ここでトドメ刺しちゃおっか。ウチのネコ科ちっくな幼馴染はそう言いだした。もちろん物騒なことじゃなくてタイクーンと友希那の関係の話。説得より自覚させてお互いで解決させよう外堀埋めよう作戦。命名今井リサ。センスないなと言ったら鳩尾にキレイに一撃もらった。えぐいです。
「具体的にはどうするのリサちゃん?」
「ふふふ~、よく聞いてくれた花音! その方法はこれだよ!」
「すまんウチのリサが」
「いや俺こそごめん、ウチの幼馴染が」
カフェデート中にばったり遭遇してこの丁度良かったとこのテンションだもんな。ごめんねトーマ面倒なの推し付ける形になって。まぁラブラブだからいっか? と問い返したらまぁなとか惚気てきた、コイツもコイツで大概だ。
「私としてはダブルデートでいいけど」
「俺の隣に来れるもんな」
「そ♪」
ベッタベタくっついてくるもんね花音。二人きりの時は隣に来るの白い目で見られるからやめようねって言ってある以上、こうなるんだよね。だから下手すると燐子か紗夜を連れたうえでこれをしようとするから困る。そうなると両サイドになって余計に白い目で見られるんだっての。
「トリプルデートで夢の国作戦! どう!?」
「……友希那ついてくるの?」
「確かに」
「だいじょーぶ! 友希那に行くよね? って言ってから決めたから」
その辺抜かりないんだな。関心する。とにかく後はタイクーン……は騙してテキトーに連れてくか。トーマも同意見だった。あれだな、俺とトーマとタイクーンで行こうぜって言えばあのお祭り男はついてくるに決まってるし。
「い、いいの?」
「まぁ、タイクーンにはっきりさせるいい機会だろ」
「トーマの言う通りだ」
ただな、ここで問題があるわけよ。リサとトーマとデートで友希那とタイクーンのデート、そして俺と俺のカノジョによるトリプルデートなわけだけど。この二人がいるってことはつまりはRoseliaの練習は休みでしょう? そうなるとこの時点で候補が二人になるし。
「え、私でしょ?」
ほらな。ここにいるんだよバッチリ聞いちゃってる子がさ。こう普段は三人仲良いのに誰かひとりになった途端戦争が巻き起こるからそれならいっそこの話だけを花音だけにした方がいいのかなとも思うんだけど。
「うーん、店長からもらったチケット六枚だからなぁ」
「……だよねぇ」
花音も俺の想いを汲んでくれてるのかちょっとだけ困ったような笑みを浮かべた。いやぁこういう時に甲斐性なしって大変だよなぁって思う。
後悔はしないけど、このまま俺のためにこうやって苦笑いされてしまうのはどうしようってなるよね。
「別にアタシらなしでもいいケド」
「いやそんなの悪いよ。どっちかというと別のメンツ誘ってよ」
そういうのに不公平は作りたくないからね。花音にはごめんだけど、俺はパスするって言おうとしたら花音が大丈夫、とほほ笑んだ。
なんか嫌な予感するんだけど? 俺が首を傾げると大丈夫、キミを裏切ることはしないよおとまたもや聖母スマイル。
「花音、ホントに任せても大丈夫?」
「うん、カンベくんには最近満たしてもらってばっかりだから……ね?」
ね? じゃないです。手をにぎにぎしてこないでね。
でも俺はびっくりしたことがあるんだよ。紗夜と燐子のテンポが独特すぎるってのもあるんだけど、花音はホントにフツーのテンポしてる。考え方は全く合わないのにデートの時ののんびり感とかすごい好きなんだよね。しかもデートはデート、セックスはセックスって考え方だから甘え方もそこまでガンガン来ないし。
最初は一番苦手だと思ってた花音も、今じゃ俺の大切なヒトなんだからさ。
「惚気るねぇ」
「えへへ……愛されちゃってるなあ。これは、ますます期待に応えないと」
「変なことはしないでね」
「うん。言ったでしょ? 私はキミを裏切ることはしないから。頑張るね」
そう言った花音の顔は自信満々に見えて、まぁ大丈夫だろうと思うことにした。花音の言葉は一つ一つが強い光を放ってるみたいで、そういえば去年うだうだやってた時にバシっと言葉をかけてくれたのは花音だったなぁということを思い出した。
次の練習休みに決行となった夢の国トリプルデート。当日、俺とトーマは見事タイクーンを連れ出して駅へとやってきた。
「え……? どういうことだ?」
「どうもこうも……ってすごい数だなリサ」
「でしょー、甲斐性なしのせいでさ」
「すいませんね甲斐性なしで」
メンツはRoseliaプラスで花音がいた。ごめん、半分俺の彼女なんだ。というかあこちゃんまでついてきたんだね。そういうとみんな行くのにあこだけ留守番なんて嫌だよー! と頬を膨らませていた。
「いーもんトーマ兄と一緒に回るもん!」
「それは~、おねーさんちょっと怒っちゃうカナぁ?」
「大人気ないぞリサ」
「三股は黙ってて」
ひどくね!? リサがすんげぇ冷たい目で俺を睨んできたんだけど。ホントお前は俺のことが嫌いすぎるな。
早く行きましょう、と友希那と紗夜が音頭を取って、あこちゃんがトーマの隣に座って、またリサとわーわー揉めてる。ちなみに俺はというとまぁこれは俺がもう通学で慣れ親しんだ形だけどね。
「紗夜」
「どうしたの?」
「いや、やっぱり変わろうかなって」
「平気よ。けど白金さんと松原さんは陽太にくっつきすぎよ」
「後で変わってあげるから、ね?」
「はい……今は、すぅ……ふふ……」
両手と前に花です。どうも三股クソ野郎です。
両脇をDとFによってサンドイッチされていて、目の前にはそれをうらやましそうにしてるCの花。ちなみに
「お、お前ら……」
「ごめん、俺らが行くって聞きつけられて」
「松原さんと今井さんがどうもすみません」
サラっと二人のせいにする紗夜。まぁでもこの数になったのはリサと花音だからな。というか二人って妙に接点がない割には仲良しな感じがあるよな。なんでだろう。
えー、一回バンド組んだことあるもん、と言っていた。ああメンツがアルバイトやってるって共通点からバイト応援ソングを作ったって文化祭のあれか。
「ごめんなさい……私はリサに誘われたのだけれど、いけなかったかしら」
「えっ、い、いや……友希那さんは別にっ」
「そう……」
友希那は透き通った琥珀の瞳でタイクーンを見つめる。おお、と花音と紗夜も燐子も、向かいの席にいたリサもあこちゃんも友希那たちの様子を見た。そういえば俺はタイクーンと友希那の直接の絡みをまじまじと見るのは初めてかもしれない。ちょっとわくわくする。
「リサは……トーマと回るの?」
「うん、そだよ~」
「あこも!」
「紗夜たちは」
「私たちはカンベさんと回りますから」
「……はい、わたしも……」
そして誘ったくせに裏切りである。清々しいくらい魂胆が見えるがタイクーンはさっきの俺たちの嘘のせいで俺とトーマは悪くない、ということになっているため強く出られない。まぁ俺たちいっつもカノジョに振り回されてるの知ってるだろうしね。だからってカノジョたちにも強くでられないのがタイクーンの残念なところである。ごめんな親友。
「あぶれてしまったわね」
「そ、そうっすね……」
「それで、よければでいいのだけれど……こういうところに来るのは初めてだから、なるべく一緒にいてくれると嬉しいわね」
「……は!? は、はっ、はい……その、オレなんかでよければ」
おおー、これが友希那の……なるほど、確かに俺たちは邪魔だな。基本は二人の世界に置いといてあげるのが吉だな。
──ん? というかこれ、一緒に回らないの? みんなで回ろうよトリプルデートってなんだっけ!?
「私たちはトリプルデートだけれど」
「紗夜と燐子と花音で
俺だけじゃねぇかトリプルデートなの。一度に三人の女とデートとか俺は一体いつからそんな甲斐性身に着けたんだ? 教えてくれよ。あとキミらお触り禁止守れる? 大丈夫? ああわかったこの際股間触んなきゃお触りありにしよう。それなら紗夜と花音は守れるもんね?
「……わたし、ですか?」
「白金さん……」
「燐子ちゃん、自分のこれまでの行動……振り返って思うことは?」
「あの……がまん、できなかったら……?」
「そもそも我慢しようねって話してたんだけど」
というかほら、あなたたちセックスできるのは三人中二人なの俺知ってるけど、今日は誰なの? と問いかけると花音と紗夜が同時に燐子を見つめた。なるほど……燐子なんだね。なら今回は安心してデートできるよ。
「口はいつでも……」
「紗夜、助けて」
「どこでするタイミングあるんですか」
「トイレ……とか、ですかね……?」
ヌきませんからね。というかこれは全員だけど禁止事項破ったらしばらくデートとセックスなしにするからね。特に燐子いいね?
燐子はあれだからな、普段がコスプレ好きすぎるがゆえに、デートでもプレイしたがるんだよね。あとすぐフェラって言う。
「大丈夫よ陽太。今日は私と松原さんも止めるから」
「ありがたい」
「うん、後でご褒美もらえるし……ねえ?」
破ったらペナルティとは言ったが守ったらご褒美とは言ってない。そう思ったけどご褒美……と一人釣られてる子がいた。燐子……いいのかそれで。紗夜もこれには溜息ついてるし。だからあえてそういう言い方したんだね。花音はご褒美なんて言い方しないもんね。
「……がんばって、がまんします……」
「その意気だよ燐子ちゃん」
「陽太、先が思いやられるわね」
「まったくだね」
俺もタイクーンみたいに純愛してみたいしトーマみたいにカッコよくなりたい。けど俺はこうなんだよね。
それは俺が精神的に童貞だからね。童貞なのにこの麗しくも困ったカノジョ三人も侍らせちゃってるんだもん。もうしょうがないところがあるよね。