ソードアート・オンライン《黒の剣士と白い悪魔》 作:海苔塩イモ
それでは、第二話どうぞ!
誤字と勘違いが見つかりましたので修正しました。
第 Ⅰ 話 1人ぼっちの
一切の足音を立てず気配を殺し、正に暗殺者の様に誰にも気づかれることなくノーバディは今回の標的であるmob狩りの帰りである5人組のスコードロンに視線を外すことなく、2つ球体を腰から取り出す。そして、2つ球体の内の1つの正体である手榴弾のピンを外すと、ピンの外す音に一切に此方を向いた5人の中央目掛けて手榴弾を放り投げる。
すると、カラカラと音を立ててから数瞬後に手榴弾は爆発し、1番近くにいた光学銃を持っていたグラサンの男をその爆炎で焼いた。
「なっ!?襲撃だ!!」「クソっ!!」「嘘だろ!?」「ピンの音するまで分からないとかマジかよ!?」
爆発から咄嗟にばらける様に逃げ延びた4人は慌てた様子でそれぞれが待っている銃を乱射する。しかし、その場には既にノーバディの影は無く、銃撃によって穴だらけになった空っぽのドラム缶だけだった。
「クソっ!
「どうするよ、リーダー?このまま団体で逃げるか?」
スコードロンのリーダーと思しき迷彩服にサムライヘアーの男に、同じく迷彩服を着たスキンヘッドの男が意見を出す。
「いや、このまま纏まって逃げても、追いつかれるのに加えて、またグレネードでも投げつけられたら終わりだ。全員、反撃するぞ!!絶対に1人で対処するなよ、相手はあの闇風並みに早いぞ!!」
「「「ラジャー!!」」」
かつてGGOを始めた頃に組んでいたプレイヤーの名前が聞こえた上に、その人と同等に強いと初見で称されたノーバディは、物陰から薄い笑みを浮かべる。
「中々、高く買ってくれるのは悪い気はしないな」
そして、互いの死角をカバーし合うように陣形を取ろうとするのだが、彼がそんなことを許すはずもなく、もう一つの球体をスコードロンの近くへ投げ捨てる。すると、今度の球体から煙幕が勢いよく吹き出し、瞬く間にスコードロンの周囲を煙で覆い隠していく。
「マズい!スモークか!全員撃つなよ!同士討ちになるぞ!」
「「「了解」」」
「無駄だ」
リーダーが的確に指示を出すことは容易に想像できていたノーバディは、煙の中でもハッキリと見える
「がぁっ!?」
「悪いな」
背後からの足音で振り返ると同時に首の頸動脈あたりからVR特有の不快感が走った。そして、自分がヤラれたのだと気づいたバンダナを付けた男はログアウト寸前に自分を倒した者の正体を確認すると、そこには赤いバイザーの様なゴーグルを付け、所々に赤いラインが入った日本警察S◯Tの様な特殊部隊風の戦闘服に身を包んだ黒髪の青年がいた。その青年の手には、自分の首を切ったと思しきコンバットナイフとベレッタM92FSが合体し、あまり原型を残していない異様な銃剣の拳銃があった。それを最後にバンダナの男のHPがゼロになり、ポリゴンとなって四散する。そして、四散した男と同じように
「お、お前まさか、アサシンか!?」
「誠に遺憾ながらな、そして
煙が晴れたことで、ノーバディの姿を漸く視認したリーダーは、彼の正体を看破する。対するノーバディも、SAO時代の二つ名並みに気に入っていないGGOでの自分の異名で呼ばれたためなのか、何処かニヒルな笑みを浮かべ、銃剣のベレッタ————デリットを構える。因みに、デリットとはイタリア語で罪を表す言葉であり、SAO時代での出来事を一時も忘れないために自らの愛銃である銃剣型の拳銃へと改造したベレッタM92FSに付けた渾名である。
そして、焦燥の表情をしたリーダーは待っているM4カービンを構え直すのだが、既にノーバディの間合いに入られているため引き金を引く前に、デリットに装填されている弾丸9mm×19パラベラム弾を2発、右肩と左太腿にそれぞれ撃ち込まれてしまう。相手が銃撃によるダメージで怯んだ隙をノーバディは見逃すことはせず、アサルトライフルを構え直される前に、デリットのナイフで頸動脈を切断し、即死判定によってリーダーの男のHPは0となり、四散した。
「………呆気ない奴等だな。もう少し歯応えのあるスコードロンはいないのかよ。たらこさんの所やメメントモリ!おっと!?」
何処か物足りなさそうなノーバディは深い溜め息を吐いていたが、殺気によく似た視線を感じ取り、咄嗟に飛び退くと、遅れて聞こえてきた銃声と共に左肩の服を掠めた。
「おいおい、いるじゃないか。良さそうな奴等がさぁ!」
掠めた物の正体は、遠方からの狙撃による銃弾であった。咄嗟に、SAOで鍛えられた感覚が功を奏したため生きているノーバディ。狙撃をしてきた場所は、丁度1km先にある倒壊しかけたビル群の内の1つ。
「ハハっ!楽しくなりそうだな、デリット!カスティーゴ!」
そう言ってデリットをホルスターへしまったノーバディは、ストレージの中からもう一丁目の自身の愛銃であるSCAR-L MK16(ブラック)を取り出す。SCAR-Lとは、Special operations forces Combat Assault Rifle-Lightの略称で、SCARシリーズの内の一丁である。5.56x45mmNATO弾を使用し、有効射程は約500m、総重量は3040gとそれなりの重さはあるが、アサルトライフルにしてはまだ軽い分類に入る。そして、このSCARは、ベルギーの銃火器メーカーであるFNハースタル社がアメリカ特殊作戦軍向けに開発された汎用性が高いアサルトライフルである。
「さぁて、第二回戦だ!」
side:Sniper
そんな……完璧に必中するタイミングだったのに避けられた!?何なのよ、アイツは!
『シノン、奴は?』
「ダメ、避けられたわ」
今回一度きりの契約上で組んでいるスコードロンのリーダーからの通信に、短いけど端的な結末を私は伝える。本来なら、先ほど私が狙った相手が倒したスコードロンを私達の7人のスコードロンが待ち伏せで狙うはずだった。しかし、その5人組のスコードロンは乱入者によって全滅させられてしまった。それも、スコープから確認してみたが、持っているのは明らかに改造しまくったせいで原型が特定できない銃剣付きの拳銃一丁だけで五人を瞬殺。
明らかに纏っている風貌やオーラはトッププレイヤーのそれと同じだ。
「コッチからの迎撃はどうするの?」
『奴は1人だ。それに相手がマジの
無理だ。
リーダーの言葉を聴いても、全く作戦が成功するとは到底思えない。リーダーが彼の姿を見たのかは知らないが、明らかに相手を舐めている。そこまで名前が売れてもいない私が意見した所で、無視されるか、考えすぎだと笑われるのがオチだ。なら、今の私がやるべきことは、スナイパーとして射程がまだ今の内に奴を倒すしかない。
もう一度、スコープを覗き直すと、銃剣使いはすでに私がいるビル真下辺りの物陰に隠れてしまっているため、これ以上の狙撃はできない。
一足遅かった……というか脚早すぎるでしょ!
「そっちの現状は?」
『………………』
銃剣使いの迎撃に当たっているメンバーに連絡を取るものの、返ってくるのは無音のみ。敵が近づいている際で声が出せないのか、待ち伏せに集中したいのか、まだ銃声一つも聴こえない。
「ちょっと、そっちの状況は?」
もう一度、確認を取ると今度は、
『おい、どうなったんだよ!』
『クソ、弾が当たらねぇ!!』
『おい、全員で包囲して退路を断て!』
『無理だろ!脚早すぎるっての!』
『あ、ヤベっジャムった』
『ちゃんとメンテしろ!』
メンバー達の怒号と共に、けたたましいほどの銃声がインカムから聞こえてくる。さっきまでスモークと手榴弾を使っての奇襲だったのに対し、今回は位置を特定されているにもかかわらず、6人を圧倒している。
『やっぱり、コイツは
「了解」
リーダーから指示を受けて、私はFR-F2を抱えて急いでもう一つの倒壊したビルへと急ぐ。アイツ……アサシンと呼ばれたあのプレイヤーを倒せば、私は……シノンは強くなれる。シノンが強くなれば、現実の、あの悪夢に怯え続ける朝田詩乃も強くなれる!
コレが私と彼の出会いであり、
この先長く続く関係になるとは、
このときの私は全く思いもしなかった。