ソードアート・オンライン《黒の剣士と白い悪魔》 作:海苔塩イモ
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今回は、オルタナティブに登場するあるキャラが登場しますので。
2025年8月30日
プレイヤーが妖精となり、空を駆け、魔法を使い、剣を取る世界《アルヴヘイム・オンライン》通称ALOでは、彼の、一利の仲間であるキリト達はある浜辺まで来ていた。
浅瀬で遊ぶ青い髪をしたウンディーネのアスナ、猫耳をはやしたケットシーのシリカ、ピンク色の短髪をしたレプラコーンのリズベッド、キリトとアスナの娘(AI)であるピクシーのユイ、キリトの妹であるシルフのリーファを眺めている顎髭が目立つ二十代半ばの男性の姿をしたサラマンダーのクラインと、中性的な顔立ちの少年スプリガンのキリトは寝そべりながら、一利のことを思い耽っていた。
「なぁ、キリトよぉ。お前、アイツと連絡取れたか?」
「いや、エギルからメアドや番号を教えて貰ったけど全部着拒されているよ」
「お前もか、アイツってばエギルぐらいしか連絡取ってねぇみたいだから。今頃どうしているのか、個人的に聞けやしねぇ」
「でも、エギルが調べてくれたおかげで、今のアイツはGGOって言うゲームのトッププレイヤーで、ノーバディって言う名前で恐ろしい位に強い銃剣使いで通ってるみたいだけどな」
キリトがウィンドウから開いた記事は、少し前にGGO内で開かれた大会のことが書かれており、
『第一回BoB優勝は、まさかの同時決着!!』という題名でお互いのナイフを振るっているのは、虚無を体現したかの様な表情の金髪の男と、彼らのよく知る■■■■こと
「
と、2人の会話に補足する様に入ってきたのは、リアルの方の店の仕事で忙しく来るのが遅れたガタイのいい浅黒い肌で三十代の男性の姿をしたスキンヘッドのノームのエギルであった。
「それにしてもよぉーアオイちゃんとクロトを失ったことで、以上なまでにプレイヤーを傷つけることを嫌うようになったアイツが、何でGGOなんて言うPvP主体のゲームをやってんだろうな?」
「それは…やっぱりアオイとクロトを失った時の事が関係しているのかもしれない」
「この間、メールで察したんだが、どうやらアイツはあのことを忘れないためにプレイしているみたいだ。それから、俺達に逢いたくないのは、2人を失った苦しみを忘れてしまいそうなんだと」
「んだとぉぉ!!なんで、アイツはそうまでして苦しまなきゃなんねぇーんだよ!!もうアイツは、アレだけ苦しんだんだぞ!!」
「落ち着けよ、クライン。だが、あの時…SAOクリアパーティーの時にキリト宛ての手紙をわざわざ俺に直接渡しに来た時のアイツは、まるで誰かに罰して欲しいって言う顔をしていた」
「やっぱり、アオイとクロトのことを………今でも後悔してるんだな。その気持ち……少しは俺も分かるよ」
一利の大切な人を失った悲しみを理解しているキリトは、かつて自分も同じく大切な人を目の前で死なせてしまったことを思い出したのか、暗い表情へとなっていく。しかし、浅瀬で遊んでいた少女達の1人がそんなキリトへ歩み寄る。
「それでも、やっぱり彼には逢いたいよね。東京の何処かで一人暮らしをしているって事ぐらいしか、彼に事前に口止めされていた菊岡さんは教えてくれなかったもんね」
暗い表情へとなっていくキリトをいち早く察知し、寄り添ってきたのは、キリトの大切な恋人であるアスナであった。
「あぁ、アイツのおじぃさん…
「ったく、俺達に会わないためにジィさんの力借りんなよ!!」
「それほど、アイツは色々考えて出した結果なんだろうな。人の心ってのは、そう易々完全に理解できる程単純でもないからな」
リズベッド達と遊んでいた筈のアスナも、彼の会話に参加し、大切な友人であり、自分とキリトとの仲を応援し、色々な面でサポートし、誰よりも祝福してくれた一利のことを思い、キリトが開いているウィンドウに掲示されている彼を見つめる。
「でも、俺達が行ってアイツの傷を抉ってしまうと思うと、迂闊に逢いに行けないな。どうしたら、アイツを……救えるんだろうな」
そう言ってキリトは、そっと一利のことを心配するアスナの手を握りながら、今もなお自分で自分を苦しめ続けている一利こと■■■■のことを思い、ALOの空を眺めるのであった。
後に、キリトとノーバディがGGOで再会し、かつてSAOで背中合わせに闘った様に、2人が共闘し、自分たちの大切な人のために剣を取り、“ある過去の亡霊”に立ち向かうのは、もう少し先の話となる。
そして、場所は変わり、
同時刻のGGO首都グロッケン。
傭兵としての依頼やスコードロン狩りをしない時、キリト達が心配している当人であるノーバディは、現在グロッケンの外れにある自分の店でグゥー垂れていた。そんなお客様を全く歓迎する気ゼロ感が店の外から滲み出ている中で、ノーバディの数少ない友人が店を訪ねるべく、扉を開ける。
「帰ってぇ〜〜〜」
「来店してすぐ追い帰さないでくれるか?」
レジでコーヒーを飲んでいた店主ことノーバディは扉の窓から既に誰が来るのかが分かっていたので、来客者にやる気のない言葉を送る。
「で、今日はどうしたんだよ。お前が
タバコを灰皿に置きながら、ノーバディはレジの前に立つ身長190cmの巨岩のような髭のない顔を壮年男性の姿をしたMに、ニヒルな笑みを浮かべる。
因みに、リアルでの健康面を考えて、タバコは吸わない主義の一利と違い、VRでのノーバディは暇の時や落ち着く為によくタバコを吸う喫煙者であるため、よくタバコを吸っている。
※お酒もタバコも二十歳からですので皆様もご注意を!!
※吸いすぎ、飲み過ぎにも十分ご注意を!!
「辞めろ、そんな事になれば困るのはお前で、喜ぶのはピトぐらいだ」
「確かにな。あの女なら、アホみたいにイカれた様に笑い転げていそうだわ」
「話を戻すが、今回ピトはかなり遠くのmob狩りに出掛けているから、グロッケンにはいないから安心してくれ。俺個人としては、数少ない友人の1人であるお前の店に顔を出しと、7.62x51mm NATO弾を買いたいと思って来ただけだ。お前は安く売ってくれるからな。後、今日お前の所に行くのはピトには内緒にしているから、他言無用でお願いします!!」
「お、おう……相変わらずのキャラの変貌っぷりだな、別にいいけど」
「ありがとうございます!!」
と薄ら瞳に涙を溜めてながら、腰をきっちり90度へ曲げて礼を述べる色々残念な友人にドン引きとなるノーバディであった。
このMは、GGOが始まった頃にピトフーイの紹介で一時的にスコードロンを組んでいた時期があり、ノーバディ個人としては、アバターネームに書かれる程ピトフーイ限定の性癖抜きにしても、Mは人間的に気の許せる友人の1人としてカウントしている。そのためMとノーバディはフレンド登録をし、互いに情報交換をしている。また、Mが慕うドSのピトフーイとは、ある時にノーバディがSAO
「助かる。せめてもの礼として中々変わったクエストが、実装されたようだから知らせておくぞ」
「おう、気が効くな。さてと、7.62x51mmちゃんは、確か〜倉庫だったな」
そう言ってノーバディは、かつてMに購入してもらった狙撃銃を思い出しながら、レジの後ろにある倉庫へとMを連れて向かっていく。ノーバディの店に飾っている銃はあくまで初めての来店者向けで、常連客となるとPKで獲得したレア銃が保管されている倉庫へと案内し、入念に見繕うという決まりの下で彼は商売している。その為、GGOのプレイヤー達にはあまり広く知られていない。また、場所が裏通りでもあるため尚更である。
「おっ!あったあったM14・EBRのままだったよな?」
「あぁ、とりあえず50発程で頼む」
「あいよ。何なら、もう15発ほどタダでサービスしてやるよ」
「助かる。最近、リアルの方がまた忙しくなってな。上手くGGOに入る時間を見つけれなくなって、手持ちが涼しくなりそうだったんだ」
おいおい、口元に笑み浮かべ始めたよ!このドMラン◯ーもどき……!?
こりゃ、リアルの方でピトフーイの馬鹿にこき使われているみたいだな……本人はたいへん嬉しそうだが。
話を戻すが、Mが現在使用している銃はM14・EBRというものである。コレは、以前にノーバディが倒した銃士Xというプレイヤーからドロップした銃であり、アサルトライフルとスナイパーライフルの中間のポジションであり、倉庫の中で丁寧にメンテナンスされて保管されていた銃の一つであり、Mが丁度そういうライフルを欲しがっていたため、それなりの値段で買い取らせたのである。
「さてと、代金はいつもの50発分だけな」
「わかった。それはそうとして、この間北北東の方で新しく出来た不時着した宇宙船型のフィールドに、2人1組でしか受けることができないクエストが出たらしいんだ」
7.62x51mm NATO弾を丁寧に箱詰めし、倉庫を出てレジで会計していると、ノーバディが知らないクエストの詳細をMは話していく。
「あぁ、確かワラスボみたいなミミズモンスターどもが蔓延るアレなフィールドか。よく、あんなキモキモのモンスターばっかりの所に新しいクエストをしかも、宇宙船の不時着オブジェクトとして出したなぁ〜」
「あぁ、一部の奴らではキモキモフィールドの改革(笑)として、笑い話にされていたが、先日罰ゲーム感覚で行ったプレイヤーたちが、口を揃えてとんでも無くメンドクさいボスが出た!と言っていたらしい」
なるほどね〜
このGGO に来てからあんまりモンスターなんて、狩ってなかったなぁ。ずっとあのことを忘れないために、そして自分で自分を苦しめるためにPKばかりやっていたもんな。たまには、いいかもな。
「誰もクリアしていないようだから、どんな銃が手に入るかは謎らしい。一部の奴らでは、クソ武器説なんて言うスレッドで更新もされていたぞ」
「よし、40秒で支度しな」
「断る。ピトに黙ってお前とクエストなんかに出かけたら、半殺しにされるか、機嫌が最悪だと本気で殺されるから勘弁して下さい!!」
今度鼻水まで垂らしている上に土下座までされてしまった…………。
ラン◯ーみたいなイカツイ見た目の癖に内面と一致しなすぎだろ、コイツ。
「わかったわかった。となると、2人1組だとやっぱりスナイパーがいるな。闇風さんは紙装甲だし、たらこさんは一月前に獲物横取りしたからな〜信頼できる奴なん……て…あっ!いたわ」
「ん?お前の知り合いで、そんな博打みたいなことをしてくれる奴はいるのか?」
「あぁ、面白い奴だよ。この前
「そうか、それなら終わったらどんなクエストか聴かせてくれ。その時は俺が奢ろう」
そう言ってMは、ノーバディがクエストをクリアすることを疑っていないのか、笑みを浮かべて店から出て行った。そんなMを見送ったノーバディは、ある人物に連絡を取るべく、ウィンドウを開く。
「さてと、この前フレンド登録しておいたから連絡してみま…ん?」
「ごめん下さい。ここに12.7x99mm NATO弾って置いてます?」
ノーバディがメッセージ文を考えていると、店のドアが開かれ新たな来来店客が入ってくる。
「マジかよ……」
「えっ?なんで、アンタがここにいんのよ、ノーバディ」
お互い、まさかこのような場所で会うとは全く思っていなかったのか、2人とも目を丸くする。それもそのはず、来店客の正体はノーバディが先程Mから教えてもらったクエストに誘おうと思っていた人物であるため驚いている。対する来店客もまた、店の店主がまさかノーバディだったとは夢にも思っていなかったため驚きを露わにする。
「ここは俺の店だからに決まってんだろ、シノン」
そうノーバディが相方として誘おうとしたのは、以前成り行きとは言えコンビを組んだ女性スナイパーシノンであったのだ。
「へぇ、色々と失礼なアンタにしては良い店じゃない、アサシンさん?」
「アサシン言うな。それはそうとして、さっきの弾ならあるぞ。なんなら、半額で3ダース分売ってやる」
「…………何が条件よ?」
流石に分かるようだな。
俺が対価を求めようとしているのくらい。
「話が早くて助かる。今回新しく実装されたコンビ限定のクエストに俺と出て欲しい。勿論、その時のクエストで消費した弾はウチの店から出す。前金として、1ダース分はタダで売る。どうだ?」
「何なのよ、ソレ。アンタにデメリットしかないじゃない。それに失敗したらどうするのよ」
「確かにデメリットではあるが、俺はそのクエストに興味がある。そのモンスターがどれほど厄介なのか、是非とも殺し合いたい。悪魔の俺を殺すことができる程の強さを持つのかを知りたいんでな。それからクエストの失敗はない。俺とお前が組めばの話だが」
なんなの……コイツの…この自信は。
もし、この申し出を受けたとしても、あの子…ヘカートを使いこなす為に必要な経費はかなり浮く。そして、なによりもあの時…私とコンビを組んで見せた“あの強さ”を見極めることができれば……。
私は……シノンはさらに強くなれる!
「いいわよ。組んであげる、ただし対価はきっちりと支払って貰うわよ?」
己の中での考えが纏まったシノンは、抗戦的な笑みを浮かべ、ノーバディへの誘いを受諾する。
「当然だ。それじゃあ、期日を決めてからクエストに臨むぞ」
「りょーかい。よろしく頼むわね、ノバ?」
こうして、利害の一致から結成されたスコードロンを組むこととなったシノンとノーバディ。
後にGGO最強のコンビが誕生した瞬間である。
2人がコンビを組んだ数日後
「エ〜ム〜〜、アンタさぁ〜この前、ノバちゃんの店に行ったみたいねぇ〜?ワタシにナ・イ・ショ・DE!」
「すいませんでした!」
「アハッ♪ちょうどいい機関銃が手に入ったよねぇ〜」
「……………ッ!!」ガクガクブルブル
「という訳で、ちょっと蜂の巣になれぇーー!!」
「ア゛ァァァァァァァァァ……ィィ」
その日、GGOのある荒野にノブとい悲鳴と何処か狂気を感じさせる高笑いが鳴り響くのであった。