微妙な空気になった。うん、勇者陣営の全員が目を丸くしている。そろそろ相手側にも情報開示とは思ったけど父上やミストバーンに黙って喋っちゃったのマズいかなぁ……
「お、おいおい……それじゃ矛盾してるぜ?アンタは大魔王バーンの娘なんだろ?なんでバランやダイと血の繋がりがあるなんて言えるんだよ!?」
「俺はバランさんの血を媒介に禁呪法で生み出された存在なんでな。色々と規格外なんだよ。まあ、そんな訳で俺も一応竜の騎士って訳だ」
ポップの疑問に答えるとそれぞれが何とも言えないような表情になっている。うん、急にぶっ込んだ情報に頭が追い付いてないとみた。
「という訳で俺は竜の騎士でありながら魔王軍所属で父上、大魔王バーンの娘って事。バランさんとは血の繋がりもあるし、ダイとは争わないで欲しかったんだけど」
「争わないで欲しい!?ふざけるな!超竜軍団の所為でカール王国が滅ぼされて、ベンガーナの町に被害が出たんだぞ!」
お涙頂戴とは行かずとももうちょっと共感が欲しいところだがダイは拒絶の姿勢を崩さない。まあ、勇者として魔王軍が許せないスタイルなら仕方ないか。取り敢えず帰ったら話をややこしくさせたキルバーンは殴ると決めた。しゃーんなろー!
「勇者とか魔王軍とかを一先ず置いておいてさ……少しだけ歩み寄ってはくれないか?お前が先生を魔王軍に殺されて魔王軍を恨むように、人間に奥さんを殺されて、息子と離れ離れにさせられた父親の心境を汲んでさ」
「そ、れは……」
俺が手を差し伸べながらダイに語り掛けるとダイは握っていた剣の先が降り始めて来ていた。よし、このまま話し合いに移行しようか。
「騙されんなダイ!コイツ等が勝手にそう言ってるだけなんだぞ!大体、竜の騎士って割にはイーリスの額には紋章が無いじゃないか!」
「それがなぜだか俺の紋章って此処にあるんだよね。見てみる?」
ポップがダイを庇う様に前に出て輝きの杖を構える。紋章が見たいのかい?俺はノースリーブの服を胸元からチラ見せしてみせるとポップは分かりやすく鼻の下を伸ばした。
「気安く見せるものでは無いだろう。それと迂闊な事をするなアイナに怒られるぞ。さて、答えを聞こうかダイ?」
「俺は……俺は……」
バランさんは俺の手を下ろして服を捲るのを止めた。おっと淑女にあるまじき行為だったか。何気にレオナがダイの目を手で隠してるし。
「例えアンタが俺の……父親だとしても……母さんの事があったとしても……俺は人間の味方だ!」
「ふむ……人間共の価値観に浸かり過ぎた様だな。ならば、その価値観を崩してやろう……」
「バランさん、ちょっと待っ……ひゃわあっ!?」
ダイの闘志が再び燃え上がった事でバランさんは人間の価値観に染まったダイの記憶を消そうとしたのか額の紋章が輝き始めた。しまった、なまじ話し合いにしたからバランさんの中でダイの価値観が揺るぎない物だと確信させちまったみたいだ。バランさんはダイの価値観の元である記憶を消そうとしたのだろうが、俺の胸にある紋章にも影響が出たのか共鳴を始めて震えてしまい、変な声が出た。
「バ、バランさん……それは無しで。俺の紋章の方にも影響出そうだ」
「む……そうか。ならば此方で押し通るまで」
「最初からそうしろっての」
俺の一言にバランさんはダイの記憶を消すのを止めてくれた。ふー、色んな意味で危ない事を回避出来た。でも、バランさんは真魔剛竜剣を鞘から抜き放ち構えた。バズズもニヤリと笑みを浮かべながら魔力を漲らせ始める。凄惨な親子喧嘩を避けようと思ったのに原作よりも酷い結果になった気がする。
「くっ……コイツ等に力で来られたら……」
「なんの力及ばずとも戦うまでだ!」
「そうね……今の話を聞いて確かに思う所はあるけど、魔王軍の侵略は許す気は無いわ」
「人間だって酷い人が居るのは分かってる……でも、俺は勇者だ!竜の騎士としても魔王軍は許さないぞ!」
ポップ、クロコダイン、レオナ、ダイの順番にコメントが溢れる。うーん、とってもカオス。いっそこのままダイ達をK.O.して魔王軍に連れ帰るとかしてみるか?