「ぬぅん!」
「がぁぁぁぁぁぁっ!?」
クロコダインがザングレイとの乱戦の最中、槍を奪い取り構えるとザングレイの腹を貫いた。クロコダインは肩を斧で斬られて重傷になったが相打ちに近い形でザングレイを倒していた。
「アバンストラッシュ!」
「ぐわぁぁぁぁっ!」
ヒュンケルとブレーガンの戦いはブレーガンが優勢だった。ヒュンケルの鎧はあらゆる呪文やブレス攻撃を防ぐ筈だが前回の戦いで鎧の修復が間に合っていなかったのか三節棍の炎の側で突かれた際にヒュンケルが苦しんでいた。その苦しみ方を見て油断したブレーガンの一瞬の隙を突き、ヒュンケルはアバンストラッシュでブレーガンを真っ二つにした。
「ベギラマッ!」
「その程度の呪文が効くものか!」
ポップのベギラマを食らって頭と体を半分に分離させて襲い掛かるダブルドーラ。しかし、分離した頭を体をポップはバギで吹っ飛ばす。
「よっしゃ!これで……イオ!」
「ま、待て……ギャァ!」
頭を吹っ飛ばされた事でコントロールを失った体が慌て始めた所でポップがイオでダブルドーラの関節を破壊した。その為、体を支えられなくなったダブルドーラは頭だけとなってしまう。あの体、ヒュンケルの鎧やアーマードフレイザードの鎧みたいに呪文を弾く材質じゃなかったんだな。
体を破壊され身動きが取れなくなったタイミングでダブルドーラは頭部を破壊され機能停止した。分離出来る体ってのも考えもんだな。
「うーん、魔界の猛者を集めたって言ってなかったっけガルヴァス君」
「言ってやるなよ……もう、見てる側が辛いんだから」
アッサリと敗北していく裏の六大将軍に溜め息しか出ない。流石のキルバーンも呆れて……欠伸とかしてるし。しかし、これで裏の六大将軍はデスカールだけか……と思ったら焦げたメネロが立ち上がっていた。おお、根性あるな。
「よくも私の髪を……殺してやる!」
「うおおおおおおおおおっ!」
ガルヴァスの下へ走って行くダイの進行方向に立ち塞がるメネロ。ダイは右手に鋼の剣を左手にパプニカのナイフを構えており、更に炎を纏わせている。
「せりゃ!てぇいっ!」
「ふ、そんな攻撃……きゃぁぁぁぁぁっ!?」
メネロはダイの攻撃を避けて飛びのいたが飛んだ先にパプニカのナイフを投げられ着地の瞬間に背中に突き刺さり、倒れた。
「ダイってフラフラだったんだから鞭なり呪文なりで距離を空けて戦えば良かったのにねぇ」
「炎が迫ってたし、怖かったんじゃない?」
「軍師の部下の筈なんだがなぁ……」
「………」
キルバーン、ピロロ、俺、ミストバーンの順にコメント溢し。もう散々なもんだ。これで残るはガルヴァスとデスカールのみ。何故かガルヴァスはニヤニヤと笑みを溢しながらダイを見下ろしていた。
「ふふふ……計算通り。これでダイの力は半減し、仲間もボロボロ。これで勝ったも同然」
「流石はガルヴァス様」
ガルヴァスの呟きに同意するデスカール。いや、ダイと仲間をボロボロにした事よりも部下が5/6も失われた事を嘆けよ。ほら、レオナのベホマでクロコダインとポップは回復してるぞー。もうちょっと状況見ようぜ?
「ダイを倒せば後は雑魚ばかり……やれ、デスカール!」
「闘魔傀儡掌!」
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ガルヴァスの指示でデスカールが闘魔傀儡掌を放ち、ダイを更に追い詰める。いや、お前の部下はその雑魚にやられたのよ?
「ククッ……最後だ。マァムと会わせてやれ」
「それは良い。それ、マァムの魂だ」
「マ、マァ……ぐわぁぁぁぁぁぁっ!?」
ガルヴァスが悪い笑みを浮かべながらダイとマァムを引き会わせようとする。マァムの魂が封じられている玉座に叩き付けられるダイ。更にガルヴァスは至近距離で何らかの呪文を浴びせてダイを嬲り殺しにしようとしていた。
「ダイ、このベギラマ!」
「獣王会心撃!」
「ブラッディースクライド!」
「暗黒衝撃波!ガルヴァス様、お力添えを……ギャァァァァァァァァァァ!?」
それを見かねたポップ、クロコダイン、ヒュンケルからそれぞれ必殺技が放たれる。デスカールの放った暗黒衝撃波は一瞬、拮抗したものの獣王会心撃とブラッディースクライドは止められず、更にポップのベギラマが直撃した事で拮抗は完全に崩れて三種の必殺技が叩き込まれ、デスカールは大爆発に飲み込まれた。
「最早、憐れとしか言いようが無いな……」
「先程も言ったがヒュンケル達もレベルアップしている。それを計算に入れずに軍団結成当初のつもりで戦えば当然の結果だ」
オーバーキルとなったデスカールに憐れみを溢すとミストバーンが口を開いた。うん、それにしたって酷い結果だと思う。
「お、おのれ、もう許さん!こうなったら私自ら手を下してくれるわ!」
「復活したね。アレは最後の切り札かな?」
爆発の余波を浴びたのかガルヴァスは少々焦げていた。マントを勢い良く剥ぎ取ると裏の六大将軍の体に設置されていた宝玉が浮かんでガルヴァスの鎧に装備されて行く。ガルヴァスから感じられる闘気と魔力が格段に跳ね上がったのを感じた。しかし、俺はガルヴァスの背後から更に凄まじい闘気を感じていた。
「許さないのは俺の方だ!ガルヴァス!」
「な、なんだと!?」
そこに立っていたのは瘴気と部下の攻撃で弱っていた筈のダイだった。ダイの額から光が発せられ、凄まじい闘気が放たれている。しかも良く見れば先程の爆発からマァムの魂が封じられた玉座を守ったのか玉座も無傷である。
「こりゃあ……予想以上な状態になってきてんな」
ダイもその仲間達も原作よりもレベルアップしてんなー。いや、マジで。本来ならこの話ってもっとダイ側が劣勢になる筈なのに割と余裕があるんだもんよ。