夢想勇者☆パステルドリーム   作:黒マメファナ

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ティアマトさん、器が実はバンドリキャラなんです。機材トラブルの時に一言だけセリフ挟んでる人ね。


第18話:KINGの語りと挑むもの

 ──アエーシュマはこの事務所のトップにいるわ。千聖ちゃんからもたらされたその言葉が意味することは、最初から事務所そのものがアエーシュマ派の悪魔のためのものだったということ。サタンたちはこれをビストレイヤーと呼称していた。裏切者、そういう意味のある、悪魔という種にとっても害悪な悪魔たち。

 

「でもよ、白鷺の情報がマジとは限らねぇ……ってなんだよ」

「うん、殴っていいよね?」

「ちょ! サタンさま! なんとかしてくれ!」

「……それはさておき、これを我々が知ったとなるとまた仕掛けてくるに違いない」

「さておき!? 部下なんだと思ってんだおい!」

 

 ペオルがサタンにめちゃくちゃ冷たい目で見られてる。シャヘルとバアルは確かに直属の部下! 感じだけどペオル本業より事務所にいる時間の方が長いもんね。じゃなくて確かにサタンの言う通りだと思う。また今日も手売りをするし、昨日はすごく売れ行きがよかった。成功に風が吹いてきたのをアエーシュマが見逃すはずがない。だがこっちもただ受け身では終わらない。

 

「シャヘル」

「はっ」

「ペオル」

「……ああ」

「わたしたちは敵地に直接乗り込む。ドリームスター、キミもだ」

「う、うん!」

「オレはどうすりゃいい」

「バアルはいつもの場所で派手に暴れてくれ。そっちの方が都合がいい」

 

 作戦はこうだった。麻弥ちゃんイヴちゃん日菜ちゃんとバアルが敵を迎撃する。おそらく向こうは少なくともベンヌが来るはずだからそれを四人で叩く。そうやって惹きつけてる間に本陣に乗り込んでアエーシュマを叩く。そういうシンプルながら、戦力を割ける私たちにできる最大の戦略だよね。

 

「……千聖ちゃん、連絡ないけど大丈夫かな」

「大丈夫だよ。だって千聖ちゃんだよ?」

「……うん」

 

 私、まだ千聖ちゃんにちゃんとお礼言えてないんだから、会ったら必ずありがとうって言うんだ。仲間でいてくれて、私の夢を信じてくれてありがとう……って! そんなことを思いつつもやっぱり不安になっているとサタンに呼ばれ振り返る。

 

「……なに?」

「少し、手合わせをしたい」

「……私と?」

「ああ、同盟関係とは言え味方である以上、わたしのチカラを見ていったほうがいいだろう?」

「わかった。でも日菜ちゃんも一緒で」

「いいとも」

 

 そうだ、ついにこれまで腰を上げてこなかったサタンがついに戦いの場に現れる。日菜ちゃんも実は戦えないとかー? と疑っている部分もあったし。バアルを止めた実力を知っている私はなんで前線に出ないのかが気になっていた。それを解決できるんだ。

 

「武道場……みたいなとこ?」

「一応、民間警備組織だからな……鍛錬の場は必要だろう?」

 

 連れてこられたのはペオルの力で防御陣営と化した武道場だった。研究職的な立場、という言葉に違わない装置や守りに適した悪魔化能力もあり、そこは多少は本気で暴れても問題がない、ということでお言葉に甘えさせてもらう。

 

「こい」

「行くよ、サニー!」

「うん!」

 

 二人で突進する。まずは様子見、というところで私たちは即座にその力に驚くことになった。腕の最小限の動きでロッドをいなし、逸らして私の回し蹴りを背を逸らして回避、そのまま私の逃がされた力を使って肩で私の背中を軽く押してバランスを崩し重心が不安定なったところで軸足を払われる。そしてノールックで返ってきたロッド、ブレイクスルーを掴み、脇に抱えながら回転させて、サニーをも宙に浮かせて投げ捨てた。

 

「え」

「こ、これは……!」

 

 やっぱりそうだ。バアルの一撃をいなした時から感じてた。この人は私やサニーとはバトルスタイルが真逆! 私たちが剛法だとするならサタンが操るのは柔法だ。太極拳と柔道を基礎に色んな国や地方の体術の受けや逸らしを取り入れて、独自の拳法を編み出してる。恐ろしく火傷しそうなほどの魔力から放たれるにしては恐ろしく冷たく、静かな技に私は笑みが止まらなくなってしまう。

 

「武器は、ないの?」

「この肉体が武器、それ以上はない」

「強い……! これが悪魔の王様なんだね!」

 

 二人で雨のように攻撃を加えていくけどそのすべてを捌いてくる。すごい、だけど私とサニーで編み出してるんだ。本当は対バアルにとっておいたとっておきの技、捌くことも避けることもできない、必殺技! 

 

「行くよサニー!」

「おっけースター!」

 

 勇者間でできる一定量の魔法力の交換、この特性を活かした技をスノーと一緒に使ったけど、これをサニーとすることで変幻自在の技が出せる。選択するのは、バアルの漆雷の特性! これによって私はサニーからもらった魔法力が切れるまでの間、超高速で動くことができる。

 

「……これは?」

「いくよ、はぁぁぁ!」

 

 私の魔力を上乗せして、高速で動き回りながら、黒い雷を纏った星連撃(スターブレイクレイン)を超高速で逃げ場なく放っていく。ただ空手に本来連撃はないから一発一発の威力は大したことはないんだけど、これは相手の足を止めたり防御を崩すのが目的。流石のサタンも捌き切れずに頭を守るようにして腕をクロスさせた。

 

「今だよ! 龍星(シューティングスター)!」

「いっけぇぇぇ! 砕咬(ブレイクバイト)ッ!」

 

 三節棍を上からしなる龍の(アギト)ように振り下ろし、私がほぼ同時に残ったサニーの魔力すべてを籠めてアッパーをねじ込むために懐に潜り込む。絶対にどっちかは当たる、相手が堅かったり速かったりする用に編み出したこの必殺技! どうだ! 

 

「なるほど……やはり以前よりも遥かに強くなっているな、だが!」

「っ!?」

「これは……!?」

「悪魔王たるわたしの力、刮目せよ!」

 

 悪魔化……!? そんな、悪魔化はアエーシュマの支援を得たベンヌのように特別な状況下でないとすぐにその存在すらも保てなくなるほどに魔力を摩耗させるのに! だが蒼炎に包まれ、青白い角の生え、白の髪に美しいラピスラズリの混じるその姿は悪魔ではなく……天使のもの。龍のような翼を翻しサタンはその姿を一瞬で消した。

 

「がっ、うあ!?」

「彩ちゃん──っぐふ!」

 

 ──消えたと認識したのはほんの一瞬だった。その瞬間私もサニーも吹き飛び、ほぼ同時に壁に叩きつけられた。殴られた? 腹部の痛みだけがそれを伝えてくる。荒れ狂う炎のようなオーラ、だが眼鏡のブリッジを上げる彼はまるで冷ややかなままだった。

 暑い、汗が出てくる、彼のオーラがまるで本当に炎のように熱を感じる。

 

「ペオルからわたしが熱を操る、というだけを教えてもらっていたと言っていたな、ドリームサニー」

「……うん」

「それはこういうことだ。蒼炎の二つ名はわたしがそれぞれの悪魔に色を付けた際に()()()()だけに過ぎない。本来のわたしの二つ名は……氷炎のサタン」

「っ!」

 

 腕が凍り始めた。汗だ、汗が急激に冷やされて、というか空気中の水が凍って……死ぬ! と思った瞬間にはもうサタンは悪魔化を解除していた。

 ──極寒の冷気と獄炎の熱気を操る。それがサタンが持つ熱の能力。そこに柔法による圧倒的な近接戦闘能力がついて回る。つ、強いとか弱いとかそういう次元じゃないんだけど。これが、悪魔王のチカラ。

 

「どーして、悪魔化……できるの?」

「……わたしが、初代勇者だからだ」

「……え!?」

「そ、そうなの?」

「ああ」

 

 初代……精霊界に最初に存在した勇者。精霊界の神を守るための天使であり勇者とは救いを与えるものではなく……相反する夢と魔の中間である存在。サタンはその存在に成ってしまったことで下界に堕とされたものだと語った。そこで彼は神を呪い絶望し、孤独への恐怖から分け身を創り出した。それが、シャヘルや他の悪魔たち。

 

「その際、シャヘルは天使の力、そして残りの五人は私の勇者の力を受け継ぎ、わたしも完全な悪魔となった」

「だから、あと一人を含めた七人は特別なの?」

「そうだ」

 

 だから勇者の力の名残で、サタンだけは無尽蔵の魔力を持ってる。精霊は世界の理における食事を摂取することで、悪魔は夢を喰らうことで食事を行うことができる。それなのにバアルやシャヘルが人を襲ったり絶望させたりしてる様子がないのは、サタンから供給を受けてるからだったんだ。

 

「ああ、力の制約は重くのしかかるが、生きてはいける……そういうことだ」

「アエーシュマと同等って、そういうことだったんだね」

「……その通りだ」

 

 アエーシュマはその勇者の絶望こそが絶大なる力を生み出すことを知り、ティアマトを絶望させ操り、暴走させて神を殺させ、世界を崩壊させた。そして眠りに着くティアマトから勇者の力をすべて奪い、この世界にやってきた。

 

「いいや、恐らく少し違う」

「……え?」

「なにが?」

「ティアマトは勇者の力を絶望させて暴走したわけでもアエーシュマに操られたわけでもない。いや、操られた、というのは正しい意味合いかもしれないが」

「……どういうこと?」

 

 ──その言葉はアエーシュマという悪魔の醜さを象徴するようなものだった。同時に、その陣営にいる千聖ちゃんが心配だ。大丈夫だよね、あの時私を助けてくれたんだから、千聖ちゃんは……大丈夫だよね。

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 ノックをする。入っていいよと甘い声がしてワタクシはその声を再び耳に入れられることが嬉しくて、少しだけ勢いよく入ってきてしまう。

 ──ああ、やはり苦笑されてしまう。けれどそんな顔も素敵で、コチラの世界の姿もまた美しくいらっしゃるのですね、アエーシュマ様は。

 

「わかるかい? ティアマト」

「もちろん♪」

 

 ベンヌが脇に立っているが、出ていけと視線で訴える。ここはワタクシと()()()()の時間。幾ら臣下たるあなたと言えど、そうですね、焼き鳥にして食べてしまいますよ? 炙られ、苦しむ声を自分自身で悦んではいかがでしょうか? 

 

「そんな趣味はないね、とっとと退散させてもらうよ……あーところでクイーン?」

「はい」

()()()()()()調()()とナイトの運用はどうにかなりそうなのかい?」

「ワタクシを誰だと思っていらっしゃるのでしょうか? 屠殺しますよ?」

「……はぁ、訊いたおじさんが悪かったですよ。そんじゃま、散歩でもしてくらぁ」

 

 手を振って出ていく焼き鳥、もといおじさまに手を振り返しそれから金色とピンク色のツートンカラーに魔力で染め上げた髪をツインテールにしていく。黒はつまらないもの。黒よりもあなたの色で染められたい。髪も……もちろん心も。

 

「おや、相変わらずだね虹愛の二つ名は健在かい?」

「それがワタクシの、ティアマトの愛のカタチですから♪」

 

 シュマ様の腕の中に納まり、その髪に全てを捧げる幸福、快感、それはワタクシのためにあるようなもの。それをあの女は……ワタクシと同じチカラを持ちながら拒絶しただなんて考えただけでもその心臓を抉りだしたいくらい。だけどシュマ様はまだ利用できる、だなんて相変わらずお人形遊びが好きなのでございますね。

 

「従順も人形も、僕にとっては一緒さ」

 

 ならばワタクシにとってみれば滅亡も破壊も、愛のうち。精霊界を破壊したのも、神を殺したのも、同朋たる悪魔を殺したのも、精霊を滅亡させたのも、すべては愛のうち。愛の成せる業。

 ──愛はすべてを赦す、絶対の法でございます。ワタクシにとってそれはシュマ様の望まれることすべて、ただそれだけでございます♪ 

 

 




シュマ様ロリコンでは?????
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