転生したら大魔王の娘だった   作:残月

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ガルヴァスと六大将軍は一時撤退した。マァムは禁呪法で魂を抜かれてしまい、倒れてしまう。マトリフの見立てでマァムは二十四時間以内に抜かれた魂を取り戻さねば死ぬという事が告げられ、そこへガルヴァスの使い魔が現れ、マァムの魂を取り戻したくばベルナの森へ来いと告げる。しかし決戦場は瘴気で満たされており、使い魔が瘴気除けの神魔水をダイ達に渡す。

 

 

「態々、瘴気をベルナの森に満たせるとかガルヴァス君も手間の掛かる悪戯をしたもんだね」

「せめて裏工作って言ってやれよ」

 

 

俺とキルバーンはダイ達が詰めている宮殿の近くの小屋の外で中の様子を伺っていた。キルバーン曰く、気配を消す訓練との事。

ガルヴァスの渡した神魔水は一人分の効き目しかなく、最終的には薬を飲もうとするポップを押しのけたダイが飲み、単身ベルナの森へ向かう。だが、これはガルヴァスの罠であり、その神魔水は瘴気の効果を倍増させる薬であった。

 

 

「と、まあ……事の成り行きを見ていたけど、あの神魔水が瘴気の効果を倍増させる薬じゃなくてストレートに致死性の毒だったら楽だったよねぇ」

「勇者を毒殺とか身も蓋も無い気がする……くしゅん!」

 

 

ダイがベルナの森に移動を始めたので後を追う俺とキルバーンだったが流石に夜の森は寒く、ちょっと体が冷えてしまった……っと?

 

 

「……………」

「ミストバーン?」

「あれ、ミストも来たのかい?」

 

 

フワリと俺の体に布の様な物が被される。振り返るとミストバーンが俺にフード付きのマントを着せていた。キルバーンは面白そうにミストバーンの名を呼ぶ。

 

 

「キミってばガルヴァス君の行動の監視よりもイーリスの為に態々、外套を用意したんだろ?過保護だよねぇ」

「そっか……ありがとう、ミストバーン」

「…………」

 

 

キルバーンの言葉と俺の感謝を聞いたミストバーンはダイが馬で走り去った方角を指差した。あ……後を追って仕事しろって事ね。ミストバーンはさっさと先に行ってしまう。

 

 

「ミストってばツンデレだねぇ」

 

 

ミストバーンの後を追って走り出した俺の背中にキルバーンの一言が聞こえる。ツッコまないからな!あ、マントを羽織るだけでも暖かいんだな。

 

 

 

 

◆◇

 

 

 

 

ダイに追い付くと既に戦闘が始まっていた。ブレーガンとザングレイがコンビネーションでダイをベルナの森の奥へと誘導して行く。つーか、この段階でダイは瘴気の毒が回り始めてる頃の筈だけど普通に互角の戦いをしてる。ダイの潜在能力が高い事を褒めるべきなのか、裏の六大将軍の弱さに呆れるべきなのか……なんて考えていたらミストバーンを中心に空気の膜みたいな物が広がる。その膜の中ではベルナの森の瘴気が入って来なくなった。

 

 

 

「これは……なんの呪文?」

「これはトラマナだよ。呪文の効力で害意を与える場所でも行動出来る様になるんだ」

 

 

ミストバーンの呪文がなんなのか分からないと思っていたらキルバーンから解説が入る。トラマナって毒の沼やバリアの上を歩けるだけじゃないんだな。単純に『移動用呪文』って考えてたけど『一部無効化呪文』に分類になるのかな。うーむ、勉強になる。

 

 

「おや、裏の六大将軍が勢揃いだよ」

『死ねぇ、ダイ!』

『海波斬っ!』

「遂に最終決戦か……あ、ベグロムがやられた」

 

 

ガルヴァスを筆頭に裏の六大将軍である不死将軍デスカール、妖魔将軍メネロ、氷炎将軍ブレーガン、百獣将軍ザングレイ、魔影将軍ダブルドーラ、超竜将軍ベグロムが勢揃いしてベルナの森に作られた闘技場で決戦が始まる。

一番手にベグロムが背後から奇襲したのだが、アッサリ避けられカウンターで海波斬を袈裟斬りに斬られた。

 

 

「ねえ、ミスト。ガルヴァス君達でダイの戦力把握するつもりなんだろうけど、彼等で良いのかい?明らかに力不足だと思うんだけど」

「…………」

 

 

瞬殺されたベグロムを一瞥してキルバーンがミストバーンに問いかける。ミストバーンはちょっと視線を背けた。うん、気持ちは分かるけどまだ見てやろうよ。

 




トラマナに関しては独自解釈になります。

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