Cルート   作:油性

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俺が満足するにはまだ早い

 

「ジョー君! 私と付き合ってっ!」

「いいぜぇ、ライラック。今日からお前は俺の彼女だ」

「ちょっ、ジョーロっち! うちも彼女にして!」

「いいですよ。チェリーさん。ていうかホースはどうしたんですか?」

「ホースっちはいつまでもうちを振り向いてくれないから……、ジョーロっちに恋しちゃった!」

 

 香峰旅館のとある一室。俺の目の前で蕩けた表情をしている女性たちがそこにいた。

 なんてことだ……モテる男は違うってことを身をもって証明してしまった……。

 めちゃんこ可愛い俺の幼馴染のライラックと、唐菖蒲高校に通う生徒会長候補のチェリーさんと付き合うことになっちまったぜ! 北海道、最高! 

 

「ジョーロ、ワタシも、ジョーロと付き合う」

「つきみ!? どうしてここに……? まぁいいか! 俺と付き合おうぜ!」

「ジョーロ! わたしとー!」

「ひまわりも!? ……へへっしゃーねーな!」

「ひまちゃんっ! それにみんな! ジョー君は私の彼氏になるんです!」

「違うよライラックっち! うちがなるの!」

「全員違う。チェリーさん、ライラックも。なるのはワタシ」

「むー! 違うもん! わたしがジョーロの彼氏になるもん!」

 

 おいおい、俺を巡って争奪戦が始まったじゃねぇか。けれど問題ねぇ。ハーレム主人公の最強の特権を、ここで見せてやるぜ。

 

「ならこうしましょう。月曜日はライラック。火曜日はチェリーさん。水曜日はつきみ。木曜日はひまわり。で、余った金土日で毎週全員で旅行にでも行きましょう」

 

 俺はみんなが大好きだ。だから、みんなを幸せにするためにはこの選択をするしかない。なんだかよくわからないけど、これが伝わってくれるという確信があった。

 

「「「「それ、いいね!」」」」

 

 全員からの同意を得られたので、ここからは俺のハーレムライフが始まるぜ! これがモブの成り上がりだ! 見たか! ラブコメ主人公ども! ひゃっほぉぉぉぉおおおおっ!! 

 

「───という夢を見てたら朝ごはんに寝坊しました……」

「ドン引きするっしょその夢……。というかひまわりっちって誰だっけ?」

「幼馴染ですよ、前に言ったじゃないですか」

「あー、幼馴染……うちらで言うところのつきみっち枠ってことだね」

「言い方はあれですけどその解釈で間違ってないです」

「つまるところ君が好きということだね! ヒューッ!」

「ははは……告白されてからが本番だと思うんですけどね」

「ん? ジョーロっちって告白されたらその場で答えるタイプじゃないの?」

「うーんと……そうですね。場の雰囲気に押し込まれてそのまま付き合ってしまいそうで怖いので……」

「告白された経験は?」

 

 あると思うか? 

 

「あっごめん。ついホースっち基準で比べちゃった」

「やっぱりモテモテですよねあいつ……」

「まぁまぁ。ジョーロっちはジョーロっちで魅力的なところもあると……思うよ?」

「間が」

「ないよ?」

「いやありましたって」

 

 朝飯を食べながらお互いに会話をしている。先にチェリーさんがそこにいたため一言謝って今座っている。

 夢の内容をはっきり覚えていたせいで、全部吐かれちまったぜ……。現実もこうならいいのに。

 ならないのが恋愛である。高一の俺でもわかることだ。なるのはラブコメの主人公だけだ。ただし俺はモブ。つまりそれが認められない。QED。証明終了。

 

「あるにしてもないにしてもジョーロっちを好きな女の子とか一人はいたんじゃない?」

「そうは言われましても…………あっ」

「いたの!?」

「そういえば一人だけ匂わしてきた女子がいたような……」

 

 それは中学校の頃の話である。と言っても卒業式に起きたことなんだが。

 

「卒業式の日に『私を忘れないでね』って言ってくれた女の子がいたんですよ」

「うわぁ……。本物の恋してる女の子の言葉じゃん。今なら嘘って言っても許せるよ?」「いや嘘はついてませんって……」

「まあどっちでもいいんだけど……今そのことはどうなってるの?」

「連絡先を持ってないので今何をしているかわからないっていうオチです」

「あるあるっしょ! それ!」

「そういえば連絡先持ってなかったなって気づいたのは高校入学後でしたね。少し過ごしたらもう、今まで忘れてましたが」

「告白すれば頭の中には残ってたのかな……」

「……それは、そうですね。俺なら残りますね。初めて告白してくれた子になりますから」

 

 純情鈍感BOYを目指す者としては告白をされることが目標である。受け身になるのだジョーロよ。今は攻める時ではない。

 自分から告白できる自信を持てないのだ。俺は。……好きな人いないけど! 

 

「意外。ジョー君って恋愛初心者なんだね」

「そうかもな……って、ライラック!?」

「来ちゃった♡」

 

 ライラックから視線を外してご飯に目を映らせる。すまんライラックがめちゃくちゃ可愛すぎてやばいんだがどうすればいいと思う? 告白された男の気分を味わってしまった。俺もしかしたら死ぬかもしれない。

 話がループしてきたぞ! 

 

「それでジョー君。何時に出る?」

「これ食べ終わって準備終えてからかな……」

「えっ、そうなのジョーロっち」

「今決めたんです!!」

「うわうるさっ」

 

 心の整理が出来てないの! わかって! 誰かこの気持ちわかって! 

 

「わかったよ、ジョー君! となると……九時くらい?」

「そういうことになるな」

 

 冷静を取り繕って会話をする。

 ライラックと思い出作り、とは言ったもののだ。ライラックはすでに何年も北海道にいる。今更北海道の観光名所を巡ったところでライラックを楽しませることはできないのではないだろうか? どっちかと言えば俺の思い出作りにライラックが加わった形になってしまう。それだと趣旨が変わるため、俺がやりたいことではない。

 ……勝機、というか願っていることは俺という人物が隣にいることで今までのそこにあった思い出にプラスアルファで付いてくれることぐらいだ。家族、友達と行った思い出に加えて、その次に出てくる言葉に“好きな人と言った”が出てくるようにだ。

 チェリーさんがいるから無理では? だって? 多分大丈夫です。多分。

 

「じゃあジョー君。後でまた来るから、楽しもうね! ライラックさんも! 昨日のやつは解決した?」

「うん! バッチリ!」

 

 昨日のやつ……? なにそれ。俺の知らないところで仲が進んでいるじゃん……いったい何があったんだ? 

 まぁいいか。仲がいいのはこちらとしては嬉しい限りだ。

 ライラックはその場を去って俺とチェリーさんで二人きりになる。昨日のやつは気になるが、自分からは聞き辛い。そういう心理。

 

「……ジョーロっち、目を見れば何を訊きたいかうちでもわかるよ?」

「そういう目してました?」

「めちゃくちゃしてたっしょ!」

 

 無意識にそうしてしまっていたらしい。

 

「うん、そうだね。昨日のことは……そのうち教えるよ。夏休みが終わるまでには、ね」

「……? わかりました」

 

 その表情は昨日と変わらず暗い表情をしているかと思っていたが、目には決意が固まっているように見えた。

 チェリーさんはそのうち、何かしら大きな行動をしようとしているのか……? 

 

「ほら、早くご飯食べなよ! うちはもう食べ終わっちゃったし!」

 

 チェリーさんは何を企んでいるのか。その答えを今は、知りたくないと思っている自分がいるのだった。

 

 

 その後、俺たちはさまざまな観光名所を巡り始めた。まずは旭山動物園に行った。

 

「見てジョー君! 白熊さんだよっ!」

「おぉ!」

 

 初めて見るその姿に感動をしてしまった。写真でも撮っておくか。

 隣にいるチェリーさんも同じように驚いて、自撮り写真を撮り始める。

 

「ねぇジョー君。ここの白熊さんってひまちゃんに似てると思わない?」

「ひまわり?」

 

 そう言われて俺は白熊を改めて見た。

 紹介文には人気No.1といった文字や、この動物園で最も愛されています! などと書かれている。人気ということを言いたいのだろうか。

 確かに俺の幼馴染のひまわりは人気な女の子だ。小学生から今まで至る所で人気だ。

 百花祭への参加を推薦されたこともあったな。でもその時は『部活で忙しいから!』って言ってやめてたよな。

 それほどまでにひまわりは人気だ。

 ライラックはそのひまわりと白熊を似ていると表現した。……そう言われて見ると、まぁ。

 

「似ている……かもな」

「でしょ? 私、ずっとひまちゃんに憧れてたんだっ! あんな風に強く、人気者になりたいなって!」

「今はそうなったのか?」

「うんっ! 友達もいっぱいいて、クラスで人気者! 自分で言うのも恥ずかしいけどね……」

「ねぇジョーロっち、ひまわりっちってそんな子なの?」

「えぇ。ひまわりは今も人気ですよ。学校で三番目くらいに人気です」

「ちゅ、中途半端だね……。誰が決めたのそれ」

「男子生徒の……投票ですかね……」

 

 繚乱祭は男一人に対して女三人で踊る行事だ。他の学校にあるとは思えない、観点を変えればわりと不純な行事である。

 ちなみに男子は推薦ではなく抽選だ。早く俺も選ばれたい。

 

「そういえばジョー君、なんでひまちゃん連れてこなかったの?」

「この時期は大会があってな……」

「部活?」

「テニス部に入ってるんだよ。めちゃくちゃ強いんだぜ?」

 

 中学生の時に始めたテニス。ひまわりが出るって聞いて見に行ったら強くてびびった。

 あいつの運動能力男の何倍もあるよな絶対。

 

「地区大会ならうち見たことあるかもしれないっしょ!」

「知り合いにテニス部の人いるんです?」

「うちこれでも生徒会の人間だからね! 部活動の視察も当然するのさ!」

「それで大会まで行くんだ……逞しいな……」

「えっチェリーさんって生徒会に入ってるんですか?」

「ん? そだよ?」

「なんか生徒会というより学級委員のイメージがあったんですよっ!」

「なんで!?」

「あぁ、それわかる。クラスまとめてそう」

「うーん……委員会とかで入るなら……図書委員がいいかなぁ」

「図書委員……?」

 

 あっ。ホースがいますもんね。ついでにつきみもいたな。

 これ白熊の前でする会話の内容? 

 

「じゃあそろそろ別の場所でも行きましょうか。ペンギンショーとか見に行きます?」

 

 二人がうなづいたところで開催される場所に移動する。今のところ順調だから、このままいい話だったというオチで終わってくれねぇかな……そう進められたらいいんだがな。

 俺はいまだに、どういう返事をすればいいのか決めていなかった。

 なにせ、初めされる告白だからだ。俺には好きな人がいない。けれどライラックを好きと言えば好きだが、付き合いたいというほどではない。あの有名女優は可愛いけど別に付き合いたくはないみたいな感じだ。

 相手を傷つけない返事の仕方をできるほど、俺は器用ではないのだ。

 

「ねぇ、ジョー君」

「んあ? ライ?」

「私幼馴染だからわかるよ? ジョー君が今考えてることなんて」

「今週のヒロアカについて考えてたんだよ……」

 

 右手の親指と人差し指をさすりながら言う。

 ちなみに今週はジャンプ販売してない。創刊号だった。

 

「はい、嘘」

「……えっ、マジ?」

「えっそうなのライラックっち?」

「うん。私もひまちゃんも知ってるよ? ジョー君が嘘つく時の癖」

 

 ……俺はひまわりの嘘をつく癖を知っている。視線を左右に動かすのだが、ライたちは俺が嘘をつく時に無意識にする動作を知っているらしい。

 全く見当がつかないな……どんな仕草をしているんだ俺は……。

 

「へぇ、そうなんだ……。ライラックっち、後でそれうちにも教えてよ」

「えっ、チェリーさんそれいる? 俺の嘘見抜く方法いる?」

「いるっしょ!」

「えぇ……」

「じゃあ教えるから、ジョー君は先歩いてて!」

「俺も知りたいんですけど!?」

「だめ♡」

 

 可愛いから許した。

 言葉のままに俺は前を向く。後ろからチェリーさんの驚く声が聞こえるが、聞かなかったことにしたい。

 

「あー! 確かにそんなことしてたしてた! なるほどね……」

「俺もう戻っていい?」

「いいよっ!」

「ふぅーっ……。ちょっとチェリーさん? ニヤニヤしすぎじゃありませんか?」

「だってもう……そりゃこんな簡単なことに気づかなかった自分が恥ずかしいっしょ!」

 

 マジでなんなんだ……? 

 んで、そんなことがありながらショー会場に到着して、ショーを大いに楽しんだとさ、めでたしめでたし! 北海道編完! 

 ……なってくれねぇかなぁ……。

 

「見て見てジョー君! 散歩してる可愛いっ!」

「よちよち歩いてるっしょ! 本当にそんな感じに歩くんだね!」

 

 可愛い女の子たちが可愛い動物に可愛いって言ってる。

 相対的に俺も可愛いということになるな。

 

「なぁライ」

「どうしたの、ジョー君?」

「楽しいか?」

「うんっ!」

 

 その言葉が聞けて、俺は満足だよ。

 

「なんかジョーロっちが放った言葉感でないね、それ! 似合わないっしょ! 『楽しくて当然だよなぁ! ライ!』って絶対言ってるっしょ!」

「一理あるねっそれ!」

「ないが!?」

 

 ないよな? ないよな!? 

 

「『楽しいって言えよ』って言いそうっ!」

「言わないって言ってるでしょライ!」

 

 俺ってそんな荒々しいキャラだったっけ!? いや待て……こっちの口調の時相手に“てめぇ”とか言ってた気がする……。あれ、もしかしてやばい? 電撃文庫のコンプライアンスに反してる? 

 

「多分言ってないよな……」

「めっちゃ気にしてるっしょ! うしし!」

「あははっ!」

 

 楽しく話す頃にはペンギンショーは終わりを迎えていた。

 

 その後もなんやかんやと見て回り、旭山動物園を出た後、昼飯を食って、商業施設を歩き始めた。まぁお土産を買いに来たってわけだ。サンちゃんとひまわりと姉ちゃんと両親と……一応ホースとつきみの分も買っとくか……。やはり鉄板は白い恋人である。

 手に取ろうとしたらチェリーさんも同じものを買おうとしていた。

 

「ジョーロっち買いすぎじゃない? 家族の分に加えて……ひまわり? っち? の分も?」

「あと親友のサンちゃんと……一応ホースとつきみの分も買っとこうかなと」

「ありゃ、白い恋人被っちゃうっしょ? どうする?」

「マルセイバターサンドに変えようかな……」

「ホースっちじゃがポックルでも喜びそうっしょ!」

「俺もじゃがポックル好きですけど……、えっ被ってる? まさか?」

「そのホースって人ジョー君に似てるってほんと?」

 

 おっと、ライまで興味を示し始めたか? 暫定ラブコメ主人公に認定してるけど、ライがこっちに来たら攻略されない? 大丈夫? 

 と言うより俺としてはあまりホースと比較してほしくない。劣等感で押しつぶされちゃうからな。

 

「好きな食べ物がまず同じっしょ?」

「春菊だっけ、ジョー君」

「あぁ。確かホースの好きな食べ物は……」

「春菊っしょ!」

「春菊を選ぶ人渋い部類に入るのによく好きって言えるねジョー君」

「悪かったな春菊が好きで!」

 

 春菊美味いじゃん! ほら、肉と一緒に食べたら美味しいじゃん! 

 カツ揚げにしてもいいし卵焼きの中に入れてもいいんだぞ! お前らも食えよな! 

 

「まぁ春菊はともかく、私のオススメは焼きたてチーズタルトだよ! 買ってねジョー君!」

「買うわ」

 

 買った。

 ……話は変わったか? 

 

「じゃあうちも! 店員さん! これ四十個!」

「チェリーさん多すぎ! せめて四個でしょ!」

「えっ、うち何個って言った!?」

「四十って……チェリーさんって慎重の域を超えてるね……すごい人だね」

「違うから! これうちのドジだから!」

「ドジって身体で出るものじゃないんだ!?」

 

 身体でドジったらヤバイ場所も出ちゃうからな。声の方がまだ修正できるから全部声だけで頼む。身体ドジは全部俺にめがけてやってくれ。転ぶ方向は全部俺の方な。

 

「チェリーさんのドジの中で一番やばかったのってなんなんですかっ?」

「うちがやばかったの……」

 

 顎に手を置いて考えるチェリーさん。

 ちょっと内容が気になるな。……なんだ? 急に顔を赤らめ始めたぞ? 

 

「この話はなし!」

「えぇー!? なんで!?」

「うちがダメって言ったらダメなの! そうでしょジョーロっち!」

「なんで俺に訊くの!?」

 

 俺に許可を求めるほどの内容と言えば……あっ。そりゃ一番やべーわ。

 

「ジョー君知ってるでしょ! おーしーえーてーよーっ!」

「これは俺もダメだ! 言ったら社会的に死ぬ! 捕まっちゃう!」

「犯罪!? ジョー君それこそ言った方がいいんじゃない!?」

「チェリーさんが!」

「チェリーさんが!?」

 

 ……その後、ライの怒涛の剣幕により、結局内容を洗いざらい吐くことになり、俺とチェリーさんは叱られたのだった。

 

 

「いやーっ今日は楽しかったね、ジョー君! チェリーさん!」

「そうだな」

「うん!」

 

 夕日が差し掛かってきて、今日という日が終わりを迎えようとしていた。

 明日には東京に戻らなければならない……なに? この作品の舞台って東京だったのって? 原作が販売する前に原作者がネット内に上げたssに舞台書いてあるからちゃんとチェックしておくんだな。

 香峰旅館が見えてきたところで、ライが俺の前に移動してきた。

 

「じゃあジョー君、楽しみにしてるねっ! 明日の返事!」

「っ……!」

「私これから旅館の準備で忙しいから先に行くね! じゃあまた!」

 

 不意に飛んできた言葉に俺の心は大ダメージ! 忘れた頃にやってくる重要事項に俺はどう応えればいいんだ……。

 

「助けてチェリーさん……」

「えー? うちにそれ聞いちゃう?」

「聞いちゃう……」

「じゃあそうだね、ジョーロっち」

 

 夕日がチェリーさんを照らされる。崩されることのない笑顔で、俺にこう告げる。

 

「逃げないでね。うちも、そう決めたから」

「うちも……?」

「そこは気にしなくていいから! さっ、早く中に入ろ!」

「は、はい」

 

 その言葉の意味は……まぁわからなくはない。確信してもないことをまだ言葉にするわけにもいかないので留めてはおくが。

 “逃げないで”……か。そうだな、俺はまだまだ甘かったかもしれない。ライは覚悟を固めて、俺に拒絶される可能性があったのに、それでも俺に告白してきたんだ。

 俺はこのまま曖昧な返事にして、このままただの幼馴染のままでいようなと思っていた。

 今までの俺なら告白されたらとりあえずOKという考えだった。

 けれど……チェリーさんの話や、ライの告白を聞いてからはそうは思えなくなった。ヒロインにひまわりと、翔鶴すらしてないコスモスを置いていたが自分が好きという感情を持っていないのに、相手を付き合うのは失礼だと俺は感じてきた。

 伝えることは大事だ。相手に思い告げることが大事だ。それが、告白。

 ならば俺は答えなくてはならない。ライの本機に対して、俺も本気で答えなければならない。純情鈍感BOYは一旦やめだ。東京に戻ってからも平凡キャラで行くが、決めたことはしっかりと通さなければならない。

 たとえそれでライとの絆が消失したとしてもだ。だってそうだろう? やると言ったらやる。それが俺のモットーだからな。このセリフあと何回言うんだろ。

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