紗夜のBはBitchのB!   作:黒マメファナ

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つぐみのBはーー?


Bは微笑む/天使か悪魔か【特別編】

 いつの間にか、俺は女性との付き合いっていうものに対して幻想(ユメ)を持つようになっていた。それはギャルっぽく派手になる幼馴染に対する反抗だったような気もするし、中学の時に下ネタで盛り上がってたのを聞いて嫌悪したからかもしれない。もうよく覚えてないけど。

 そしてその幻想はいつしか理想に変わった。そういう女の子と付き合いたい、そういう女の子を好きになりたい。そう、思うようになっていた。

 

「ふぁ……おはよう」

「あ、おはよう……ございます……」

「燐子だけ?」

 

 ──清楚でかわいらしい子と付き合いたい。こう、思わず守ってあげたい子を好きになって、ゆっくりと仲を深めたい。そしてお互いにハジメテを、だなんて。

 まぁ、その理想(ユメ)はその通り幻想でしかなかったわけだけど。現実は、そして現状はとんでもなく真反対なことばかりだ。

 

「あ、いえ……まだ羽沢さんがキッチンに」

「ああ、つぐみちゃん?」

「……はい」

 

 女性関係で傷ついたすぐ後に出逢ったヒトは俺の理想とは違って、カッコよくて、ビッチで。でもそんな紗夜に出逢ったおかげで俺は今こうして大好きなヒトたちと一緒に寝起きをして、笑い合うことができている。

 高校三年生の間に自分と向き合い、大学一年生の間で絆をより強く結ぶことができた。そして、大学二年生になってからもう夏が終わろうとしていた。

 

「あ、陽太さん! おはよっ!」

「つぐみちゃん、おはよう」

「ご飯もうちょっとで出来るから待ってて!」

 

 大学一年生の終わりにこの家にやってきた彼女の名前は羽沢つぐみちゃん。それこそ紗夜たちと出逢った頃からお世話になってる羽沢珈琲店の一人娘で看板娘の彼女は俺にとっての理想の女の子だった。だから、ゆっくりではなかった気がするけど、彼女にとって急すぎないテンポで恋人らしく気持ちを確かめ合ってきた。

 

「それじゃあ、出かける時とか施錠はしっかりね燐子」

「はい……わかりました……ご主人様」

「あのね」

「それじゃあ燐子さん、行ってきます!」

 

 今日はつぐみちゃんと二人で燐子さんを置いて家を出る。朝からどこに行くかと言うと俺としては三度目のプールだった。全員で行けばいいのにデートがいいからとかいう理由で紗夜、花音と別々にプールに行っていたのだ。燐子はそういうところは濡れ──もとい怖がるので家でコスプレするに留まったけど。

 

「おはようございます、カンベさん!」

「おはようひまりちゃん」

「つぐもおはよ!」

「うん、ひまりちゃん!」

 

 ちな、つぐみちゃんとはデートじゃない。いや俺としてはデートの方がマシだったのかもしれない。というか紗夜、花音、燐子、つぐみでプール行くとか言わなくてよかったとさっきの独白を手のひらドリルの遠心力で吹き飛ばした。両手に花は恨まれるって前の周回の俺が言ってた。次はうまくやるさって言っちゃったからね仕方ないね。

 そんな冗談は消して、リライトして、今日はこの二人だけではないんだけど、男は俺一人だったりするのだ。ハーレムなのだ、これは家では普通のことなのが余計に俺の感覚を麻痺させてる。そんなことを考えていると前方から待ち合わせ相手──と、もうひとり女の子がいた。

 

「カンベさん!」

「こんにちは〜♡」

「……あれ、ロックちゃんだけじゃ」

「なんとなーくついて来ちゃいました」

「あー、あはは……」

 

 やってきたのは七月に対バンをしたことで繋がりが強まったRASのうち、ロックちゃんとパレオちゃんだった。ロックちゃんはいい、メガネを外さなきゃ大丈夫だから。でも問題は笑顔でド下ネタをぶちかましてくる今年高校生になったばっかりのパレオちゃんだ。身長的には女子の中で一番だけど一番年下の彼女が俺はとんでもなく苦手なのである。

 

「苦手だなんて〜、もしかしたら相性バッチリかもしれませんよ?」

「チェンジで」

「ぱ、パレオさんっ、そういうのはダメやって言ったばっかりじゃないですか!」

 

 下腹部に手を添えながら相性バッチリとか言われたらそりゃチェンジって返すでしょう。俺ってなんでこんなビッチに好かれるんだろうか、わからなくなってきた。モテるならモテるでいいんだけど、せめて全員つぐみちゃんみたいな──()()()のつぐみちゃんくらいの清楚さがほしい。

 

「……わたし、清楚じゃない?」

「いやつぐみちゃんは清楚で天使だようん」

「なんで早口なんですか? つぐは清楚で天使ですよっ!」

「あ、うんだよな、あはは」

「変な陽太さん、うふふ」

 

 いやいやひまりちゃん、この子が清楚で天使だったのは俺と付き合ってしばらく経つまでだ。いやすると俺のせいってことになるんだけどさ。キミの幼馴染はもう、俺と俺のビッチーズに染められてしまったんですよ、はい。

 ──というか擬態という能力を持ってる分、誰よりも厄介な子な気がする。天使の姿を偽り清楚のフリをして笑顔を振りまく、もはや悪魔とかいうよりは堕天使の所業である。

 

「陽太さん陽太さん」

「ん?」

「スマホ、連絡来てるみたいだよ」

「よく気付いたね、ほんとだ……って」

「見て」

「え、今?」

「今見て」

 

 電車に乗ってちょっとロックちゃんやひまりちゃんたちと離れた間にコソっとそんなことを言ってくる。俺はその笑顔の圧力に押されながらもすごく嫌な予感を感じ取っていた。

 なにせ通知には「つぐみちゃんから写真が送られました」とあるんだから。いやまさかね! このタイミングで清楚で天使なつぐみちゃんが周囲に見られるとまずい写真とかね、あるわけないよな! 

 

「……はぁ」

「ため息はひどいよ、好きでしょ?」

「好きじゃないです……」

 

 まぁね、今までの経験上そんなわけないんですわ。このタイミングだからこそこの子たちはすごく素敵な、キラキラした笑顔で自分のエロ写メ送ってくるんだよ、セクハラしてくるんだよ。

 ──そこには今日のかわいらしく清楚なワンピースのスカートを捲りながら鏡に映るつぐみちゃんがいた。どうやら今日の下着ですということらしい。しかも妙に下着もセクシーだった気がする。一瞬で消したからわからん。

 

「後でじっくり……ホンモノで見てね♡」

「うす」

「えへへ、なんかこういうのドキドキして楽しいねっ」

 

 仕草や笑顔は俺の知ってる頃のつぐみちゃんのままなのが厄介、脳が破壊される。

 そんなドキドキの電車を降りて、プールの受付して、着替えてしばらくすると四人が男子の目を釘付けにしながら歩いてきた。うわ、この中で俺が入るのマジで視線が痛いなぁ。

 

「わぁ、カンベさんは結構引き締まった身体をしていらっしゃるんですね〜、素敵な腹筋です〜♡」

「お触り厳禁だからね」

「そ、そうや! う、ウチだって触りたいんや……」

「いや本音ダダ漏れてるよロックちゃん」

「つぐは触ってるの?」

「もちろん、カノジョだもんっ」

 

 だもんってかわいいよね。やっぱりつぐみちゃんはかわいい。本当に、ああいうことしてこないとマジでかわいい。

 パレオちゃんはそのツートンカラーのウィッグとかわいらしさと妖精めいた魅惑の肢体で男を釘付けにしている。またピンク色のふわりとしたスカートタイプのセパレートの水着が、とてもかわいらしい感じだ。

 ロックちゃんは髪色に合わせた青色に花柄とレースがまたかわいらしい、小柄なロックちゃんを彩る感じで、またメガネを掛けているのでとても安心している。

 ひまりちゃんはでかい。以上。じゃなくて、胸に目が行く。ピンク色の水玉のシンプルなセパレートだけど、それで十分すぎる見た目の破壊力を持ってる。燐子の裸を見慣れていなかったら死んでいた。

 

「どう?」

「かわいい」

「もっと」

「最&高」

「まだ」

「世界一、眩しい」

「好き?」

「大好き」

「ふふ、ありがとう」

「い、イチャイチャしとる……」

「そうですか?」

「しとるんや……あれは、イチャイチャに該当するんや」

「おしりとかおっぱいとか触ってないんでパレオ的にはイチャイチャではないですね〜」

「理論ガバガバなんだよなぁそれ……」

 

 公衆の面前で臀部やら胸を触ったらそれはイチャイチャではなく犯罪なんですよ知ってましたかパレオちゃん。かわいらしいファンシーな見た目と笑顔でなんてことを言い出すんだ。

 ──そんなことより、つぐみちゃんの水着はどこか太陽やひまわりを思わせるセパレートの黄色い水着だった。下はスカートタイプになっており、ふとももあたりがひらりひらりと目線を誘う。そして、上は肩紐が黄色で全体的な布地は白黒のチェックになっていた。

 

「いいなぁ」

「私も、あんなふうに言って許されたい」

「カンベさん、パレオの水着はいかがですか〜?」

「すごくかわいいよ、お団子も似合っててすごくいいね」

「合格です〜♡ カンベさんにならナンパされても許せちゃいますね!」

「ダメだよ陽太さん?」

「しません、決して」

 

 パレオちゃんの言葉に対してまたもやひまりちゃんとロックちゃんがちょっと沈んでいた。いやいや、この際俺のことなんて忘れて楽しんでいってくれ。というかひまりちゃんっていつ推しからガチ恋に昇格されたんでしょうね。蛇は苦手なのでヤブをつつく勇気なんて出ませんが。

 

 

 

 

 


 

 

 

 遊びに遊んで、そして夕方には解散した。そして俺たちは寄り道でデートすると言って現地で解散したのだった。

 ──それから数時間後、俺とつぐみちゃんは今度は日の暮れたプールにいた。今度は、ふたりきりでつぐみちゃんと一目がぼやける薄暗闇とライトアップの中で肩がくっつく距離で話をしていた。

 

「それでひまりちゃんってば、モテちゃったから余計に陽太さんいいなってなったらしいよ」

「そっか、大変だなひまりちゃんも」

「ん」

 

 それがまたヤキモチだったのか頬を若干膨らませて──俺はそれにハムスターを幻視した、俺の太ももを撫でてくる。

 こらこら、と怒るのもどうかと思っていると今度は腹筋を触ってくる。それはくすぐったいんでやめてもろて。随分と小悪魔めいた指を捕まえると、今度は俺の膝の上にやってくる。

 

「あの、ここ見られるよ」

「えっちしてないからいいでしょ?」

「よくないよ?」

 

 遠目から見たらこの体勢、挿入(はい)ってるでしょって言われてもしょうがないレベルだよ?

 そう指摘するとしばらく顔を俺の身体にくっつけて甘えていたけど、つぐみちゃんは何を思ったのか、わざと自分の身体を上下に揺らし始めた。いやなにしてんの!? 

 

「わたしだけ、見ててほしい」

「いや注目の的になるって」

「あと……ちょっとムラムラ、してきちゃった」

「──あ、あー、なんで?」

「だって、今日の陽太さん──わたしのおしり、いっぱい見てたから」

 

 ヒエッ、バレてた。それと多分この暗がりと露出度が関係してるんだと思う。周囲をちょっと見渡すと、なんという僥倖か、不幸か、誰もいなかった。

 つぐみちゃんもそれに気付いたのか、左右にひねりを加えるという誘いを掛けるような動きに変化していく。

 

「つぐみちゃん、ホテルまで我慢とかって……?」

「やだ……呼び捨て、して」

「……つぐみ」

「陽太さん、わたしもう……えっちな子になっても、いいですか?」

 

 ほらね、つぐみちゃんは清楚で天使なんかじゃなくて、ビッチーズに染められ堕天した元天使なんだ。でも、俺にとってはそんなつぐみちゃんが愛おしくて、断れなくて、結局誰にも見られてないことをいいことに彼女の言葉に流されるままだ。

 後で、それが花音じゃないということに気付いたのは、だいぶ後だったけど。

 

「ごめん」

「大丈夫だよ、ちゃんとピル飲んでたから」

「そうかもしれないけど、やっぱり勢いだったし」

「うん、ふふ……そういうところは変わらないんだね、陽太さんって」

「つぐみちゃん……」

「もっともっと、一緒にいてね……大好きだよ」

 

 でも、つぐみちゃんはまるで聖母の微笑みで俺を赦してくれる。マジで、天使の輝きと悪魔のズルさと聖母の慈愛を備えた羽沢つぐみという最強の存在を生み出した俺は、これからも彼女の愛のために一緒にいるんだろうってことは確実だった。

 ──ところでナイトプールはヤれるとかいう知識を教えたビッチは出てきなさい。説明しろ、俺のマイエンジェルつぐみちゃんに余計な知識を植え付けるんじゃない! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




??「昔セフレとシたことあるよお」
天使「なるほど……!」

??「夜目、遠目、笠の内は……全て、セックスできる、条件、です……誘えば、ヤレます」
天使「ありがとうございます!」

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