ソードアート・オンライン《黒の剣士と白い悪魔》   作:海苔塩イモ

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そろそろ次回か、その次あたりから本格的にBoBに突入したいと思っています。そして、ずっと文句を言い続けている“彼女”も登場させる予定ですので、お待ち下さい!
今回は、オーディナルのキャラがチラッと出ます。


第 Ⅱ 話 それぞれの“強さ”

真っ暗な世界の中で、俺は目を覚ました。

 

周りは真っ黒な水で覆い尽くされ、底が全く見えない。

 

咄嗟に息苦しさから逃れるべく、

 

踠き、水上へ上がるために手足を動かす。

 

そして、水上へ浮上する際にとても目を開けてはいられないほどの光に包まれた。

 

しばらくして、視力が回復し、眼を開けるとソコは正しく地獄だった。

 

「あ……あぁ、あ……」

 

どういう原理で、先程まで水中にいたのに今度は立っていることには分からないが、辺りを見渡せば、血という真っ赤な色に染まって動かなくなった人々で地面は埋め尽くされていた。

 

その中には、

 

「キリ…ト……?アス……ナ……?」

 

涙を流した跡を残している親友たちの変わり果てた姿があった。手を繋ごうとしていたのか、先の無くなった腕を伸ばし、終点が合わなくなった瞳から全くの生気を感じさせず、身体中を幾つもの切り傷によって斬り刻まれており、そこから溢れ出る血と零れ落ちる内臓を見てしまった俺は、その場に崩れ落ち、嘔吐しかける。

咄嗟に別方向へ視線を向けると、そこには、上半身と下半身を真っ二つにされたピンク色の髪をした少女、四肢をバラバラにされ短剣を喉仏に突き刺され絶命したツインテールの少女、頸を撥ねられ離れてしまった頭にはバンダナをつけた男、そして、幾つもの刃物によって串刺しにされている黒人の男の死体を見つけてしまった。

 

「リズ…?シ、シリカ……ッ?…クライン………エ、エギ…ル……そんなッ!うそだ!嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だぁ!!」

 

他にも周りを見渡せば、あの世界で見知った顔が幾つものあった。その中には、当然“彼にとってかけがえない存在”がいた。

 

「アオイ…クロト!?」

 

ーーオマエがコロシタ

 

「…ヒッ……ッ!?」

 

何処から聴こえて来る声に、俺は恐怖のあまり耳を塞ぐ。

 

ーーお前の手ヲよくミテミロ

 

耳を塞いだのに聞こえてくるこの声に、俺の身体は逆えず、自分の手を見てしまう。するとそこには、血に染まり切った“人殺しの手(自分の手)”であった。

 

「うっ!うわぁぁぁぁ!!」

 

咄嗟に飛び退いたことで、近くの死体を踏みつけてしまう。

 

「イタイじゃないかぁ?」「あの時みたいになぁ?」

 

すると、俺が殺した者達(死体たち)は、冷たすぎる笑みを浮かべ始めていく。そして、周りの動かなかった人々は次々に動き出すと、俺の脚を掴み、拘束していく。バランスを崩し、尻餅をつくと、周りの俺が殺した者達(死体たち)は待っていたと言わんばかりに一斉に飛びかかって来る。その中には当然、キリト達がいた。

 

なんで!なんで!?お前たちが俺を……

 

『ソレがお前の罪だからだ』

 

何とか抵抗する俺を嘲笑う声のする方向へ、視線を向けるとそこには“赤眼のヤツ”がいた。

 

オマエは!オマエがキリト達を殺したのか!?

 

 

 

『いいや違う……俺は………オマエだ』

 

 

 

そう言って赤い眼が禍々しく光る髑髏の仮面を脱ぎ捨てると、

 

 

 

 

 

仮面の下にあったのは、

 

 

 

 

 

 

仙石 一利(おれの顔)であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2025年12月10日

東都工業大学電気電子工学科の重村研究室。

 

「……ごく…ん…………仙石くん」

「はっ!?」

 

最悪な夢が醒めると、そこには見知った顔があった。

 

「ちゃんと寝ているのかね?私の研究を積極的に参加して、手伝ってくれるのはありがたいが、あまり体調が悪いのは宜しくないぞ」

「うっ、す、すみません。先日まで預かっていた姪っ子の夜泣きで、中々寝てなくて、申し訳ありません。変な言い訳でして、重村教授」

 

まるで機械の様な表情に全く変化のない自分の恩師である重村(しげむら) 徹大(てつひろ)教授から差し出された缶コーヒーを手に取りながら、一利は先ほどまで見ていた夢のことを頭の隅に追いやるべく、PCのディスプレイに映し出された研究データを見せる形で現実逃避する。

 

「ウム、さすがだな。ここまで出来てくれているのならもう帰って休みなさい。それと、前にも言ったが赤ん坊ほど意思疎通が難しい時期はない。しっかりと赤ん坊の仕事である泣くという意思表現から、何を求めているのか理解してあげなさい」

「はい、ありがとうございます。それから、以前から研究していた加速思考プログラムを制御するためにはやはりデータは足りなさすぎですねよ」

 

「あぁ、君のレポートからこのシステムを実用化させるにはやはり人間1人の制御では難しい。近くで加速思考システムスピードと制御システムを担うためのAIまたは、モニタリングする者がいなければテストも難しいが、従来のAIではまだまだ実用性と安全性に欠けるのが、最大の問題点だ。しかし、このシステムは実に面白いものだ」

「やっぱりそうですよね。ZONEのデータも入れれば、かなり簡略化できるかな〜と思ったんですけどチクショ!無理かー!あ゛ぁ〜ムズイキツイヤバイ!」

 

俺の愚痴に呆れた様に溜め息を吐きながらも、何だかんで自分のAR研究を進めながら、俺の研究にもシッカリと意見を述べてくれる辺りから本当に感謝の言葉が尽きない。そんな教授から呆れた視線を受け止めながら、帰る準備をし、会釈してから帰路につく。その道中で、最近人工筋肉を取り入れたパワードスーツの実験に誰よりも参加している友人と軽く談笑を交えた後、一利はGGOにてシノンとの約束があるため走行制限ギリギリのスピードで帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は流れて、

GGO オールドサウスエリア。

シノンとノーバディのコンビは現在、mob狩り帰りのスコードロンを狩り終えて、グロッケンへ戻るべく、それぞれが各々の準備をしていた。

 

『ねぇ、最近どうしたの?』

「何がだ?」

 

『いや……何だか最近のノバって、いつものノバじゃないみたいだから気になったの』

「ふーん、気のせいだろ…………いつもの俺って何だろうな

 

最後の方は本人も気付かないほどの声量であったためか、シノンの耳に入ることはなかった。

 

『今の私って強くなれてるのかな?』

「………ステータス的なものなら、そうなんじゃないのか?まぁ、今でも接近戦は酷いけどなww。珍しいな氷の狙撃手と謳われるシノンお嬢様が弱音なんて」

 

『うっさい。一言余計よ。はぁ、リアルでの話なの』

 

なるほど。何を抱えているかは分からないが、強くなれているのかってのは、リアルのことだったのか。最近のゲーマーってのは、色々と抱えているものが重そうだな(※オマエが言うなbyキリト)。

 

「何か勘違いしていないか?いくらゲームで強くなろうが、それが現実に反映されるわけじゃない。変わるとしてもそれは物の見方、他者の価値観に対する理解ぐらいだ。要するにゲームで強くなろうが現実で強くなる訳じゃないってのが、俺の考えだ」

「…………やっぱり私は…弱いまま」

 

シノンの絞り出す様な言葉からは、後悔や恐怖といった感情が乗っている。そんな風に押しつぶされそうになりながらも抗っている時点で十分つよいと思うがな。

 

 

 

 

 

思わず仙石さんに見せた様な甘えとも取れる言葉が私の口から零れ落ちてしまった。咄嗟に、別の言葉で否定しようとする前に、インカムから聴こえるノバの声が私の耳や心に入ってきた。

 

 

『お前の言う強さってのは、心的なモノで、何かしらの事情に立ち向かおうとしているのはなんとなく判る。だとしたら、立ち向かおうとしてる時点でお前は十分強いさ。大抵の人間は自分に都合の悪いことや嫌なことから目を逸らしたがる生き物だからな』

「貴方は……ノバはどうなの?」

 

それが一番知りたい。ノバも何かを……(詩乃)に通ずる何かを抱えているのは、最近になって分かった。そして、ノバは私にない“強さ”を持っている。それを知ればきっと私も……詩乃も………

 

『…………いや、立ち向かってもいないさ』

「えっ……!?」

 

でも、待っていた答えは私の想像とは違うモノだった。

 

 

『俺は……ある世界…ソードアート・オンラインで人を殺してしまった』

「……………っ!?」

 

ノバが……人を………殺した!?

私と……詩乃と同じ。

 

この時の私は、突然すぎる事実に頭を整理するだけで精一杯だった。そんな私を置いて、ノバはまるで懺悔するかの様に話を続けていく。

 

 

『大切な人を目の前で殺されて、頭の中が真っ赤に染まった俺は、復讐を名目に人を殺した。そして、誰も俺を責めはしなかった……だが、仲間達の眼には恐怖が写っていた。それで気付いたんだ…俺もやっぱり殺しを楽しんでいるアイツらと一緒なんだってな』

 

 

その言葉を聞いて、胸が…ココロが酷く痛む。

 

 

 

『それでも向こうで出来た友達は、俺も一緒だ…俺もお前と同じで人を殺してしまったと言っていた。でも、ソイツは…年柄年中真っ黒なアイツは、いつも誰かのために闘ってきたアイツは、俺みたいな復讐という醜い感情に支配された悪魔なんかとは違う。何も護ることすら出来ず、ただ敵を怒りと憎しみで手を血に染めた俺なんかとは違うんだってな』

 

 

何処かにいるその人を思い出しているのか、彼の声から何処か懐かしげな感じもするがそれ以上に哀しみが言葉の節々に重くのしかかっている。

 

 

『俺は……その罪に苦しみ…()を受けるために生きている。要は…俺はその過去から逃げるどころか、未来に向かって立ち向かうこともせず、ただただ“その場で立ち往生している”だけの生きる屍なんだよ。そんな俺は、これからも苦しむために“誰でも無い存在”Nobody(ノーバディ)としているんだよ。分かるか、俺は過去も、未来も、剰え現実も見ていない畜生なんだよ』

 

な…なんなよ、ソレ。

私なんかよりも強いじゃない。

貴方は、その罪をずっと自分1人だけで抱えているだけじゃない。自分自身を罰するなんて、普通の人はできない。

私は……そんな…そんなことをしてなんかいない。

 

「私は……そうは………思わない」

『…………………なに?』

 

私の言葉に納得がいっていないのか、今度の彼の声には僅かばかりの怒りが含まれている。それでも、私は……言いたい!

 

「ノバは凄いよ……そんな風になりながらでも足掻いているノバは…人間よ。悪魔は……そんな風に自分を言ったりしない。だから、ノバはーー」

 

『ふざけるな!!』

 

シノンの言葉を遮る様に、憎悪が籠もった言葉が、彼の口から漏れ出る。

 

『あの2人をSAOに誘い、死なせたのは俺なんだぞ!!それなのに俺は仕方がなかったなんかで済まされるかよ!憎いヤツらを殺すことができるのに、自分自身を恐怖のあまり殺すことができない臆病者の俺が強い?ふざけるな!俺は、弱いんだよ!誰一人護ることもできない俺は……人以下の畜生…悪魔なんだよ!』

「……………ノバ……」

 

『…………すまん…カッとなりすぎた』

「うんうん……いいわよ。それに、ある人が『ツライことを話すだけでも相当な覚悟や時間がいる』って言っていたから、これだけ吐き出せるノバは凄いよ」

 

『やめてくれ………そんな言葉を俺にかけないでくれ。頼むから』

 

やっぱり……彼は…ノバは強い。

このBoBで優勝して、シノンの強さを詩乃に繋げることができるなら、彼を…ノバを助けてあげたい。

 

(シノン)にとって、(ノーバディ)は……大切な相棒なんだから。

 

「そろそろ戻りましょ。ちょっとだけマギーさんの所に寄って気分を変えたら?」

『いやだ。またお前にスッカラカンにされるから』

 

「も、もうしないわよ!!人がせっかく気を利かせているのに、本当に女々しいわね!アンタ!!」

『ふっ、今更だろ?』

 

今絶対、ドヤ顔している彼に苛立ちを覚えながらもいつもの彼に戻って来ていることに安心したシノンは、談笑を交えながら、ノーバディの最悪な運転でグロッケン街へと帰っていくのであった。

 

そして、案の定酔ったシノンによって、またもや泣くハメになったノーバディであった。





最近、シノンの方が主人公している様な……
それだとノバの方がヒロインwwwになるのかなwwwコレは。
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