転生したら大魔王の娘だった   作:残月

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原作開始を見ました

 

 

ロモス城へ到着した頃には夜になっていた。ゲレゲレも走りっぱなしじゃ可愛そうだったので、何度か休憩を挟んだからな。バレない様に城壁を乗り越えて、城の中庭へ向かう。中庭ではパーティーが行われていた。

王様らしき人物と、ドラクエⅢの勇者の格好をした男、魔法使い、戦士が話をしている。ああ、やっぱり先ほどのキメラは見間違いじゃなかったんだ。この話はダイの大冒険の冒頭の話だ。俺は見つからないように身を隠しながら辺りを見回す。すると、小柄な黒髪の少年が、隠れながら隙を窺っているのが見えた。

 

 

「やっぱり居たか……ダイ」

 

 

間違いない。彼がこの世界の主人公にして、バランさんの息子のダイだ。まだやんちゃ坊主の感じだが、これからレオナ、アバン、ポップとの出会いで勇者へと成長していく。

 

ここから先は原作通りだった。偽勇者のでろりん、まぞっほ、へろへろを島のモンスター達を呼び出し襲わせ、その隙にゴメちゃんを救出。更にまぞっほ、へろへろを倒した。

 

 

「やるな小僧……だが、俺に弱点は無いぞ!」

「く、くっそぉ……」

 

 

しかし、でろりんはリーダーだけあって他のモンスター達を倒してしまう。とは言っても、普通に戦えばモンスターの方が強いんだよなぁ。デルムリン島での奇襲で、モンスター達は傷ついていた。だからこそ、でろりんのメラ程度で全員ダウンしてしまったのだ。じゃなきゃ、ギガンテスや大王イカがメラで倒せるはずないし。と言うか、メラでこんがり焼かれた大王イカから良い匂いがしてるんだけど。ちょっと食べてみたくなったわ。

 

この後、ダイとでろりんは剣で戦うが、ダイは負けてしまう。だが、特別な魔法の筒から魔界のモンスターを召喚し、形勢逆転する。

 

 

「初期で魔界のモンスター達が現れるって、悪夢だよなぁ……」

 

 

俺は魔界のモンスター達に蹂躙されている偽勇者一行に少しだけ同情した。でも、自業自得な部分が多いだけに当然の報いとも言えるが。この偽勇者を絶賛していたロモス王も、困惑した表情で戦いを見ていた。

 

正直……ロモス王って、見る目がない王様なんだよなぁ……偽勇者を絶賛して正体を見抜けない。クロコダイン戦で助けて貰ったのにダイに渡した装備は『はがねの剣』この時に『覇者の剣』を渡していたら、絶対ストーリー変わってたよね。その後もザムザに騙されて、危うく人間側の精鋭を失う所だった。しかも覇者の剣は盗まれる始末。

 

 

「ああ……なんだろうな、もう……」

 

 

そんな事を思い出していたらモヤモヤとしてきた。さらに庭を覗くと、ずるぼんがスライム達を人質に、ダイに降伏を迫っていた。でろりんも「でかした!」なんて叫んでるし、本当に最低だな。いっそのこと……オレガヤツラヲケシテヤロウカ……

 

 

「ぎょえええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

「な、ずるぼん!?」

「今だ、イルイル!」

 

「………っ!」

 

 

スライム達が合体したキングスライムに押し潰されたずるぼんの叫びに、俺の意識が呼び戻される。さらにでろりんは、一瞬の隙を突かれてダイに魔法の筒に閉じ込められてしまった。

それらの流れを呆然と見ていた俺は、一瞬意識が飛びそうになった自分に驚いていた。俺は今、何を考えた?でろりん達やロモス王にイライラしていたのは確かだが、一気に心が塗り潰された感覚に陥った。なんだったんだ……今の感覚は……

 

 

俺は気分が悪くなってきたが、一連の流れをそのまま見ていた。

ダイは疲労から倒れてしまい、モンスター達は心配そうにダイに駆け寄る。そのダイとモンスター達を兵士達が取り囲んだ。しかし、ロモス王がそれを止めた。

ロモス王は自分の見る目の無さを反省し、『覇者の冠』をダイに授けていた。

 

 

 

「ったく……最初からそうしろってんだ馬鹿王が……」

「ガル……」

 

 

俺はロモス王に悪態を突きながら、侵入した時と同じ様に城から抜け出した。あとの事は人間側が上手くやるだろう。

 

 

「でもまぁ……少し勉強になったかな?」

「……………」

「それが無断外泊しようとした言い訳ですか?」

 

 

人間を見る事が少なかった俺が、城に侵入して原作開始の話を見させて貰ったけど……人間側が言う『邪悪なモンスター達』の言葉よりも『人間の方が、よほど邪悪』と言う魔王軍の言葉が分かる気がする。そんな事を思っていたら、ガシッと後頭部を掴まれた。さらに聞き覚えのある声が……

 

 

「うえっ!?ミストバーン!?アイナさん!?」

「……………」

「なかなか帰って来ないのでクロコダイン様に連絡したのですが『魔軍司令補佐殿なら、ずいぶん前に帰ったはずだが?』と言われたので探しに来たのですよ。そしたらイーリス様ったら、道草をしていただなんて。私の目の黒い内は門限を破る事も無断外泊も許しませんよ?」

 

 

振り返ると、ミストバーンが俺の頭を掴み、アイナさんが笑みを浮かべていた。でもヤバい……あの笑みで重圧を放っている時はかなり怒っている時だ。

 

 

「もう……心配したんですよ?魔王軍の存在がバレない様に隠れながらの大捜索だったんですからね……さてイーリス様、お覚悟はよろしいですね?」

「走れゲレゲ……レッ!?」

「ギャウッ!?」

「……………」

 

 

アイナさんの説教から逃げるべく、俺はゲレゲレに乗って逃げようとしたが、ミストバーンの闘魔滅砕陣に捕らえられてしまう……つーか、このタイミングで使う技じゃないだろ!?なんで此処まで本気なんだよミストバーン!?

 

この後、鬼岩城に戻ってから、アイナさん、ハドラー、父上にもめっちゃ怒られた。ミストバーンは無言の重圧が半端なかったです。

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