転生したら大魔王の娘だった   作:残月

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戦いの終わり・最悪の呼出

 

 

 

 

◆◇sideバラン◇◆

 

 

ディーノとイーリスを相手取り戦ったが……負けた。

いや、実質的には引き分けだったとは思うが……竜の騎士として覚醒したディーノと竜魔人へと目覚めたイーリス。

この二人を同時に戦えば竜魔人となった私でも体力も魔法力も尽き果ててしまった。ディーノはパワーで私を圧倒し、イーリスは魔法力で私を追い詰めた。

竜魔人となった者は破壊と殺戮の魔獣となるが……私にも少しは理性が残っていたのかディーノやイーリスと戦う事を躊躇ってしまったのか。

そしてあの魔法使いの少年の魔法の一撃……

 

それら全てが重なり、私は敗れた。

 

ディーノのライデインストラッシュとイーリスの魔力の鎌の一撃。咄嗟にギガブレイクで迎撃したが数瞬遅れ、二人の技が私に叩き込まれた。その破壊力は竜魔人の私が耐え切れるものではなかった。ドラゴニックオーラを突き抜け、鋼鉄と変わらぬ肉体にダメージを与えた。

 

空中での戦いだったから私は落下していく。ディーノとイーリスも私のギガブレイクのダメージで同じように落下していた。助けに行きたいが最早、体が動かんな……それぞれがバラバラの場所の地面に激突した。いや、イーリスだけはバズズが受け止めていたな。

 

 

動かすのがやっとの体を引きずりディーノ達の所へ行けば魔法使いの少年が瀕死になっていた。ディーノ達は何故こうなったか理解出来ない様だが私にはわかる。

私の背に放った魔法……あれはこの少年が自らの命と引き換えに撃ち放ったものだ。メガンテと同じ要領で命を魔法力に変えて放つ一撃……私のドラゴニックオーラを突き破る訳だ。それほどの覚悟と思いがこの少年を突き動かし、命を賭した。ヒュンケル達も同様か……ディーノの力にならんと命懸けで私に挑んだ。

 

皮肉なものだな。竜の戦闘力、魔族の魔力、人の心……竜の騎士に与えられた三つの力の中で最もくだらぬと捨てた人の心にここまで打ちのめされるとは……

 

私は自らの血の一滴を魔法使いの少年に与えた。この少年の強き心ならば息を吹き返すだろう。

これで良い……これでディーノの心に傷が残る事もないだろう。

ディーノは人の為に魔王軍と戦うだろう。だが、私が今更、人の為に戦うなぞ許されんだろうし、ソアラの命を奪った人間の為に戦うなぞ真っ平ごめんだ。

 

これから私は贖罪の為に生きる……魔王軍を抜け、その上でディーノに討たれるなら本望というものだ。

 

そしてイーリス……禁呪法で大魔王バーンに生み出された存在である以上、魔王軍を裏切る事は叶わないだろう。出来る事なら連れ出したいものだが……去り際にバズズに抱えられているイーリスに視線を移す。バズズに抱き抱えられたまま目を覚まさないのは先程までの暴走状態の影響か……

私やディーノ、そしてソアラにも似ていないが、この子も間違いなく竜の騎士だ。出来る事なら……救いたいものだ。

 

 

「敵に塩を贈るのはこれが最後だ。さらばだディーノ……いや、ダイ。そしてさらばだイーリス」

 

 

ダイ達やイーリスに背を向け、私は決別を口にする。最早、道が交わる事もなかろう……

 

 

 

 

 

 

 

◆◇sideバズズ◇◆

 

 

ったく…‥冗談みたいな戦場だったぜ……竜の騎士のバランと勇者ダイ。そして、お嬢の三人の戦い。天変地異を体現したかの様な戦いは相打ちで終わった。

俺はお嬢を抱き上げたが目を覚まさない。呼吸はしてるし、魔力の鼓動を感じるって事は死んじゃいない様だが、なんで目を覚まさないんだ!?

そんな風に思っていたからバランの旦那は行っちまいやがった……ありゃもう魔王軍に戻る事はなさそうだな。

 

 

「いやはや…‥恐ろしい戦いであった……」

「テメェは何をシレッと仲間みたいにしてやがる。潰すぞクソガイコツ」

 

 

右手でお嬢を抱き上げていた俺だったが左手のクソガイコツ……デスカールは呆れた様なため息を吐きやがった。コイツやガルヴァスの所為でお嬢が傷付いたってのによ。

 

 

「フレイザード、いやバズズ……お前はどうする気だ?」

「俺はお嬢に従うまでだ。そのお嬢がこのザマなんでな。帰らせてもらうぜ」

 

 

ヒュンケルの野郎がまだやる気か、と問い掛けて来やがるが、お嬢をこのまま放っておけるかよ。サッサと帰らねぇとな。

 

 

「ぐ、オオゥ……」

「あん?テメェも生きてやがったか……ちっ、しゃあねぇな。来い」

 

 

ルーラで鬼岩城に帰ろうとしたタイミングでフラフラとルードが飛んで来やがった。ほったらかして帰りたかったが、お嬢なら見捨てないだろうからな。

俺はルードの頭の上にクソガイコツを放り投げた後、ルードの体を掴み、ルーラを唱えた。

鬼岩城に戻った俺はすぐにお嬢を医務室に届けようとして……

 

 

「お嬢様!」

「っと……おいっ!?」

 

 

鬼岩城に到着と同時にアイナの奴が俺からお嬢を取り上げると全力で医務室の方へと走り去って行きやがった。残された俺とクソガイコツとルードは何も言えなかった。

 

 

「相当気を揉んでいた様ですからね。ルードは私が診ます」

「グルゥ……」

「貴様等は私と共に来い。ハドラーと共にバーン様の御前に行くのだ」

 

 

背後から声をかけられ振り返ればミザルとミストバーンが立ってやがった。貴様等って事は俺とクソガイコツがハドラー様と一緒にバーン様の御前に行くってのかよ!?嫌な予感しかしねぇぞ!

 

 

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