和風ファンタジーな鬱エロゲーの名無し戦闘員に転生したんだが周囲の女がヤベー奴ばかりで嫌な予感しかしない件   作:鉄鋼怪人

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第一九三話

「また彼が厄介事に巻き込まれたようね?それに、これは……」

 

 恐らく、いち早くその事態に気付けたのは高慢なる桃色の姫君であった。懇意にしている商家令嬢の別荘の縁側で、運動の疲れを癒す休息していた彼女は眼前の見事な庭園を眺めながら嘆息し、そして考え込む。

 

「何か、御手伝い出来る事はありますか?」

 

 すたすたと足音と共に寄って来る背後からの愛らしい声音。茶と菓子……獣乳羊羹……を載せた盆を手にして、傍らに控える屋敷の主人。優しく微笑みながらの助力の申し出は、しかし己に向けた善意ではない事を葵は知っていた。それは単なる点数稼ぎである。彼のための媚びである。無論、それが彼の役に立つのならばその小賢しい計算を責めるつもりはないが。

 

「直接は問題ないわ。……あの程度なら、彼ならば十分乗り越えられるもの」

 

 成る程。腑抜けた央土の連中にしては中々に武闘派である。其処らの家に比べればずっと腕が立つし厄介だろう。しかし……それだけの事だ。

 

 それは色眼鏡でなければ買い被りでもない。厳然たる事実である葵は確信していた。彼ならば一切問題ないと。恐らく手助けは無用だろう。寧ろ、彼の功績に……いや、待て。

 

「ふぅん。そんな事を……」

 

 式の視界を共有した葵はそれを覗き見して鼻白む。訂正だ。少し面倒だ。ここで介入してやっても良いが、しかし……。

 

「……寧ろ、機会かしら?」

「姫様……?」

 

 佳世の呼び掛けも無視し、口元に手を当てて一人逡巡し始める葵。僅か数瞬のそれは聡明な彼女にしては十分過ぎる程に長いものであった。

 

 ……そして結論を出す。総合的に判断してそれを選択する。それは間違いなく絶好の機会であった。彼を救う、この膠着した不愉快な状況を打開し得る大いなる一手……。

 

「ふふっ」

 

 思わず口元が弛み笑声が漏れる。実に妖艶で加虐的な笑顔であった。甘く、熱く、熟れる、蕩けるような乙女の笑み……。

 

「姫様、一体……」

「お行きなさい。急いでね」

「っ!?」

 

 何かに向けた葵の命に佳世は息を呑む。何かが其処にいた。

 

 否、きっとそれは最初から其処にいたのだろう。唯、常に傍らにいた故に佳世は混同していたのだ。鬼月の二の姫と、それに付き従う僕の気配を。佳世はそれの存在を桃色の姫の元から去り行く事で初めて実感し、明瞭に認識した。まるで、ぽっかりと穴が空いてしまったかのような圧倒的な喪失感。前に佳世が使わせて貰った不可視の妖とは違う。アレよりもずっとずっと強大で……。

 

「今のは……」

「大したものじゃないわ。唯の僕よ」

 

 佳世の恐る恐るの問い掛けに、葵は大層どうでも良いように応じた。実際、それは『現在は』強大であるがそれでも二の姫に及ぶ事はなかった。

 

 ……無論、有象無象の妖や退魔士では及ぶ事ない事も確かである。

 

 さて、と……葵は出された羊羹を一切れ頂くと立ち上がった。

 

 立ち上がった衝撃で無防備に晒されている豊かな女の果実が豪快に揺れ動く。乱行で乱れていた艶やかな髪を掻き上げる。古の女神を思わせる飾らない剥き出しの美しさ。佳世はその美貌に、その肢体に、その圧倒的な色香に一瞬見惚れて酷く嫉妬する。

 

 これまで幾度もそうして来たように己の肢体を見下ろす。己が其処らの連中よりも上等だとは理解しているが、やはりこの姫には及ばない。並んで身を捧げた時に彼の腕がどちらを押し倒すのかと考えると狂おしい程の敗北感に襲われる……。

 

「何をしているの?早く行きましょう?」

「……何処にでしょうか?」

 

 屋敷の暗い奥の奥へと向かいながらの姫の呼び掛けに佳世は首を傾げる。当の姫君は同志の態度にくすりと笑う。お馬鹿で勘の悪い友人に対するものであった。

 

「家畜の世話に決まっているでしょう?休憩している暇はないわ。手間暇怠っては、上物は出来ないもの。……出荷の準備をしなくちゃね?」

 

 そういってさっと噎せるような奥の闇に消えていく白桃の雌。直後の絶叫の重奏。先程まで何刻も続いていた責め立て。漸く来た筈の小休止は無残にも取り消されて、甘い地獄が受け手達の意思に関係なく再開する。一体何れ程続く事か。それを知る者は姫君のみだ。無間の極楽。快楽の拷問……。

 

「出荷……早く……っ!」

 

 同志の姫の省き過ぎる言葉を反芻して、佳世は続くようにパッと立ち上がった。肩に掛けていたたった一枚の単が床に落ちるが気にしない。晒される白い肌を上気させて、肌に染み込み乾き初めていた己や家畜の返り汁は、噴き出した汗で再びだらりと淫靡に照りついた。

 

「お待ち下さいな♪まだ試していない玩具があるんですよ♪」

 

 姫を追って、令嬢が奥に向かう。踊るように楽しげな足取りで、癖のある蜂蜜色の髪をふわふわ揺らして、小柄な肢体が雌臭に満ちた闇の奥に消えていく。

 

 恍惚の笑みで以て、魔女のような嗜虐的な笑みで以て、貢ぐべき贄を共に拵えに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「佳世さん。どうかしら?……一つ、賭け事をしてみないかしら?」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 人にとって体感時間というものは曖昧なものである。時計の類が無かろうとも空の暗明、日の高さ、あるいは気温といった変化が無ければ次第に時間感覚は溶けるように失われていく。直前に意識を失い、拘束されて、周囲に時間経過を証明するものが一つもない状況であれば、挙句眼を閉じて沈黙していれば猶更の事である。

 

 ……これまで長い時間を掛けて蓄積してきた十薬家の経験側に基づいて、それを見極めて彼女は訪れた。

 

「こんばんわぁー♪お腹空いてせんかぁ?御飯御用意してきましたよー?」

 

 南京錠を外して、閂を抜いて、鉄柵の扉が開く。呑気な呼び掛けが空虚な空間に反響する。遅れて鼻孔を擽る香りが漂う……香ばしい雑炊の匂いだ。

 

「じゃじゃーん!見て下さいよ!美味しそうでしょう?空きっ腹でも大丈夫なように良く煮込んで優しい味わいにしましたよ?ほぅら、滋養たっぷりの具材です!」

 

 瞼を綴じて沈黙する男の正面に現れて、仔犬めいた態度で振る舞うかやであった。盆の上の小さな土鍋を鼻先まで持って来て見せつける。白い湯気が立ち上る。

 

 玉子に山菜、香野菜、香草の味わい深い香ばしさ、それら全てが白い飯と共にドロドロに溶け合っていた。一目で分かる旨そうな見た目。そして……その道を知る者なら分かる危険性。

 

 霊薬類の開発を研鑽して特化した薬師寺家。その枝葉たる十薬家の出す食事である。其処に草類たっぷりで、しかも捕縛されている捕囚に向けて振舞うものとなれば先ず摂取するのは無謀と言えた。口に含んだ途端に何が起こるのか想像もつかない。

 

 ……故に、捕囚たる家人扱は黙りこむ。口を固く結び、絶対に開かぬと言外に振る舞う。それは健気な光景だった。

 

「……もー、お目目くらい開いてくれませんかねぇ?そうしてくれないとずっと鼻先に置いちゃいますよ?」

 

 かやは知っていた。眼前の捕囚が口を開かず、鼻で呼吸すらしていない事を。湯煙に含まれる成分を警戒しているだろう事を。故の警告であり、脅迫であった。人は呼吸せねば生きていけぬ。道理である。

 

「……」

「にゃははは。素直な人は大好きですよ~♪」

 

 数瞬の後、ゆっくりと瞳が開かれる。此方に対する敵対的な眼差しに向けて、かやは友好的な満面の笑みで応じる。約束に従い、盆を一旦下げる。

 

「それじゃあ一旦御飯は御預けですね?代わりに此方を先に見ますか?」

「巻物……誓約書?」

 

 ご機嫌に懐から取り出した巻物を見ての、捕囚の思わずの呟き。反応を引き出せた事にかやは一層機嫌良くする。

 

「はいっ!誓約書ですよ♪中身、確認しますか?」

「……」

「じゃあ、見せちゃいますね!!」

 

 無言の捕囚の態度に、勝手にかやは話を進める。巻物の紐を解いてぱぁっと巻物を降ろすように広げてしまう。そして、羅列される文章が家人扱の眼前に公開される。

 

「っ!?こ、これは……!?」

 

 そして彼の剣呑な眼差しが驚愕に見開かれる。かやはニンマリしながら家人扱が見易いように紙上の文面を指差すと一文ずつ読み上げていく。

 

 

 

十薬家本家及び分家は本誓約を約定する者、甲に対して次の要目を違える事なく約束し、甲は同じく十薬家に対して次の記載内容を同様に厳守する事を誓う事

 

一つ。誓約者甲は十薬家に自身の身柄を即座に引き渡す事。またその行動範囲を十薬家本家屋敷より一里以内に限定し、十薬家及びその権限の及ぶ領域・資産に対する加害行為はこれを慎む事。但し、後述で提示される例外事項については除くものである

 

一つ。十薬家は甲に対して後述を除いての肉体的精神的破壊行為を厳に慎み、これに十分な衣食住を保証する事。またあらゆる社会的事態に対してこれを保護する義務がある事。

 

一つ。誓約者甲は十薬家の要望に応じて身体の許容範囲内で自身のあらゆる体液についてその提供を認可する事。尚、血液に関しては麻酔を施し、最小の傷により月五分の一升までの量に限定する。また十薬家はこれ等の協力の見返りに月四両の報酬を提供する事。

 

一つ。誓約者甲に対して十薬家より血族内で乙・丙の二名を婢として提供する。両名についての一切合切の権利は誓約者甲に委譲される。但し十薬家に対する反逆行為、胎児及び新生児、その成長体の所有権に関してはこれを除く。

 

一つ。甲の要求に基づき、十薬家は乙・丙同様の条件で『牧場』の資産及び帳外血族、奴婢の提供を行う。但し奴婢については月五名までに制約する。

 

一つ。十薬家は甲の身体及び健康について、要望に従いこれの維持・回復のために協力を惜しまぬ事。

 

一つ。上記の項目は十薬家及び甲が存続する限り無期限で継続するものとして、誓約の解除には甲及び十薬家当主の同意が必要なものとする

 

 

 一つ一つ、演技がかった大仰な口調にてかやは述べていく。捕囚はそれを聞いて、文面を読み上げて、唖然としたような表情を浮かべる。

 

「あっ!因みにここに載ってる乙はわ・た・しっ!ですよー♪」

 

 態々『乙』の字をチョンチョンと指差してかやは宣う。余りの気軽過ぎる物言いは、己の口にした言葉の意味を本当に理解しているのか疑いそうになる。

 

「何を……どういう、事だ。これは?」

「どういう事って……読んだ通りですけど?」

「ふざけるな!こんな狂った内容……!!正気かっ!?いや、それ以前に!この内容はまさか……!?」

 

 想定以上に声を荒くして暴れる家人扱に、かやは少しだけ驚いて、しかし直ぐにからかうようにニヤニヤする。

 

「ははぁー、照れちゃってるんですね?大丈夫ですよ?元々そういうお役目でしたし?ちょっと恥ずかしい体位とか癖でも頑張って受け入れますよ?」

「そんな事いってんじゃねぇ!!この文面はまさか……んっんん!!?」

 

 家人扱の言葉は続かなかった。無理矢理に口を塞がれたからだ。一気に迫って来たかやに頭をがっちり掴まれて押し立てられる口蓋。口元と口元を重ねて、押し込み、捩じ込む所業。口吸であった。

 

「ん、んんん、んっ!!?」

「ん~~~♪」

 

 己に降りかかった事態に目玉が飛び出るのではという位に驚愕して、抵抗せんと振る舞う家人扱。しかしそれは無意味だった。無理矢理に侵入して来た舌。退けようとする行動は粉砕される。歯で噛み千切ろうとしても無駄だった。血の味が広がるだけで一切攻勢は止まらない。しかも……これは!?

 

「~♪~♪~♪」

 

 家人扱の抵抗に関わらず、締めが始まる。喉奥から丸薬のような何かが押し込まれる。舌は押さえられていた。血の味で一杯だ。視線が重なる。ギョロリと見開かれた肉食の瞳孔に己のひきつった表情が映りこむ。そして……だらりと項垂れて脱力する。失禁する。

 

「んっ、ん……ぷはぁ、あ"ー。ぺろ。いたぁい。おいしぃ♡」

 

 若干名残惜しげに唇を離す。泡の混じった赤銀の糸が伸びて垂れて切れて消えていく。深々と空いた穴から赤黒い血を流す舌を捲るように仕舞いこみ、頬を上気されるかや。

 

 下げた雑炊は囮だった。巻物をネタに会話を引き出して、声を荒くした所で丸薬を押し込んだ。十薬家お手製の一時的に自我を蕩けさせて従順にさせる強力な薬。本来の用途は廃人にさせる事前提の自白剤であるが……この男相手ならば大丈夫だろう。そして、この男でも流石に数瞬では復帰は出来まい。

 

「あ、う……」

「血判しましょーねー♪」

 

 男の指先を噛む。溢れ出る鮮血。巻物の末尾にそれを押し付けようとするが……直後に掌が強く握られる。

 

「にゃは?凄いですね、まだ抵抗出来るんですか?流石ぁ!じゃあ、これを追加しちゃいますね!!」

「んごっ!!?」

 

 雑炊の中身を握って家人扱の口内に捩じ込んだ。指で顎を押し広げて、注ぎ込むように突っ込む。暴力的な給餌であった。

 

「くっ、はぁ……!?」

 

 雑炊の中に仕込んでいた薬物の数々が家人扱の身体を打ち震わせる。身体が寒い。身体が熱い。身体が痒い。身体が痛い。幾重にも重なる異変。

 

「げほっ、おっ、くる、しぃ……!!」

「そりゃあそうでしょう。拷問用の特製献立ですしー。あぁ、けど本来よりは少し抜いてるのでまだマシですよ?」

 

 ニッコリと相変わらず笑顔で答えるかや。家人扱は涙目で、般若の形相でそれを睨み付ける。

 

「苦しい?苦しいですよね?分かりますよ?理性が今にも壊れそうですよね?だけど寸前で壊れ切れないんですよね?そういう風に調理したので当然ですよね?……楽に、なりたいですか?」

 

 あやすように頬を撫でて、蠱惑的に微笑んで、かやは問い掛ける。

 

「か、や……!!」

「解毒薬は此方に。ですけどそのために必要なものがあるのは分かりますよね?」

 

 若干皺の寄った巻物。契約書。言わんとする事は明らかだった。

 

「そ、れれ、はぁ……ぁ!!」

「嫌ならいいんですよ?同じ事を何度も何度も繰り返すだけですしー。我が家のお薬は、まだまだ沢山種類がありますから、楽しめますよ?次は強壮剤で責めましょうか?」

「……!!」

 

 暫し悶えて葛藤するように苦しむ家人扱は……しかし、悩み切った末に、眉間に皺を寄せて嘆願する。

 

「分かった……わかった、から。頼む……!!」

「……素直な人は大好きですよ♪」

 

 慈悲深く嘆願に応じて、かやがゆっくりとやって来る。血判を押させて、誓約を結ばせんとやって来る。目の前にまでかやはやって来る。握り締めた掌を見て、お願いする。

 

「お指、開いてくれませんか?」

「……」

「有り難う御座います♪」

 

 開いた指を掴み、巻物を寄せて誓約を果たさんとするかや。指が巻物に迫る。そして……。

 

「ぶっ!!?」

「うきゃあ!?」

 

 丁度巻物が顔面にまで迫った所で家人扱は口内に溜めていた血と唾液の塊を豪快にぶちまけた。紙に汚汁が染み込む。文面が汚れる。文字が潰れる。それは誓約書としての有効性を殺す所業だった。

 

「悪足掻きですかぁ!だったらもっと強力なお薬を……がっ!?」

 

 家人扱の暴挙に制裁を与えんとして、しかし直後にかやが見たのは縄だった。男の口内からぶちまけられた蚯蚓染みて襲いかかる縄。首に巻き付いて締め付ける。

 

「かひゃ!?にゃ……にぃっ!?」

 

 今度はかやが驚愕していた。首を締め付ける縄を引き剥がそうとするが止まらない。寧ろ己の霊力の類いを吸出して一層強化されているようにも思えた。唯の縄ではない。そして……。

 

「っ……!!」

 

 気配を殺し、ずっと黙って男の背後に控えていたはなが迫る。囚人が抵抗した際の備えであった。迫る。殴りかかる。薬と縄で拘束された家人扱にそれを避ける手はないように思われた。

 

 ……縄が千切れて蹴りが迫る。

 

「……!!?」

 

 咄嗟の回避。足を曲げて紙一重で成功する。柔に千切れた縄にはなが唖然とする。馬鹿な。一体どうして?

 

「おうえっ!?……天狗のお縄は便利でなぁ!?」

 

 生きているかのように元気な縄を胃液ごと吐き出し切っての家人扱の叫び。そして拳が上から下に振り下ろすようにはなに迫る。

 

「っ!!」

 

 咄嗟の不可視の杖による防御。何もないように見える空間で拳が止まる。そしてはなはかやを見る。未だに縄と格闘する同僚。それは寧ろどんどん劣勢に陥ってるように見えた。

 

 天狗の縄……はなの脳裏に浮かぶのは伝承。天狗共は他者の霊力を喰らう事で重厚長大軽薄短小自在に変化し動き回る、意思ある呪具を持っているのだとか。

 

「縄に籠められた霊気を食わせて……!?」

 

 即座に拘束が解かれた理由を解する。しかし、手持ちの代物は全て没収を……っ!?

 

「腹の中に……!!」

「御名答!」

 

 徒手格闘で家人扱が上方から下方へと攻め立てる。地の利である。はなは防戦に追いやられる。

 

「けど……!!」

 

 照準を合わせる。伸びる杖の狙う先は男の頭蓋。寸前で避けられて、しかしこのまま横に振るえば同じ事である。

 

「あっ……!?」

 

 姿勢が崩れて転げる。何が?視線を向ければ己の足下を掬い引っ張り蠢く大縄。

 

 天狗の縄もまた伸縮自在。そして自我を持つ。ならば指示なく主人の手助けする事もまた道理……!!

 

「そういう事だ!!」

「っ!!?」

 

 男の怒号に思わずはなは杖で防御の体勢を取った。それは罠であった。直後、足で引っ掛けるようにして杖をひっぺ返される。蹴り飛ばされる。無防備……!!

 

「……!!」

 

 振り下ろされる足を避けるために横に転がったはな。懐から短刀を引き抜くと這うようにして攻め立てんとする。狙いは足。腱を切って逃亡を阻止する事。

 

 ……鍋が迫る。

 

「たぁんとお食べ!!」

「くぉ!!?」

 

 既に中身が半ば以上ぶちまけられて床に打ち捨てられていた鍋がはなの顔面に押し付けられる。薬たっぷりの飯を無理矢理に咀嚼させられる。男は最早馬乗りになってはなを押さえていた。短刀を持つ腕を捕らえ、顔面に鍋を捩じ込む光景は最早殺人事件の真っ只中である。

 

「おらおらおら!百姓さんが丹精込めて作った米だ、残すなよ!!?」

「~~!!~っ!!?」

 

 ドンドンと身体を揺さぶり叩き付け、白い粘液を注挿する。容赦ない責め。吐き出しそうになるのを顎を押さえて無理矢理呑み込ませる。抵抗が、弱まっていく……。

 

 はなが完全に沈黙すると、男は鍋を手に立ち上がる。振り向く先にいるのは必死に抵抗する今一人の少女。視線が重なる。首を初めて全身縄で囚われのたうつかやは、酷くひきつった笑みを浮かべる。

 

「あのぉ、束縛責めはいいんですけど、せめて誓約してから御願いして貰えませんかー?」

「……」

 

 男は無言で歩み寄る。手元には三分の一程度まで中身の減った鍋を手にして、酷く冷たい表情で迫り来る。

 

 酷く冷徹に、止めを刺しに来る。

 

「……にゃはぁ」

 

 己に待ち受ける確定した運命を前にしてか、酷く弱々しく間抜けにかやは吐息を漏らした……。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

「はぁ。はぁ。はぁ……うぇ。まさに、綱渡りだな?」

 

 己の喉に指を入れて、嘔吐して俺はぼやく。縄を回収して縮める。

 

 ……そして最後にはアイツを吐き出した。

 

「うっ、うおえぇぇぇっ!?」

『(*´∀`)ミンナノアイドルサイタン!!』

 

 全身ドロドロ状態で呑気に馬鹿げた発言を頭の中で走らせて来る蜘蛛である。お前……よくもそんな呑気な態度でいられるな?

 

 ……十薬家は俺を捕らえると持ち物を粗方没収した。それこそ一見無害な下駄に仕込んだ鉄板や刃といった仕込み武器、暗器の類すらも。しかし、あくまでも手持ちの持ち物についてである。

 

 訓練と準備次第では一部の隠行衆も出来るとは聞いている。俺の場合は皮の下が人から逸脱してしまっている事が可能として、必要性からそれを仕込んだ。いざという時の保険として、それを言外に要望した。

 

 天狗の走縄については暗摩での一件でその特性は分かろう。己の、あるいは得物の霊力を食らう意思持つ縄を、俺は縮めて胃袋に飼った。いざという時にはかやにそうしたようにゲロって不意打ちするのだ。加えるならば舌鼓する事で口内まで上がって来させる事が出来るのでこっそり細糸状態で吐いていた。何処ぞの味噌汁の塩で檻を錆させる脱獄方法ではないが死角から拘束縄の霊力を食わせ、これを有名無実にさせていた。呪具ならば兎も角、今更唯の縄程度千切るのは難しくない。……たまに海豚海回虫……アニサキス食らったみたいな腹痛がするのに目を瞑れば有効な腹仕込み武器である。

 

 そして今一つの仕込み。それが……『(∩´∀`)∩ワタシノデバンッテワケヨ!』……まぁ、はい。そういう訳です。

 

 何か色々あって夫人の手元から俺の元に帰って来た馬鹿蜘蛛。しかし、このまま俺が持っていたら没収は確実で、しかしながら普段から手元に無いと不便である事も確かであった。特に今回の場合のような遠出で囚われた場合は猶更だ。部外者に没収されたら詰みである。仮にかやとはなが馬鹿蜘蛛を人質……蜘蛛質にしていたら俺は血判する以外の選択肢はなかったろう。

 

 どのような経緯からそのようになったのか知れない。葵が政治的に働きかけて味方にしたのだろうか?馬鹿蜘蛛の名目上の所有権は当主夫妻から御意見番に移譲されたという。そして御意見番は俺が此度の任務に出立する直前、走縄と併せてそれを俺に仕込んだ。

 

 具体的にどのように改造してくれたのかは分からない。麻酔で仕込まれる間俺は意識を失っていたからだ。

 

 走縄がアニサキスならば、さながら此方は『鯛之福玉』とでも評するべきか。俺に十薬の薬物が効きにくかった理由の一つである。あの誓約書からして、連中は俺の身体の事をある程度把握していて、薬の量を調整していた事だろう。つまり人間相手の服用量ではなかった筈だ。しかし、舌根に寄生していた馬鹿蜘蛛までは計算していなかった事だろう。

 

 俺の妖化を進めて免疫力を底上げして、同時に吸血で変異を抑止する……やっている事自体は普段と大して変わらぬ。だが、監視されている中で見掛けで気付かれぬ事こそがこの場では重要であった。

 

「にしても……『(*´∀`*)スゴク、オオキイデス!』せやな」

 

 吐き出してみた今、改めて驚愕する。このビッグサイズが、しかも背中にまだあのペチペチ動く釘を背負って喉奥で舌吸血しながら隠れていたのだ。薬物と手術の併用のお陰なのだろう。欠片も違和感を覚えなかった。改めて凄まじい技術である。

 

 ……当時の記憶を思い返す。目覚めた時には御意見番の衣装が汗だくだったので、相当手の込んだ手術だった筈だ。寝込む前と変わって、隠すように着こまれている装束の谷間部分の生地は、溜まりに溜まった汗によるのか深紫色に濡れそぼっていた。*1疲弊したように上気した顔、仄かに抱いた噎せるような生臭さは手術の残り香だろうか?余り愉快なものではなかった。

 

 ……御意見番の谷間辺りからそれが臭って来ていた気がしないでもない。

 

「げほっ、こほっ……いやまぁ。だから何だって話だけどな?」 

 

 無理に吐き出した代償に二、三回程血鉄の味を味わいながら咳き込む。胃液を吐き捨てて独り言を宣う。本当にどうでも良い枝葉話を思い返していた。今は下らぬ細事に触れている時間はない。兎も角も、脱出だ。

 

「おら、こい。……悪く思うなよ?」

『(;`∀´)テゴメニシテヤルッテノヨ-!』

 

 呼び寄せ招き寄せた走縄の端を切ると倒れ伏す娘子二人の手足をキツく縛り、猿轡をする。念入りに拘束する。その懐をまさぐるのはセクハラではない。鍵を探すためだ。

 

「……見つけた!」

『(* ゚∀゚)オタカラ!?』

「ちゃうわい」

 

 突っ込みながら、はなの方より鍵束を見出だして拝借する。そうなれば此方のものだ。さっさと檻から出ると南京錠に閂と鍵を掛けていく。目覚めた二人が直ぐに助けを呼べぬように閉じ込めてやる。

 

 牢の檻より出た俺が最初に目にしたのは同じく牢の連なり並ぶ様。十程の牢屋が並ぶ空間。その奥には恐らく廊下に出るためだろう扉があった。室内のその有り様はまるで刑務所を思わせた。牢の中に誰もいないのが逆に不気味だった。俺だけを捕らえていた?

 

「……」

『(´・ω・)‥‥』

 

 気配を探る。式の類い。あるいは呪術的な罠を警戒する。それらしきものは一つしか認識出来ない。それも余りにも容易に分かる代物だ。俺のようなある意味特別な存在でも分かるだろう。下人衆でも易く見抜けそうな余りにも雑な罠一つ。それだけ……少なくとも俺の感覚では。

 

 しかし、これは……。

 

「流石に……警備が薄くないか?」

 

 これまでの経験から分かる、十薬のお家柄に相応しくない無警戒ぶりを訝る。いや、それよりも先ずは……。

 

「……あれか?」

『(^p^)オタカラノニオイ!』

 

 部屋の壁に張り付くようにして鎮座する箪笥の列を見て、其所に掛けられた鍵穴を見て、手元の鍵束に視線を向ける。それは予感であった。

 

 俺は直ぐに其処に駆け寄る。そして填めた。鍵を。動かぬ錠前。即座に別の鍵を突っ込む。駄目ならば別の穴に。一度、二度、三度、四度……次々と。次々と。次々と。ひたすらに俺は鍵穴と鍵とを必死に組み合わせてい‥‥『(; ・`д・´)コレヨパパ!』

 

「は?うおっ……!!?マジか、開いた!?」

 

 それは鍵と鍵穴の数もあって半ば手当たり次第の解錠作業。一体何れだけ経たか、急に頭に走った言葉に思わず従い鍵穴に錠を突っ込めばこれ迄と違ってカチリと音がした。当たりを引いたのだ。驚愕しながらも棚を引けば、中よりお出しされるのは短刀だった。

 

「ちっ。全部はないか?」

『( ^ω^)チュウキチトイウトコロカシラ?』

 

 棚の奥まで覗き見て、そして観念する。引出しの内、見覚えのある幾つかの低級呪具と共に納められていた代物は、今や最も古い相棒の一つであった。桜の鞘に納められた短刀……しかし、大物はそれだけだ。引出しの中にはメインウェポンの槍は無論、今一つの短刀も、手車も、羽衣もない。確かに中吉といった所だろう。納得出来るのが悔しい。

 

 ……命あっての物種。物は最悪置いていくとしても、ここを脱獄するにはこれだけでは不安があった。今少し、何かないか?

 

「一応聞くが、他に当たりはあるのか?」

『( ・3・)‥‥‥‥。(o´・∀・)oガンバッテ、パパ!』

「分からん時は素直に分からんと言おうな?」

 

 明らかな馬鹿蜘蛛の誤魔化しを即座に見抜いて躾る。あとパパちゃうわい。

 

「たく。勘が良いのか悪いのか。……他の棚まで探す暇は、なさそうだな」

 

 眼前の棚の目的は恐らく投獄した相手の荷物を納める事であった。今少し試せば残りの呪具含めて全てを回収出来るのかも知れない。しかし最早そのような時間はなかった。

 

 少し前から部屋の奥、出入口の扉を挟んで向こうから近付いて来る気配を薄々感じていて、それは今や明白だった。俺は急ぎ空いている牢屋に入ると、死角に隠れて相手を窺う。俺が隠れ終えるのと蝶番が回るのはほぼ同時の事だった。

 

 重々しく扉が開く。闖入者がその姿を現す。こいつは……。

 

「……草人形か?」

『(´・ω・`)ヒドラ?』

「こら、やめい」

『(>ω<。)ジックアクスッ!?』

 

 色々ギリギリな蜘蛛を黙らせる目的でデコピンしながら、俺は己の知る知識の中で最も近い存在の名を呟く。鬼月の本家屋敷でも目に入るその物体の姿形を思い返す。

 

 ……その外皮は仙人掌を思わせる。緑色の硬そうで肉厚の幹。それには同質の脚と腕が生えていて、頭を思わせる天辺には触覚のような針葉が無数に生えている。其所までは同じだ。

 

 鬼月の庭園で黙々と庭仕事しているそれが土弄りをする貧農ならば此方は金剛力士であろう。手足はより太く、恰幅も広い。気性も荒いように見える。頭からは蒸散したような湯気。頭の刺同士を蠢かせて擦り合わせて鳥肌が立つような鳴き声まで上げてくれていた。

 

 草人形……使役するように改造された植物の式。あるいは妖草なのだろうか?何にせよ、その外観の類似性から源流は同じであるように思えた。

 

(鬼月と繋がっている……?いや、この程度ならば輸入品って可能性もあるか)

 

 一瞬脳裏に過る可能性。しかし俺はそれに懐疑的だった。接点が薄過ぎる。鬼月のアレらも昔の当主が舶来から輸入した品だという。薬師寺の分家ならば同じように輸入する事も十分あり得た。これだけで断定は出来ない。否定する根拠にもならないけど。

 

『チッチッチッ……』

(振動で周囲の状況を認識してる、同じだな)

 

 頭部?の針のような毛のような硬質の葉を擦り合わせて音を鳴らす草人形。目も耳も鼻もない動く植物は音の反響を己の肌で感じ取り周囲を認識しているようだった。それは鬼月で使役しているそれらと同様だ。障害物を避けながら牢獄の奥に奥にと向かう。

 

 此方に気付かず通り過ぎる。最奥の牢屋に辿り着いて、そして草人形は立ち止まる。凍り付いたように沈黙。そして……踵を返して扉に向かう!

 

「っ……!!」

『(* ゚∀゚)アンブッシュ!』

 

 即座に牢屋の陰から躍り出た俺は草人形の片腕を切り落としていた。極太の腕も、しかし豆腐のように易々と切断される。果汁染みた、何処か甘い香りの汁が噴き出す。

 

『ツ……!!』

「させねぇよ!!」

『( ・`ω・´)イヤー!』

 

 頭の葉を擦り合わせて警報を出そうとせんとしていたのは理解していた。なので直ぐに跳ね上がり、首に当たる部分を切断してそれを阻止した。背後に出る。足首を落とす。転げる。残った腕を切断する。果物のカットを思わせた。葵姫の短刀故に出来る芸当だった。其処らの刀槍ならば針鼠になるまで突き刺しまくり切り刻みまくらなければどうにもならなかったろう。

 

「さて、キッチリ止めを刺さんとな?」

『(´・ω・)シゼンノセツリニジヒハナイ‥‥』

 

 四肢を失い踠く幹に馬乗りに、何度も何度も刀を突き立てる。十数回やった後、漸く沈黙した。念のためあと二、三回肉を切り落としておく。急に起き上がって後ろから仕掛けられるのは勘弁である。

 

「こんなものか。……糞、タイムアタックになったな」

 

 かやとはなは兎も角、巡回だろう草人形まで戻って来ないとなれば間違いなく遠からず捜索される。もう悠長にお宝探ししてる暇はない。さっさと逃げねばならなかった。俺は扉に向かう。

 

 ……扉の三歩手前の仕掛けられた擬装された回転式床落とし穴は当然避けて。

 

「……」

 

 扉の前で、改めて気配を探る。何か潜んでいる気配は感じられない。移動する気配もない。草人形を仕留めた事に、まだ気付かれていない……?

 

「虎穴入らずんば虎子を得ず、だな」

 

 時間経過と共に己が見つかる可能性が高くなる以上、行動する以外に選択肢はなかった。俺は覚悟を決めて扉を開く。

 

 ……そして待ち受けていたかのように設置されていた無数の肉卵を前に、俺の思考が停止した。

 

「……はい?」

 

 思わず間抜けに呟いた。同時に目覚めたように蠢き始める卵。花が咲くように肉卵が天辺から裂ける。粘液の糸を伸ばして咲き誇るように満開に、そしてカサカサカサと何かが蠢き顔を覗かせる。……視界に映る卵が次々と孵化していく。

 

 この状況に類似する光景を俺は知っていた。具体的には原作におけるイベントで知っていた。それは、サブヒロインの一人、鬼月綾香のバッドエンド……。

 

 ……まぁ、うん。取り敢えず、あれだな。

 

「うわぁ。赤ちゃんのお部屋が一杯だぁ」

 

 諦念半分の戯れ言と共に次々と飛び掛かって来た魔の手を、俺は斬り捨てていく。一つ。二つ。三つ。四つ。必死に切り裂いていく。飛び散る体液の酸性は言う程強くない。ちょっとした火傷程度である。其処は問題ない。問題は……。

 

「まずっ!?捌きっ『Σ(´д`ノ)ノ゙パパッ!ヨコー!!』……!?」

 

 八体目を斬り捨てて、其処で俺は馬鹿蜘蛛の警告で横の通路の壁にも一ダースの肉卵が藤壺めいて貼り付いている事に気付く。此方の認識に合わせたように二体飛び出して来る。

 

 お空を跳んでるみたいに迫る九体目を切り落として、しかし十体目を仕留め損ねる。片側の脚をばっさりとするがそのまま引っ掛かるように顔面に飛び付いて、慌てて払い落として、そしてその隙を狙われて、正面から生まれた十一体目に顔面にダイレクトアタックされる。ガッチリと気味の悪い八つの脚にホールドされる。首に巻き付く尾。脳裏に過るのは忌まわしき過去の記憶だった。桃色の幼姫と共に逃げた時のあの惨状……!!

 

「っ!?糞、離れ……!!?」

『ヽ( ゚д゚ )ノアワアワアワ!?』

 

 その先を語る前に口に何かが突っ込んで来て、身体が麻痺して全身の感覚が薄れていく。不味いと思っても無駄だった。

 

 針が突き刺されたような感触。あっという間に遠退いていく意識。

 

 薄れいく意識の端にそれを見た。檻を『捻り壊し』て出てきたのだろう、二人の少女の姿。あるいはそれに近似した姿。弱り、憔悴して、しかし明確に意識を覚醒させた二人の憐憫に満ちた眼差し……異形の腕。

 

「……だから、素直に誓約したら良かったですのに」

 

 どちらが呟いたのだろうか?そんな言葉が鼓膜を震わせて反響する。同情するような哀れむ声音。

 

(あぁ……糞。織り込み済みかよ)

 

 悪足掻きは彼女らにとって想定内だった。己の道化具合を心底冷笑して……そして、俺は最後の悪足掻きを敢行する。

 

「簡単には、捕まらねぇよ……!!」

『( :゚皿゚)パパガンバッテ!』

 

 首筋への吸血の痛み。僅かに明瞭となる意識。理性を繋ぎ止め、俺は考える。十薬家の在り方を、この牢の用途を、それらを思って、俺は賭けに出る。一歩、二歩、そして辛うじて三歩後ろへと進む。

 

「にゃはっ!?」

「まさか……!!」

 

 二人は俺の狙いに気付いたのだろう。慌てた表情で疾走して迫り来る。その行為自体が俺の選択の正しさを証明していた。賭けの勝利を確信する。

 

 三歩目、足が床に着く。床は軸に従い勢い良く回転した。仕掛けは俺をズルリと落とし穴に向けて転げ落とす。仄暗い、底の見えない闇の中に。俺の想定通りに。

 

 そして、意識もまた……。

 

 

*1
下半身のでっどうぇいとを抜いて『素早さ』すてーたすあっぷですよー♪

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