転生したら大魔王の娘だった   作:残月

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闘気を発動させました

 

 

 

 

 

フレイザードが誕生してから慌ただしく日々は過ぎていく。俺は魔王軍編成の仕事と自身の修行に日々を費やしていた。それと言うのも……

 

 

「こんな、こんなもの……いだだだだだだだっ!?」

「……………」

 

 

ミストバーンに再び鍛えられていたからだった。バランさんの修行を受けていた間はミストバーンの闘気に関する修行は一時中断してたんだけど、急遽復活。現在、闘魔傀儡掌に掛けられており、脱出を図ろうとしたのだが体が捻られて失敗。超痛い。

 

 

「…………」

「こ、の……ぐぎぎっ……」

 

 

闘魔傀儡掌を破るには直接的なパワーで術者を上回るか、闘気を用いて弾き返すしかない。だが単純にパワーでミストバーンに勝てるとは思えないし、俺は闘気のコントロールは未だに出来ないから厳しい。余談だが、アイナさんは「こうするんですよ」とパワーだけで闘魔傀儡掌を破っていた。あの人、本当はハドラーやキルバーンよりも強いのではなかろうか?

 

 

「……闘気は己の心の奥底に眠る力。戦う意思を示し、それを表に出せ。出来ねば苦しみが続くだけだ」

「ぐ、うううぅぅぅぅぅ……」

 

 

珍しく口を開いたミストバーンに驚きながらも、アドバイスを参考にする事に。全身身動き取れなくて苦しいけど、瞳を閉じて意識を集中する。

痛くて苦しいが、意識を集中させると胸の辺りが熱くなるのを感じる。その感覚にこれが闘気なのだろうと感じた俺は『それ』を一気に爆発させる事にした。またも感覚的な事だが、今ならそれが出来る気がした。

 

 

「うおおおおおおおっ!」

「…………っ!」

 

 

俺の体を中心に爆発が起きた。闘魔傀儡掌は弾き飛ばせたんだけど、体力がいきなりごっそりと抜け落ちた感覚に襲われる。なんだ、これ?意識が一瞬飛びそうになるのをなんとか堪えたが、今までにない程の虚脱感に襲われた。

 

 

「っと……あ、れ……?」

 

 

闘魔傀儡掌から解放され、宙に浮いていた俺は地面に着地したと同時に足に力が入らず、そのまま意識が遠退いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇side大魔王バーン◆◇

 

 

 

 

 

「………ご報告があります」

「聞こう。なんだミストバーン?」

 

 

イーリスの修行を、バランからミストバーンに再び託したが、その日の内にミストバーンが報告に来た。イーリスに何か変化が起きたか?

 

 

「イーリスの闘気を目覚めさせる為に暗黒闘気でイーリスを追い詰めました。結果、イーリスは闘気の発動に覚醒し、私の闘魔傀儡掌を打ち破りました」

「ほぅ……初見の闘気の発動でミストバーンの闘魔傀儡掌を弾いたか」

 

 

ミストバーンの報告に余は少なからず驚く。最近、魔法の力が上がっていると報告は受けていたが闘気の方も良い才覚に恵まれていたか。本気で無かったにせよ、ミストバーンの闘魔傀儡掌を打ち破るとは……

 

 

「私は闘気の発動を確認したら闘魔傀儡掌を止めるつもりでしたが……イーリスは更に闘気を高め、私の見間違いでなければアレは竜闘気かと」

「生誕から三年にも満たぬ禁呪法で生み出した竜の騎士が竜闘気を操った……ククッ……フハハハハハハハハハッ!」

 

 

ミストバーンの報告に余は笑いが堪えきれなかった。竜闘気は光の闘気とも闇の闘気とも違う竜の騎士のみが扱える特殊な闘気。歴代の竜の騎士の血脈から受け継がれてきた唯一無二の闘気。それを闘気を操る事の出来ない禁呪法で生み出されたイーリスが使ったと言うのだから予想外にも程がある。

 

 

「バ、バーン様……」

「すまんな。こんなに笑ったのは何時以来か……」

 

 

愉快だ。実に愉快だ……当代の竜の騎士であるバランが人間を憎み、余の配下となった。そして禁呪法で生み出した疑似竜の騎士であるイーリスが竜闘気に目覚めるとは。我が魔王軍に二人の竜の騎士が居る事になる。これほど愉快な事があるだろうか。

 

 

「報告の続きを」

「はい……竜闘気を一度に使い果たしたイーリスは疲労からか倒れました。今はアイナが診ている筈です。闘魔傀儡掌を破ったあの時、イーリスから感じた闘気からは竜闘気の他にも光の闘気と闇の闘気を感じました」

 

 

ミストバーンに報告の続きを促すと、更に愉快な報告が待っていた。光の闘気と闇の闘気は対極に位置する相反する闘気。それを両立させる事は実質不可能で、例外があるとすれば魔物に育てられ、特殊な環境で育ち、アバンから光の闘気を学び、ミストバーンから闇の闘気を学んだヒュンケルくらいなものだが、イーリスはそれとも結び付かない。

そもそも闘気は誰しもが持っている力だ。要は力の使い方を知らないからで、善の心を昇華させた闘気が光の闘気。悪の心を昇華させたのが暗黒闘気と呼ばれている。

 

これらを同時に等しく扱う事は余ですら叶わず、恐らく地上の誰にも実現不可能な事だろう。当代の竜の騎士のバランですら出来ぬ事だ。この不可解な力の兆しを示したイーリスに、余は一つの可能性を見出だす。

もしも、余の想像した通りになれば……イーリスは余の想像を越えた存在になりうる。

 

ハドラーが六団長を率いて地上に侵攻する事が余の最近の楽しみであったが、イーリスの成長が楽しみになってきおったわ。

 

 

 

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