◆◇sideハドラー◇◆
負けた……言い訳のしようもない程に叩きのめされた。
大魔王バーン様に最後のチャンスを頂いた俺はザボエラと共にダイ達に奇襲を仕掛けた。ザボエラの魔香気でダイ達を深い眠りに着かせた。魔法使いの小僧が一人で見張りをしていた事からザボエラがモシャスでダイの仲間の小娘に化けて不意打ちをした。ザボエラの毒素に侵された魔法使いの小僧は地面に伏し、倒れ込む。コイツを早々に始末してダイの首を取らねば……
「見損なったぜ、ハドラー!」
「なんだと?」
ヘルズクローを構えた俺に魔法使いの小僧の言葉が胸に刺さる。
「テメェは残酷だけど卑怯じゃなかった!今までも何度か戦ったが、そん時にゃまだ『魔王の威厳』みたいなのがあったぜ……だけど、こんな妖怪ジジイの汚ねえ騙し討ちに頼るとはよ……とうとう落ちるところまで落ちたな!」
「だ、黙れ!最早、俺には失敗は許されんのだっ!手段を選んでる余裕なぞ無いっ!」
ハナタレ小僧だったコイツからここまで言われるとは……だが、俺とて退く事は出来んのだ!
「クロコダインのオッサンも……魔王軍にいた時に同じ様な事を言ってたっけな……だが最後には分かってくれたぜ!男の戦いには、勝ち負けより大事なものがあるって事をな!!」
「うぐっ!」
「この…ガキが生意気にもハドラー様に説教たれる気かっ!」
ザボエラは動けなくなった魔法使いの小僧を蹴り飛ばすが俺の心は揺らいでいた……
そしてザボエラは魔法使いの小僧にトドメを刺そうとしたがアバンと組んでいた大魔導師を自称する魔法使いが増援に現れおった。
ダイ達諸共に始末してやろうかと思ったが手強い……いや、今の俺の魔法力を上回るだと!?しかも俺の放ったベギラゴンと同等以上のベギラゴンを放ちおった。ザボエラの援護で優勢に立った俺だがダイが加勢しに現れおった。ザボエラの魔香気を打ち破ったのか!?
直後、ダイは俺のベギラゴンとザボエラのベギラマを右手で受け止め、跳ね返しただと!?
これは以前、イーリスがやろうとしていた呪文の一つだ。
『相手の呪文を受け止めて自分の呪文を上乗せして放つ……出来たら最強じゃね?』
『無理だな……自分を上回る敵であった場合、確かに凄まじいカウンターとなるだろうが、魔法力の差がある以上それは机上の空論に過ぎん。だからこそ防御呪文はフバーハやマホカンタしか生まれなかったのだ』
俺はイーリスが目を輝かせ言っていたカウンター呪文の事を思い出した。俺は机上の空論と笑ったが……今、ダイがやった事はイーリスが言っていたカウンター呪文に相違ない。俺の放ったベギラゴンの威力を吸収してダイ自身のベギラマが上乗せされた呪文が迫る。俺もザボエラもダイの呪文に吹き飛ばされた。下半身が消し飛ばされながらも這いながらも逃げ出し、撤退した。
俺は悟った……今のままではダイに勝てん。ザボエラの策で寝込みを襲うつもりだったが、それですら勝てん。ならば今の俺が更に強くなり、真っ向から戦わねば意味もない。
逃げ出そうとしていたザボエラを捕まえ、奴が研究していた超魔生物の研究を俺にしろと命令する。そうでもしなければダイに……アバンの使徒には勝てん!
「あー、ハドラー様。その研究はそのジジィの研究じゃないんスよ。息子のザムザが研究してんのをジジィが横取りして自分の手柄にしてる。だから研究そのものはザムザの方が進んでますよ」
「貴様は……何者だ?いや、見覚えがあるな」
「な、なんでお前がここに居るんじゃ!?」
俺とザボエラの背後から声がかかる。一瞬、ダイ達が追いかけてきたのかと思ったが違う。そして僅かにだが見覚えがあった。
俺が大魔王バーン様に仕える前に、俺が魔王を名乗っていた頃にザボエラのアジトで見た。ザボエラの息子ザムザと同様にアジトに居た。
「アタシの名はザエラ。そこのジジィの娘です。姫様の為にもハドラー様をお手伝いする為に来ました」
姫様……イーリスの事だな。だが、誰でも良い。俺がもっと強くなる為にならどんなものでも利用してくれるわ!
『ザエラ』
ザボエラの娘でザムザの妹。
小柄な体格でザボエラよりも少し背が高い程度の身長。髪も長く後ろで二つ縛りのおさげにしている。
服装は神官の服を魔族風に改造した服装で手にはハンマースピアを持っている(マァムが持っていた物よりも攻撃的なデザイン)
前髪が長く目元が見えなくなる程。これは目付きがザボエラやザムザに似ている事を気にしているから。
笑うと八重歯が見えてそれがより一層の悪ガキ感を醸し出している。
性格は人を小馬鹿にした態度や挑発的な言動をする悪ガキの様な性格。
ザボエラ、ザムザと違い回復呪文や補助呪文の研究を進めており、補助アイテムの開発もしている。中には悪戯する為のアイテムも含まれており、様々な者が被害に遭っている。イーリス曰く『悪事・イタズラ専門のドラ◯もん』
一人称は『アタシ』語尾に『ッス』を混ぜた話し方をする。
イーリスの事は『姫様』と呼び親しんでいる。
ザボエラの事は『ジジィ』ザムザの事は『兄貴』と呼んでいる。
ザボエラに認められ様と必死だったザムザに対してザエラはザボエラを嫌っている。