色々と考えた結果、現状維持に落ち着いた俺。いくら頭の中で考えたって答えは出ねーわ。今後は魔王軍の活動をしながら人間側の動きを見よう。正直、今はどちらにも傾けられないわ。
一先ず、自身の悩みを解決(先延ばし)した俺は魔軍司令補佐としての仕事をしていた。六大団長の指揮下に入ってる魔物、魔族のリストを見て首を傾げた。
「キラーマシンとかメタルドラゴンが居ねぇ……」
キラーマシンはドラクエシリーズに登場する機械モンスターで、勇者を殺す為に作られたモンスターとされている。メタルドラゴンはキラーマシンのドラゴン版なんて設定だったりする。このキラーマシンシリーズはドラクエシリーズでも強敵として登場する。なのに、渡された魔王軍のモンスターリストにキラーマシンが載っていないのは何故なんだ!?
って言うか、原作のダイの大冒険でも、出てきたのって初期の頃だけだったなそう言えば。気になったのでハドラーに聞いてみよう。
「ってな訳で……ハドラーが旧魔王時代にキラーマシンって使ってたよな?」
「確かにキラーマシンは俺が作り上げた作品だが……今の魔王軍にキラーマシンが無いのは正直未完成な部分が多かったからだ。俺が作ったタイプは機械で外装を作り上げ、俺の魔力を流させる魔力を溜め込む魔鉱石を心臓代わりに使っていたからな。試作品は数台作ったが、コストと手間が掛かったのでな。アバンと戦わせたのはマトモに出来た3台だけだ」
なんか意外な事実が発覚したぞ、おい。つまりキラーマシンはおおよそのカテゴリーで言うと、ゴーレムみたいなもんだって事か?でもなんか納得。それなら魔鉱石の代わりに人間が乗り込める様に改造出来ても可笑しくなさそうだ。
「んじゃ、その3台の他には?」
「…………地底魔城に残らせている筈だ」
俺が更に質問をすると、ハドラーは苦虫を噛んだような表情で答えた。ああ……アバンに負けた場所が地底魔城だもんね。嫌な事を思い出させたな。それを考えると、あの人間が乗り込むように改造したキラーマシンは、アバンが倒したキラーマシンをパプニカの大臣が極秘に回収していたって事か。
「それで、キラーマシンの事を聞いてどうするつもりだ?」
「出来たら未完成品を回収。可能なら改良して量産かな」
ギロッと俺を睨むハドラーに俺は答えた。ぶっちゃけ悪い話じゃない筈だ。戦力増加に繋がるし、さまよう鎧やゴーレムなんかよりも強いんだから。俺個人としてもキラーマシンが欲しい。ドラクエモンスターズじゃキラーマシン系はパーティーに入れてたし。
「………バーン様に聞いてからだな。迂闊にイーリスに部下を与えたとなれば、俺が何を言われるか分からん」
ハドラーの発言に『ああ、なるほど……』と思ってしまう。俺は云わば、父上からの預かりなのだ。それを勝手に部下を与えて問題が起きればハドラーの責任になる。悲しいね、中間管理職。
「んじゃ、明日にでも聞いてみるわ。明日、父上とチェスの日だから」
「そ、そうか……」
若干引いているハドラー。俺は普通の感覚になってきてるけど、考えてみれば大魔王とチェスって普通じゃないよね。俺も大分、毒されてきたな。
◆◇◆◇
「ああ、構わんぞ」
父上にキラーマシンの話をしたらアッサリと許可が降りた。
「技術を埋もれさせるのは余も望まん事だ。だが、やるからには結果を出せ。ハドラーが使っていた頃よりも高性能のキラーマシンを作り上げよ。ミザルや他の科学者達に助力を求めるのも良かろう」
「あ、ありがとうございます……」
どうしよう。思っていたよりも父上が俺に甘い気がする。特に最近は、それが顕著に現れてる気がする。
「子にねだられて許してしまうのは親の因果と言うものか」
クックッと笑う父上。俺がアンタから貰ったのは『りゅうおうの杖』で、ねだったのがキラーマシンってどんな物騒な親子関係だよ。と思ったけど、大魔王の娘だから仕方ないと思わず考えてしまう。
「地底魔城は今はヒュンケルが根城にしている。奴からも学ぶ事があるだろう。励むが良い」
父上の言葉に面倒臭いトラブルが起きるような気がしたのは何故だろう。