これは記憶の中の物語
誰もがもってて、誰もが憧れて、誰もが後悔する
いつ始まったのかも分からず、いつ終わるのかも分からない
そんな物語
暑い…。うるさい…。眩しい…。
窓から射し込む光と、その光がもつ熱に私の顔は照らされ、気がつくと額には少しの発汗がみられ、喉は痛いくらい渇いていた。
「朝か…。」
少しずつ意識が覚醒してきた私はおもむろにベッドから出て、洗面所を目指した。
眠気をどうにか押さえつつ、ようやく洗面所まで辿り着き、正面を見やると、洗面台のやや上、私の目線の高さにその中央が来る位置に、上半身が映る程度の鏡がある。
アニメにでもでてくるかのような見事な爆発頭と、まだ覚醒しきっていない眠そうな眼、きめ細やかとはいえない、かといって特徴的なできものやそばかすもない、ありきたりな18歳の顔がそこに映っていた。
「顔洗って、歯磨くか…。」
ピロン
顔を洗い、歯ブラシを口に入れたところでスマホから通知音が聞こえた。
ベッドのそばに置いてあったスマホに近づいて、画面を確認した。
『りくと:今日何時から大学あるー?』
この4月から同じ大学に入り、入学式で隣の席だったというだけで連絡先を交換した岡崎陸斗からの連絡だった。
今日は2017年4月15日、一回目の講義が始まる日だった。
(何時っていわれても…。講義は9:00からみたいだし、余裕もって8:45には大学にいればいいよな…?)
『8:45には大学にいるくらいで行こうと思う。』
返信を確認した私は口をすすぎ、着替え等の身嗜みを整えて荷物の確認をした。
ピロン
『りくと:おっけ!着いたらまた連絡するわ!』
即座に返信があったことに少し驚きつつ、彼のようなコミュニケーション能力を羨ましく思った。
支度を終えた私は、下宿先の玄関を開け、初夏というにはまだ早いながらも、熱を帯びつつある風を肌に感じながら、私は大学に向けて出発した。
下宿先から大学までは自転車で25分程度かかる。道なりは穏やかな下り坂で、微かに暖かい風も、自転車のスピードが出ると涼しい風に変わる。途中のコンビニで適当なゼリー飲料と、おにぎりを購入して、再び涼やかな風を感じる。
買ってすぐのゼリー飲料は、よく冷やされていて、喉を通る度に渇いていた喉を癒し、潤していく。
大学に着くと、先ずは駐輪場へ向かい、階段を上ってすぐに見えてくる掲示板へと近づく。
多少の人だかりがあるということは、彼等彼女等も私と目的は同じなのだろう。
掲示板が見える位置まで来ると、今日の一限の講義の教室を確認し、ついでに週間予定をスマホのカメラで撮影した。
(一限はあの広い教室、いや講義室か。)
私の一限は、3月に行われたオリエンテーションで会場となっていた講義室であり、場所はすぐに分かった。
ピロン
(りくとかな?到着したから連絡しないと…。)
『なみ:ねーねー!いまどこ!?道に迷っちゃったよー! 』
(…。初日からなにしてんだか…。オリエンテーションもあったのにどうやったら迷うんだよ…。)
彼女は尾上奈美。小学校の頃からの腐れ縁で、この大学では私以外の知り合いがいないらしく、高校以来の連絡だった。
『とりあえず、位置情報送るから、ナビの通りに進めば着くよ。』
ピロン
『なみ:ありがとう!同じ講義だよね?良かったら最初だけでも近くで受けてもいいかな?』
ピロン
『りくと:着いたぞー!掲示板見た?最初の時の席で待ってるわー!』
続けてきた返信への対応を考えながら移動し、奈美に返信した。
『もう一人いるけど、それで良ければいいよ。講義室の左後ろの方で座ってるから、また後で。』
返信を終え、前を向くと。
(今日から大学生か…。この4年間をどう過ごすかな…。)
これからのキャンパスライフをどう過ごすか、何をしていこうか頭の片隅で考え始めた。
筆者の学生生活をもとに、ちょっとずつ脚色加えた感じにやっていこうと思います。