ハドラーの付き添いで、やってきました地底魔城。アークデーモン数体もセットで来たのだが、俺はゲレゲレだけを連れていた。
「地底魔城か……久しぶりだな」
「この間は直ぐに帰ったからね。でも、来ることはヒュンケルに連絡してないんだろ?」
いきなりの訪問って印象悪い気がするんだけど。
「ダイ討伐の為だ。それに戦地と部下の視察は必要であろう?」
ドヤ顔のハドラーだが、抜き打ちの視察ってやられる側はキツいんだよ。鬼岩城に父上の視察が来たらどんなリアクションするか見てみたいわ。
「ハ、ハドラー様、イーリス様!先程、使い魔から緊急連絡が届きました!クロコダイン様が蘇生の水槽から姿を消したと報告が!」
「なんだと?クロコダインめ、ダイの後を追ったか?」
「目が覚めてから、いきなりリベンジってか?そりゃ無いとは思うけど」
アークデーモンの一体が慌てて報告に走ってくる。そういや、クロコダインってダイとヒュンケルの戦いに割り込みに来たんだっけ。取り敢えず知らないフリをしたけど、マズいかなぁ。そんな事を思いながらハドラーと地底魔城を進んでいく。嘗ての居城だけあってズンズンと先を行くハドラー。
「おやおや、魔軍司令殿と魔軍司令補佐殿が揃って来ていただけるとは光栄ですな」
「ぬ……ヒュンケル」
「悪いね、急な視察みたいなもんだわ」
ハドラーと揃って地底魔城の中を歩いていると悪い笑みを浮かべているヒュンケルが現れた。この時点でヒュンケルは一度、ダイとポップを圧倒してマァムを人質にしてるんだったっけ?後、クロコダインも居る筈だが。
「視察ですか……」
「うむ、ダイ討伐の担当はヒュンケルに任命されたが心配でな」
「ハドラーはダイと戦ってるから身を以ってダイの強さを実感してるから心配だったんだよ。クロコダインも負けちまったしな」
ヒュンケルの問いにハドラーと俺は返答をした。するとヒュンケルは鼻を鳴らす。
「一度、剣を交えましたが問題にはならない相手です。次は仕留めてみせましょう」
「戦力的にはそうだろう。だが貴様は人間。しかもアバンの弟子だ。くだらん情に流されて、あらぬ結果になるのではとフレイザードが煩くてな」
「中間管理職の悲しい実態だよなぁ。上からの叱責と下からの突き上げ」
ヒュンケルとハドラーの会話に口を挟んだらハドラーから睨まれた。でも、実際ツラい立場だよなぁハドラー。
「ふん、バカ将軍なぞ吠えさせておけば良いでしょう。よろしいか、私の任務は大魔王バーン様からの勅命。したがって何者にも口出し無用!」
「……そうか、わかった。では最後に聞きたい。クロコダインがこの国に来なかったか?完治する前に蘇生液の水槽から出て行ってしまったのだ。もしやダイ達を追って、この国に来たのではと思ってな」
ヒュンケルの叫びにハドラーはこれ以上の問答は無駄だと判断したのかヒュンケルに背を向けて最後の問いを投げ掛ける。
「いや、知りませんな。どうせなら地底魔城の見物でもされては如何ですかな?強者どもが夢の跡をね」
「ちっ……知らぬのなら良い」
「この間はキラーマシンの回収だけだったから俺は見物していこうかな」
ヒュンケルの嫌味に舌打ちをしたハドラー。俺は我関せずで地底魔城の見物を考えていた。ヒュンケルが居なくなったのを確認してからアークデーモン達が不満を口にする。
「おのれ、ハドラー様に不遜な態度を!」
「人間の分際で!」
「吠えるな。ヒュンケルがダイを倒せれば、それで良い。負けたなら、それを理由に処罰してくれる」
アークデーモン達の不満を押さえつけるハドラー。アークデーモン達からしてみれば人間の分際で魔軍司令のハドラーや魔族に逆らうのが許せないんだろうな。まあ……俺から見ても、あの態度は頂けないんだよなぁ。初期のヒュンケルって本当に捻くれ者だ。
「まあ、良い……鬼岩城に戻るぞ」
「俺はちょっと地底魔城を見物していくわ」
帰ると言うハドラーに俺は地底魔城見学を考えていた。今、地底魔城にはマァムが捕らえられてる筈だ。原作でも好きなキャラだったし、ちょっと見ておきたいんだよね。
「そうか、この地底魔城なら心配は無いが、貴様が帰らぬとアイナが煩くて敵わん。アークデーモンにも貴様の護衛を……」
「色々と過剰だって。護衛ならゲレゲレも居るし、少し見学したら戻るから心配ないって」
俺が地底魔城に残ると告げるとハドラーはアークデーモン達に俺の護衛をさせようとする。父上から俺を預かってるとは言っても過保護にも程がある。
「ならば今日中には帰って来い。あまり遅くならん様にしろ」
「はいはいっと」
ハドラーは溜息混じりに俺の地底魔城見学を容認するとアークデーモン達を引き連れて帰って行った。なんか親戚の子を預かった叔父さんみたいな感じに見えた。
「さぁて、地底魔城見学ツアーと洒落込みますか」
「ガゥッ」
俺はゲレゲレの頭を一撫でしてから地底魔城を見学する事にした。マァムを見るのも楽しみだしね。