全てを奪われてTSした盲目だけど最強の脇役が引退スローライフしていたら世界がやばくなった話   作:ドレミ24

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第2話

 

変わらない日常、戻ってきた日常。あの戦いが終わって邪神は滅び、勇者達は英雄として国のヒーローになった。そして、失われた日常が帰ってきたのだ・・・

 

「よし、準備完了。」

 

食事を終えた俺は簡素なワンピースに着替え、目に包帯を巻いて光から保護してから鞄を持って家から出る。

ちなみに目が見えないとはいえ気配などを察知する様な感覚的な力はかろうじて残っているので杖は必要ない。

 

「そろそろ食べ物がなくなっちゃうし買い出しに行かなきゃな。」

 

そう、俺はあまり家から出たくないので数日に一度買い出しに行くために町に行く。出来れば畑なんかを作りたいけど今の俺じゃ無理だからね

 

ゆっくり、ゆっくりと歩く。時折通行人とすれ違うが目に巻いてある包帯が珍しいからかじっと見つめてくるが、ちょっと気味悪いからやめてほしい

 

そうこうしてるうちに町に着いたが、なんだか様子がおかしい。

近くにいる男の人に聞いてみるか

 

「あの、すみません。」

 

「ん?なんだい嬢ちゃん。」

 

「なんだか様子がおかしくないですか?見ての通り私は目が見えないので何が起こっているかまでは分からないんです。」

 

そう言うと男の人はううんと唸る

 

「なに、嬢ちゃんみたいな子には関係ない事・・・って言いたいけど少しだけ関係あるからなぁ。」

 

「私に関係ある事?」

 

「あぁ、1年前に邪神が勇者とその仲間、そしてもう一人の謎の人物に討伐されただろ。」

 

謎の人物、俺だ。まさか、正体がバレてる?

 

「あの後に分かった事なんだが、あの邪神はある悪魔を呼び出そうとしていたらしい。」

 

初めて聞く言葉が出てきた

 

「悪魔?あの、よくおとぎ話に出てくる勇者でさえ負けてしまうことのあるっていうあの?」

 

「そうそう、その悪魔だ。どうやら邪神の召喚は不完全なものだったらしいが、それでも呼び出される時期が遅れただけで召喚される事は決定事項らしい。勇者達は自分達だけでは勝てないと判断して謎の人物、もう一人の英雄を探してるって訳だ。悪魔が復活すれば嬢ちゃん含めみんな死ぬ、だから少しだけ関係あるって訳だ、ってどうした?そんな顔色悪くして・・・もしかして死んじまうかもしれないって事が怖いのか?」

 

いや・・・違う。俺に関係は大ありだ。アイツらは俺がまだ戦える前提で動いている、ダメだ。俺はもう戦えない、その事を伝えなきゃ・・・せめて俺の神器を誰かに継承させて少しでも力にならなきゃ

 

「お、おい嬢ちゃん本当に大丈夫か?」

 

「あ、うん。大丈夫です、親切に教えてくれてありがとうございます。少し用事を思い出したので行きますね。」

 

急いで帰る、家に慌てて入ると二つの神器とすぐ側にある転移石(行ったことがある場所ならどこの町や建物の中にも入れる石)を手に取って城への転移を始める、この姿になってからは初めてだが、一度行ったことがあるからおそらく行くことはできるだろう。

少しづつ荷物と肉体が光の粒子になって消えていく、そして次の瞬間には城の前にいた

 

俺は神様経由で容姿は伝えてあるから多分大丈夫だろう、と思ったが門番に引き止められた

 

「お前、ここから先は入れないぞ。目が見えないから迷ったんだろうが、今度からは、気を・・・付けて・・・え?」

 

「あれ?わた・・・俺の事知ってるんだ。じゃあ入っても問題ないよね?」

 

「は、はい!問題ないです!というよりあのお方達をお呼びしますのでここでお待ちください!」

 

そう言って慌てて城の中に入っていく。中からは叫び声やらなんやら聞こえてくるがそんな慌てる事だろうか・・・って俺この格好できたのかー、さすがに着替えるべきだったかな。

 

そう思いながら自分のかつてではありえない格好をした姿である事を思い出す。ものすごい音を出しながらこちらに向かう人物に久しぶりに声をかける

 

「久しぶり、勇者。元気だったかな。」

 


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