転生したら大魔王の娘だった   作:残月

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竜魔人VS竜魔人

 

 

◇◆sideヒュンケル◆◇

 

 

 

豹変したイーリスを相手に俺達は苦戦していた。今までイーリスとの戦いで感じた思いは大魔王の娘でありながら甘さが残る奴と言うのが正直な感想だった。

魔王軍を抜け、再びアバンの使徒として戦い始めた今ならわかる。イーリスは甘いのではなく優しいのだと。

そんなイーリスが剥き出しの闘気と氷の様に冷たい感情で戦いに赴くなんて思いもしなかった。

だが今のイーリスは大魔王の娘に恥じない戦いをしていると言っても過言ではない。しかも竜の騎士としての力も目覚めたのかライデインも自在に操っていた。

 

 

「くそっ……打つ手がないじゃないか!?」

「だが、どうにかせねばっ!」

 

 

ポップやクロコダインがイーリスと戦ってはいるが効果は薄い。ポップは魔法力が多少回復してはいるものの呪文のパワーに差があるのか呪文を放っても効果が薄く、クロコダインは攻撃しようにも暴風氷によって遮られ肉弾戦に持ち込めずにいた。

向こうではバズズとデスカールが巻き込まれながらもイーリスを正気に戻そうと必死になっていた。

更に向こうでは闘志が無くなってしまったダイがレオナ姫に庇われながら戦いを見ている。バランの言葉を信じるならばダイは紋章を介してイーリスの心の叫びを聞いて消沈してしまっている。

 

 

「どうすれば……」

「そこを退けヒュンケル。ここから先は……真の強者のみの戦いだ」

 

 

どうしようもない状況に俺が焦っていると静観していたバランが俺を下げさせた。

 

 

「バラン……なんのつも……」

「イーリスよ……やはり竜魔人に近い状態になっている様だな。ならば止める手立てはただ一つ」

 

 

俺を手で下がらせたバランの瞳には人としての心が垣間見えた。それは先程までの武人や人間を憎む瞳ではない。そう……俺の父バルトスがしていた目と同じ目だ。

 

 

「どうする気だバラン!?今のお嬢にゃ何も効かねえぞ!」

「左様。如何にバラン殿と言えども今のイーリス様のお相手は……」

「お前達も下がっていろ。ディーノ……お前ももっと下がってろ」

 

 

バズズやデスカールを退かせたバランはダイにも下がる様に指示を出すとバランは装備していた竜の牙を翳した。その直後、バランから凄まじい闘気と魔力が溢れ出すとその姿が変わって行く。魔族としての魔力・ドラゴンとしての爪や羽、鱗がその身に発生していた。

 

 

「これぞ竜の騎士の最終戦闘形態……竜魔人だ」

「な、なんて威圧感なんだ……ハドラーなんかとは比べ物にならねぇ……」

「な、ああ……」

 

 

バランから竜魔人の事を告げられるとポップとダイは震えていた。ポップは過去最大の敵であったハドラーと比べているが、その威圧感は比較にすらならないだろう。ダイも竜の騎士である事からバランの力を感じているのだろう。

 

 

「竜魔人となった私と擬似的な竜魔人になっているイーリス……微妙な戦いになりそうだな」

「………ずあっ!!」

 

 

バランを敵と認識したのかイーリスは闘気を放ちバランに浴びせるがバランはそれを同じ様に闘気を放ち、相殺した。

 

 

「………ハッ!」

「ほう……量より質を選んだか?だが当たらねば意味が無い!」

 

 

イーリスがりゅうおうの杖を介して巨大なイオラを生成し、バランに投げ付けた。バランは迫るイオラを避けたがイーリスが手を振るうとイオラも軌道を変えバランに迫る。更にイーリスが手を握り開くと巨大なイオラが分裂しバランの周囲へと分散する。

 

 

「呪文を操作した上に分裂させた!?どうやったら出来るんだあんなマネ!?」

「量より質を狙ったんじゃなくて質より量を狙っていたのか……だがなんという魔力操作だ。それに威力も桁違いだ!」

 

 

ポップやクロコダインもイーリスの魔法の巧みな扱いに舌を巻いている。いや、それだけじゃない。今までのイーリスの呪文と比べても威力が遥かに増している。しかもバランは直撃したにも関わらずダメージがほぼ無いように見えた。

 

 

「ムゥン!」

「チッ!」

 

 

バランの額の紋章から放たれた紋章閃をイーリスはりゅうおうの杖を構えてバギを操作して竜巻を生み出すと紋章閃を弾かせた。更にりゅうおうの杖を振るって風の刃を発生させてバランの肩を射抜いた。

 

 

「やるな……だがっ!」

「くっ……シッ!」

 

 

バランは大したダメージでは無いとばかりにイーリスに急接近すると拳を振るう。イーリスはバランの拳を氷の盾を生み出すとそれで防ぐ。盾はアッサリと砕かれるがイーリスはその砕かれた氷の盾を蹴り飛ばし、氷の塊の雨をバランに浴びせた。

 

 

「舐めるなっ!」

「………」

 

 

バランはドラゴニックオーラで氷の塊の雨を弾き飛ばす。何と言う戦いだ……攻撃の一つ一つが必殺技の領域の破壊力だ。

 

 

「く……うぅっ……」

「ダイ君……ダメよ。立つのがやっとじゃない!」

 

 

向こうではダイがレオナ姫に支えられながら二人の戦いを見ている。なんとか戦いに参加しようと意思を奮い立たせている様だが紋章の影響で戦えずにいる様だ。

ダイは悔しさからなのか拳を強く握りしめて何度も地面を叩きつけていた。するとダイの拳から光が発せられその拳の甲に竜の紋章が浮かんでいた。

 

 

 

 

 

◇◆sideヒュンケルend◆◇

 

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