ソードアート・オンライン《黒の剣士と白い悪魔》 作:海苔塩イモ
ファントムバレット編ではキリトからの描写もいれますので、原作と同じ展開となる時もありますが、たのしんでいただけるようにしていきます!
ミツケタ。
あの闘い方……あの剣撃…正しくアクマ!
オマエの瞳には隠されたモノは…俺にはワカル。
お前の瞳……ココロの奥には……憎悪が渦巻いてル。
やっと…やっとミツケタ。
会いたかったゾ!■■■■!!
だが何故、今の奴の側にはアイツらはいない。
あの黒の剣士も、閃光もイナイ。
まさか……オマエは…オレを……死を求めているのか?
そうか、やはりオマエは“あの事件”をワスレテハイナイ。
オマエをコロスのは…オレだ………。
オマエはダレニモ渡さない。
オマエの魂モ心モ俺がウバウ!
イッツ・ショータイム。
赤い眼の彼の視線の先には、紅い輝きを放つ光刃を振るう
そして、彼は第二回BoBの決勝戦の結末を見届けると、現実世界へと帰っていく。そして、偶然入手した“あるプレイヤー達”の個人情報を持ち帰り、恐ろしい計画を弟と共に企ていく。
彼のココロの深層に渦巻く“棺桶の悪意”は、激しく吹き荒れ、やがてソレは大きな力となり、彼の刃となり、多くの人々の喉元へとその刃を突き立ていく。
赤い悪意と紅い悪意はぶつかり合う
一刻一刻と…時計の針が進むごとに2人の悪意は加速していく。
2025年11月31日
東京のある喫茶店にて、ノーバディこと仙石一利は“ある人物”に呼び出しを受けていた。
「やぁ!一利君!こっちだよ」
「何のようだ。菊岡誠二郎二等陸佐どの」
一利を呼ぶのは、太い黒縁の眼鏡をかけた30代半ばくらいの優男菊岡誠二郎という自衛隊の者であった。
「はは、流石に仙石家にはバレたか。ソレについては、キリトくん達にも黙っていてほしいかな。ただでさえ、胡散臭いって避けられてるし」
「アンタが教えてくれたエギル以外とは、連絡を取り合ってはいない。ソレに俺が貴方の正体を伏せておく条件として、俺の情報をキリトたちへある程度とは言え渡さないことが条件だからな」
なるほどと言いながら、本職は自衛隊だが、総務省通信ネットワーク内仮想空間管理課職員という官僚も兼任している菊岡は口元にコーヒーを運ぶ。その間に、一利は定員にオーダーを注文し、スイーツが来るのを待っていると菊岡はあるタブレットを一利に手渡す。すると、その画面に肌色が少々悪く冴えない外見をした男性の個人情報が映し出された。
「誰だ、この人は?」
「その前に一利くんに聴きたいことがあるんだ。仮想世界での現象が現実世界のプレイヤーの心臓を止める事が可能だと思うかい?」
菊岡の突然の問いかけに対して、一利は口を閉ざす。彼の脳裏には、2年間もの間閉ざされた空間の中で命がけのゲームをしていた出来事が蘇っていた。
「大分遠回りしたが今回の本題はこれなんだ」
「…どんな事件があった」
あのSAO事件から、俺はどうやら人命にかかわることととなると、過剰に反応するようになっている。
「話が早くて助かるよ。今月11月14日、東京都中野区のアパートで掃除をしていた大家がある一室から異臭がするのに気が付いた。インターホンを鳴らしても返事が無いので電子ロックを解錠して中に入った。そこでこの男…茂村保二26歳が死んでるのを発見した。死後五日半でベッドに横たわり…」
「アミュスフィアを被っていた…か?」
俺は菊岡さんに手渡されたその男の情報が載っているタブレットをようく覗く。
「その通り。変死ということで司法解剖が行われて急性心不全となっている」
「なに、心不全?この人の心臓がなんで止まったんだ?」
疑問に思った一利が質問をする。
「解らない」
「……」
「頼むからジト目で見ないでくれ」
「ザルだな」
「毒を吐くのもヤメテ」
とりあえず俺は、この茂村氏に対して目を瞑り冥福を祈った。いくら知らない人物とは言え、今この人について話をするんだ。それくらいのことはしなければ失礼だ。
「彼はどうやらほぼ二日間何も食べないでプレイしていたらしい」
「…確かに悲惨な話だけど…珍しくはないだろ。現に俺達は、点滴での栄養剤を注入してもらっていたが、実際に2年間何も食べてはいなかったんだから」
「確かに今やよくある話だ。こういう変死はニュースにはならないし、家族もゲームをしていて死んだなんて話さないから統計も取れない。これもある意味ではVRMMOによる死の侵食だがーー」
「この人の死に一体何ががあるんだ?」
話を遮るように一利は真っ直ぐ菊岡を見ると、彼はチラリと端末を一瞥する。
「彼のアミュスフィアにインストールされてたのは"ガンゲイル・オンライン"…知ってるかい?」
「俺もそのゲームのプレイヤーだ…なるほどな、あの噂関連か」
そう言うと菊岡は目を見開く。
「驚いたね、君があのゲームをやってるなんて。キリト君達がいるALOにいなかったから、何処かのゲームにいるとは思ったけど。よりにもよって、あのゲームはかなり殺伐としてるんじゃないか?」
「…まぁな。そのぶん忘れにくくて済むし、何より自分で自分の傷を抉るのに打ってつけだ」
そう言うと菊岡は苦い顔をしつつも、事件の話を進めていくことを選択する。
「彼のアバターネームはゼクシード。知ってるだろ?」
「あぁ。前の大会で背中から撃たれたからな。よく覚えているよ」
「なら、話は早い。ゼクシード氏はあるプレイヤーから画面越しに銃撃され、ログアウトした。そして、リアルの彼も同日に死んでいる」
「まさか、本当にデス・ガンがやったのか?」
一利の口から出た《デス・ガン》とは、GGOの首都であるSBCグロッケンの酒場にて、ゼクシードと闇風が映っている酒場のテレビに向かって裁きを受けろと叫んで銃を撃った。本来なら意味のない行為だが、どういうわけか画面越しにゼクシードは数秒後に突然ログアウトし、それ以降二度と現れはしなくなった。
「やはり知っていたんだね。このデス・ガンと呼ばれるプレイヤーは、10日前にもあるプレイヤーを銃撃した。そのプレイヤーの名前はーー」
「薄塩たらこさんだな」
「知り合いかい?」
「あぁ、何度か組んだこともあったし、話もしたりした。割と人柄はゼクシードよりも良い人だったよ。まさか、本当に殺されていたとはな」
続けて渡された薄塩たらこのリアルを確認した一利は、彼と話した事や彼と共にクリアしたクエストの出来事を思い出しながら、先ほどよりも深く冥福を祈る。
「やはり、このデス・ガンと彼らの死は密接に関わっていると思うかい、君は?」
「偶然にしてはあまりにも出来すぎているだろ。だが、アミュスフィアは微弱な電気信号しか出せない、脳も焼き切れないしましてや心不全なんて無理だ」
「いや、でももしかしたら本当に弾丸が飛び出て撃ち抜いたかもしれないじゃないか」
「そんな超能力はない。伊達に、茅場先輩と同じ重村ゼミに通っている身ではないんだぞ。アミュスフィアには危険がない事くらい何度も自分で調べもした。ソレにペインアブソーバーを引き上げたとしても、現実の人間は死なない。ソレは菊岡さんも分かっているはずだ」
「うん、そうだよね。だから、キミにはこの
「分かった。ただし、条件としてキリト達を関わらせるな」
頼まれたスイーツを瞬く間に食べ尽くし、コーヒーを飲んでいた一利は鋭い眼差しで菊岡を威圧する。流石の菊岡もいきなり一利が、自分に対し鋭い視線を向けるとは予想していなかったのか、驚愕を露わにする。
「何故だい?この事件は、キミ1人に対処できるほど、そんな生優しいモノでは無いと僕は思っている」
「アイツは散々命を懸けて、大切な人の為に闘ってきたんだ。いい加減に休ませてやるべきだ。アイツはまだ17歳なんだぞ」
「確かに彼は遥かに若い。だが、ソレは君にも当てはまることだ。そして、このプレイヤーがもしも他のプレイヤーを殺せる力を持っているとしたら、キミかキリト君どから1人では勝てない。2人一緒でなければ危険すぎる」
「ふっ、こんな悪魔なんて死んだ方が世のため人のためじゃ無いのか、二等陸佐どの?」
何処までが本気か分からない一利の言動に、菊岡は思わず机を強く叩きつけるように立ち上がる。
「一利くん!!」
「怒鳴るなよ。マダム達に迷惑だろ」
そんな菊岡に対し、全く応えていない一利はニヒルな笑みを浮かべ、アイスチョコレートラテにストローを刺し、溶けたアイスと混ぜ合わさったラテを飲み干していく。流石に周りの視線に気づいたのか、菊岡は渋々座り直す。
「キミはあの事件に囚われすぎている…」
「あぁ、今でも生きていい理由が浮かばない上に、死ぬのが怖くて自殺もできた試しもない。まったく、死にたいのか死にたくないのかどっちなんだって話だよな」
「…悪いけど君のその条件はのめない。“今のキミ”にはキリトくんが必要だ」
「……………分かったよ。俺だけくたばるのなら、別にいいけど他のGGOプレイヤーが殺されるのは無我に出来ないからな。だが、俺以上の安全性をキリトに保障することは絶対条件だ」
「分かった。この件に関しては、キリトくんの方へは僕が直接言うからキミはGGO内で
一利が無茶なことをしないように念を押す菊岡であったが、不安が拭い切れたわけでない。寧ろ、先程から冷たい笑みを浮かべている一利を見て、余計に不安が倍増した。そんな菊岡の心情を察しているのかは不明だが、一利はラテを飲み干すと立ち上がり、帰路につく。
「了解。できる限り撃たれないように情報を探るさ。それじゃあ、ご馳走様菊岡さん。次は別のスイーツも食べたいから、予約しておいてくれよ。まぁ、俺が生きていたらの話だけど…ね」
そう言って一利は菊岡が何か後ろで言っているのを聴こえないフリをして店を出て行く。そして、止めているバイクのエンジンをかけていると、
――漸く本当に意味でオマエを殺すことが出来る相手が来たな?
あぁ、ソイツが誰なのかは分からないがな。
バイクのミラーの中で、あの時と同じく
――だが、同時にあの時と同じでオマエの盛大な自殺を止める為にキリトは来るぞ?
正直会いたくない。
――相変わらずの臆病者だな。オマエは。
――
ダマレ。
――今回せいぜいキリトが自分を助けてくれることを祈るんだな!
「……話は終わりだ。とっと消えろ」
まるで自分の心を見透かされている様な錯覚に陥っている一利は、逃げる様にバイクのエンジンを蒸して、その場から去る。しかし、彼がいた場所には、先程まで鏡の中にいた
――悩め!苦しめ!そして、苦痛の果てに生を感じろ!
――それこそがオレたちに与えられた罰だ。
一利がいないにも関わらず、まるで今の一利の姿が滑稽で仕方がないのか冷笑を浮かべたまま跡形もなく彼は消えていった。
その激しさを加速させていく。
何故でしょう…他意は全く無いはずなのに、あの人がかなりヤンホモみたいな言動になってしまった。ちょっとPhoを真似てみた結果なのかな?
ヤバいどうしよう……思い付きで悪堕ちとか書いてしまいそうです。