◇◆sideバズズ◇◆
「おい、お嬢はどうなってんだ?」
「わかりません……何故目を覚まさないのかすら……」
お嬢は鬼岩城の医務室……と言うか研究室の中に設置された蘇生液に満たされたポッドの中で眠りについている。外傷はほぼ治癒しているが意識が戻らない。
ミザルを始めとした科学者連中がお嬢の身体を調べてるみてーだが進展は無さそうだ。
「恐らくだがイーリス様は先のバラン殿と勇者ダイとの戦いで竜の騎士としての力を解放した……いや、解放し過ぎた結果体力のみならず体内の竜闘気ですら使い果たしてしまわれたのだ」
「だったらテメェにも責任があるのを忘れんなよ、クソ骸骨」
情報提供者として執行猶予が下されたクソ骸骨ことデスカールは頭だけで話す。コイツの頭を砕いてやりたいがバーン様の決められた事だし、最後の判断はお嬢が目覚めてからって言うから俺は何も出来やしない。
「デスカール殿、アナタ程の知恵者が何故ガルヴァスの部下に甘んじていたのです?」
「あの頃の私は最初に認めてくれたガルヴァスに忠義を見出していた。今となっては盲目だったと言わざるをえんが……あ、私目が無いんですけど」
ミザルの野郎はクソ骸骨の元々持っていた知識に感嘆してるみてーだが……
「私にもイーリス様が目覚めぬ理由は明確な答えはわからん。だが、バズズよ。貴様にイーリス様から魔力の供給は止まっていないのだろう?ならば目覚めぬ原因は他にある……と思うがな」
「皆目見当もつきませんね……せめて何か手掛かりがあればとは思いますがバラン殿は魔王軍から離脱してしまいましたから竜の騎士の情報が少な過ぎます」
「お嬢様……おいたわしや……」
クソ骸骨やミザルは頭を悩ませ、アイナは目覚めないお嬢にヨヨヨと涙を……いや、流してねぇな。悲しんではいるみたいだが。
「しかし、わからねぇのはハドラー様もだな。バーン様から最後のチャンスとして勇者のクソガキをぶっ殺しに行ったみたいだが行方知れずなんてよ」
「それを言うならザボエラ様もですね。ハドラー様と共に出撃した様ですが彼も行方知れずです。妖魔師団にも戻っていないみたいです」
俺の言葉にミザルも同様に疑問を抱いてるみたいだ。ハドラー様とザボエラのジジィが出撃したのに行方知れずで勇者のガキはパプニカに居ると聞く。つまりハドラー様は返り討ちにあったって事になる……
だとしたら勇者のクソガキはとんでもない強さって事になる。ハドラー様を単体で返り討ちにするって事は魔王軍内で勇者のクソガキを倒せそうな奴はいないって事だ。
あのクソガキ共にリベンジマッチをしたかったが俺が行っても勝てる可能性は限りなく低いな。それこそミストバーンやキルバーン辺りが行かないと勝てねぇんじゃないか?
「お嬢様をこんな目にあわせるとは……許せませんね」
いや、居たわ。勝てそうな奴が目の前に。
目覚めないお嬢を憐んでいたアイナの怒りが勇者のクソガキ達に向けられていってる。お嬢の周囲に居る研究者共も引いてるし。
「ふむ……ザボエラ様と言えば……ザエラも姿を見せませんね。彼女はイーリス様と仲が良かったから姿を見せても良さそうなものですが。それに彼女の回復呪文やアイテムも試したかったのですが」
「ザエラはやる事があると言ってから姿を消した様ですね。お嬢様の為に……とは言っていた様ですが」
「ザムザの奴はザボエラのジジィとは別件でパプニカに潜入してるみてぇだがな」
ミザルやアイナはザボエラのジジィの娘のザエラの事を気にしてる。あのクソアマもザボエラのジジィやザムザの奴みたいマッドサイエンティストだった。
俺の毛皮を伸ばす薬を勝手に使いやがって。朝目覚めたら別のモンスターみたいな見た目になっちまった。殺そうかと思ったがお嬢があんまり笑って許すもんだから殴る事しか出来なかったぜ、クソが。
ザムザの奴はザボエラのジジィの研究の一環と侵攻作戦って事でパプニカに潜入してるって言ってたな。確か部下のベルドーサを連れて実験するとか言ってやがったな。
パプニカで人間共が集まって武道大会を開いてるなんて聞くし……後で行ってみるか。ザムザの研究がお嬢を目覚めさせる事が出来るなら首根っこ掴んでもやらせてやる。