転生したら大魔王の娘だった   作:残月

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ハドラーの沙汰・死神の暗躍

 

 

 

 

◆◇sideバズズ◇◆

 

 

ミストバーンに連れられて大魔王バーン様の居城のバーンパレスに来たけどよ……いや、空気重っ!

バーン様の御前に立たされた俺とクソガイコツ。クソガイコツは頭だけだから地面に転がしたが俺は俺達よりも前に居るハドラー様同様にバーン様の座る玉座の前で土下座をしていた。

 

 

「者共、面を上げよ」

 

 

なんつー威圧感だ。俺達とバーン様の間には薄布で遮られてるからバーン様のお姿は直接は見れないが、シルエットだけは見える。だが、それすらもバーン様の威圧感を増す演出にしか見えねぇ!

 

 

「も、申し訳ございませんバーン様!バランの失態は上司である私の責任。奴が戻り次第厳重に……」

「愚か者!バランは恐らくもう戻らん……あの男の性格から最早、ダイ……そしてイーリスの事以外では行動を起こすまい。バランの失態はダイが竜の騎士である事を余にすら明かさなかった、お前の罪だ。お前のつまらんプライドがこの事態を招いたのだ。バランは余に逆らえうる力を持つ唯一の男……説得し、仲間に引き入れるのには苦労した」

 

 

ハドラー様はバーン様の言葉に完全に震えてる。全てを見透かされ淡々と罪を問われるって、この時点で拷問だろ。

 

 

「ハドラーよ。余は寛大な男だ……どんな失敗も三度までは許そう」

 

 

薄布の向こうでバーン様が指を三本立てた。それだけでハドラー様がブルっと震えてやがる。そりゃそうだろうな。あれは死刑台に上がる階段みてえなもんだ。死へのカウントダウンなんざ誰だって見たくないだろう。

 

 

「お前はロモス・パプニカを奪回され、有能な軍団長を二人敵に回してしまった」

 

 

薄布の向こうにある玉座に座るバーン様のシルエットが三本立てた指の一つを折る。それと同時にハドラー様の顔は見えねぇが血の気は引いてんだろうな。

 

 

「更にバルジの島においては全軍を率いたにも関わらず敗北した」

 

 

指がもう一つ折られる。バルジに関しちゃ俺も負けた側だから何も言えねぇ。

 

 

「そして今回のバランの一件……」

「あ……ああ……」

 

 

最後の一本が折られた。これでバーン様がおっしゃった三度まで許す……が終わっちまったと言う事だ。

ハドラー様はガタガタと身を震わせてる。無理もねぇ……今の所、話に関わってねぇ俺でさえこの場に居るのが怖えんだからよ。

 

 

「だが、あの勇者アバンを葬った功績を余は忘れてはおらん」

 

 

絶望しきったハドラー様だったがバーン様が折った筈の最後の一本を再び立たせた。おお、これでハドラー様は首の皮一枚だが助か……

 

 

「あれぇバーン様。ハドラー君のミスでイーリスは未だに目を覚さないんですけど、その事は問わなくて良いんですか?」

「………」

 

 

迷った!今バーン様、キルバーンの野郎の一言で指を折ろうとしたけどギリギリ留まった!

 

 

「あれはイーリスが未熟であった事が原因であろう。それにバランの一件として不問とする。ハドラー、これが最後のチャンスだ。次にお前が余の前に現れる時に勇者ダイとその仲間を始末出来なかった場合……余はこの最後の指を折る。良いな?」

「は、ははぁ!このハドラー、必ずやダイ達を始末して見せます!」

 

 

バーン様の采配にハドラー様は必死に頭を下げた。俺も他人事じゃねぇんだよな……

 

 

「うむ、ではバズズよ」

「お、おう……いえ、はい!」

 

 

いきなり水を向けられ俺は素の返事をしそうになり慌てて訂正した。

 

 

「戦いは見ていた。よくぞイーリスを守る為に働いた。大義であった」

「あ、ありがとうございます!」

 

 

俺はハドラー様と同じ様に土下座をした。今までバーン様と直接話をする事なんて無かったから緊張するっての!

 

 

「うむ。そしてデスカールよ。本来であれば貴様はイーリスが傷付いた原因の一人である以上、ガルヴァス同様に処刑……となるが貴様は暴走状態であったがイーリスが救った身。ならばイーリスが目覚めた時に沙汰を下す」

「は、ははぁ!」

 

 

クソガイコツは即処刑かと思ったがお嬢の為に猶予は与えたって所か……

 

 

「では、行けハドラーよ。勇者の首を取ってくるのだ」

「は、必ずや……」

 

 

ハドラー様はバーン様から最後のチャンスを与えられ出撃して行ったが……めちゃくちゃ緊張した。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇sideキルバーン◇◆

 

 

 

ハドラー君が最後の戦いへと赴いた……魔王の頃は自信たっぷりの覇気に溢れてたのにアバンに敗れ、バーン様の強さに恐怖した彼は精神的な脆さから敗北を重ねた。

自称慈悲深いバーン様はハドラー君に最後のチャンスを与えたけど、これがイーリスだったら三度の失態と言わずにいくらでも許しそうな気がする。

バズズやデスカールも一応はお咎め無し……と言うかイーリスが目覚めてからの対応になったし。

 

 

まあ、それならそれで『僕』にとっては都合が良い。

さっきも僕とミストはイーリスの迎えの名目で戦いの場であったテランまで足を運んだ。

ミストはルーラで鬼岩城に帰ったバズズとハドラー君の迎えで別行動をして僕とピロロはコッソリとヴェルザー様に連絡を取っていた。特殊な魔力を使った連絡方法でバーンパレスに居るバーン様や鬼岩城に行ったミストにも察知されずに報告が出来る。

ピロロがヴェルザー様と話している間は僕は僅かな自由になる時間に思考を巡らせる。

ヴェルザー様から与えられた指令は『大魔王バーンの協力者になれ』『隙あらばバーンを抹殺しろ』の二つ。後半は慢心はしていても隙を見せないバーン様相手には厳しいよネ。

 

だが、これからを見ればどうだろう。愛を知らぬと言うバーン様も今じゃイーリスに親としての愛情が芽生えている様にも見える。

これなら『僕』の望みを果たす為に立ち回れば皆を出し抜いて僕の願いを果たせるかもしれない……

 

 

「お待たせ、ヴェルザー様への報告も終わったしバーンパレスに戻ろうか」

「そうだね、ピロロ」

 

 

ヴェルザー様との報告を終えたピロロの言葉に僕の自由時間は終わりを告げる。

そしてバーンパレスで先程のハドラー君やバズズとデスカールの話に戻ったと言う訳だ。

 

 

ハドラー君がダイ達を始末に向かったけど、どう転んでも僕は僕なりに動くまでさ。

 

 

 

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