紗夜のBはBitchのB!   作:黒マメファナ

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Dの受難/二度目のボスダンジョン

 花咲川学園生徒会室にて、その事件は起こった。

 燐子さんと密室で二人きり、荒い吐息で燐子さんは俺を見上げてきた。

 

「お願いします……ガマンできないんです……触って、ください」

「こう?」

「んっ、あ……もっと、揉んで、ください……いっぱい」

 

 艶かしい声、揉む度に、燐子さんの身体がピクン、ピクンと跳ね、吐息が漏れる。

 

「コリコリですね……タマってたんですか?」

「……や、そうじゃなくて……」

「だったらどうしてこんなに……」

 

 正直ドキドキするけど、とあるビッチから助けてもらったから燐子さんには恩もあるしね。

 ──でも、心臓に悪い声はださんでください。

 

「強くします、よっ」

「あっ、んん、だめ……そんな、はげしく、しちゃ……ぁん」

「どういう状況ですか!?」

 

 紗夜さんが焦って闖入してくる。うーん。説明が長くなるけど、元はと言えば、紗夜さんのせいなんですからね? そこんとこ、自覚してほしい。

 ──そう、あれはほんの少し前のこと。

 

 

 

 

 ♪ ♪ ♪ 

 

 

 

 

 

「は?」

『ですから、文化祭の出演の手続きのためにカンベさんに来校をしてほしい、と言いました』

 

 いや意味わかんないし。

 なんで文化祭出なきゃならないの? OKいつ出した? 

 

『それはタイクーンさんから』

「じゃあ来校もタイクーンでよくない?」

 

 しかし、紗夜さんは毅然とした声でダメなんです、とそれを否定した。

 そ、そこまでってことはなにかやむを得ない事情があったりするのか……? 

 ──ちなみに、今年の花咲川学園文化祭はリサや友希那が通う羽丘学園と合同らしい。

 

『それじゃあ私がカンベさんに会えないじゃないですか!』

「120%の職権乱用だな?」

『そもそも生徒会長権限もあるので』

「燐子さんまで!」

 

 二人揃ってダメなやつだな? というか教師は? 素行不良二人に任せていいと思ってんの?

 まぁ、冷静に考えれば優等生で通ってる紗夜さんと燐子さんだもんな。信用されてるよな。

 

『ええ、それに身体の関係もありますから』

「は?」

『冗談です』

「いや冗談に聞こえないからやめて」

 

 どうやら事前アンケートの中に少なくない数のワンドルの名前があったらしい。だから紗夜さんと燐子さんがゴリ押ししたらしい。

 

『というわけで明日よろしくお願いします。タイクーンさんにも了承済みですので』

「……アイツ」

 

 恨んでやるタイクーン。てめぇは許さない、絶対だ。どうせ対価に友希那関連あっただろ。釣られちゃったんだな? 

 

『というわけで、頼みましたよ、カンベさん』

「ちょ、ちょっと──」

 

 プツ、という音の後にプープーと無慈悲な音が鳴り響いた。俺の意思は無視かよ! 

 そんなこんなで、俺はもう二度と来るまいと思ってた花咲川学園へとやってきた。

 紗夜さんの出迎えを待っていると、カンベさん、と俺を呼ぶふわっとした声が後ろから聞こえてきた。

 

「ふふ……どうしたんですかあ?」

「──!?」

 

 振り向く前にふーっと耳に吐息をかけられ、背中に柔らかく暖かい感触がした。もしかしなくても、このヒトは……松原さんだね。

 

「な、なんで……ここに」

「それは……私だってここに通ってるからだよ?」

「……あ、そっか」

 

 松原さんも花女のヒトなんだった。ちくしょう、なんで紗夜さんはそれを知ってて俺を呼んだんだよ! さてはなにも考えてなかったな! おかげで俺が大ピンチだよ! 

 

「ねぇ……どう?」

「どう、とは?」

「燐子ちゃんには負けるけど……私も結構、おっきいんだよ?」

 

 胸の大きさを押し売ってくるし押し付けてくるね。ただ童貞だから大きい大きくないじゃなくて、純粋に柔らかさと甘いいい匂いがするから、反応しちゃうんだよな、無条件で! 

 

「ホントに慣れてないんだ、ふふ……かわいい」

 

 いやぶっちゃけて言えば松原さんの方がかわいい。くすくす笑うと更にエロかわいい。童貞が靡くのもわかるエロさ。押しつけがましすぎずに、でも確実に男の欲を刺激してきてる感じだ。なんで冷静にレビューしてんだ俺はよぉ! 

 

「あは、コーフン……してますか? よかったら、私が剥いてあげますよ……?」

 

 うわぁぁ、やめろぉ! 吐息多めに囁くなぁ! む、ムスコが、ムスコがぁ! 全然お前の出番じゃないから! 落ち着いてくれ! 

 童貞キラーを前に俺の逃げ道がどんどん失われていくんだけど!? 紗夜さん助けて!

 

「残念だけど……紗夜ちゃんは今弓道部の活動中だから、助けは来ないよ」

「嘘だ!」

「でもお、学校に用事があるんだよね?」

「そう! だからお誘いにはノれません」

「うふふ、それならあ……私が案内して上げるね」

 

 そう言って松原さんは俺の手を引いて、校門を潜った。抵抗しないと……って力強いな!? なんで俺が引きずられてんの!? 怖いよこのヒト! 

 

「ドコに案内すればいい? 保健室、空き教室、体育倉庫?」

「いや松原さんのイキたいトコじゃなくて生徒会室でお願いできます?」

 

 ははーん、さては案内する気なかったな? 

 すると、松原さんは不満げに唇を尖らせた。いやいや、おかしいでしょその顔は。

 

「うーん、ガード硬いんだねえ、カンベさんって」

「まぁね」

 

 こっちだって伊達にあの氷川紗夜とかいうビッチから実に約五ヶ月もの間、童貞を守ってないから。

 今更多少の揺さぶりに本能がムクムクしても、理性と童貞をかなぐり捨てるほどじゃないんだよね。

 

「もっと、柔らかく考えた方がいいと思うんだけどなあ……」

「柔らかく、ですか?」

「うん、アソコは硬く、思考は柔らかく、ね?」

「一言余計ですね?」

 

 御生憎様、俺はそこまで性交渉に柔軟になれないな。誰かの恋人として、俺は俺のペースで童貞を卒業したいんだよ。恋人いないのにセフレや流された経験だけあったって、なにもないのと、童貞と同じじゃんか。

 

「んー……よく、わかんないや」

「……わかりませんか」

「うん。カレとのえっちはえっちでまた違うコーフンもあるし、セフレはセフレで、色んな性格や性癖の男のヒトが知れるし、デートはフツーに楽しいよ?」

 

 松原さんはそう、あっけらかんと言い放った。相変わらず、なんというかこの人種とは意見が合わなさすぎる。

 それ以前の問題なんだよ、そうじゃなくて、そもそもセックスを恋人以外とすることそのものが、俺にはまるで理解の外なんだけど、きっと松原さんはもうその辺の貞操観念が壊れてる。男友達とはセックスをするもので、浮気とか、罪悪感とか、そんなものは宇宙の彼方に飛んでってる。

 

「俺……楽しいとかそういうのでセックス、したくないってか、カンタンだったら、イミないって……ああもう、何言ってんだろうな」

「カンタンだったら……イミない?」

 

 ほら、やっぱりキョトンとしてらっしゃる。最近俺の貞操観念が間違ってんのかと思うくらいなんだけど。

 でも、俺にはわからない。松原さんの感覚が、ちっともわからない。

 

「……か、カンベ、さん……だ、大丈夫……ですか……?」

「燐子さん!」

「ま、松原さん……あ、あんまり、カンベさんに、くっつかないで……ください」

 

 その空白の間にやってきた燐子さんに助けられ、俺は普段は見ることのない、僅かな苛立ちを含んだ歩幅で手を引かれ、松原さんから離れていく。

 

「……っ」

 

 その時の松原さんの表情は、ふわふわとしたものとは違った、怒りの感情が瞳に映し出されていて、俺は思わず目を逸らした。何か言っていたような気がするけど、聞こえない。ただ明らかに、また面倒な糸に絡め取られてる感覚だけが、首元に張り付いて、息が苦しかった。

 

「……ありがとう、燐子さん」

「いえ……よかった、です……なんともなくて」

「うん」

 

 生徒会室に連れ込まれ……もとい避難し、俺は燐子さんに向き合った。あんな酷いフリ方したのに、燐子さんは変わらないどころか、こうやって、笑顔を見せてくれる。ホント、俺には勿体なさすぎる子に惚れられたよね……ビッチじゃなきゃ。

 

「あ、し、仕事……しなきゃ……っぅ!」

「り、燐子さん!?」

 

 突然、燐子さんが肩を抑えた。多分、無理に俺の手を引いたから痛めたっぽい。

 おそるおそる触ると、眉間に皺を寄せてびくっと跳ねた。

 

「……わたし、肩凝り、ひどくて」

「ああ……なるほど」

 

 胸がね、重いもんね。

 涙目で顔を赤らめた燐子さん……うん、慣れてなかったらやばかったな。

 だが、燐子さんはなにを思ったか椅子に座って、俺に背を向けて来た。もしかして……もしかして? 

 

「カンベさん……お願い、します……マッサージ、してほしい、です。普段はあこちゃんにやってもらうんですけど……」

「俺が……」

「お願いします……ガマン、できないんです……触って、ください……」

 

 こうして、悶える燐子さんの声に理性を破壊されそうになりながら、紗夜さんが来るまで、俺は燐子さんの肩をマッサージしましたとさ。

 髪、めっちゃサラサラだったし、上目遣いエロいしでなんどムスコを握り潰してやろうと思ったことか……

 

 

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