転生したら大魔王の娘だった   作:残月

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いざ、ロモス城へ

 

 

 

鍛練なのか、はたまた子供の虐待なのか、父上から雨霰と放たれるイオラを避けながら俺は、両手に留めた光の闘気でイオラを弾きながら父上に接近する。拳で殴れる範囲まで近付いたら、殴り掛かると見せ掛けて体を前宙させ、あびせ蹴りを放つ。父上はそれを避けずに片手で受け止めた。俺は受け止められた右脚を足場に体を捻り、左脚で父上の顔面に蹴りを叩き込もうとした。しかし、父上はそれを避ける事もせず、掴んだ右脚を捻り上げ、俺の体を浮かせた。その為、左脚の蹴りは宙を切り、俺はそのまま地面に叩きつけられる。

 

 

「痛っだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

「まだまだ未熟。だが、並の相手なら通用するであろうな」

 

 

咄嗟に頭を守ったが、背中を強打した……めっちゃ痛い。

 

 

「だが、並では困る。アバンの後を継いだと言う勇者ダイとやらの事もある。六団長並の……いや、さらなる強さをもって貰わねばな」

 

 

痛みに悶絶する俺を差し置いて、話を続ける父上。そういや、アバンとハドラーの戦いがあったなら、そろそろダイVSクロコダインが始まる頃か。

 

 

「だが、その心配も無いだろうがな。ハドラーからの報告では、ロモスに向かった勇者ダイをクロコダインに始末させると言っていた。クロコダインならば討ち漏らしはあるまい」

「………え」

 

 

父上の言葉に固まってしまう。俺が父上にしごかれてる間に、原作が思った以上に進んでる……

思えば、この後のクロコダインは、片目を失うわ、ザボエラに唆されるわ、敗北するわ……でも、それらを通過しなくてはダイの仲間にならないのだ。どうしよう……最近、父上との特訓に忙しくてすっかり失念していた。

 

 

「どうした、イーリス」

「あ、いえ……クロコダインと勇者の戦いはどうなるのか、気になりまして……」

 

 

父上の質問に、冷や汗を流しながら答える。まさか『クロコダインが敗れる未来を知っています』なんて言えないし。

 

 

「クロコダイン程の強さならば、人間なんぞには負けんだろう」

 

 

それが負けるんだよなぁ……しかも、ザボエラの卑怯な戦略を使った上に、最後は単純なパワーでも負けてるし。父上はクロコダインの強さを信じてるんだろうけど、フラグにしか聞こえない。

 

 

「あー……父上。どうせなら戦いの見学に行っても良いでしょうか?今後の参考の為にも」

「ふむ、まあ良かろう。だが、そなたの姿は見られぬように気を使え。他にもミストバーンを補佐に付ける」

 

 

俺の提案を飲んでくれた父上だけど、過保護だっての。

 

 

「だ、大丈夫ですって父上。ゲレゲレと一緒に行きますし、最悪戦闘になっても、クロコダインが近くに居るなら安全でしょうから」

「………良かろう。存分に励むが良い」

 

 

父上から許可を貰ったのでロモスに行く事に。途中まではルーラで行って、途中からゲレゲレの背に乗ってバレない様にロモス城まで行こうっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇side大魔王バーン◆◇

 

 

 

余はクロコダインの戦いを見学に行くと言うイーリスを見送った後にミストバーンを呼んだ。

 

 

「ミストバーンよ。イーリスに悟られぬ様に後をつけよ。戦闘になったら手を貸すのだ」

「………御意」

 

 

余の言葉に頷いたミストバーンはイーリスの後を追っていった。奴もイーリスを気に掛けている様だな。


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