転生したら大魔王の娘だった   作:残月

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悩んで相談しました

 

 

 

目が覚めたら自室のベッドの上だった。なんでだっけ……ぼんやりと働かない頭を振りながら起き上がると、アイナさんが泣きそうな目をしながら俺を抱き締めた。柔らかい……じゃなくて何事!?

 

アイナさんの話だと、闘気を爆発させた俺は自分の中の闘気の全てを出し尽くしてしまったらしい。その為、体に異常な程の負荷が掛かり、倒れたのだと言う。

さらに驚いたのが、ミストバーン経由の情報だが、俺が発動させたのは竜闘気ではないのだろうか、との事だった。

いや、めちゃくちゃ過ぎる。なんで光の闘気の発動を通り越して竜闘気が発動してるんだ。

とにかく、その反動なのか俺は三日程眠り続けていたらしい。死んだように寝てればそりゃ心配もするわな。

 

しかし、気掛かりなのは他の情報もだろう。俺は竜闘気、光の闘気、暗黒闘気の三つを発動させていた可能性があるとミストバーンが言っていたらしく、これらは同時発動はあり得ない話なのだとか。

光の闘気を発動させるには善の心を持ち、暗黒闘気を発動させるには憎しみ、妬みと言った負の感情が必要なのだとか。光と闇の闘気を持つヒュンケルですら、闘気の発動をさせるにはどちらかに片寄った発動をしていた。つまり、同時に光の闘気と暗黒闘気を完全に扱うのは理論上不可能とされている……らしい。でも、それが出来るかも知れない可能性が俺ときた。その事は当然父上の耳にも入り、大いに期待してるとかなんとか。

 

なんか……自分で自分のハードルを上げた気分だ。期待が重い……

 

それに、俺自身不思議なんだよな……最初の頃なんか、魔法もろくに使えない、闘気の発動方法も分からない。そんな俺がキルバーンとの接触を機にメキメキと実力を上げていってる。我ながら成長速度が異常すぎる。これ、絶対におかしい。

 

 

「とは言っても……調べようが無いしなぁ」

 

 

俺はアイナさんから許可を貰い、鬼岩城の中を散歩していた。アイナさんは「倒れたのだから無理はいけません」と俺をベッドに押し込めようとしたのだが『無理はせず、散歩だけ・鬼岩城から出ない』を条件に散歩だけ許された。そんな訳でリハビリがてら散歩をしながら考え事に没頭していた。

 

物語の主人公であるダイは数々の戦いを経て強くなっていった。魔法使いのポップは人間的な成長と共に頭角を表していく。他のダイ一行も同様だろう。強さにおいて段階を踏んで強くなっていくのだ。なんで俺はこんな『いきなり強くなる』と、不可思議な状態に陥っているのだろう。しかも自分じゃ制御不能だし。

 

 

「目覚めたのか、イーリス。倒れたと聞いて心配したぞ」

「バランさん、お久し振りです」

 

 

なんて考え事をしながら歩いていたら、後ろから呼び止められた。振り返るとバランさんが居た。鬼岩城にいるとは珍しい。

 

 

「バーン様からある程度の話は聞いた。竜闘気を発動させたらしいな?バーン様から当代の竜の騎士として話を聞くようにと頼まれている」

「もうバランさんまで話が届いてるんですか?」

 

 

確かに竜闘気の事ならバランさんに聞くのが一番だが、根回しが早すぎるだろう父上。そんな事を思いつつも、感じた事や俺の身に起きている不可思議な状態を説明した。

 

 

「………なるほど、私の推測で良ければ話そう。そもそも竜の騎士は一代限りの存在だ。それを無理矢理禁呪法で生み出したから異常が発生しているのかもしれんな」

「あー……竜の騎士は一代だけで、死んだら次代の竜の騎士が生まれるんでしたっけ?」

 

 

バランさんの見立てでは、竜の騎士を擬似的に生み出したから、魔法の才や竜闘気の発動が制御出来ない状態なのでは無いだろうかとの事だ。本来なら、竜の紋章を通じて戦いの歴史を継承する竜の騎士だが、俺はその番外と言うか劣化品。バランさんが原本の竜の騎士なら、ダイは書き掛けの写本。俺はコピー用紙って所か。

いくら魔法や闘気の才能があっても、制御できないんじゃ意味ねーわ。どうすっかな……

 

 

「そう難しい顔をするな。魔軍司令補佐と言っても、バーン様はお前を迂闊に戦場に出させる真似はせんだろう。ゆっくりと学べば良い」

「そうっスね。ありがとうございます」

「ヒャッヒャッヒャッ……甘やかされてんなイーリス。魔軍司令補佐には見えねーぜ」

 

 

優しげな眼差しのバランさんに思わず『それは自分の本当の息子にしてやってください』と言いそうになってしまう。なんとか言葉を飲み込む俺だが、そこに後ろから声が掛けられる。俺とバランさんが振り返ると、フレイザードがニヤニヤと笑っていた。弄る気満々だなコイツ。

 

 

「そんな甘ったれは……ひぎゃっ!?」

「イーリス様は病み上がりです。不穏当な発言や喧嘩は売らないでください」

 

 

俺に喧嘩を売ろうとしていたフレイザードの氷側の顔を、いつの間にか来ていたアイナさんが素手で握り潰す。顔の半身を砕かれたフレイザードは流石にダメージがあったのか苦しそうにしていた。いや、素手でフレイザードの氷を砕くとか普通じゃねー!

 

 

「わ、私が気配を察知できぬとは……」

 

 

隣では、バランさんが突如現れフレイザードの顔を握り潰したアイナさんに驚いている。竜の騎士の反応を越えるとか何者!?

ニコニコとしているアイナさんからそんな怖さは感じられないが、魔王軍最強なのは実はアイナさんではなかろうかと本気で思えてきた。

 

 

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