紗夜のBはBitchのB!   作:黒マメファナ

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Fとのデート/今日だけのカップル

 わくわくドキドキ心臓に悪いおでかけが、今始まろうとしています。今日のお相手はFサイズのビッチさんこと白金燐子さん。わー、緊張でどうにかなりそうだー。

 一応精一杯にオシャレに気を遣って、というかライブ行く時みたいにランスとトーマにダメ出しを沢山してもらって選んだ、選んでもらったし、髪もいつもより念入りにするためにトーマと一緒にいつもの美容院で整えてもらったし、セットもトーマに見てもらった。トーマくんマジイケメン。

 

「あ……か、カンベさん……」

「おはよう、燐子さん」

「はい……おはよう、ございます……」

 

 先に待っていた俺に向かってたゆんと……じゃなくてペコリとあいさつをしてくれる燐子さん。こうやってただ対峙すると大人しそうなお嬢様で、凡そ性的なものとは無関係に生きてそうだよね。まぁ中身はオフパコ上等のコスプレ大好きビッチさんなんですけど。

 

「文化祭、以来ですね……」

「そうだね、ってそんなに経ってないけど」

 

 秋の風がすっかり吹きすさぶこの時期、既に文化祭は終わりました。はい、多くを語る必要がないのですから致し方ありませんとも。

 ただ、燐子さんを始めとして紗夜さんにも振り回されて、時折女性としての魅力を総動員されてドギマギしたってだけでいつも通りですね、はい。

 そうそう、ただあこちゃんの動員は勘弁してもらった。あの時よりも心境とかいろいろ変わったし、二人でゆっくり話したかったし。

 

「それじゃあ……行きましょうか」

「うん」

 

 燐子さんとのデートは予定が変わらず映画館に行くことになっていた。最初はあこちゃんも行く予定だったし、もしかしたらアニメ系かなと思ったら、ガッツリ恋愛ものだった。しかも純愛。

 

「こういうの……観るような友達、いませんでしたから……」

 

 なんて言われたら、それじゃあ俺がって思っちゃうよね。そうやって許可を出した時の燐子さんの表情は、本当に抱きしめたくなるくらいにかわいかった。そもそもいつもはちょっとだけ距離のある燐子さんが甘えてくるとどうなるかって破壊力すごいから。めちゃくちゃだよ。

 そんな燐子さんの隣を歩くために移動すると、自然と燐子さんは俺の腕に手を添えて、もにゅんと……じゃなくてそっと、まるでそうすることが決まっているように腕を組んだ。

 

「……今日は、わたしの……カレシとして、ふるまってくださいね……カンベさん」

「難しい注文だね」

「デート……ですから」

 

 カレシって言われても、俺はまだ本物のカノジョすら作ったことないんだけどね。だから戸惑ってるんだけど、燐子さんは首を横に振って、カレシのように、というのを強調してくる。今日の燐子さんは甘えん坊で、ちょっとだけ頑固だ。

 

「でも、それにしたってくっつきすぎじゃない……?」

「そんなこと、ありません……カノジョですから」

 

 あの、だからってそれを免罪符にするつもりじゃないよね? なにしてもカノジョだからって言われて押し切れると思ったら大間違いだからね? 

 と思ったけど既に腕は柔らかな感触に覆われて何も言えなくなった。押し切られてるきがする。

 

「……映画館でなら、触っても……いい、ですよ」

「触りません」

「声……なら、我慢しますから……ね?」

 

 ね? じゃなくてさ。

 というか、そもそもさ、燐子さんは触ってくるのを我慢するほうでは? 

 そんな言葉に燐子さんは手を上下に振って、そんなことありませんと否定してきた。いやそれ否定してない肯定してる。

 

「お口でも構いませんから」

「でもってなに?」

 

 妥協したみたいにならないでほしい。全然妥協してないし、なんなら手の方がバレないまであるよ。あ、だからって手もやめてね? 純粋に映画鑑賞させてください。

 そんな下ネタ、なんだかそれすらもいつも通りな気がする恐ろしさを抱えながら映画館へとやってきた。キャラメルポップコーンの匂いと独特の雰囲気、いつもココに来るとわくわくするよね。子どものころのことを思い出すせいかな。ヒーローや好きだったキャラクターたちに大きなスクリーンで会えるってわくわく感が、今でも俺を衝き動かすんだよね。

 

「……カップルシートとか、ないんでしょうか」

「いやネカフェじゃないんだから」

 

 思わずツッコミをしてしまう。ネカフェはそういうのあるけどさ、と思ったらなんと、そういうのがあるらしい。どんなものなのか逆に気になってきた。

 燐子さんと顔を見合わせる。どうしよう、って感じだ。いざあると困ってしまう。だってカップルじゃないわけだし。

 

「……どうしますか?」

「じゃあ……燐子さんの要望、なら」

「いいん、ですか……?」

 

 いいもなにも燐子さんは期待してるじゃん。俺が頷くと燐子さんはパァっと花が咲いたように微笑みを浮かべた。あ、カップルシートは許可しましたけどおさわり禁止は守ってくださいね。

 

「……がんばり、ます」

「頑張らないといけないんだ……」

 

 ポップコーンはいらないらしく、燐子さんと俺はドリンクだけ購入した。俺はポップコーン食べたい派なんだけど燐子さんは静かに観たい派らしい。そこは疑似カノジョを立てておくとしようかなと黙っておいた。

 ──同時に、紗夜さんはポテト買ってたなぁ、という思い出も封印した。一度だけ出くわして犯されるか選べって言われたことあるんだよね。と、そんな忘れたい思い出話は置いといて、案内に従ってスクリーンに入っていく。

 

「……これが、カップルシート……」

「ええ……」

 

 いや語彙力消滅した。なにこれ、まさしくカップルシート。席の間にあるはずの仕切りのようなものがない状態の長い椅子が並んでる。これは思う存分くっつきながら映画観れるね、カップルならね! 

 ただ、俺としてはこの暴走Fビッチを止めながら100分を耐えなきゃならないわけで、なにそれ観る拷問では? 

 

「膝枕も、できちゃいますね……♪」

「しないから、それはバレるから」

 

 そんなことを言ったらカンベさんが、わたしの膝に来るんですよ? と言われた。なにその楽園。ユートピア!

 ──じゃなくてさ、それでもダメ! ダメです! 俺はまだ清い身体でいたいんだ! 

 

「ふふ……♪」

 

 と拒否したものの、燐子さんが取り出してきたのは大きなブランケット。ちゃんとくっつけば二人の足がすっぽり覆われる大判の……ってそれどっから出したの? と思ったけどツッコまないでおく。

 そうしておいて、燐子さんは俺の肩に頭を乗せて、ブランケットの中でそっと手を握ってきた。握り返すと嬉しそうにもにゅんと……じゃなくて、えっと、ダメだ変わりの擬音が思い浮かばないけど、とにかく甘えてきた。めちゃちゃ柔らか……もといかわいいんだから困るよね。

 

「……ねぇ、カンベさん?」

「ん?」

「気分が盛り上がったら……その……止めて、ください」

「……うん」

 

 もう既に俺の理性はピンチの連続なんだけど、鋼の理性がほしい。このまま燐子さんの言う通り今日はカノジョのつもりでって甘言に甘えていちゃいちゃしてしまいたいくらいだ。

 そう思っていたら、燐子さんは始まる寸前の暗くなったところで、小さな声で俺の名前を呼んだ。くっついてないとわからないくらいに小さな声で、弱々しく。

 

「なに?」

「……すき、です」

 

 そうやって燐子さんは俺から唇を優しく奪っていった。ほんの一瞬だけ、時が止まったかのように、まるで恋愛物語のクライマックスのように。

 ──いやいや、まだ始まってすらないんだけど最初からクライマックスにも程がないですかね。

 

「今日は……たくさん、キス……しましょうね」

「もう……勝手にしていいですから」

「そんなこと言ったら……コッチも、ほしくなっちゃいます……だから」

 

 それはダメですね、がっちりと指と指を絡め合って固定しておく。股間に手を伸ばそうとしないで、確かにブランケットがあれば見られる危険性は限りなく低いかもだけど、何度も言うが俺はまだ清い身体でいたいんですー! 

 抵抗をしていると、燐子さんは何を思ったか、俺の股間とは逆方向へと手を持っていって、すべすべもちもちの感触が俺の手の甲を襲った。

 

「え、え……なんで」

「いいですよ……今日はカンベさんのお好きなように……触って、ください」

 

 スカートはどうしたんでしょう、と思ったら燐子さん左手でスカートを捲っていらっしゃるのが見えた。おおっとカンベ選手の理性にヒビが入ったぁ! これはマズイ! 燐子さんの太ももの極上感触が最高すぎるうえに引けば今度は自分の愚息が危ない! これは進退窮まった! 

 

「え、映画、映画に集中……したい、な?」

「できますか……?」

 

 ええできませんとも。今は脳内会議が繰り広げられてるよ。押して触っちまえ派と引いて触ってもらいたい派の二つに分かれて戦争中でございます。触りたいと触られたいの狭間で揺れ動く俺の理性……ってどっちも映画に集中してねぇじゃん! 

 ──そんな中、脳内議長が重い腰を上げた。彼の発言力は絶対、この論争にもきっと片がつくはず。

 その結論は……手を離して触り合いっこ、という頭悪いことこの上ない結論だった、ほんと、ほんと俺の理性は紙くず同然だな! 

 

「き、キス……俺からもしますから……触るのは、やめたい、んだけど」

「……それじゃあ、いっぱい、ください」

 

 狙ったように微笑まれ、俺は天を仰いだ。ああ、もうダメ、燐子さんの手のひらの上な気がしてきた。

 何度彼女のキレイな唇に吸い込まれながら、時折開いて触れてくる舌を懸命に制しながら、俺の100分の拷問は過ぎていった。愚息がギンギンすぎてしばらく立てなかったです、はい。俺の理性は完全敗北していましたが、童貞という知識のなさが逆に功を奏する結果となったことをここに報告いたします。まぁ燐子さんはすごく幸せそうだし、最後のキスシーンに合わせて舌と舌が完全に絡み合って触れ合ったような気がするのは記憶から抹消しておこう、きのせいきのせい、これは勝ったな、ガハハ! 

 

 

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