◆◇sideマァム◇◆
ロモスで開かれた武術大会。ダイやポップ達と合流する前に力試しに出場した大会で私は二人と再会した。二人は武術大会の優勝賞品の覇者の剣を求めてパプニカから飛んできたけど参加には間に合わなかったみたい。
二人に再会した私は更に驚かされる話を聞いた。
ダイとバランの親子関係。ポップがバランとの戦いで仮死状態になった事。そしてイーリスの出自と暴走状態による死闘。
どれも私の想像を超えた話ばかりだった……特にイーリスの事は驚かされた。魔族でありながら人懐っこい性格だったあの子が残忍な性格になってしまうなんて。
ダイはバランやイーリスに対抗する為に竜の騎士がフルパワーで扱える伝説の武器を探し求めた。そして私と再会し、覇者の剣を……
「ダイ……私は親子や姉弟で戦う為にアナタに覇者の剣を渡したくないわ。確かにバランやイーリスが脅威だったとしても親姉弟で戦うなんて悲しいわ……」
覇者の剣が無ければバランやイーリスと渡り合えないかもしれない。でも実の親子で戦うなんて私は認めたく無かった。
「マァム……竜の騎士の力は凄いんだ。バランやイーリスの力は凄まじいし敵わないって思っちまったよ。正に世界を滅ぼせる力って奴さ。でもダイはそんな力を俺達の為に……使ってくれてたんだ。それに今回の戦いで思い知らされたんだよ。これは今までダイの力に頼りきりだったんだってな。だからダイの力になれる物を探したいんだ」
「そうそう。それに俺が力を間違った事に使おうとしたら俺をブッ飛ばしてよ」
「ポップ……ダイ……」
ポップはダイの紋章の力に救われていたけどそれに頼りきりだった事を悔やんでる。ダイは竜の騎士として孤独に戦おうとしていたけどそれを救ったのはポップで戦いを止めた……と言うよりも機転になった。そんなポップはダイの力になろうと必死だったのに私は私の意見ばかり押し付けて……
「……再会してから凄い話ばかりで、考え方が極端になっちゃったわね。任せて、私が優勝して覇者の剣をダイに託すわ。それにダイやポップが間違えたならブッ飛ばすのも任されたわ」
「いいっ!?俺もかよ!」
「アッハハハッ!」
私が冗談めいた事を言いながら覇者の剣をダイに託す事を告げたらポップもダイも笑ってくれた。うん、私達はこうじゃなきゃって気がする。
よーし、今予選を戦ってるチウの応援もして私が優勝しなきゃね!
◆◇sideザムザ◇◆
俺の名は妖魔師団の一員ザムザ。ザボエラの息子だ。
俺は魔王軍の命を受け、人間共の強者を捕え、魔王軍の一員にする為に暗躍をしていた。
その為にはまず……覇者の剣のレプリカを作る事から始まった。
人間に扮してパプニカに賢者として潜入した俺は王に取り入って城の内部の把握する事から覇者の剣の所在を確認して精巧なレプリカを作る事にした。なんせハドラー様に献上する為に人間達にバレない様に盗み出し、代わりにレプリカを置かねばならない。
「いや、どうやって?」
俺の専門は魔術や生物の研究が主だったものだ。鍛冶としての研究はしてこなかった……
「ザムザ様……どうしましょう?」
「やるしかあるまい……」
部下のベルドーサが俺に不安そうな顔で聞いてくるが俺が聞きたいくらいだ。だが足踏みをする訳にもいかん。
ロモス王に提案した武術大会で人間共の強者を捕え、実験材料にする為になんとしても間に合わせなければ……
俺はその日から鍛冶の知識を学び、レプリカ作りをする事にした。作ったレプリカが人間共バレない精巧に作らねばならない。
武術大会の段取りやバイオプリズンの作成、舞台上に罠となる宝玉の埋め込み。作り上げた覇者の剣のレプリカを本物とのすり替え作業。イーリス様の原因不明の昏睡している事への報告に対する見解の考察。
やる事が……やる事が多い!
だがやらねばならない。全ては大魔王様の為に!ハドラー様の為に!イーリス様の為に!父上から認めてもらう為に!
そうして迎えたロモス武術大会の当日。俺はロモス王の側近として側に控えていた。ドキドキしながら俺は参加者や観客達の反応を見る。
「凄い!アレが覇者の剣か!」
「なんて凄い剣なんだ!」
「俺が優勝していただきだ!」
「ふん、剣士たる俺が手にしてこそ価値のある物だ」
観客や参加者である人間の強者達が俺の作った覇者の剣を褒めちぎってくる。よし、バレてない!苦労して作った甲斐があるってもんだ!
順調だ……フフフ、これならば作戦が失敗するなんてあり得ないだろう。
勇者一行が現れない限りな!