「一応、聞いとくけど……なんで生きてんだ?あの時、ダイのアバンストラッシュで真っ二つにされただろ」
「ククク……こんなガキに俺が敗れたとでも思っていたか?俺は確かに真っ二つにされたが死ななかった。そこで俺はかろうじて息があったデスカールを我が身に取り込み、そのアンデッドとしての力を利用したのだ。更に残された裏の六大軍団長の体を利用し我が身を再生させた……この体と貴様等への怨みにより俺のパワーは以前の数倍にもなったのだ!」
「ガルヴァス様……お止め下さい……」
つまりガルヴァスはダイのアバンストラッシュで胴体が真っ二つになったけど、死ななかった。そういやハドラーも下半身が消し飛ばされて上半身だけでも生きてたっけ。そんでギリギリ生きていたデスカールの肉体を吸収し、アンデッドとして甦る。更に他の裏の軍団長の遺体を吸収して自身の滋養としたって所かな。ついでにダイへの怨みから相当パワーアップしてる。この世界だとアンデッド系は憎しみや怨みで力が増すからなぁ。
つうかデスカールの自意識はまだ残ってんのかよ。ガルヴァスに肉体を掌握されているせいか、自身では動けないみたいだけど。
「黙れデスカール!魔界の猛者を集めたと思っていたが、あんなガキや裏切り者共に負ける体たらく!役立たずの貴様等が我が肉体の滋養になれる事を誇りに思え!」
「お、おのれ……ガルヴァス……」
心臓の部分のデスカールの抗議にガルヴァスはデスカールの顔を殴りながら叫ぶ。いや、体たらくと情けないのはお前も同じだっての。全部、裏の軍団長が悪いみたいな言い方してるけど。その態度に遂に腹心だったデスカールにも見限られたっぽいな。
「はぁ……んで、そっちは?親子喧嘩はどうなったんだよ?」
「親子だなんて言うな!俺は父親だなんて認めない!」
「子が親に逆らうな!」
「……最初は俺と姫でバランと戦った。今のダイでは戦えぬと思ったからな。俺はバランの攻撃を凌ぎ、姫に回復を頼む持久戦に持ち込んだのだが……」
「私が……怪我しちゃって……」
ああ、なんとなく察した。多分、原作同様の展開があったけどダイは戦いこそしなかったものの成り行きを見ていたのだろう。そしてクロコダインの回復をしていたレオナをバランさんがデインで牽制&威嚇。でも回復を止めようとしないレオナにバランさんがデインを落としてレオナは直撃こそしなかったものの怪我を負った。それを見ていたダイがブチギレて一足早くバランさんとの戦いを決意したって所かな?本来ならクロコダインの時間稼ぎの間に竜騎衆が倒されてヒュンケルとポップが助けに来るからレオナは怪我を負わないけど俺やバズズが居た事で合流が遅れて事態が悪化。
そんでダイとバランさんの戦いが始まろうかと言うタイミングでガルヴァスの乱入か……いや、めちゃくちゃ過ぎんだろ。さっきの爆発はコイツの攻撃だった訳ね。
「ま、そっちの事情は兎も角……ガルヴァス、ダイの対応は今はバランさんに一任されている。邪魔すればお前も反逆者になるぞ?」
「ならば、そのガキもバランも俺が倒せば良いだけの事だ……そうすれば大魔王バーン様もお認めになられる筈。そしてイーリス、貴様を喰らえば俺は更にパワーアップ出来る……ヒ、ヒヒ……」
「自分でも何言ってるか分からなくなってんじゃねーか?バーン様に逆らって、お嬢に手を出せば極刑だろ」
俺の言葉に妙な笑みを浮かべるガルヴァス。死にかけて生への執着で部下を貪ったと思えば支離滅裂と矛盾を抱えた思考。栄光と欲に塗れた軍師の末路か……バズズはそれを考えればシルバーデビルの亜種に転生して良い方向に浄化されたと言える。
「バランさん……ガルヴァスは魔軍司令補佐として俺が対応するからダイの方をヨロシク。無理に記憶とか消そうとすると俺にも影響出るし、ダイに本気で嫌われたくなかったらやらない方が良いよ」
「君がそう言うなら従おう。言葉で諭してもディーノのあの様子では力による解決しか出来んのだからな」
俺の提案に乗ってくれたバランさん。ポップ達はまだ戦ってるから増援はまだだろうし、下手に紋章の力を使われると俺も困る。
バランさんはガルヴァスから視線を外してダイ、クロコダイン、レオナと対峙して俺とバズズはガルヴァスと睨み合った。
「魔軍司令補佐としてお前の行動を認める訳にはいかないな」
「黙れ!小娘が!ベギラマ!」
「お嬢を喰らおうなんざ、俺が許すわきゃないだろうが!イオナズン!」
俺の発言にキレたガルヴァスはベギラマを放ってきたがバズズのイオナズンで消し飛ばされる。一瞬の拮抗こそ見えたが一気に押されてバズズのイオナズンが直撃した。
「グハハハッ!数倍にパワーアップしたと言っただろう!この程度の呪文なら盾で防げるわ!死ねい!」
「俺に炎なんざ効く訳ねーだろ!」
「アレはダブルドーラの盾だよな?魔法を弾く効果なんか無かった筈だけど……試してみるかベギラマッ!」
バズズのイオナズンに耐えたガルヴァスは左手にブレーガンの三節棍を構えて炎を放つ。だが炎の耐性が高いバズズには当然効かなかった。俺はバズズが炎を受け止めてくれている間にベギラマをガルヴァスに向けで放った。
するとダブルドーラの盾が宙に浮き、俺のベギラマを防いでしまった。
「これぞ俺の新たなる力!我が身に取り込んだ物の力を増幅させる能りょ……ぐがっ!?」
「ご高説ありがとよ。呪文が効かねぇなら、ぶん殴るまでだ!」
パワーアップした結果、ダブルドーラの盾を自在に操って魔法を防ぐ力を得たらしいな。ブレーガンの三節棍を扱えてるのを見ると多分、裏の軍団長の力を使える様になったみたいだな。使いこなせてるかは別として。
呪文の効果が薄いと判断したバズズは速攻で肉弾戦に切り替えてガルヴァスの顔面に一撃入れていた。高笑いして余裕ぶってたから綺麗に入ったし。
「この猿が!」
「俺を斬りたければ勇者のクソガキ並みの強さになってからにしやがれ!」
何処から取り出したのかガルヴァスはザングレイの斧を取り出してバズズに切り掛かるがバズズはアッサリと避ける。ガルヴァスから距離を取った俺とバズズは同時に構えた。
「そうかそうか!逃げる程に俺が怖いか!」
「そこまで勘違い出来るのも逆に凄いよな。メラゾーマ!」
「そろそろ目障りだ……消え失せろフィンガーフレアボムズ!」
下衆な笑い声を上げたガルヴァスに俺の放ったメラゾーマとバズズのフィンガーフレアボムズが着弾し、一瞬で火だるまになるガルヴァス。
「がァァァァあァァァあぁァッ!?」
「燃やしといてなんだけどエグいな……」
「だが大した野郎だ。俺とお嬢の炎をくらってまだ生きてやがる」
炎に焼かれてのたうち回るガルヴァス。バズズはガルヴァスのタフさに驚いているがどちらかと言えば俺の呪文の威力不足なんだよな。そんな事を思っていたら炎の中からガルヴァスが魔力の槍を構えた。
「このままやられると思ったか!?喰らえ、豪魔六芒槍っ!!」
「あの野郎、まだやる気か!?」
「でも外れ……ヤバい!!」
炎に焼かれながら放たれたガルヴァスの豪魔六芒槍は俺とバズズには当たらなかった。軌道が逸れて少し離れて戦っていたダイとバランさんの方へと勢い良く飛んでいく。しかも二人は互いに集中しあって豪魔六芒槍に気付いていない。
俺は即座に二人の下へと飛んで気が付けばダイとバランさんを突き飛ばした。直後、背中に激しい衝撃が来た。
「間に……合っ……」
「イーリス!?」
「なんで……俺達を……」
遠ざかる意識の中、二人に抱き支えられている事とバランさんとダイの焦った声だけが聞こえた。
◇◆sideキルバーン◇◆
うーん、非常にマズい事になったね。
ガルヴァス君の放った攻撃からダイとバランを庇ったイーリスは背中に大ダメージを負って意識を失った。咄嗟の事だったから防御も出来ず、無防備な所へ必殺技が叩き込まれたのだから仕方ない。
「ふむ……あの程度の攻撃で気を失うとは情けない」
そうは言うけどバーン様は肘掛けに指先をトントンと叩く仕草の回数が明らかに増えている。アレは内心、相当焦ってるね。
「ミスト、落ち着きなって。ほら、イーリスもあれで強いんだからさ」
「放せキルっ!今すぐ行かねば!」
ミストはミストで完全に寡黙が崩れて大慌てでイーリスの所へ行こうと僕の拘束から逃れようとしている。先程から羽交い締めにしていたけど、そろそろキツくなってきたよ。
「……む」
「どうしましたバーン様?おやおや、あれは……」
意識がイーリスから逸れていた僕だったけどバーン様の一声に視線を水晶に戻す。そこには大ダメージを受けて気を失った筈のイーリスがフラリと立ち上がった姿だった。しかし、様子がおかしい。バーン様もその姿に違和感を感じているみたいだ。
だけど僕には心当たりがある。以前、グリズリーと戦わせた時の感じに凄く似ている。と、なれば……
『ハァァァァァァァァァァァァァァァッ!!』
水晶越しでも感じ取れるイーリスの闘気と魔力。あの時と同じく魔族の方の力が強くなってるみたいだね。イーリスの瞳も白目の部分が黒く染まって赤い瞳が色濃く感じる。
更に闘気と魔力を発した際に周囲が一気に凍り付いた。イーリスは殆ど使わなかったけどヒャド系呪文も発動したんだろうね。本当に意外性ばかりが際立つね、あの子。
「それはそうとミスト?何、闇の衣を脱ごうとしてるの?バーン様のお許しがなきゃキミの素顔を晒しちゃいけないんだろ?」
「行かねばならんのだ!」
本気で僕からの拘束から逃れようと闇の衣を脱ごうとしたミスト。流石にシャレにならなくなってきたと思う。