偽りの英雄のヒーローアカデミア   作:ひよこ饅頭

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第4話 小さな接触

 遂に迎えた雄英高校の一般入試の実技試験日。

 緊張や期待に胸を膨らませている多くの少年少女の群れの中、俺は一人だけ冷めた目で目の前の建物を眺めていた。

 目の前に佇んでいるのは、学校とは思えないほどの立派な建物。全体的なフォルムはまるで英語の“H”を思わせて、もしやヒーローのHをイメージしているんだろうか……と内心で乾いた笑みを浮かべる。

 とはいえ、ここでいつまでもぼーっと突っ立っている訳にはいかない。

 なんせ先ほどから多くの女の子たちからチラチラと好意的な視線を頂いているのだ。

 これは考えるまでもなく整い過ぎた“セフィロス・フェイス”がもたらした賜物だろう。

 しかし申し訳ないことに俺は熱狂的な原作“セフィロス”ファンであり、『セフィロス・ロールプレイ』を心に誓った男。俺の言動は全て原作に沿ったものであり、どんなにキラキラした熱い視線を送ってもらったとしても、それに応えてあげるという選択肢は俺の中には皆無だった。なんせ向けられる視線に笑顔で応えてファンサービスする“セフィロス”の姿など一瞬も想像できん。

 ごめんね女の子たち、“セフィロス”はそんなチャラ男じゃないんだ!

 俺は視線を送ってくる数多の女の子たちに心の中で謝罪すると、それらの視線から逃げるように足早に入試会場へと向かった。

 

 そして辿り着いたのは大きな講堂。

 開始時間が差し迫っているせいか多くの席がすでに埋まってきており、俺も近くの席に腰を下ろす。

 座る席が決まってなくて良かった……。

 心の中で安堵の息をつく中、不意に会場内が薄暗くなり始め、目の前のステージだけが明るく照らされた。

 

「――……今日は俺のライヴにようこそー!!! エヴィバディセイヘイ!!!」

 

 いつの間にいたのか、ステージに一人の男が立っており何やら激しく騒いでいる。

 というか、なんだあの髪型凄いな。前世での世界では原作“セフィロス”も一時期前髪についてプレイヤーたちにおちょくられてたけど、今ステージに立っている男はその比じゃない。金色の長髪が重力に逆らって上空に長く伸びており、どうセットしたらこんな髪型になるのか非常に気になるところだ。

 ……と、そんな事よりも話を聞かねば。

 俺は慌てて思考を切り替えると、変な頭の男によって繰り広げられる非常に砕けた言葉での説明に真剣に耳を傾けた。途中突然発せられた受験生からの質問にも、男は砕けた口調で分かりやすく解答している。

 それらに耳を傾けながら、俺はこれからの実技試験の内容を頭の中で整理していった。

 まず、自分たちはこれから指定された各演習会場に向かい、10分間『模擬市街地演習』とやらを行うらしい。演習内容は、演習会場に現れる“仮想敵”を“個性”を使って行動不能にし、ポイントを稼ぐというもの。この“仮想敵”には四つの種類があり、それぞれ0ポイントから3ポイントが割り振られているらしい。つまり、ポイントを多く稼ぐためには0ポイント以外の“仮想敵”を多く倒す必要があるということだ。因みに、他人への攻撃や妨害は禁止であるらしい。

 まぁ、ヒーローを目指すのなら当然だな。

 俺は受験票に目をやり、そこに書かれているアルファベットを見やった。

 演習会場が幾つあり、一つの会場に何人の受験生がいるのかは知らないが、どうやらこのアルファベットのつく演習会場が今回自分に割り当てられた場所らしい。

 そこまで考えて、ふとある考えが頭を過ぎった。

 

 あれ、これって俺が本気出したらヤバいやつじゃね……?

 

 当たり前のことではあるが、学校側から用意されている“仮想敵”の数には限りがある。無限に湧き出てくるものでは決してないだろう。

 ではここで想像してみよう。

 原作セフィロスが何の遠慮もなく本気でこれらを殲滅しにかかった場合、一体どうなるか?

 答え:数分で施設ごと壊滅する。

 

 ……………………。

 

 ……いやいやいや、これは流石にあかんでしょう! いくら手を抜くのは原作セフィロスに対して失礼だとはいえ、これじゃあ多くの受験生たちが泣いてしまう! これはもう絶望ものだ!

 『お前たちに絶望を贈ろうか』……?

 言ってる場合か!

 これは本当に本気を出すわけにはいかないぞ……。でも、やっぱりこの姿である以上“セフィロス”に恥をかかせるようなことはできないし……。

 外面では腕を組んで物静かに瞼を閉じているようなポーズを取りながら、内心では『う~ん』と唸り声を上げて頭を悩ませる。

 暫く思考をこねくり回した末、俺は苦肉の策を取ることにした。

 題して『本気は出さないけど、手を抜いてるわけじゃないよ』作戦!!

 この際ネーミングセンスなんてどうでも良い、実際に口に出さないのだからノープロブレムだ!

 どういう作戦かというと、積極的に“仮想敵”を倒すようなことはしないが、最低限自分が動かなければならないような場面では手を抜かずに動く、というものだ。

 考えてみれば、実際の原作セフィロスも英雄の時には割とそういうこともあったんじゃないかと思うのだ。『クライシスコア』ではザックスの獲物を取っちゃって早々に敵を倒してしまう場面もあったが、そもそも原作の『FF7』での世界では他のソルジャーや神羅兵たちもワンサカいたわけで、そんな中でセフィロスが呼ばれる任務となればそれこそ激戦区か、他のソルジャーたちでは手に負えないようなどうしようもない状況でのお助け任務ばかりだっただろう。ならば今回のこの行動も許される、はず……!

 苦しい言い訳とは言うな、俺自身分かってるさ! しかし受験生たちの涙と俺の中の“セフィロス”への情熱とを天秤にかけた場合、これがギリギリのラインなんだ。

 まぁ、不合格になるために手を抜く訳じゃないから、このくらいなら許されるだろう。そう、手を抜いてるわけじゃないんだ、あくまでも本気を出していないだけで……。

 

 ……………………。

 

 ……うん、やめよう、不毛過ぎる……。

 とにかくあんまり目立ちたくもないし、これが妥当な落としどころであることは変わりない。これ以上の策も思いつかないし、これで良いということにしておこう。

 ちょうど説明が終わったらしいステージ上の男の最後の言葉を聞き終えると、俺は一つ小さな息をついてさっさと椅子から立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 切島鋭児郎はやる気と闘志に燃えていた。

 待ちに待った雄英高校の一般入試試験。最初は一体どんなことをやらされるのかと少し不安に思っていたが、内容を聞いた今では誰よりも多くのポイントを稼いでやろうと気合を入れていた。

 ザッと周りを見渡せば、自分と同じ多くの受験生たちが今か今かと開始の合図を待っている。しかし中には明らかに緊張しているような者もおり、切島はそれらに引きずられないように一度パンッと両側から挟むように両頬を叩いた。湧き上がりそうになっていた緊張を吹き飛ばし、一つ大きく深呼吸する。

 適度な緊張感は必要だろうが、それでうまく動けなくなっては意味がない。

 よしっ!と心の中で気合を入れ直す中、ふと白い何かが視界を横切ったことに気が付いて切島は反射的にそちらへと視線を走らせた。

 しかし白い何かの正体を視界に入れる前に、“それ”は唐突に切島の鼓膜を震わせた。

 

『――……ハイ、スタートー!』

「「「……へ……?」」」

 

 突然何処からともなく聞こえてきた間の抜けたような声。

 切島を始め、誰もが思わず呆けた表情を浮かべる中、まるでそれを急き立てるように同じ声が再び響いてきた。

 

『どうしたぁ!? 実戦じゃカウントなんざねぇんだよ!! 走れ走れぇ!! 賽は投げられてんぞ!!?』

「「「っ!!?」」」

 

 聞こえてきた声は間違いなく先ほどの講堂で演習内容を説明していた男のもの。

 もう試験は始まっているのだと瞬時に理解すると、多くの受験生たちはすぐさま行動を開始した。切島もまた、急いで演習会場内へと走り込む。

 演習会場はまるで一つの街そのもののようで、とてつもなく広く大きい。この疑似市街地のどこかに倒すべき“仮想敵”がいるはずだ。まずは標的を探さないとな……と街中を駆けながら切島は周りに視線を走らせた。

 その時、不意に白い何かが再び視界を掠め、切島は走る足はそのままに白い何かが見えた方向を振り返った。

 周りで同じように走っている受験生たちを抜け、視線の先にあったのは一つの大きな建物。突起物も何もないように見える長方形のビルに、あろうことか一人の少年が軽い身のこなしで高く跳躍し、時折ビルの側面を蹴るようにしながら一気に屋上まで飛び登っていた。

 

「……うわ、マジかよ。一体何の“個性”だ?」

 

 今まであまり見たことのない動きに、思わず小さく言葉が零れ出る。

 しかし幸か不幸か、その余裕はすぐに吹き飛ばされることになった。

 突然横の建物の壁が勢いよく吹き飛び、瓦礫を撒き散らしながら大きな何かが目の前に飛び出てくる。反射的に駆けていた足に急ブレーキをかけながら見てみれば、そこにいたのは戦車のような見た目の機械ロボットだった。

 形状からして恐らく2ポイントの“仮想敵”だと思われるそれに、切島はすぐさま自身の“個性”を発動させた。

 切島の“個性”は“硬化”。全身をガチガチに硬化させることのできる『発動系』の“個性”である。そのため、相手からの攻撃に対する防御力は高く、また硬化した部分は刃物のような鋭利さを持つため攻撃することも問題なく可能だった。

 切島は肘から下の両腕を硬化させると、攻撃される前に勢いよく機械ロボットへと右手を繰り出した。大きな刃物のようになっている切島の右手は易々と装甲を突き破り、機械ロボットを瞬時に戦闘不能に陥らせる。切島はすぐに右手を機械ロボットから引き抜くと、すぐさま周りに視線を走らせた。

 機械ロボットと対峙する中で、切島の耳は多くの戦闘音を正確に聞き取っていた。

 思った通り、いつの間にか周りには多くの機械ロボットが溢れており、多くの受験生たちが己の“個性”を駆使して果敢に機械ロボットに挑んでいた。先ほどの切島と同じように上手く立ち回っている者もいれば、恐怖に呑まれて逃げ惑う者もいる。

 切島は手際よく近くにいる機械ロボットに駆け寄り攻撃して戦闘不能にしながら、何度も忙しなく周りに視線を走らせていた。

 それは次の標的を探している訳ではない。それよりも、上手く立ち回れず怪我をする者がいないか常に周りの様子を警戒していた。

 いくら危険に思えても、これはあくまでも学校という場所が設けた演習だ。受験生の一人でしかない自分がこんな心配をする必要はないのかも知れない。しかしいくらそう思ったところで、湧き上がってくる不安はなくなることはなかった。

 

「――……きゃあぁぁぁあぁぁあぁっ!!!」

「っ!!」

 

 また一体の“仮想敵”を倒す中、不意に聞こえてきた叫び声。

 反射的に声のした方を振り返ると、自分が立っている場所から10メートルほど離れた場所に、一人の少女が二体の“仮想敵”を前に尻もちをついているところが目に飛び込んできた。少女の顔は恐怖に染まっており、ここからでも全身が震えているのが見てとれる。とても二体の“仮想敵”に対処できるとは思えなかった。

 切島は大きく顔を歪ませると、次には強く地を蹴って駆け出した。

 この距離では間に合わないかもしれない。しかし、そうは思ってもこのまま諦めるようなことはしたくなかった。

 徐々に少女との距離が縮まっていく中、不意に“仮想敵”の一体が右腕のアームを頭上に振り上げてくる。

 そのまま少女へ振り下ろすつもりなのだと分かり、切島は走る足はそのままに未だ硬直して呆然としている少女へ声を張り上げた。

 

「にげ…っ!! ……っ!!?」

 

 逃げるように促す言葉は、しかし最後まで紡がれることなく途中で切れた。

 切島が最後まで言い切る前に、突然上の方から大きく鋭い何かが二体の“仮想敵”へと勢いよく襲いかかっていった。大きな衝撃と共に土煙が舞い、切島は勿論のこと、襲われていた少女も思わず驚愕の表情を浮かべる。

 二人の視線の先では二体の“仮想敵”は朦々と立ち込める土煙に覆われており、それが晴れて姿を現した頃にはまるで土塊のようにボロボロと崩れている状態だった。近くに駆け寄ってよく見れば、どちらの“仮想敵”も細切れになっており、その一つ一つがまるで刃物で切断されたかのように真っ直ぐな断面をしている。

 一体何が起こったのかと切島と少女が困惑の表情を浮かべる中、不意に小さな影が頭上を走り抜けたことに気が付いて切島は反射的に頭上を見上げた。

 瞬間、視界を素早く横切ったのは一つの小さな人影。

 影を追うように反射的に視線を走らせれば、その人影の正体は演習開始時にビルに飛び登っていた少年であることが分かった。彼の手には白く細長い何かが握られており、こちらには目もくれず建物から建物へと跳躍して素早く移動している。

 切島は暫く呆然と遠ざかっていく姿を見つめた後、次には思わずニッと口の端を引き上げて笑みを浮かべた。

 一体どうやったのかは分からないが、もしかしなくても先ほど二体の“仮想敵”を倒したのはあの少年だったのだろう。そう考えれば、自分と同じように他者を心配し助けている人物がいることに単純な喜びが湧き上がってきた。同時に、自分が感じていた不安も行動も間違っていなかったのだと自信を持つ。

 切島は気を取り直して未だ尻もちをついている少女を助け起こしてやると、次にはグッと強く拳を握り締めた。

 

「よし! 残り時間、頑張るぞっ!」

 

 自身に気合を入れ直し、再び戦闘音が多く聞こえる方向へと駆け出す。未だ多くの“仮想敵”とそれに応戦する受験生たちがいる場所まで辿り着くと、躊躇うことなくその渦中へと飛び込んだ。

 “個性”を発動させ、容赦なく襲いかかってくる多くの“仮想敵”と対峙する。

 それからははっきり言って無我夢中だった。

 多くの“仮想敵”を倒し、負傷した受験生たちを助け、正直今自分が何ポイントまで稼いだのか覚えていない。ただ自分に出来ることをひたすら行っている中、まるでそれを邪魔するかのように突然“それ”は現れた。

 最初に聞こえてきたのは大きな破壊音。続いて地震のような地響きが発生し、次の瞬間、前方の建物が勢いよく吹き飛んだ。

 多くの瓦礫を撒き散らしながら姿を現したのは、体長何十メートルかも分からぬ巨大な機械ロボット。

 高層ビルと同じくらいある巨大な“仮想敵”の出現に切島は流石に顔を大きく引き攣らせた。他の受験生たちもそれは同様で、次の瞬間には我先にと踵を返して退避を始める。

 あの“仮想敵”は、倒しても0ポイントのお邪魔虫。当然倒そうと考える者は誰一人としていなかった。

 切島もまた、すぐさま踵を返すと“仮想敵”とは反対方向に駆けだす。0ポイントであるため倒しても意味がないのは勿論だが、何より今の自分ではあの大きさの“仮想敵”をどうにかできるとは思えなかった。

 しかし、“仮想敵”は出現時に一つのビルを丸々破壊しており、大きな瓦礫を数多く周辺に撒き散らしている。雨のように降り注いだ瓦礫は容赦なく周辺にいた全てを襲い、受験生たちも少なからずその瓦礫の被害にあっていた。身体の至る所から血を流す者。足を引きずりながらも何とか逃げようとする者。中には瓦礫の下敷きになり動けなくなっている者もおり、切島はできる限り下敷きになっている受験生たちを助けてやりながら“仮想敵”から逃げ続けた。

 しかし逃げる途中で何度も下敷きになっている者を助けているため、街中を闊歩する“仮想敵”との距離はみるみるうちに縮まっていく。

 言いようのない不安と焦燥を感じながら、切島は既に目と鼻の先まで近づいていた“仮想敵”を見上げた。

 その時……――

 

 

 

「――……約束の地へ沈め…」

 

「……っ!!?」

 

 微かな声が聞こえたと思ったその時、大きな白銀の何かが空を縦に穿ち、瞬間、この場の全てが静まり返って停止した。巨大な“仮想敵”は動きを止め、“仮想敵”を見つめていた切島や受験生たちは何が起こったのか分からず足を止めて硬直し、静寂によって空気すらも凍り付く。誰もが無意識に息を殺して固唾を呑む中、一拍後、不意に一つの小さな白銀が緩やかな動きで上空から“仮想敵”の目の前の地上へと舞い降りてきた。

 白銀の正体は、端整な美貌の一人の少年。

 長い白銀の髪がまるで天使の羽根のようにふわりと靡き、その左手には異様に細長い刃が握り締められている。

 異様な少年の突然の登場に誰もが呆然となる中、しかしそれを遮るかのように再び新たな変化が訪れた。

 新たな変化の主は巨大な“仮想敵”。

 今まで不自然なまでに停止していた巨大機械ロボットが、不意にギギィ…ッという軋んだ音を鳴らし始める。よく見れば巨大な機体の中心に一直線の亀裂が走っており、軋んだ音と共に徐々に機体が左右でズレ始めていた。ズレは時間が経つにつれてどんどん早く大きくなっていき、次の瞬間には力尽きたようにズレるだけでなく前と後ろに傾き倒れ始める。

 

「……うわっ、うわっ、に、逃げろっ!!」

「倒れるぞ!!」

「な、何がどうなってるのよーっ!?」

 

 こちらに倒れ込んでくる右側の機体に、受験生たちは悲鳴を上げて再び逃げ始める。切島も咄嗟に踵を返して逃げようとし、しかし突然頭上から舞い降りてきた謎の少年が微動だにしていないことに気が付いて咄嗟に少年を振り返った。反射的に足を踏みしめて立ち止まり、少年に向けて逃げるように声を張り上げようとする。

 しかし、それよりも早く少年が動いた。

 白銀の少年は冷めた翡翠色の双眸で頭上から倒れ込んできている“仮想敵”の機体を見上げると、振り向きざまに左手に持つ細長い白銀を大きく鋭く振り払った。

 瞬間、幾つもの白銀の何かが出現。

 目にもとまらぬ速さで機体へと飛んでいき、次の瞬間、こちらに倒れ込もうとしていた機体が凄まじい破壊音と共に細切れに吹き飛んだ。

 

「……な……、……はっ……?」

 

 一体何が起こったのか分からず呆然と立ち尽くす。しかしそれは切島だけではなく他の受験生たちも全員が呆けた表情を浮かべて動きを止めていた。

 バラバラと細切れにされた機体の成れの果てが落ちてくるも、その小ささから当たってもあまり痛くはない。一体何をどうすればあんな巨大なものがこんな細かくなるのかと不思議でならず、その非現実的な現象に思考がついていかなかった。

 切島は未だ一人ポツリと立っている少年に目を向ける。一瞬どうしようかと悩み、しかし意を決して呼びかけようと口を開いた。

 その時……。

 

『――……終了~~~!!!』

「「「っ!!?」」」

 

 突然響いてきた大音声に、切島は思わずビクッと肩を跳ねさせた。咄嗟に周りを見渡せば、周りにいた他の受験生たちも困惑した表情を浮かべたり安堵の表情を浮かべたりしている。どうやら10分経ったようで、実技試験の演習が終了したようだった。

 理解すると同時にドッと安堵が湧き上がり、一気に疲労感が伸し掛かってくる。流石は雄英高校の入試試験だと言うべきか、そのハードさに切島は思わず大きく息を吐き出した。

 再び周りを見渡せば、いつの間に来ていたのか、学校の職員たちが転んでいる受験生たちを助け起したり怪我人の治療を始めている。その光景に『本当に終わったんだ』と改めて実感しながら、そこでふと先ほど0ポイントの“仮想敵”を倒した少年に声をかけようとしていたことを思い出した。

 再び口を開きながら、少年がいた方へと振り返る。

 

「……あれ……?」

 

 しかしそこには既に誰もおらず、少年の姿はどこにもなかった。動いた気配も何も感じなかったのに……と思わずキョロキョロと周りを見回す。しかしどこにも少年の姿は見えず、切島は釈然としない気持ちを抱えながら、ふと視線を右側へと移した。

 そこには細切れにされることなく放置された“仮想敵”の左側の機体が周りの建物を巻き込んで倒れ伏している。

 もしあの少年が倒れ込む右側の機体を粉砕してくれなければ、今自分が立っている場所も同じような状態になっていたのだろう。自分であれば“個性”を使えば無傷だったかもしれないが、受験生の中には大きな機体に押し潰されて重傷者が出ていたかもしれない。遅まきながらそのことに思い至り、切島はゾッと血の気を引かせた。

 そんなことにならず本当に良かったと安堵する一方で、再びその白色の少年のことを頭に思い浮かべた。

 

(……雄英に入学できたら、また会えるかな……。)

 

 あれだけの力を持った人物が不合格になるとは思えない。ならば自分がこの入試に合格すれば、またあの少年に会えるかもしれない。

 もし会えたら今度こそ“仮想敵”をどうやって倒したのか聞いてみようと考えながら、切島は号令をかける学校の職員の声に従ってそちらへと駆け出すのだった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 雄英高等学校の一般実技試験から数日後……――

 雄英高校の職員専用会議室の一室にて、多くの教師が一堂に会していた。

 長く伸びるテーブルを囲むように教師たちが席につき、一心に部屋の前方にあるモニターを見つめている。大きなモニターの画面には演習中に録画した各演習場での映像と実技総合成績表が並んで映し出されていた。

 彼らが注目しているのは3つの名前。

 1つ目は総合得点1位の“爆豪勝己”。

 2つ目は総合得点8位の“緑谷出久”。

 そして3つ目は、総合得点2位の“八木セフィロス”だった。

 

「“爆豪勝己”……。救助P0で1位とはなぁ!!」

『1P』『2P』(仮想敵)は標的を補足し近寄ってくる。後半、他が鈍っていく中、派手な“個性”で寄せ付け迎撃し続けた。タフネスの賜物だ」

 

 実技総合成績表の隣に映る映像が別のものに変わり、一人の少年が派手に戦っている場面が映し出される。少年は好戦的な笑みを浮かべながら、ひたすら爆発を起こして多くの“仮想敵”を次々と行動不能に陥らせていた。

 

「対照的に“緑谷出久”は敵P(ヴィランポイント)0で8位。アレ(・・)に立ち向かったのは過去にもいたけど……。ブッ飛ばしちゃったのは久しく見ないね」

「思わず『YEAH!(イヤー)』って言っちゃったからな!」

 

 続いて映し出されたのは緑谷が0ポイントの“仮想敵”を倒す映像。

 緑谷は驚異的な跳躍を見せたと同時に“仮想敵”を殴り飛ばし、しかし次の瞬間にはまるで力尽きたように地面へと落下していた。

 “仮想敵”を倒す前の行動と“仮想敵”を倒す前後、そして倒した後のちぐはぐさに多くの教師たちが困惑や訝しげな表情を浮かべていた。

 

「しかし自身の衝撃で甚大な負傷……。まるで発現したての幼児だ」

「妙な奴だよ。あそこ以外はずっと典型的な不合格者だった」

「細けえことはいんだよ! 俺はあいつ気に入ったよ!! 『YEAH!(イヤー)』って言っちゃったしな!!」

 

 誰もが微妙な表情を浮かべる中、一人の男だけがやけに声を上げて熱く語っている。

 しかし他の教師は意に介さない。この男がうるさいのは日常茶飯事であり、つまり通常運転なのだ。

 何はともあれ、ここで注目すべきはうるさく騒ぐ男の存在ではなく、多くの教師たちが口にしている“敵P”と“救助P”という言葉だった。

 実はこの演習で見られるポイントは“仮想敵”を倒して得る“敵P”だけではない。演習中、影で多くの受験生たちの行動を観察していた審査員たちによる審査制で得られるポイントもまた存在していた。

 その名も“救助活動P”。

 読んで字のごとく、誰かを救助した際に得られる隠しポイントである。

 つまり、今回の演習は“敵P”と“救助P”のトータルで合否を判断される仕組みになっていた。

 

「……それから、あの『0P(仮想敵)』を倒したのがもう一人いましたよね」

「ああ、こいつ……。“八木セフィロス”だな」

 

 一人の教師がチラッとモニターの実技総合成績表を見やり、モニターの画面を操作している教師へと声をかける。声をかけられた教師は一つ頷くと、自身の手元を操作してモニターに映し出されている映像を別のものに変えた。

 次に映し出されたのは白銀の髪を靡かせた一人の少年。

 少年は緊張した様子も怯えた様子もなく、ただ淡々と建物の屋上を移動しては時折手に持つ刃を振るって一撃で“仮想敵”を倒していた。

 

「……ふむ、彼は素晴らしいな。『0P』を倒すだけの“戦闘力”は勿論のこと、ヒーローには欠かせない“情報力”“機動力”“判断力”を全て備えている」

「『0P』を倒した後の判断も良かったですね。……あのままでは二次被害が起きていました」

「それも想定した上で攻撃したっぽいしな……。全く大した奴だ」

 

 目まぐるしく動く映像を見つめながら、教師たちがそれぞれ思ったことを口にしていく。

 彼らの会話を聞きながら、今は“トゥルーフォーム”になっているオールマイトだけはセフィロスが映っている映像の隣に並ぶ実技総合成績表を見つめていた。

 2位の欄に記載されている“八木セフィロス”という名前と、その隣に並ぶ“敵P”と“救助P”それぞれの数字。セフィロスの得点は“救助P”が圧倒的に多く、一方で“敵P”はそこまで多くはなかった。それはセフィロスの実力を知るオールマイトからすれば違和感を覚える点数だった。それだけで今回セフィロスが大分手加減したのだろうことが分かる。また、他の教師たちは“救助P”を多く稼いでいることを高く評価しているようだったが、オールマイトからすればそれは逆に大きな不安を感じるものだった。

 確かにヒーローを志す以上、誰かを助ける行動は必要不可欠なものだ。しかしオールマイトはセフィロスの行動が一拍も二拍も遅いことに気が付いていた。

 演習中のセフィロスは常に高い場所に立ち、全体の状況を把握するよう動いていた。そしてその中で誰かが“仮想敵”に襲われていたり、誰かの戦闘に巻き込まれそうになっていて初めて助けに入っていたのだ。

 対象との距離や移動速度から遅れている訳ではない。セフィロスは相手が窮地に陥って始めて行動を開始しており、それまでは例えどんなに危険度が高かったとしても助けに動こうとはしていなかった。言い方を変えれば、未然に防げる危険をワザと防いでいないということである。

 セフィロスとしては『これは試験だから』と思っての行動だったのかもしれない。しかし幼い頃からのセフィロスを知っているオールマイトからすれば、その冷静過ぎるセフィロスの行動は非常に危険なもののように思えた。

 

「――……それで、どうしてここにあなたがいるんですか?」

 

 無言のまま悶々とセフィロスに対して思考を巡らせる中、不意に教師の一人に声をかけられる。ハッと我に返って顔を上げれば、他の教師たちも一様にオールマイトへと目を向けていた。

 ここは雄英高校の教師専用会議室。いくら近々教師に就任するとはいえ、男はまだ教師ではない。よって男は現段階では未だ部外者でしかなく、どう考えてもこの場にいてもいい存在ではなかった。

 オールマイトとてそれは十分理解している。しかし彼が今この場にいるのは、それを分かっていてもなおどうしても彼ら教師たちに伝えるべきことがあったからだ。

 どう説明すべきかと迷う中、唯一オールマイトがこの場にいる理由を知っている人物が代わりに片手を挙げて口を開いた。

 

「すまない、彼がここにいるのは僕が許可したからさ! みんなに話したいことがあるらしくてね」

 

 高い声で溌剌と話すのは小さな人……ではなく、大きなネズミ。成猫と同じくらいはあるだろう大きさの白いネズミが器用に椅子に腰かけてこの場にいる全ての教師たちを見つめていた。

 何を隠そう、このネズミは唯のネズミではない。“ハイスペック”という“個性”を発現させたネズミであり、この雄英高等学校の校長を務める根津校長だった。

 

「それじゃあ、説明よろしく!」

「……はい、ありがとうございます」

 

 オールマイトは一度根津に軽く頭を下げると、改めてこの場にいる全員へと目を向けた。

 今から言う言葉は、この場にいる全員からの信頼を失いかねない危険なものだ。しかし、“それ”を言わずしてこのまま無言を貫くことはできなかった。第一、そんなことをしてはそもそもセフィロスを引き取って雄英高校の入試を受けさせた意味がなくなる。

 オールマイトは一度深く大きく深呼吸すると、グッと拳を握りしめて覚悟を決めた。

 

「……私がここにいるのは、君たちに話しておくべきことがあるからだ。……私は今回、実技演習の審査員たちにある子供を合格させてほしいと頼んでいた」

「「「……っ!!?」」」

 

 男の言葉に、この場が一気に静まり返る。まさかそんな言葉が出てくるとは思ってもいなかったのだろう、誰もが驚愕の表情を浮かべてオールマイトを見つめる。

 しかしオールマイトはそれを一切気にすることなく話を続けた。彼らの反応は最初から予想していたことであり、今更二の足を踏むようなものではなかった。

 

「……とはいえ、私が頼むまでもなく、その子は無事合格評価を貰えていたんだけど……」

「ということは、その子供はこの表の中にいるんですね? どの子供ですか?」

「………君たちが注目していた少年の一人……、“八木セフィロス”君だよ」

 

 男の言葉に、誰もが一様にモニターに映っている実技総合成績表の“八木セフィロス”という文字を見やる。しかしいくら見つめたところで、何故“平和の象徴”とまで謳われる男がこの子供に肩入れするのか分かるはずもない。教師たちは互いに顔を見合わせると、また一様に男へと視線を戻した。

 

「あなたがそんな肩入れをするなんて信じられませんが……。この“八木セフィロス”という子供とは一体どういった関係で?」

「彼は……私の養子だよ」

「養子っ!?」

「えっ、養子なんて引き取ってたのかよっ!!」

「……自分の子供だから、合格させようとしていたと?」

 

 誰もが驚愕の声を上げる中、一人の教師が冷たい視線と言葉を男に投げかける。

 オールマイトはそれにどう答えるべきか少し迷った後、取り敢えずはこれだけははっきりさせておこうと頭を横に振った。

 

「いや、厳密には違う。だが、そもそも彼を引き取った理由の一つが、雄英高校に入学させるためというものだったことは事実だ」

「……一体どういうことですか?」

 

 何を言いたいのか理解できず、この場にいる教師たち全員が困惑や訝し気な表情を浮かべる。

 オールマイトは一つ深呼吸をすると、次にはまず順を追って説明することにした。以前緑谷にも話したセフィロスとの出会いについての説明を教師たちにもそのまま話して聞かせる。しかし、セフィロスが何故そもそも実の両親に捨てられて孤児院にいたのか、その理由だけは口に出さなかった。気軽に話せるような内容ではないし、今この場においてはセフィロスが捨てられた理由は話す必要のないものだ。今はそれよりももっと重要なことを話さなければならない。

 彼らを混乱させないためにも重要なことだけ手短に話そうと心がけるオールマイトに、教師たちは大人しくそれに耳を傾けた後にそれぞれ顔を見合わせた。

 

「……ふむ、そんなことがあったとは知らなかった…」

「なるほど、演習中でのあの冷静さは幼少期の過去が原因だったのかもしれないな……」

「けれど、それと今回のことと何か関係が?」

「実は先ほど話した内容は“一般的な事実”の話なんだ。つまり、『そういうことになっている事実』ということだ……」

「“一般的な事実”?」

「真実はそれとは少し異なっている。……先ほどの話では、(ヴィラン)を倒したのは我々ヒーローたちということになっていたが、真実はそうじゃない。(ヴィラン)は私たちが孤児院に着いた頃には既に倒されていた。……倒したのは、当時まだ10歳だったセフィロス君だ」

「「「……っ!!?」」」

 

 教師たちは一様に驚愕の表情を浮かべ、中には大きく息を呑む者もいた。それだけ先ほど男が口にした言葉は意外なものだった。

 孤児院を襲った(ヴィラン)がどれほどの力を持っていたのかは分からないが、10歳の子供が……それも複数人の(ヴィラン)を一人で倒すこと自体が信じられない事だった。

 

「それに、私が驚いたのはセフィロス君が一人で複数の(ヴィラン)を倒したことだけではない。……あの時、(ヴィラン)は全員重傷を負っていた。それをやってのけたセフィロス君は、何の表情も浮かべていなかったんだ」

「「「……………………」」」

 

 張りつめた声で語られた内容に、教師たちはもはや言葉もなく黙り込んだ。

 “(ヴィラン)予備軍”という言葉が教師たちの頭に浮かび上がる。

 生まれ持った性格や育った環境、或いは発現した“個性”の影響によって(ヴィラン)となる確率が普通の人間よりももともと高い者たちがこの世の中にはある一定数存在する。そんな彼らを自分たちは総じて“(ヴィラン)予備軍”と呼称していた。

 もしやこの“八木セフィロス”という子供もまた“(ヴィラン)予備軍”なのではないか……。

 男の説明を聞きながら、この場にいる誰もがそう思い巡らせた。

 普通、どんなに多感な性格であったとしても、10歳くらいの子供であれば他者を傷つける行為は非常に恐れるものだ。それが故意によるものにしろ無意識によるものにしろ、実際に他者を傷つけてしまった場合、殆どの子供が自分の行動に怯え恐怖を感じてしまうだろう。しかし男の話によると、当時のセフィロスにはそういったことが一切なかったのだという。

 怯えも恐れも怒りも、拒否反応すらない。あるのはどこまでも無機質な光のみで、背中に多くの幼い孤児たちを庇って立ちながら、ただガラス玉のような翡翠色の瞳を倒れ伏す(ヴィラン)たちに向けていたらしい。

 

「……セフィロス君はとても強い力を持っている。このまま放っておけば、(ヴィラン)となって多くの人々をその力で傷つけてしまうかもしれない。だから私は、彼を引き取り手元に置くことにしたんだ」

 

 当時、オールマイト自身ですら赤く染まった細長い異様な刀を持ち立ち尽くすセフィロスを見た時は驚いた。顔どころか瞳にすら感情を浮かべぬセフィロスの様子に恐怖すら感じた。

 しかし、セフィロスが自分の家族である孤児院の教師や子供たちを守るために刃を振るったことは紛れもない事実。

 他者を守るために苛烈になったのであろうセフィロスを、オールマイトは決して(ヴィラン)にさせたくはなかった。

 

「私は彼を(ヴィラン)にさせたくはない。そのためにも、この雄英高校でヒーローである君たちの下で、ヒーローとは何かを近くで見て感じてほしいと考えているんだ。……どうか君たちの力を貸してほしい」

「「「……………………」」」」

 

 最後に深々と頭を下げる男に、教師たちは再び互いに顔を見合わせた。彼らの顔には未だ濃い困惑の色が浮かんでいるものの、しかし一方で決意のような強い光も彼らの双眸には宿っていた。

 元々ヒーローである雄英高校の教師たちは、立派なヒーローを育成していきたいという思いだけではなく、多くの子供たちを立派に導いていきたいという思いも誰もが等しく持っている。その中には“道を踏み間違えさせない”という意味合いも当然入っているのだ。

 男からの突然の告白も、その話の内容は十分驚愕するものではあったが、実際にズルでその子供が合格したのでなければ何も問題はない。自分たちがすることに何も変更はないのだと互いに頷き合うと、それぞれ微笑やら苦笑やらを浮かべながら未だ深々と頭を下げている男へと声をかけた。

 

「オールマイト、顔を上げて下さい。あなたの気持ちは十分に伝わりましたから」

「まぁ、普通に合格したのなら何も問題はないわけだしね。問題児なら、それはそれで腕が鳴るわ」

「いや、問題児って……。ある意味、問題児かもしれんが……」

「私はその子供の力に興味があるな。……10歳で既に複数の(ヴィラン)を倒すとは……、一体どこまで自分の“個性”を使いこなしているのか……」

 

 和気あいあいと再び騒がしく話し始める教師たちに、オールマイトはやっと下げていた頭を上げる。暫く呆然と教師たちを見つめた後、次には骸骨のような顔に柔らかな笑みを浮かばせた。感謝の言葉を口に出し、再び教師たちに頭を下げる。

 その姿はどこからどう見ても一人の子供を持つ親そのもので、教師たちは今まで見たことがなかった英雄の姿に微笑ましそうに笑い合った。

 張りつめた空気が大きく緩み、和やかな空気が会議室を包み込む。

 しかしただ一人、長い髪と首に巻き付けた白い包帯のような布で口元を隠した教師だけが、ひどく冷めた目で実技総合成績表の“八木セフィロス”の文字を見つめていた。

 

 




今話に出てくる実技総合成績表ですが、セフィロスがいることによって、緑谷の順位が8位になっております。
デクくん……ごめんよ………orz
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