転生したら大魔王の娘だった   作:残月

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いざ、バルジ島へ

 

 

 

マグマ海水浴のイベントの後、俺は鬼岩城に戻る様に言われたが、フレイザードはそのままパプニカの担当になった。そして、翌日には鬼岩城で緊急会議となった。お題はヒュンケルの敗北とパプニカ王家の生き残りがバルジ島に逃げ延びた事の対応、フレイザードからの報告ではレオナ姫を人質にダイを誘き寄せる事に成功したとの事だった。更に氷炎結界呪法で結界内に侵入した者のステータスを落とす罠を仕掛けたとの事だ。

ハドラーは、その報告を聞き、全軍あげて勇者ダイを倒すと宣言したがバランさんをそのメンバーから外した。ミストバーンの担当しているカール王国が手強く、侵攻が遅れているので代わりを務めて欲しいと頼んだのだ。ここまでは原作通りだ。ハドラーはダイが竜の騎士だと確信してるし、それを理解してバランをダイから遠ざけた。

 

 

「まあ、良い……此処は魔軍司令殿の顔を立てるとするか」

「バランさん、一緒に行けなくて残念だよ」

 

 

思案顔をするが、ハドラーの意見を聞き入れたバランさん。そのまま、カール王国へと向かおうとするバランさんの背に声を掛けておく。このタイミングでダイの事を告げてやるべきか悩む。でも、下手に介入すると流れを壊しそうで怖いんだよなぁ……ダイの大冒険って奇跡的なバランスで成り立っているから、どれか一つが崩れれば良い方向にも悪い方向にも簡単に転がってしまう。だから俺は大筋は変えずに最良の結果を求めた。人的な被害が少ない状態に進めるなら途中までは原作の展開を崩さずに進めて、途中から俺も本格的に介入すると決めていた。それはダイが竜の騎士として本格的に目覚めてから……つまり対バランさん辺りからの介入を考えていた。正直、お世話になったバランさんを失いたくない。だが、バランさんを生かすには原作以上に上手く立ち回らなければならない。しかも父上やキルバーンに悟られない様に。ぶっちゃけ無理ゲーだとは思うけどやるしかない。そして、それは俺一人では無理だから協力者……と言うか、俺個人の仲間が必要だ。

 

 

「行くぞ、今度こそダイを討ち滅ぼしてくれる!」

「ハドラー様、イーリス様。兼ねてより研究していたキラーマシンの量産型が数台完成しました。名をメタルハンター。此度の戦いに参加させて頂きたい」

 

 

ハドラーの号令にミザルさんが完成した量産型キラーマシンを持ってきた。つうか、メタルハンターかよ。なんかバルジ島での戦いをダイ側の難易度を上げちまったな。まあ、数台だから大丈夫か?

そういや、俺はバルジ島でどうしよう?部下を率いてハドラーはポップ、マァム。ミストバーンとザボエラはダイとバダックの爺さんと戦う。そうなると俺はどっちに参加する方が良いんだろう。

 

 

「イーリスよ、貴様はゲレゲレとメタルハンターを率いて中央塔に行け。フレイザード以外の者は弱体化されるがメタルハンターなら氷炎結界呪法の結界内でも戦えるだろう」

「そうなると俺も戦えないんだけど」

 

 

いや、中央塔に配置されると俺も呪文が使えなくなるから駄目なんだけど。戦力外宣告ですか?

 

 

「ハドラー様はバーン様のご息女である貴女を危険な配置にしたく無いのでしょう。かと言って鬼岩城では戦場を経験させろとの命令に背いてしまうから最低限安全な配置にしたのでしょう」

「ミザル、余計な事を教えるな」

「ま、そう言う事なら仕方ないか」

 

 

ちょっと凹んだ所でミザルさんの解説が入る。成る程、中間管理職の苦労その2だな。でも原作通りになると中央塔って一番の危険地帯になるんだが。

 

さて、ハドラー達とこのままバルジ島に行こうかと思ったら父上に呼び出されたので鬼岩城に残る事に。何事かと思っていたらガルヴァスが鬼岩城に来た。

 

 

「イーリス殿、ご覧ください。裏の六団長が揃いましたぞ」

「ああ、お披露目って事ね……」

 

 

ドヤ顔のガルヴァスが裏の六大将軍を揃えたので魔軍司令補佐の俺にお披露目をしたいと父上に上申したらしい。戦いの前に言う事かね、これ。ガルヴァスの背後に立っている劇場版の裏の六団長。

 

 

「私は既に二人も敗れた表の六団長と違って最強の面子を揃えましたぞ。なんでもハドラー殿はダイとか言う勇者のガキに苦戦しているとか……なんとも情けない次第ですな」

「俺もハドラーの補佐の立場だから情けない事になるな。そんな事を言う為に俺が戦場に行くのを遅らせたのかガルヴァス?」

 

 

ガルヴァスの発言に同意する様にニヤニヤと笑う裏の六団長。なんて言うか、小物感が凄いよなぁ。と言うか、この時点でガルヴァスはハドラーに反旗を翻す気満々じゃねーか。多分、現段階でダイに苦戦していたハドラーが情けないから自分が魔軍司令になると言いたいんだろう。そんなガルヴァスに皮肉気味に返すとガルヴァスはニヤリと笑みを浮かべた。

 

 

「いえいえ、私が言いたいのはハドラー殿よりも私の方が貴女の才能を活かせると言いたいのですよ」

「その辺りはバルジ島での戦いが終わってから父上と相談して再考するよ。急いでるから後でな」

 

 

つまり、ハドラーの立場に成り代わりたいのと、俺から父上に評価を伝えて欲しいって事か。俺はガルヴァスとの会話を打ち切ってルーラでパプニカへ飛び、ハドラー達と合流した。ガルヴァス達の事は後で考えよう。今はバルジ島での戦いに集中しないと。

 

 

今回はやる事が多いんだから。


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