ソードアート・オンライン ~巨狼、虚現に生きる~   作:巻波 彩灯

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第4話:“本当”の痛み

「あ、あそこにいるの、アキとアスナじゃない」

「本当だ……何でアスナさんがいるんだろう」

 

 リンダースに戻り、寄り道して食材を買った後、店へと戻る道の先で赤と白の服装が映える二人組の少女がいた。

 

 黒髪をおさげでまとめているアキレアと、薄茶のロングヘアーに編み込みのハーフアップを結わえた目鼻立ちが明るい少女――アスナが談笑している様子。

 

 アスナは歩み寄ってくるリズベット達に気付き、「あら、リズに……ヴォルフ君……?」ヴォルフの顔を見て、大きく目を見開いた。彼女もまたアキレアと同様、血盟騎士団に所属しているプレイヤー。さらには副団長を務める程の実力者である。

 

 そんな凄腕プレイヤーと一度や二度程度しかまとも顔を合わせた覚えがないのだがと思いつつ、突然抜けた事への罪悪感も同時に沸き立ち、ヴォルフはばつ悪そうに言葉を返す。

 

「あはは、ご無沙汰しています。アスナさん」

「もう同い年なんだから、敬語じゃなくていいよ」

 

 他人行儀なヴォルフの言葉に、アスナは苦笑いを浮かべる。「突然攻略組に顔を出さなくなったから、心配……したんだから……?」次の句を話していく内に視線をヴォルフの手元へと落としていき、言葉尻が驚嘆の色を帯びて弱くなっていく。

 

 今度は目を丸くした彼女に、「あ、いや、これはあれだよ! 迷子対策だよ!」と言って慌ててリズベットの手を振り払う。迷子になるからと手を握っていた事をすっかり忘れていた。もう少しだけ握っていたかったという気持ちもあるが。

 

 納得したかのようにアスナは頷き、「相変わらず道に迷いやすんだね……」困ったような笑みで返す。

 

「ダンジョンで会った時も道に迷っていていましたし……」

 

 アキレアもつられたように笑みを(こぼ)し、ヴォルフの方を一瞥してからアスナと目を合わせる。黒の瞳は、憧憬と恋慕(こいぼ)を混在したかのような光が揺らめき、表情もリズベットやヴォルフに向けるものより柔らかげだ。

 

「ホント、攻略組にいたのが信じらんないぐらい方向音痴なのよ」

 

 彼の隣にいるリズベットはアスナやアキレアと違い、(いぶか)しげな相好(そうごう)をしながら呆れたような調子で言って、ヴォルフの事を睥睨(へいげい)。若干の不信感が見え、疑惑の眼差しを向けられている。

 

「ああ、その……その節はお世話になりました……」

 

 迷子になった時の事を思い出し、ヴォルフは申し訳なさそうにこげ茶の短髪を掻いて謝罪。自分でも一応自覚していたつもりだが、ダンジョン内を三日も四日も平気で彷徨う自分の方向感覚を過信しすぎてしまったと内省するばかり。

 

 相変わらずの彼の態度に安堵したのか、アスナは柔らかく笑う。直後、いたずらっぽく年相応の少女の笑みを浮かべながら、「それにしてもヴォルフ君って、大胆ね」からかうような調子で言葉を発して、「女の子の手を握るなんて」視線をヴォルフの手元の方へ落とす。

 

 まさかからかわれると思っていなかったが故に、ヴォルフは慌てふためきながら両手を前に出して横に振り、「こ、これはリズさんが迷子になるから手を出せって……」リズベットに助けを求めるかのように視線を送る。

 

 助けを求められた側のリズベットも慌てようが伝播したのか、「こ、これが一番無難な方法だと思ったからよ!」顔を赤らめさせながら、「な、何を考えているのよ!?」桃色の瞳を睨みつけるようにアスナの方へと向けた。

 

「冗談だよ」

 

 からかった張本人は、予想以上の反応だったのか楽しげに笑い立てる。「何だか二人が手を繋いでいる姿がお似合いだなって」いつになく相好は崩れ、薄茶の双眸(そうぼう)も楽しげに細められていく。

 

 その隣でアキレアも愉快げに優しく喉を鳴らして、「私もお二人の姿が微笑ましかったです」柔らかい語勢で所感を述べる。

 

 しかし、リズベットもそのまま黙っている訳がなかった。「アスナこそ、あいつとどうなのよ?」仕返しだと言わんばかりに意地の悪い笑みで訊ね、「上手くいっているの?」さらに畳みかけていく。

 

 彼女の相好を見て、ヴォルフは彼女らしいと苦笑いしつつも、どこかリズベットの顔が強張っているようにも感じていた。

 

 まるで話題に挙げている人物が、意中の人のような……そんな彼女を見つめている自分の心も少しだけ固くなっていく気も。次の瞬間には、何を変な事を考えているんだと振り払い、覿面へ顔を向けていく。

 

「な、何で、キリト君の事を訊くの!? ……まぁ、その仲良くやっているよ」

 

 自分に返ってくるとは思わなかったのか、アスナは驚嘆の声を立てつつも頬を上気させ、恥ずかしがりながら言葉を返す。「変わらず熱々なお二人ですよ。この間なんて――」凛とした副団長の姿が崩れたのをいい事に、アキレアも流れに乗じてからかう。

 

 ふとアキレアの方にも視線を移すと、楽しそうにからかっているはいるものの、どこか寂しげに笑っていた。

 

 それぞれが抱えている想いはハッキリと分からないが、何となく自分と似たようなものだろうかとヴォルフは感じていく。だが、自分が胸に抱いている心の硬直を一緒にしては彼女達に失礼だと否定し、ただぎこちなく笑うだけ。

 

「ああ、アキ、これ以上は言わないで!」

 

 自分の背丈よりも小さいアキレアの口を塞ぐように、アスナは手を出して制止の意を示す。「もう、リズもからかわないでよ!」最初にからかってきた相手には、薄茶の双眸を鋭利に細めて、流麗(りゅうれい)な眉を寄せていく。

 

「ごめん、ごめんって! そんなに怒らないでよ!」

 

 親友に言い寄られて、リズベットは謝りつつも哄笑する。「そんだけ仲がいいなら心配ないわね」豪快に笑い飛ばした後は、いつもの快活な笑みを浮かべて嘆息を吐いた。

 

「ヴォルフ君、ごめんね。リズったら、こういうところあるから」

「あはは、それでも楽しく助手をさせてもらっていますよ」

 

 愉快げに笑い声を立てながら答えるヴォルフ。彼女がフランクに接してくれているおかげで、変に気を遣わずに済んでいるのは確かだと振り返っていく。若干、強引なところはあるけれど。

 

 彼が言った言葉の意味が分からず「助手?」首を傾げて聞き返すアスナだが、やがて理解したらしく、手のひらに縦拳(たてけん)を軽く置いて思い出したかのような口調で言葉を続ける。

 

「アキから聞いていたけど、今はリズの手伝いをしているんだってね」

「まぁ、お金がないから泊まらせてもらう代わりに、だけど」

 

 手伝う事になった経緯を思い起こしながらヴォルフは苦笑する。泊まる場所がなかったとはいえ、簡単に「泊まれば?」なんて言い出されるとは思いもしなかった。

 

 苦笑いしつつアスナと目を合わせた瞬間、「耳を貸して」と言われて、長身を彼女の背丈に合わせて屈ませる。「……リズは誰よりも頑張り屋さんだから、支えてあげてね」そっと耳打ちをされ、ヴォルフは頷く事もできず、ただ目を丸くするだけだった。

 

「それじゃ、私は帰るね。今度、リズの店に寄るから」

 

 ヴォルフから身を離して、アスナは他の二人にも視線を移して朗らかに別れを告げる。「後、アキもイベント戦、頑張ってね!」激励の言葉を明るい語調で述べた後、彼女は踵を返して遠くへ行ってしまう。

 

 去り行く背にリズベッドは快活ながら穏やかな調子で「いつでも待っているわよ~」と言い、「頑張ります!」アキレアは意に応えようと力強い語勢で投げかけた。

 

 

 

 

「アスナに何て言われたの?」

 

 夜中、二人は居間で温かいお茶を飲みながら談笑をしていた。夕方頃、アスナが去り際に話していた事が気になったのか、リズベットはハッキリとした声音で訊ねる。

 

 そこまで気になるのかと驚きつつも、何とか平静を取り戻して「別にそんな大した事じゃないよ」ヴォルフは穏和な語調で答えた。恋人がいる美人から何か言われたのだから、見ていた人間からしたら気にならない訳がないかと感嘆しながら。

 

「いや、大した事じゃないなら、普通は耳打ちしないでしょ」

 

 食い気味に言葉を返すリズベットに苦笑いを浮かべて、「本当に大した事じゃないってば」と右手を横に振って、何事もないと意を示す。実際、何かしらの大きな悩みや告白ではなく、小さな頼みだった。ヴォルフにとっては、かなり大きいのだが。

 

 詳細を聞くまで下がる気がないのか、リズベットは桃色の双眸を少しだけ鋭利に細めながら「気になるでしょうが!」語気を強めつつ、「それで、どんな事言われたのよ?」眉を訝しげに(ひそ)めた。

 

 これ以上は隠し切るのは無理だなと察したヴォルフは嘆息を漏らし、自分のコップに入っている湯気立つお茶の水面に視線を落としながら口を開く。

 

「リズさんは頑張る人だから、手助けしてあげてって……ただそれだけの事だよ」

 

 言っているだけで顔が熱くなるのは、きっと湯気に当たっているからだと押し込む。

 

 でも、どうしても力になりたいという気持ちだけは胸の中に顕在していた。同時に釣りをしていた時に感じた温かく穏やかなそよ風が吹いているような感覚に襲われる。

 

「はぁ~、アスナもお節介なんだから」

 

 長く嘆息を吐いた後、頬杖をついて呆れたような口調でリズベットは言葉を発した。「でも、あんたには充分助けられているわ」次の句を言った時には桃色の瞳をこげ茶の双眸に合わせるように向け、「あんたの旅費が貯まるまでは、これからも働いてもらうからね」勝ち気な笑顔を浮かべて、快活な調子で告げる。

 

「俺で良ければ、これからも手伝うよ」

 

 旅費が貯まるまで……その言葉に何故か寂しさや悲しみが入り混じり、複雑な思いを抱える。約束だったのだから、仕方ないし、最初提案された時はあんなに拒んでいたのに何を考えているんだと叱咤。

 

 だからこそ、ここにいる間は可能な限り力になるんだと気持ちを切り換え、顔を上げて穏和に笑う。

 

 少し間が空き、次に話そうかと思考を巡らそうとした瞬間、「あんたって、好きな人いるの?」唐突にリズベットから訊ねられる。質問している本人は、いつになく神妙な顔つきで見つめていた。

 

「きゅ、急にどうしたんだい? そんな事、訊いて」

「あ、いや、何となく……アスナの事話したら、ちょっと思い出してね」

 

 少しだけ神妙な相好は崩れ、年相応な少女のいたずらっぽい笑顔を浮かべるリズベット。桃色の双眸は何かしらの期待を込めた光を宿して煌めている。

 

 彼女の何気ない質問にどう答えればいいのか分からず、ヴォルフは言葉を詰まらせるばかり。「……いるよ」再び視線を手元に落として何とか声を絞り出す。

 

 今目を合わせると、考えている事がバレそうで怖い。こんなタイミングで知られたくないという気持ちに駆られる。

 

「そりゃ、そうよね。っで、どんな人なの?」

「ど、どんな人なのって?」

「勿体ぶらずに話しなさいよ。誰にも話さないから」

 

 視線を上げると、アスナをからかっていた時と同じように意地の悪い笑みで話を聞き出そうとするリズベットの顔が目の前に。彼女がそう簡単に引き下がらないのは承知済みだし、これ以上は黙りこくってもしつこく追及される気がする。

 

 意中の相手に惚れたところを思い返すのは無性に恥ずかしい。顔の温度が急激に上がっていき、耳まで伝播していくのを感じつつ、おもむろに口を開く。

 

「……その子はちょっと強引なところもあるけど、面倒見が良くて……」

 

 いつになく優しげながらも真剣な眼差しで、「それで?」リズベットは相槌を打って次の言葉を待つ。

 

 彼女と面と向かって話すが恥ずかしくて、目を逸らしつつヴォルフは言葉を継ぐ。「一つの事に凄く一生懸命に打ち込むんだ」鍛冶場で武器を鍛錬していた彼女の姿を思い出しながら、「その時の横顔が格好良くてさ……」見惚れた顔を浮かべるとさらに顔が熱くなっていくのを感じる。

 

 体も顔と同じように熱くなり、この場から逃げ出したい気持ちに突き動かされそうになるものの、一呼吸して落ち着かせていく。次は釣り場の事を思い返して、頬の色が真っ赤になっていくのを感じながら話を続けた。

 

「その、いつも笑って受け止めて……でも、真面目な話の時は、誰よりも真剣に聞いてくれる子だよ」

 

 一通りの事を伝え終えるが、完全にリズベットの事が直視できない。素直に言葉にする事ができないし、いきなり告白してもドン引きされるだけだろう。まともに知り合ってから、そこまで日が経っていないのに……言える訳がない。

 

「へぇ~、いい子じゃないの」

 

 ヴォルフの心情を知ってか知らずか、リズベットは桃色の双眸を柔和に細めて、穏やかな笑いながら感嘆の意を述べる。「……その子には告白したの?」優しげに問いかけられた言葉は、確実に彼の心を突き刺していく。

 

「いや、まだだよ。どう伝えていいのか、分からなくて……」

 

 今目の前にいる君が好きだ……なんて言えるはずもなく、ヴォルフは悶々とした気持ちを抱えながら返す。ただの友人、それか職人と助手の関係でも充分で、その先の関係を望むなんて勿体ない事だと。今ある穏やかな時間が壊れてしまうのではないかとも感じて、足が竦んでしまう。

 

「そんなの、自分の気持ちを正直に伝えればいいじゃない」

 

 どこか呆れの調子を混ぜつつも、リズベットの声音は真面目そのもの。「あんたみたいな人ならしっかり受け止めてくれるわよ」快活な笑みは変わらないものの、声色には確かな信頼を感じさせるような温かな色があった。

 

 直後、彼女はハッと何かに気付いたかのように目を見開き、やがて眉尻を下げて語勢を弱めながら言葉を発する。

 

「……もしかして、あんたが捜していた友達とか?」

 

 行方をくらましている友人の事を気遣うような語調に、安堵したように笑い返し、「違うよ」緩やかに首を横に振って否定。「最近、出会ったばかりなんだ」ハッキリ告げた後は言葉を探して口を閉じる。「……アキレアさんとかじゃないよ」間を空けて言葉を続けるが、音は口の中へと消えていき、外には流れ出なかった。

 

 思い当たる人物がいないか、「最近会った人ねえ……」と首を傾げて考え込むリズベットに、「ところで、リズさんには好きな人いるの?」ヴォルフは意を決して質問を投げかける。どことなく笑みは硬く、ぎこちない。

 

「あ、あたしにはいないわよ! か、鍛冶一筋なんだから!」

 

 今までにないくらい慌てふためくリズベット。頬も今まで見た事ない程に上気させていた。「でも……こいつには絶対負けたくないというか頭から離れない奴はいるわ」視線を逸らして、少し乱暴な語調で言葉を紡ぐ。

 

「……どんな人なんだい?」

 

 恐る恐るヴォルフは訊ねる。彼女の反応から何となくいるんだろうなと、暗澹(あんたん)な気持ちが心の片隅で生まれていく。

 

 できれば、これ以上は聞きたくない。自分で訊いておいて、随分と勝手すぎると再び叱咤して彼女の言葉を待つ。

 

 不機嫌そうな語勢でリズベッドは口を開き、「そいつは飄々したままあたしの自信作をへし折ってくれちゃって……」今でも根に持っているのか、段々口調が刺々しくなる。「その癖、お人好しであたしの事を助けてくれた」けれど、その句を述べる時は先程の不機嫌そうな態度が嘘のように優しくなり、声音も柔らかくなっていた。

 

「リズさんの武器を折るって、まるで“黒の剣士”みたいな人だね」

 

 何気なく言ってしまった一言。彼の言葉を聞いたリズベットは、顔を真っ赤にしてながらもどこか複雑そうな表情を浮かべて、何も言わなかった。発言者を見つめる目に、拭いきれない悲しみが見え隠れしている。

 

 ヴォルフは彼女の反応で意中の相手が誰なのか察した。けれど、桃色の双眸に秘めた悲愴(ひそう)な光の揺らめきに気付く事なく、ただ俯いて自責の念を強く感じるだけ。――相手もまた年頃の女の子だから、好きな人がいて当たり前だろうに。

 

「そうだよね。あのリズさんの武器を壊せるのは“黒の剣士”だろうね」

 

 どこか投げやりな口調と自嘲の笑み。拳を強く握り締めて、できるだけ暴発しそうな想いを堪える。まるで欲しいものを買ってもらえなかった子供のようだと内心、自分の事をひたすらせせら笑う。

 

「ヴォルフ……? あんた、顔色悪いけど、どこか具合悪いの?」

 

 異変に気付いたのか、リズベットの語調は気遣うような優しいものになる。今はその声を聞くのが辛い。

 

「いや、大丈夫だよ……俺はそろそろ寝るかな」

 

 心配かけまいと柔和な笑顔を貼り付け、お茶を飲み干した後に立ち上がり、「おやすみ、リズさん……」震える声音をできるだけ抑えながら、弱々しい語勢で告げて足早に部屋を出た。

 

 

 

 

 ヴォルフは自分の部屋に戻り、「何やってんだよ……」と呟いて、ベッドに腰かける。相手にも好きな人がいて、当たり前なのに、勝手に一人で舞い上がって……馬鹿なのではないかと思う。

 

 胸が酷く痛み、涙が零れ落ちそうになる。モンスターの攻撃を受けた時の痛みとは違う。親友が急に眼の前からいなくなった時の痛みともまた違った。

 

 今感じている痛みは嘘であって欲しいと願うばかり。これが“本当”だと信じたくない。これまで経験した悲しみや苦しみを遥かに超え、しかも悲しみや苦しみがごちゃ混ぜになっていく。

 

「ヴォルフ、まだ起きてる?」

 

 ふいにドア越しから聞こえてくる声。気遣わしげで少し心配そうな語調で彼女が訊ねてくる。

 

 何と反応すればいいのか、どんな顔をして会えばいいのか分からず、息を潜めてただじっとドアの方を見つめていた。

 

「もう寝ちゃったか……」

 

 諦念(ていねん)の声色でリズベットは言葉を発し、少し遅めの足取りで足音を立てながら遠のいていく。

 

 彼女がいなくなったと感じた時に、大きく息を吐いて、ヴォルフは天井を見上げる。年季が入っているものではないが、それなりに古びており、ホコリや蜘蛛の巣がちらほらと目に付く。

 

「……寝よう」

 

 悶々とした気持ちが晴れないまま横になり、眠気が襲ってくるまでずっと天井を仰いでいた。寝て起きたら、いつも通りにしよう。今抱えている想いはなかった事にしようと思いながら。




 オリ主×既存ヒロインなんだから、イチャイチャの甘々シーン全開なんだろうなって期待して読んでいる方、本当にすみません。

 ヒロインがオリ主の心をぶっ刺していくし、何か失恋に近い状態になっちゃったし……巻波って奴は、こうして書くのが楽しい奴なんです。
 そもそもガチのイチャイチャシーン書けないし、書いている最中に拒否反応を起こして死にかけたレベルに自分のラブコメ文章が読めない。

 さて、ヴォルフはどう行動するのか……乞うご期待。

 次回は8月18日を予定していますが、投稿時間についてはアンケートで最も多かった時間帯で流します。

 では、この辺りで筆を休めます。
 変わらず、感想の方、お待ちしておりますので良ければ一文だけでも。
 次回もお楽しみに。
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