ソードアート・オンライン《黒の剣士と白い悪魔》   作:海苔塩イモ

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第 Ⅱ 話 氷の狙撃手(スナイパー)

ノーバディが5人組のスコードロンを瞬殺してすぐ、水色の髪をした女性スナイパーことシノンによる狙撃を受けたのだが、SAO仕込みでの感覚によって狙撃に失敗し、次なる獲物としてロックオンされたため現在では彼女が一時的に所属しているスコードロンと抗戦状態となっている。

そして、数分も満たない内にシノンは先程までいたビルとは違うビルの三階に到着した。

 

「こちら、シノン。配置に着いたわ」

 

また返事がない上に今度は銃声も聞こえない!?

まさか全員ヤラレた?いえ、メニューバーではスコードロン全員がHPをかなり消費してはいるものの、6人全員の生存が確認できる。なら何故、誰も通信に出ない。おかしい、この状況はかなりおかしい。明らかに静かすぎる。

 

異様なまでに違和感がある状況にシノンは不審感を募らせつつも、ノーバディがいるであろうビルの出口にFR-F2の照準を合わせる。

既に、場所を変え、認識もされていないとすれば、私の先程のように弾道予測戦(バレット・ライン)はもう見えていない。

 

狙撃するタイミングを見計らっていると、

 

「よぉ、狙撃手(スナイパー)

 

聴き覚えの無い男の声が背後から耳に入った。

咄嗟に声のする方向へFR-F2を構えるが、突然強い衝撃によって弾かれてしまう。もう一つの武器であるサイドアームのH&K MP7を取り出そうと腰に手を回そうとした所で、額に感じたくも無い硬い感触を感じ取る。

 

その感触でようやく自分の置かれている状況に気づかされた。

背後を取られた私は、FR-F2を蹴り飛ばされ、額に銃口を向けられてしまったのだということを。

 

「もう少し、周囲に気を配った方がいいぞ?俺みたいな、『当たらなければどうと言うことは無い』という迷言を鵜呑みにしている馬鹿相手には」

「自分で馬鹿って認めるの、そこは?」

 

私の額に銃口を当てているのに撃つ気配がない特徴的なゴーグルを額に掛けている彼は、突然先程まで自分がいたビルへと視線を向け始めた。コレはチャンスと感じ、サイドアームのH&K MP7へ再び手を伸ばそうとした所で、ナニカに気づいた彼はいきなり私を抱き竦めるように抱えて、隣の部屋へと飛び込んだ。思わず、きゃっ!と声を上げてしまったが、その声も数瞬遅れてとてつもない爆発にかき消され、先程まで私達がいた場所を中心に三回も起きた。何かが起こったのか分からない私は、まるで漁師が網を巻くようにポイッと床に転がされる。

 

「やれやれ、何人か途中で居なくなったと思ったら、メンドクサイことをしてくれたものだ」

「なによ?どういうことなのか、説明して!」

 

爆煙で身を隠しながら周囲を窺いつつ、いつのまにか私のFR-F2を拾ってきたのか投げ渡してきた。ちょっと扱いの雑さに腹が立つがそうも言ってはいられない。

 

「どうやら、お前は俺をここへ誘き寄せてから、さっきのグレネードランチャー……多分ダネルMGLで俺もろとも吹っ飛ばす予定だったようだな」

「私を……囮に…?」

 

ちょっと、色々な情報の所為で頭が停止しそう。

 

「大方さっきの5人組のスコードロンをやった後、狙撃スキルの高いお前からFR-F2を奪って、弱体化させる予定だったんだろう。アイツら確か、初心者(ニュービー)狩りやレア銃目的に護衛討ちもやるってのも噂に聴いことあるからな」

 

最近、腕の良い女スナイパーが活躍しつつあるって小耳に挟んだからな事実だろ……と付け加えながら、さっきまでいた部屋の入り口付近から足音が聞こえたのか、彼は私の今の様子なぞお構いなしにSCAR-Lで牽制射撃を始めた。

 

なによ、ソレ。

ふざけるな!私を……シノンを弱くさせるために裏切ったなんて、冗談じゃない!!

私を餌にして、尚且つ装備を奪う……何処までも人を舐めているアイツらにふつふつと怒りが湧き上がってくる。

 

「ねぇ、アサシン。アイツらをヤルの手伝って!」

「おいおい、自分のスコードロンを裏切るのか?」

 

ヘラヘラと私の怒りを倍増させるかのような笑みを浮かべるコイツを撃ってやろうと思ったけど、さすがに状況が悪すぎるから我慢する。後で、ぶっ殺してやる。

 

「今日だけの契約だから仲間じゃない!取り分は、7対3でどう!」

「やだね。半々だ」

 

「わかった、6対4よ」

「……仕方ない、それで行くか。後、俺をその名前で呼ぶな」

 

「分かったわよ、私はシノン」

「ノーバディだ。メンドクサイなら、ノバでいい」

 

はぁ〜とワザとらしい溜め息を吐く彼は、グレネードを取り出して突然私に手渡すと、私がいる柱まで駆け寄ってくる。

 

「シノン、もう1発ランチャーを打ち込まれる前に南方のビルに飛び移るぞ」

「は、はぁ!?何言ってんの!?」

 

「俺のSCAR-Lは、EGLMタイプグレネードランチャーの代わりにワイヤー銃を付けているからイケる。それに、幾らSTR型でも女子の体重なんてたかが知れてる。ほれ、さっさと身軽になれ」

「こん…のぉ!いいわ、分かったわよ!落としたら、下から撃ち抜いてやるわよ!!」

 

やっぱりコイツ絶対ぶっ殺してやる!

急いでストレージに武器をしまい、彼から手渡されたグレネードを裏切ったスコードロン達に豪速球で投げつける。グレネードは見事に入り口で爆発し、道を塞いだ。道を塞がったのを確認した彼は、私を荷物の様に片手で背負う。そして、背負い方に文句を言おうとしたがまたもや隣のビルからグレネードランチャーの爆撃が始まったため、何も言えなくなる。

 

 

 

しかし、その結果、

 

「いやァァァァァァァァァァ!!」

「ア~アア~〜〜〜〜〜〜~♪♪」

 

銃の世界にも関わらず、私はディ◯◯ーの初期ジ◯◯ンの気持ちを知ることとなってしまった。知りたくなかったわ、彼女があんなにも叫び声を上げる理由なんて。

 

取り敢えず、なんとか飛び移ることには成功したけど、

 

「ふん!!」

「ヘボ!?」

 

このター◯ンバカの顔面を殴ったことは間違いではない!

というか、間違いなんて言わせるか!!

 

「あ〜VRなのに、イタイ」

「さっさと、配置に付くわよ!私は後衛、アンタは前衛!」

 

「はいはい」

「さっさと行けぇ!!」

 

ワイヤー銃をストレージにしまい、いつものカスティーゴに直したノーバディは、シノンの怒号を尻目にそそくさと迎撃に向かうのであった。

 

 

 

 

 

場所は変わり、隣のビルの一階。

 

裏切り者のスコードロンは、既にシノンとノーバディがビルに居ないことを確認したのか、一階に降りて入り口付近の物陰に身を潜めていた。そして、その一階ではアサルトライフルH&K HK416を所持しているモヒカン男は、KSGを所持しているリーダーへ作戦の内容をもう一度確認する。

 

「で、リーダー。もし、アイツがアサシンなら俺とアイツで動きを牽制して、もう一回グレネードランチャーでドカン!ってことでいいんだよな?」

「ああ、奴の銃はベレッタとSCARだが、どちらも俺達に比べて射程は短い。なら、奴との間合いを見極めながらお前のアサルトライフルと、今入り口を見張ってくれているアイツのMG42で足を止めて、俺のKSGか、グレネードランチャーでドカンだ!その後、じっくりとシノンを狩ればいい」

「リーダーも悪い奴だね〜あんな可愛子ちゃんを騙すわ、アサシンの餌にするわ、一緒にヤルだなんてねぇ〜」

 

2人の会話に望遠鏡でシノンが隠れていそうな場所を探していた190㎝位あるゴツい男がニヤニヤした顔で入ってくる。そんなゴツい男の言動なんて、全く反省のはの字もしていないリーダーは鼻で笑う。

 

「ハッ!GGOなんてのは、如何にして自分達が得をするのかが肝心なんだよ」

「確かに」 

「言えてるな」

 

そんなリーダーに同調する様に他の2人も悪い笑みを浮かべていると、入り口を見張っていたMG42を持っている細身の男性が、突然乱射を始める。

 

「来たぜ、リーダー。アサシンだ!」

「よし、大物を狩ってレア銃を奪うぞ!」

「「「ラジャー」」」

 

 

 

 

MG42から放たれる7.92x57mmモーゼル弾の弾道を先読みしつつ、ノーバディは様々な障害物を利用して間合いを詰めていこうとしたのだが、他のメンバーたちによる集中砲火によって上手く近づけないでいる。

 

『そっちからは何人見える?』

「こっちは、機関銃持ちが1人、アサルト持ちが2人、ショットガン持ちが1人だ。そっちからはランチャー以外に見えるか?」

 

『いえ、ま…ん?ちょっと待って』

 

インカムから聴こえるシノンの言葉に疑念を抱きつつも、威嚇射撃を行いながら、銃撃の合間に起きるタイムラグを見極め、その場から移動していると、シノンの狙撃されそうになった時と同じモノを感じ取ったためノーバディは急いで半身を床に伏させる。

すると、背中を銃弾が通り過ぎると同じく、突然インカムからシノンの声が耳に入る。

 

『いたわよ!!目の前にあるランチャーがいるビルの4階に1人!』

「狙えるか?」

 

『誰に言ってんのよ?』

「わかった。合図はグレネードでやるから、その後爆発音に紛れて狙撃してくれ」

 

了解と短い彼女の返事を聴いたノーバディは、器用にグレネードランチャーによる爆撃の雨を掻い潜りつつ、カスティーゴをストレージにしまい、最後のプラズマグレネードを起動させる。そして、爆発までのタイムラグの間に一気に駆け抜けるため身軽になった彼は弾道予測線(バレット・ライン)だらけの道へ出て行く。無謀な突進に勝利を確信した4人組は、一斉にノーバディへ銃弾を放つ。赤い線が鬱陶しいくらいの量が真正面から来ることを視認したノーバディは、突然近くの瓦礫を使って空中へ飛び上がり銃弾の雨の回避する。突然の人間離れした跳躍に4人組は度肝抜かれていると、ピッピッと電子音が足元から聞こえてくる。不審に思い視線を向けると同時にそれは爆発した。

 

仕組みは単純明快だ。ノーバディは飛び上がる前に4人組の足元へプラズマグレネードをボーリングの様に高速に転がしただけなのだ。

その結果、ノーバディばかりに気を取られ、4人の内で1番彼に近い位置にいたMG42持ちの細身の男性が爆発によって四散した。そして、空中に飛び上がったノーバディの着地点にバレットM95の照準を合わせるべくスナイパーは、窓から身を乗り出そうとする。

しかし、それは悪手である。

 

 

「かかった!」

 

スナイパーが身を乗り出したことをスコープで確認し、着弾予測円(バレット・サークル)に従い、私はFR-F2の引き金を引いた。すると、スナイパーの頭にヒットし、即死判定が下され、スナイパーはポリゴンとなって四散する。そして、スナイパーにヤレたのを遅れて聞こえた私の銃声に驚き、グレネードランチャーの男は私目掛けて爆撃をしようとする。

 

もう遅い、私を騙した報いよ!!

「ジエンド」

 

慌てた相手よりも冷静な私の方が、次弾の狙撃は勝つ。その結果、私はスナイパーとグレネードランチャー使いを倒した。そして、ムカつくアイツの援護を行おうとしたのだが、最後の1人を倒した所だった。

それも、上下から刃を出しているフォトンソードで。

 

「何よ、ソレ?」

『ん?知らないのか、コレはムラマサM7って言って、どっちからでも刃を出せるムラマサF9と違って、コイツはどちらからでも出せる上に両方から同時に出せる男のロマンであるダブルセイバーを実現した武器だ!』

 

何でドヤ顔なのよ………

訳がわからない…ダブルセイバーなんて掌で回す程度にしか扱えない上に、下手をしたらフォトンソードの刀身で自分が斬れるかもしれないのに。

 

『所で、そっちは終わったのかよハニィ〜?』

 

ブチッ!

 

「そうね………アンタで終わりよ!!!」

『おいおい弾の無駄使いすんなよ!』

 

ふざけるんじゃないわよ!

あ゛ぁ腹が立つ!このふざけたバカに風穴開けてやる!

 

「うるさい!死ね!氏ねじゃなくて死ね!!」

『逃〜げろぉ〜〜〜』

 

鼻歌交じりながら逃げるな!死ね!

絶対ぶっ殺してやる!!

 

その後、何とかシノンの機嫌の宥めつつ、2人はそれぞれの分け前を事前に話した通り6対4の割合で分けて、それぞれ帰路につくのであった。

 

 




ちなみに、ノーバディを撃つために消費した弾丸はノーバディ自身からその分のお金をシノンは払わせたのは余談である。
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