原作開始まで半年程に迫った頃。六大団長が勢揃いになる日が決まり、父上へ全員揃って挨拶する事になった。結局、クロコダイン、ヒュンケル、ザボエラに会わないままこの日が来ちまった。出来たら事前に会いたかったけど、軍編成や修行で慌ただしく、会う事が叶わなかった。
そんな訳で鬼岩城の謁見の間に勢揃いした六大団長。顔合わせが済んでいるミストバーン、バランさん、フレイザードはともかく、クロコダイン、ヒュンケル、ザボエラは俺を見て、何者だ?って感じの視線を送ってきてる。そんな視線はさておき、ハドラーは父上に口上を述べていた。
「バーン様。魔王軍六大団長が勢揃いしました。彼等は各軍団を率い、全軍の準備が揃い次第、人間どもを滅ぼす手筈になっております」
『実に頼もしい顔ぶれ。余は大変満足しておる』
父上の言葉に、ハドラーは頭をたれる。原作のシーンを見てるのは感動ものだ。
『そして紹介をしておこう。余の娘であるイーリスだ。イーリスには魔軍司令補佐を任せる』
「魔軍司令補佐のイーリスだ。一応、ハドラーの補佐と代理。六大団長の手伝いをする予定なのでヨロシク」
「バ、バーン様のご息女ですと!?」
「………ふん」
「戦場に身を置くには可憐だが……大丈夫なのですかな?」
父上の言葉に、俺は一歩前に出て挨拶をすると、ザボエラ、ヒュンケル、クロコダインの順にコメントが溢れた。
『イーリスはミストバーン、バランと言った猛者に師事を受けて、貴様等に並ぶ程の強者である。では、六大団長の誕生を祝して、褒美を取らせよう』
父上から意外なお褒めの言葉を貰った。その言葉の直後、天井にまで届くほどの業火が現れる。暴魔のメダルのイベントだぁ。思ってた以上の炎に少し引いたわ。
『この炎の中央にあるのは、暴魔のメダル。さあ、忠誠心の証として我こそはと思う者は手に取るがよい』
その炎の勢いに、竜の騎士のバランさんやミストバーンはもちろん、魔鎧を身にまとったヒュンケルすら躊躇する。だが、忠誠心を示すため、取らないわけにはいかない空気で、誰もが暴魔のメダルを取ろうとしてる。これって俺も取らなきゃ駄目なんだろうか?
「イーリス……お前は取らなくて良い」
「…………」
『うむ。我が娘よ、退がって見ておれ』
バランさんに制止され、ミストバーンに手で制された。更に父上から退がれと言われ、仲間外れみたいにされて、ちょっと疎外感を感じた。
そんなやり取りを経て仕切り直しになり、六大団長が炎を囲い、構えた。その瞬間、躊躇なくフレイザードがメダルを掻っ攫う。
『見事なり。フレイザード』
「ヒャヒャヒャ!見たかよイーリス!」
「おおー!凄いぞフレイザード」
父上の言葉に、嬉しそうに暴魔のメダルを俺に見せつけるフレイザード。半身の氷が溶けながらも、ドヤ顔をしながら笑うフレイザードがやんちゃな子供みたいで微笑ましくなった。
「氷が戻ったら着けてやるよ」
「ヒャヒャヒャ、魔軍司令補佐様から着けて貰えるなんて光栄じゃねぇか!」
俺がそう言うと、フレイザードはドヤ顔を残りの六大団長に決めた。おいおい、煽るなっての。
『ハドラーよ。頼もしき六大団長と魔軍司令補佐を率いて、果たせなかった世界征服を成し遂げるが良い』
「ハハーッ!」
父上からの〆の言葉にハドラーは頭を下げ、六大団長も同様に頭を下げる。俺もそれに倣って頭を下げた。
さて、そろそろ原作に差し掛かってきたな……でも、俺は迷っていた。原作よりも良い結果を出そうと意気込んではいたけど……正直今は心が揺らいでる。誰かに相談も出来ないし……どうしよう。