒼太に殴られたら一堪りもない。

 

人形の頭はひび割れ、陥没し、首があらぬ方向に向いていた

 

蒼「ふぃー…大丈夫?」

 

陸「悪い…助かった。…それ、どうする?」

 

蒼「……持って帰って「ネコ」に見てもらおうか。」

 

そう言うと蒼太は人形を持ち上げ、頭部に触れた時、手が水ではない何かに濡れた。

 

違和感を感じた蒼太は自分の手のひらを見ると、いつの間にか赤黒く染まっていることに気付いた。

 

蒼「…なにこれ?」

 

陸「オイル…でもなさそうだな…」

 

すると蒼太にとって嗅ぎ慣れた匂いが鼻を抜けた

 

蒼「…これ…「血」?」

 

事務所 地下魔法工房

 

青「帰りが遅いと思ったら…そんなことがねぇ…。」

 

ネ「急に出現した廃マンションに…風化した魔法人形…挙げ句の果てに「血のようなもの」と来たもんだ…ただ事ではないね。」

 

陸「…。」

 

蒼「僕が起こしてしまったことだけど…やっぱり面倒事になっちゃう…かなぁ?」

 

ネ「まだわからない…それに、今回のは運悪く出会ってしまった事故のようなものさ。気にすることないよ。」

 

青「という訳で、この人形は俺と「ネコ」で調べるからさ、先に帰っててよ。」

 

蒼「…わかった、お言葉に甘えて……行こう、陸。」

 

陸「…ああ。」

 

陸と蒼太が部屋を出た後に作業が始まった

 

ネ「…さて青谷、そこのペンチとメスを取って。」

 

青「はいよ。」

 

ネ「よし、まずは…頭の外郭を…」

 

一方その頃

 

千子宅

 

彩「や…やっと…できたぁ…。」

 

彩花がヘトヘトになりながら、一本の刀を完成させた

 

彩「これを…明日…!」

 

そして、翌日

 

事務所 7時半頃

 

七「おはようございまーす!」

 

陸「ハヨー。」

 

七「陸さん!今日は随分と早いですね。」

 

陸「ああ、なんか目が覚めてさ。」

 

七「あー、それでですか。」

 

少し経つと蒼太と優希が来た

 

優「おはよー。」

 

蒼「おはー、おっ陸じゃん。早く来るなんて珍しいね。」

 

陸「そりゃどーも。目が覚めたんだ。」

 

暫く会話をしていると、彩花がやってきた

 

彩「おっじゃまっしまーす!陸、刀ができたよ!」

 

陸「おお!ありがたい!」

 

蒼「えーっと…どちらさん?」

 

彩「あっ、ごめんなさいね。急だったよね…千子 彩花って言います!「ネコ」師匠の弟子の一人って言えば分かるかな?」

 

七「あっ、「ネコ」さんが言ってました!私は篠原 七海です!」

 

各々挨拶を軽く済ませると陸が話を戻した

 

陸「ところで、どんな刀なんだ?」

 

彩「ああ、そうだった………これだ。」

 

そう言って机に黒い鞘の刀を置いた。

 

陸は刀を手に取り少し眺めると、彩花が続けた

 

彩「ソイツはね…旧人類の時代の遥か昔…歴史上で言うとこの「平安時代」に打たれたモノでね…」

 

優「平安時代…聞いたことあるな…何百年以上も前だったか…。」

 

彩「いや…もっとだ…千年は下らない。」

 

七「千年…。」

 

彩「平安時代は、世界で言うところの神話の時代と言われていてね…そこに出てくる、とある鬼の首を斬っている…」

 

蒼「…。」

 

彩「鬼の名は「酒呑童子」、鬼の首領と呼ばれた鬼だ。」

 

陸「酒呑童子を斬った刀…まさか!」

 

彩「そう…酒呑童子の血を浴び、天下五剣と呼ばれる5本の名刀の一つ…その名は「童子切安綱」…最高峰の刀だ。」

 

陸「これが…童子切…安綱…。」

 

陸が刀に見とれていると、工房から「ネコ」と青谷の二人が戻ってきた

 

ネ「はぁー…まさかとは思ったけど…」

 

彩「あっ!師匠!」

 

ネ「あれ?彩花。いらっしゃい、珍しいね。何の用?」

 

彩「錆びた刀を持ってきてくれた時あったろ?完成したから、持ってきたんだ。」

 

そう言いながら陸の方に指をさすと、陸が鞘から少し出して刀身の一部を見てたので、あわてて「ネコ」が声をあげた

 

ネ「陸!ストップ!!」

 

陸「え?」

 

陸が刀を振るおうとしたのに気付き、刀が抜ききられる前に止められた

ネ「その刀…妖怪とかそれ以上の存在を斬っているだろ…そんな神秘とかを斬れる代物の刃をふるってみろ…ここの結界が斬れて、この建物が崩壊するよ……それだけで済めばいいけど…」

 

それを聞いた陸は少し驚きながら黙って、静かに刀を納めた

 

彩「ご…ごめん師匠…その事忘れてた…。」

 

ネ「私興味ない、でやってたな?全くもう…そこは変わってないなぁ…」

 

彩「うぅ…ぐうの音も出ない…。」

 

そんな中、少しばかり空気になっていた青谷

 

青「あのー…昨日の人形で分かったことがあるんだけど…そろそろ良いかな?」

 

ネ「あ、ごめん。すっかり忘れてた。」

 

気を取り直し、人形のことについて話始めた

 

ネ「まず、ボク達魔法使いが扱う人形…魔法人形(マジックドール)だけど、人造人間(クローン)タイプとゴーレムタイプがあって、今回は前者の人形だった。」

 

青「そして昨日、蒼太達が持ってきてくれた、あの人形…脳は人工物だったけど、他の内容物は細胞培養で作られたような物じゃなかった。」

 

ネ「…人間の物だった。れっきとしたね…。」

蒼「それってつまり…」

 

ネ「…ああ、蒼太。脳以外…内臓も、筋肉も、目玉も、脊髄も、血液も、全部!…「何処かの誰かさん」…ってことだよ。」

 

七「なんてこと…」

 

ネ「それも一人や二人だけじゃないだろうね…犠牲者は。」

 

彩「…。」

 

ネ「それで、ボクとしての提案なんだけど、ボクはあの廃マンションは放っておけない。」

 

「ネコ」は冷静を装っていたが、それでも込み上げる怒りが隠しきれていなかった

 

陸「…大方、「ネコ」の知り合い…黒幕がそこにいるんだろうな。その言い方だと…いつ乗り込むんだ?」

 

ネ「存在すら忘れ去られていた場所なんだ。許可がどーのこーのとか、関係ないよ……明日の夜にでも。」

 

???

 

バ「うーん…■■■■■■■にこの場所がばれちゃったかぁ…」

 

?「…たかだかこの場所が知られただけであろ?何もきゃつらが妾達を殺せる筈がなかろう…バーゲストよ…。」

 

バ「ま、そうだけどさ。」

 

すると、蛇系の男が現れた

 

バ「おや、レーベじゃないか。」

 

レ「やぁ!我が親友よ!計画が完成しそうなんだって?」

レーベ、ドイツ? 年齢不明 幻獣シーサーペント

 

バ「そうさ!もう、仕上げの段階さ!」

 

?「ところでこの計画とやらは、あとどのくらいかの?」

 

バ「なぁに…あと3日程で完了する…そうすればキミは本来の力を取り戻して、この日本を…世界を壊してしまおう………。」

 

レ「芸術は爆発…誰かが言っていたなぁ…そうだ、破壊こそ!崩壊こそ芸術!そして美しい!そして…あのトカゲ野郎…グローサーに分からせてやる…知らしめてやる!」

 

バ「勿論、本来の力を戻せたら、レーベは好きに暴れたりしてもらって構わないよ。」

 

?「…フッ、日本…か…。いつだったか…妾が一つの都を支配していたように…。」

 

バ「ああ…、そうさ…またあの時のようになれるんだよ…そして奴ら人間に復讐をしよう…奴ら人間をメチャクチャにしよう…奴ら人間を不幸のドン底に叩き落とそう…!なあ、―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――「九尾」よ!」

 




作者「……。」

七「…何が言いたいか分かりますね?」

作者「……はい。」

七海「…いくら何でもサボりすぎです。」

作者「…申し訳ないです。」

青「…あー、作者はこっぴどく怒られてるけど、今後は月1更新でやらさせて頂きますんで、よろしくお願いいたします。」

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