転生したら大魔王の娘だった   作:残月

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専用の武器を貰いました

 

 

 

「………えーっと」

「…………………」

 

 

 

目の前の変わった形の杖を見て言葉も出ない俺とバランさん。そりゃそうだよ、こんなもんが目の前にあれば。そんな俺達を尻目にミザルさんがコホンと咳払いをした後に口を開いた。

 

 

「では、説明させていただきます。此方の杖はバーン様よりイーリス様へと贈られてきた品です。私はバーン様より、この杖の事を聞いていましたのでお教えしたいと思います」

 

 

そう言ってミザルさんはテーブルの上に置かれた杖に付いての説明を始めた。と、言うかですね、俺はこの杖にとても見覚えがあるのですが……

 

 

「この杖は『りゅうおうの杖』バーン様がこの杖を手にした時から、その名が伝わったらしいのですが、古の魔王が持っていた杖だとか……この杖を装備した者は魔力に溢れ、様々な魔法を使う事が出来ると言われておりますが……バーン様は全ての魔法が使えるお方です。故にこの杖を使う事は無かったそうなのですが、イーリス様の魔法の上達ぶりを聞き、この杖を贈呈なされたのではないでしょうか?」

「忌憚のない意見をありがとう。でも、力が増すのもそうだけど、歴史的な価値もあるんじゃ……」

 

 

ミザルさんの説明を聞きながら俺は『やっぱり……』と心の中で呟いていた。だって、この杖はドラゴンクエストⅠでボスの『りゅうおう』が持ってた杖なんだもんよ。その後のドラクエ作品に出てきた時もりゅうおうはこの杖を持っていた。その、りゅうおうの杖をまさかバーンが持っているとは……

りゅうおうの杖は竜の頭を象った杖で、漫画とかゲームだと装備した者のステータス向上や魔法の威力を上げる効果があったけど……ミザルさんの説明だと同等の効果がありそうだな、これ。

 

 

「なるほど……見た目は兎も角、この杖の効果は保証されている訳だ。確かにイーリスは使える魔法の幅は広がったが威力はまだ低いからな」

 

 

いや、デザイン的には真魔剛竜剣と良い勝負だと思うよ、俺。

 

 

「一先ず試してみては?」

「そうだな。イーリス、私に魔法を放ってみろ。私なら竜闘気で魔法は効かんからな」

 

 

『竜闘気』は竜の騎士がその身に纏う闘気のこと。肉体を鋼鉄並みの強度と化し、あらゆる呪文を弾くなど絶大な防御能力を有する力。それを打ち破るには竜闘気を上回る物理的な力か絶対的に高い魔法を放つしかない。

因みに俺は竜闘気は微塵も使えません。やっぱ才能無いよネ。俺は少し泣きそうな気持ちになりながら、バラン達と共に外に出た。

 

バランと向かい合い、りゅうおうの杖を手に、ある程度距離を取り、俺は杖を構える。

 

 

「それじゃ……いきますよ。ベギラマッ!」

「ああ、来い……むうっ!?」

 

 

俺はいつも通り魔法を放った……筈だったのだが、放ったベギラマは俺が放ったとは思えない程の魔力光が杖から飛び出した。流石のバランも予想よりも威力が増したベギラマに驚いていた。そして放ったベギラマは普段、俺が放つよりも数段破壊力が増していたのか、バランに着弾したと同時に凄まじい光と爆音が鳴り響く。

 

 

「ふむ……見たところ、普段イーリス様が放つ魔法よりも威力が5割増しといった所でしょうか」

「いや、冷静すぎるだろ!バランさん、大丈夫ですか!?」

「流石に驚いたぞ……本気で防がねば危ない所だった……」

 

 

冷静に分析してるミザルさんにツッコミを入れた後に慌ててバランさんを心配すると、煙の中から竜闘気を纏いながらガードを固めるバランさんの姿が見えた。見た感じ、怪我は無さそうだ……いや、流石に焦ったわ。

 

 

「凄まじい威力になっていたな。これが、りゅうおうの杖の効果か」

「ちょっと怖いくらいなんですが……」

 

 

バランさんの意見も尤もだ。ぶっちゃけこんなチート機能付きの杖なんか持ってるだけで怖いわ。

とは言いつつも父上からの贈り物なので無下にも出来ず、りゅうおうの杖は腰にホルダーを装備して、ぶら下げる事になった。それなりに長い杖なので杖の真ん中辺りをホルダーに差して斜めにぶら下げている。これなら一応、邪魔にならないし。


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