『人間達が集まっていたので観察していた』と説明したところ、無断外泊の疑いは晴れたが、一人で外に出すとトラブルに見舞われると、しばらく一人で外に出るのを禁じられた。子供か俺は。いや、この世界じゃ確かに年齢的には子供だけど。説教受けた日、反省文の意味合いも込めてキラーマシンの新しいプランと、メタルドラゴンの概要を書いた図面を提出した。その後、ミザルさんと科学者連中が引きこもった。色んな意味で大丈夫だったのだろうか?
原作が進んでいると考えれば、これからダイとレオナが初めて会うシーンだな。少し見てみたかった。
まあ、そんな事が現状出来るわけもなく、俺は修行に専念する事にした。実は以前、父上から『お前独自の技と呪文を編み出せ』と課題を出されていたのだ。
それと言うのも、六大団長は勿論、ハドラーも独自の技を持っている。
ハドラーは『ヘルズクロー』
クロコダインは『獣王痛恨撃/獣王会心撃』
ヒュンケルは『ブラッディースクライド』
フレイザードは『フィンガーフレアボムズ』
ミストバーンは『闘魔傀儡掌/闘魔滅砕陣』
バランさんは『ギガブレイク』
ザボエラは『マホプラウス』
とまあ、それぞれが云わば『必殺技』を持っているのだ。ならば、大魔王の娘にして魔軍司令補佐の俺が、独自の必殺技を持っていないのはいかがなものか。そんな訳で、以前父上から課題が出されたのだ。でもなぁ……
「そんな簡単には思いつかないし、思いついても実践できないんじゃ意味ないしなぁ……」
それを考えたら、思いつきで魔法剣やアバンストラッシュクロスを編み出したダイは天才なんだろう。
うーむ……ならば魔法系にするか闘気系にするかだけでも決めないとなぁ……りゅうおうの杖もあるんだし、色々と試してみよう。
そんな訳で、監視役のミストバーンとアイナさんを引き連れてバーンパレスにやって来た。父上に「魔法の練習をしたい」と言ったら「ならば良い的……いや、適任の者がおる」と言われてバーンパレスに来たのだ。誰なんだろう、練習相手(的)って。
「フハハハハーッ!キーングマキシマム見参!大魔王様から、貴殿の魔法の練習相手になれと言われましたぞ!」
「よろしく、マキシマム」
「お久しぶりです、マキシマム」
「…………」
バーンパレスに到着するなり、メタリックな親父に歓迎された。コイツはキングマキシマム。原作ではミストバーンやキルバーンと同じく、父上直属の幹部……であるはずだが、明らかに『格落ち』の幹部だ。相手の強さを見抜けるスキャン能力とオリハルコンの駒を持ってるのに、慢心した性格であっさりと敗北したバカ王。
俺がバーンパレスで生活していた頃から面識はあったが、修行相手になって貰うのは初めてだった。俺とアイナさんは普通に挨拶をしたが、ミストバーンは沈黙を貫いていた。そういや、仲が悪かったなコイツら。
「我輩なら、このオリハルコンボディで魔法が効きませぬ!さらに!スキャン能力でイーリス様の身体能力を測れますぞ!」
「なるほど……魔法が効かなくても性質と威力を計測できて、俺の体調も見れるか。そりゃ良いな」
確かにマキシマムなら魔法が効かないから、魔法の的には丁度良いかも。と言うか、父上なりの冗談だったのだろうか?マキシマムを普通に『的』って言ってたし。
「しかしイーリス様、成長なされましたな。今、キングスキャンとスーパースキャンで確認しましたが、以前よりも体力も魔法力も格段に増しておりますぞ」
「え、そうなの?」
マキシマムの言葉に少し驚く。俺も少しは強くなっているんだな。
「ふむ……それに実に成長なされました」
「おい、なんで視線を下げた?」
マキシマムの視線が下がった。少し下がった視線の位置的に、マキシマムが見ていたのは……俺は胸を両手で隠す。
「確かに、イーリス様は最近胸が大きくなりましたが……セクハラですよ?」
「……………」
「わ、わかった!我輩が悪かった!」
アイナさんに魔神の金槌で殴られ、吹っ飛ばされた後にミストバーンの闘魔傀儡掌で全身の関節を逆方向に伸ばされている。マキシマムは流石に謝ってきた。なんか関節からミシミシ音が鳴ってる。
大きくなってたのか、俺の胸。自分じゃわからないもんだ。と思ったところで、自分が再び『女の子』に染まっている事を認識して、ちょっと凹んだ。