転生したら大魔王の娘だった   作:残月

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尋問されました

 

 

 

キルバーンと出掛けた翌日。バーンに呼び出されてチェスをする事に。いつもの定例チェスではなく急遽呼び出されたのだ。まあ、間違いなく昨日の一件だろう。

 

 

「イーリスよ。キルバーンに連れられて下界へ行ったそうだな?」

「は、はい……修行になるからと……父上に許可を取って無かったのは後で知りました」

 

 

何手か指した後にバーンが口を開く。心なしか機嫌が悪そうだ。

 

 

「そなたはまだ隠しておきたい存在だったのだ。そなたの存在はそなたが考えている以上に大きい。その事を努々忘れるな」

「う……気を付けます」

 

 

威圧されて流石に萎縮する俺。つーか、機嫌悪すぎじゃないですかね!?あ、ナイト取られた上にクイーンがヤバい。

 

 

「それで初めての戦闘はどうだった?」

「なんて言うか……最初は体が強ばってマトモに動けませんでした。その後、キルバーンの挑発を受けてから……なんかカッとなって後は無我夢中に戦ってました。でも、頭は冷静だったと言うか……うーん」

 

 

初めての戦闘を聞かれるが、ぶっちゃけ怖かった。途中から体から溢れだす何かに翻弄されていた気もするが。

 

 

「そうか……だが、戦闘能力の向上と魔法をマトモに使える様になったのは悪いことではない。今後の成長が楽しみだ。チェックメイト」

「う……参りました」

 

 

相変わらず強いよバーン様。アッサリと決着のついたチェス。

 

 

「それはそうと……キルバーンに抱えられて帰ったと聞いたが?」

「すみません、その辺りは眠っていたので……」

 

 

表情はそのままだが圧が増した。どうも初戦闘を終えた後、俺は気絶していたらしい。キルバーンの前で気絶とか超怖い。まあ、なにもされずにバーンパレスまで送り届けてくれたみたいだけど。

アイナさんからの話じゃ、キルバーンはお姫様抱っこでバーンパレスまで運んだらしい。帰ってきた俺とキルバーンを迎えたミストバーンとアイナさんは怒ったものの、キルバーンの手から俺を取り上げると寝室まで運んで何もされてないか診察までしたらしい。俺が言うのもなんだが過保護だと思う。

 

 

「その……迂闊だったのは自覚しています。今後気を付けます」

「そうしろ。マトモに魔法が使える様になったのなら今後の指導方針も考えなければか……下がってよい」

 

 

 

素直に謝罪をしたら何やら考え込んでしまった。退室を促されたので席を立ち、その場を後にする。うーん、思うようにいかないもんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇sideバーン◆◇

 

 

定例のチェス以外でイーリスを呼び出し、キルバーンと下界に出た時の事を聞き出す。イーリスは竜の騎士とも魔族とも思えない……しいて言うなら人間寄りの心を持っていると考えていた。それをキルバーンがわざと人里近くでイーリスを刺激させた。

その結果、イーリスは戦闘能力が格段に増した。キルバーンの報告では楽しそうに戦っていたと。まるで魔族の様な笑みを浮かべていたと。イーリスは余がバランの血を用いて生み出した擬似的な竜の騎士で何かしらの不具合が生じると思っていたが……

 

普段は人の心を持ち合わせ、何らかの切っ掛けで魔族の本質が表に出るといった所か。竜の騎士は『竜の力、魔族の魔力、人間の心を併せ持つ究極の生物』だが、擬似的に生み出した結果、そのバランスが悪いのだろう。

 

 

育て方を間違えれば血と破壊を好むバーサーカーに成りかねんな。だとすれば……イーリスを的確に指導できる存在に任せるしかない。だが、魔族の幹部に任せれば結果は同じになってしまうだろう。

 

 

「仕方がないな……気は進まんが奴に頼むとするか……」

 

 

地上で唯一、余に逆らいうる人物に連絡を取る事にした。イーリスの事は奴には伝えていなかったから驚愕するだろうが、邪険にはしまい。息子を失った悲しみを持つ奴がイーリスを攻め立てようなどあり得ぬのだからな。


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