ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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と、いう訳で第二話です( *´艸`)

調子に乗って出しております( *´艸`)

楽しめる方は、楽しんでください!(^^)!

ではでは( *´艸`)


地球へ向けて

 クウラの宇宙船。

 

 チライとレモは、一般兵士が使う蜂の巣のような段々式のカプセルベッドに案内されると思っていたが。

 

 機甲戦隊のメンバー、ネイズに案内されたのは、きちんとした個室ーーそれも2部屋だった。

 

「え!? こ、個室!?」

 

「あ、あの、宜しいんですか?」

 

 びっくりする二人に面倒そうにネイズは向き直る。

 

「一応、客人として扱ってやるよ。フリーザ様の下へ帰るかどうか、判断するまではな」

 

 それによ、とネイズは半目になって語る。

 

「俺たち3人とクウラ様以外は、船には誰もいないから。部屋は余ってるんだよ。あの方は、大勢の部下を連れ歩くのを嫌うからな」

 

 思わずチライが問いかけた。

 

「それなら、ブロリーってヤツは分かるけど。なんでアタシらまで?」

 

「さあな?あの方の気紛れかもな?」

 

 はじめて会った時は人を見下しやがって、としか思わなかったが、話してみると意外に話しやすい。

 

 部屋が余ってるからと言って、個室に案内してくれたのもおそらく好意からだろう。

 

「ネイズ!」

 

「ーーおま、機甲戦隊(エリート)の俺に向かって呼び捨てに」

 

 ニコリと笑って彼女は親指と人差し指を曲げて輪っかを作り、言った。

 

「サ〜ンキュッ!」

 

 無邪気な笑顔にネイズは毒気が抜かれたような顔になった後、頭をかく。

 

「チ、調子が狂うぜ」

 

 その後、チライに向かって言った。

 

「別に俺やドーレは構わねえが、サウザーやクウラ様にタメ口を利くんじゃねぇぞ。クウラ様は恐ろしいから、あの方に向かって、んな事しねぇとは思うが。サウザーは立場に口煩いからな」

 

 チライが礼儀を弁えるのが苦手だと理解したからか、忠告してくるネイズに彼女は思わず言った。

 

「アンタ、良いヤツじゃん!」

 

「うるせ!飯が出来てるから、さっさと食堂行って風呂入って寝ちまいやがれ!!寝る前は、歯を磨けよ!!爺さんもな!!」

 

 それだけ一方的に告げるとネイズは背を向けて出て行こうとする。

 

 そこへ、黒髪の青年を思い返してチライは聞いた。

 

「あのさ、ブロリーは?」

 

 チライの言葉に振り返り、ネイズは応えた。

 

「今、親父のパラガスと二人、クウラ様に呼ばれてるぜ。ブロリーって奴は、どうもパラガスの言うこと以外、聞く気がないみたいだからな」

 

「……そうか」

 

「食堂で待ってりゃ、食いに来るだろ。そこで話せよ」

 

 手を振りながらネイズが言うと、レモが応える。

 

「チライってのがタメ口利くなら、爺さん。アンタもタメ語で構わねぇぜ」

 

「…良いのか?」

 

「ま、軍って訳でもねぇからな。俺たちは」

 

「すまないな、ネイズ」

 

「良いってことよ。年長者は敬うもんだろ?」

 

 気軽に笑って流すネイズにレモが頷くと、彼は手を上げて去って行った。

 

ーーーー

 

 宇宙船内の指揮官室。

 

 クウラが席から静かにブロリーを見据えている。

 

 ブロリーの脇にはパラガスが丁寧な礼をしている。

 

 クウラはパラガスに目を向けた後、ブロリーに目をやった。

 

「ーーこれから、地球という星に向かう。其処には貴様と同じサイヤ人が何匹か居るらしい」

 

「……なんで、俺を連れて行く?」

 

「お前の力を完全に引き出すためだ」

 

 意味が分からないとキョトンとするブロリーにクウラが笑う。

 

「パラガスと言ったな。お前の故郷、惑星ベジータが消滅しているのは聞いたか?」

 

「ハッ、クウラ様の船に乗艦させていただく際に機甲戦隊の方々にーー!」

 

「そうか。それで、お前はフリーザが星を砕いたのを知ったのか?」

 

「ーーえ?」

 

 クウラの問いかけの意味を理解できずに問い返してしまったパラガスを見て、彼はサウザーに目を向けた。

 

「フリーザが星を破壊したのは言ってないのか?」

 

「…言う必要性が無かったと思いましたので」

 

 サウザーの含むものがある言い方に微かに目を開いた後、クウラはパラガスとブロリーに顔を戻す。

 

「フン、聞いてのとおりだ。惑星ベジータを破壊したのは我が弟ーーフリーザだ」

 

「な、なんと?」

 

 目を見開くパラガスを覗き込むように、クウラは冷たい目で見つめてくる。

 

「ーーそれを聞いて、お前はどうする? 戦闘民族サイヤ人よ?」

 

「……惑星ベジータの事は、気にしてはおりません。ただ、サイヤ王家の者も根絶やしになったのでしょうか?」

 

 意外な答えだったのか、クウラは一瞬黙るとサウザーを見た。

 

「…ベジータ王は星と運命を共にしたが、その息子ベジータ王子は生きている。偶然にも今から行く地球でな」

 

「……!!ベジータが、生きて……!!」

 

 先程までクウラの顔色を窺っていた男とは思えないくらいに歯ぎしりし、パラガスは憎しみを露わにしている。

 

 隣にいるブロリーは、悲しげに父を見た後でクウラを真っ直ぐに見返して来た。

 

「復讐、か。サイヤ人の間にも、そのような感情があったとはな」

 

 少しだけ、クウラの口調が変わった事にサウザー以外は気付けない。

 

「クウラ様!是非、地球に行かせて下さい!!我が息子ブロリーの力で、今度こそ!ベジータの息の根を!!我等親子の苦しみを味わせてくれる!!!」

 

 パラガスの言葉を聞いてから、クウラはブロリーを見つめた。

 

「…貴様は、どうするのだ?」

 

「えーー?」

 

 黒目を見開くブロリーにクウラは続ける。

 

「貴様の親父の意見は分かった。が、貴様はどうする?どうしたいのだ?」

 

 質問の意味が分からずにブロリーは呆然とクウラを見返して来る。

 

「無論、息子のブロリーも私とーー!」

 

「パラガス。俺はブロリーに聞いているんだ」

 

 にべもなく切り捨てられてパラガスが項垂れる中、ブロリーはクウラを見返して来る。

 

「…ブロリーよ、貴様はたしかに強い。だが貴様には足りぬもの、知らぬことが多過ぎる」

 

「……!!」

 

 冷たい表情で淡々と告げるクウラの、しかし自分だけを見て来る紅い瞳を見返してブロリーは何とも言えない感情を胸に抱いていた。

 

「地球に居るサイヤ人共は、おそらく貴様が足りぬものを持っているだろう。学んでこいーー」

 

 クウラの冷たい言葉にブロリーは承諾も拒否もせずにジッと彼の目を見返してきた。

 

ーーーー

 

 食堂でチライとレモは、何週間ぶりのまともな食事にありついていた。

 

「くー!やっぱ飯は携帯食より、こっちだよなぁ!」

 

「お〜、チライ!その果物、一つくれ!」

 

「あいよ、レモさん」

 

 仲良く食べ合う二人の下に、ネイズがシャワーを浴びて新しい戦闘服に着替え、小綺麗になったブロリーを伴って食堂へやって来る。

 

「おい、コラ。いくら貸し切りだからって、もう少し静かに食わねえか!」

 

 騒がしい二人組にネイズが苦言を呈するが、チライは何処吹く風と言わぬばかりに、というか嬉しげにブロリーに声をかける。

 

「あ、ブロリー!こっちおいでよ!!」

 

「…無視か!?」

 

 目を見開くネイズの前にレモが出て来る。

 

「す、すまねぇな。ここは俺が一杯奢るよ」

 

「勤務中だ、気持ちだけ貰っとくぜ」

 

 レモの言葉を遠慮し、逆にネイズは食堂から酒をひと瓶出してきた。

 

「こ、コイツは?」

 

「滅多に飲まねぇから、適当に空けといてくれや。積もる話もあんだろうからよ」

 

「い、いいのか?アンタの分は?」

 

「だから。勤務中だっつーの」

 

 食堂から出て行きがてら、手を振りながらネイズは言う。

 

「飲まれずに腐らせるくらいなら、飲んで貰った方が酒も喜ぶだろうよ」

 

「……なんで、アンタみたいなヤツが。軍に?」

 

 フリーザ軍の戦闘兵士は傲慢で。酒に酔っては女や老人に絡みに行くヤツばかりだ。

 

 汚いヤツか、ロクでもないヤツしかいない。

 

 あのクウラというフリーザよりも更に冷たそうな男に、何故ネイズのような人間が付き従うのか。レモには不思議だった。

 

「そいつは、悪いが企業秘密ってこった。アンタがクウラ様に仕えるんなら、話してやってもいいがね」

 

 それだけを言い、ネイズは去って行く。その背中にチライに話しかけられているブロリーが声をかけた。

 

「ま、待ってくれ…!」

 

「?どしたよ?」

 

 キョトンとするネイズにブロリーが眉を下げて、気弱な表情で問いかける。

 

「お父さん、は……?」

 

「クウラ様が、少し話があるとか言ってたぜ。終われば戻って来るだろ。食堂で待ってろって親父さんにも言われてたじゃねえか」

 

 やや呆れた声を出すネイズにブロリーはうつむきながら言った。

 

「アイツーー。クウラ、って言ってたヤツ。お父さんと俺を離して。俺に何をさせたいんだ?」

 

「! 気付いてたのかよ。だが俺もクウラ様が何故、テメエの面倒をそこまで見るのかは分からねえな。理由を想像するだけだ」

 

「アイツ。お父さん、傷付けたーー!」

 

 怒りの表情に変わるブロリーだが、すぐに眦が下がり弱ったような顔になる。

 

「ーーでも、アイツ」

 

 自分を気にしていると思った。自分にとって大事な何かを教えようとしてくれている、と。

 

「俺、アイツ、分からない」

 

 困った表情になるブロリーをネイズはジッと見た後、笑った。

 

「お前さ。クウラ様がどんな方かを知ったら、大好きになりそうだな」

 

「……え?」

 

 手を振ってネイズは去って行った。食堂に残されたブロリーは所在無さげにチライとレモが座る席に移動する。

 

「はい、ブロリー!いっぱい食べなよ!!」

 

「嫌いなもんはあるか?食えないなら、最初から選ばない方が良いぞ?」

 

 空間モニターからメニューを見て次々と頼むチライとは対照的にレモは、ブロリーがどんなものが好きかを細かに聞いてからメニューを選ぼうとする。

 

 結果は、チライの勝利だった。

 

「お、美味しい。どれもこれも、全部。こんなに美味しいのはじめて食べた」

 

 半泣きになりながら食事をガツガツと平らげて行くブロリーにチライが微笑む。

 

「…あんな所じゃ、食い物もロクに無いだろうからね」

 

「そうだなぁ。何十年も、よく頑張ったよ」

 

 やがてブロリーが喉を詰まらせ、流し込もうとコップに注がれた水を取る。一口、飲んだ後でブロリーの動きが止まった。

 

「どうしたんだい、ブロリー?」

 

「……これ、なんだ?今、色んな美味しいもの、食べたけど。これ、一番美味しい」

 

「アンタ、水を飲んだこと無いのかい?」

 

「水ーー?美味しい」

 

 ニコリと笑い、グビグビ飲み干すと残った食事を全て平らげてしまった。

 

「……厳しい環境だとは思っていたが、まさか水まで無いとはなぁ」

 

 レモが思わず呟くと、チライが気の毒そうにブロリーを見た後で腰に巻かれた緑色の毛皮を見つめる。

 

「それ、汚いから外すなり洗うなりしないとダメだよ?」

 

「…コレを外すのは、ダメだ。コレは、バァの耳だから」

 

 あまり話すのが得意ではないブロリーだが、バァの事はきちんと説明しようと思った。少なくとも、此処にいる人々はブロリーから見て嫌なことをする奴はいない。

 

「バァ? その毛皮のこと?」

 

「バァは、この船よりも大きい。とても大きく恐ろしい獣だ。バァと鳴くから、そう名付けた。俺はバァと戦闘訓練を行うために、何度も何度も恐ろしい牙から逃れた。それを繰り返しているとバァは俺に攻撃しなくなった」

 

 とても穏やかに話すブロリーの表情に引き込まれるようにチライはジッと彼の目を見ている。

 

 その穏やかで優しい目が悲しみにくれるのを見つめて。

 

「仲良くなった俺たちだけど、お父さんは怒った。バァと仲良くしたら、戦闘訓練じゃないって。バァの耳を」

 

 悲しそうに辛そうに、ブロリーは語る。思わずこの大きな青年を抱きしめてやりたくなるチライだが、彼は淡々と続けた。

 

「それ以来、二度とバァは俺と仲良くなってくれなかった」

 

 悲しそうに、けれど誰に媚びることなく、彼はジッと耐えている。

 

 だからチライは伸ばしかけた手を引っ込めた。

 

「そっか。いっぱい喋ったね、ブロリー」

 

「ーーフリーザ軍に入って、此処に来るまで色んな奴に会ったが。そんなピュアな話を聞いたのははじめてだ。純粋なんだな、お前」

 

 穏やかな笑みを浮かべて言うチライに優しい笑顔でレモも頷く。ブロリーは、そんな二人にはじめてニコリと笑い返した。

 

「ブロリー!」

 

 そんな彼らの雰囲気を壊す無粋で高圧的な口調と呼びかけ。

 

 彼らが声のした方を振り返り見れば、食堂の入り口から冷たい瞳でこちらを見ているパラガスの姿があった。

 

「余計なおしゃべりをするな」

 

「……ごめんなさい」

 

 申し訳なさそうに謝るブロリーの姿にチライの眦が吊り上がる。

 

「アンタ! ちょっと話をするくらい良いじゃないのさ!!」

 

「こちらの教育方針に口出しをしないでもらおうか?」

 

「教育って……! アンタのは唯の束縛だよ!!」

 

 怒りに目を吊り上がらせるチライを冷徹な目で見つめ、パラガスが動くよりも先にブロリーがチライの手を掴んで下がらせた。

 

「! ブロリー!?」

 

「お父さん、ごめんなさい……」

 

 チライは呆然とブロリーを見上げた後、パラガスの手に銃が握られているのを見て庇われたと理解する。

 

 パラガスは微かに眉をひそめた後、ブロリーに向かって告げた。

 

「行くぞ、ブロリー」

 

「ーーはい」

 

 チライ達に背を向けて立ち去るパラガスを見つめ、ブロリーは悲しげについて行こうとする。

 

「行っちゃだめだ!! アンタが、あんな奴の言うことを聞く必要なんかない!!」

 

「よせ、チライ!!」

 

 パラガスを非難するチライを必死でレモが止める。ブロリーが止めてくれなければ、チライはパラガスに殺されているのだ。

 

「……あり、がとう。話せて、楽しかった」

 

 寂しげに笑みを返してブロリーはパラガスの後を追いていった。

 

 こちらを振り返るパラガスの眼には明らかに冷たい殺意が煌いているのをレモは見ている。

 

 その時だった。

 

「おいおい、客人に何を勝手な真似してんだ? ああ、パラガスよぉ?」

 

 ガラの悪い野太い声にふり返れば、チライよりも濃い緑色の肌と長い黒髪に筋肉質な肉体、白いヘルメットをかぶった大男が立っている。

 

 身長で言えば二メートルを越えるブロリーといい勝負だ。

 

「ど、ドーレ様!」

 

「その二人はクウラ様がフリーザ様より預かった大事な客だぁ、分かるか? そいつを傷つけるってことは、クウラ様の名誉が傷付くんだ? 分かるよなぁ?」

 

「も、申し訳ございません!!」

 

 即座に頭を下げるパラガスにドーレは静かに頷くと、チライ達に目を向けて来た。

 

「ま、客人になるのか部下になるのかは、まだ分からねえ訳だが。どの道、クウラ様の船で仲間を撃つような阿呆は要らん」

 

「……肝に銘じておきます」

 

 腹の底から絞り出すような声を返すパラガスにニヤリと笑みを返し、ドーレはブロリーを見る。

 

「おい、テメエ! ちょっと勝負しようぜ」

 

「……勝負?」

 

 ドーレはチライ達から離れた空いてるテーブルを持ってくると、肘をついて右手を握ったり閉じたりする。

 

 ブロリーはそれの意味が分からず首を傾げるが、ドーレは左手を伸ばすとブロリーの右手を掴んで彼の肘を同じようにテーブルに付かせる。

 

「右手出せ、そうだ」

 

 手を組み合う。レモが声を上げた。

 

「なるほど、アームレスリングか」

 

「そういうこった。いいか、お互いに相手に向かって力を込めるんだ。手の甲がテーブルに付いた方が負けだ」

 

 軽くデモンストレーションするように、ゆっくりと力の入れ方やルールについて語る。肘を浮かせたら負けになるなども教えている。

 

「クウラ機甲戦隊一の腕力を誇る俺の怪力を見せてやるぜ」

 

「……」

 

 言いながらドーレはレモに目配せする。心得たレモは両者の組んだ手の上に自分の手を重ねる。

 

「はい、両者。力を抜いてーー」

 

「分かってるじゃねえか、爺さん」

 

 本格的なレフェリーにドーレも嬉し気に笑う。ドーレがブロリーに告げる。

 

「爺さんが手を離した瞬間、力を入れる。いいな?」

 

「……分かった」

 

 レモが両者の気迫に緊張したような面持ちになる。

 

「レディーーーゴォ!!」

 

 手を離した瞬間、両者は力を込める。

 

「ぬぉおおお!!」

 

「ーーフン!!」

 

 次の瞬間には、ドーレは横倒しにされてテーブルは真っ二つになっていた。

 

「つ、ぅおお!」

 

「……? 甲、テーブルについてない。肘が浮いた。俺の負けか?」

 

 うめくドーレをキョトンと見ながら告げるブロリーにレモが腕を上げる。

 

「いや、お前さんの勝ちだ。ブロリー」

 

「……?」

 

 ルールがいまいち分かっていなかったようで、ブロリーは不思議がるがドーレは腕を押さえて笑っている。

 

「やるじゃねえか。さすが、クウラ様が認めただけのことはある! 機甲戦隊ナンバー1の力自慢の称号はテメエに譲るぜ」

 

 パラガスがドーレに駆け寄る。

 

「お怪我はありませんか、ドーレ様! 申し訳ございません、ブロリーが加減を間違えたようで」

 

「あん? 構わねえよ。コイツは、俺が勝手に申し込んだ勝負だからな。むしろ手を抜かれた方が腹が立つ」

 

 手首をプラプラさせながらも、決して弱音を吐かないドーレにチライとレモが何となく、指で手首をつついてみる。

 

「……!? ど、どうってことねぇぜ……!!」

 

 全身から脂汗を出して目じりから涙を流しながらも告げるドーレに半ば呆れた目を二人は送る。

 

 戦闘力は滅茶苦茶で態度は粗暴だが、意外にチライやレモに対して文句は言わないようだ。

 

「ドーレ、何を遊んでいる?」

 

「げ。サウザー」

 

 と、思いきや冷徹な瞳でドーレを睨みつけるサウザーの姿があった。

 

 彼は食堂に入るなり、真っ二つになったテーブルを見つめた後で手首を振り続けるドーレを見据えて言った。

 

「いつものか?」

 

「おうよ。誰が力自慢ナンバーワンかを教えとかねぇとな」

 

「馬鹿め。ブロリーはクウラ様が押される程のパワーを持っている。お前如きが相手になるものか」

 

「分からねえじゃねえか。腕相撲とは勝手が違うんだぜ。負けたけどな」

 

 肩を竦めながら言い捨てるドーレにサウザーが呆れた目に変わった後、ブロリーを見つめる。

 

「……!!」

 

「……あまり騒がしい先輩に付き合わなくていい。地球には後、10時間程度で着く予定だ。することが無いなら寝るんだな」

 

 それだけを告げてサウザーはドーレを連れ、去っていった。

 

 ブロリーはジッと目を見開いてサウザーとドーレを見送っていた。

 

ーーーー

 

 青い空と青い海。

 

 一面、青の世界で二人の白いオーラを纏った黒髪の戦士がぶつかり合っている。

 

「はぁああ! だりゃぁあああ!!!」

 

「んんんんっ! うぉああああ!!!」

 

 山吹色の道着を着た左右非対称に跳ねた独特な黒髪の男と、背中まで伸びた黒髪に剥き出しの上半身と白い道着のズボンを赤い腰巻で締めた二メートルを越える大男。

 

 彼らは、強烈な力と力を高め合いぶつけ合っていた。

 

 孫悟空とブロリーである。

 

 高速移動で互いに残像を残すほどに消え、互いの死角に回り込んでから一撃を入れようと水しぶきを上げながら拳と拳、蹴りと蹴りをぶつけ合う。

 

 それを無人の島から胸の前で腕を組んで見上げるのは逆立った黒髪とM字の額を持った男ーーベジータだった。

 

 手に汗握る好勝負を行う二人の親友にしてライバルを真剣な表情で追いかけている。

 

 彼らから少し離れた場所では、無人のはずの島に豪華なリゾートホテルとデパートが融合したような建物が立っている。

 

 ビーチパラソルが差され、サマーベッドに寝転んでいるのは猫に似た破壊神と水色の肌を持った長身の天使。そして彼らにケーキバイキングを振る舞う青い髪の美女ブルマだった。

 

 此処は、ブルマが何年も前から別荘にと目を付けていた島で、曰く悟空とベジータだけでなくブロリーやバーダックといったサイヤ人達が増えてきたため、修行のできる場所を移動させる必要があったとのこと。

 

 西の都やパオズ山が消えない為にも、こうして誰も居ない南の島を選んだと言うのだ。

 

「素晴らしい施設ですねぇ」 

 

「でしょ? 元々は観光所に選ばれた無人島だったんだけど。持ち主が破産してリゾート計画が途中で頓挫してたの。そこをウチが購入したってわけ。建設中だった施設を改装して使ったから手間もかからなかったわ」

 

 ほのぼのと話す天使ウイスとブルマの横でブロリーの長い腕が天に突き上げられ、悟空が天に舞っている。

 

 信じられない程のスピードで悟空の後ろに回り込んだブロリーは、両手を頭上で組んで振り下ろすも悟空は咄嗟に体を紙一重で脇に避け、強烈な後ろ回し蹴りを放つ。

 

 がら空きの顔面に入り、今度はブロリーが後方へ吹き飛ぶ。

 

 空で停止したブロリーをジッと見据える悟空。互いに笑みを浮かべて消える。

 

 そこかしこで光の波紋が発生し、衝撃波と鈍い音が鳴る。互いの右ストレートが顔の前に置かれた左手で掴み止められ、4、5回膝をぶつけ合う。

 

 互いに半歩、バックステップしてから上段回し蹴りを繰り出しあって相殺すると蹴り脚をそのまま前に踏み出して右拳をぶつけ合い、後方にのけ反る。

 

 互いに距離が開いた瞬間。

 

「かめはめーーー波ぁあああ!!」

 

「ギガンティックゥウオメガ!!」

 

 両手を開いて上下に組み、互いに掌を前方に突き出して青と緑の光を至近距離でぶつけ合う。

 

「……っ! ブロリー! オラ、オメエにゃ負けねぇ!!」

 

「フ、お前の負けだ。カカロット! カカロットォオオオオオオ!!」

 

 両者の気の光はどんどんと膨れ上がり、二人の中央で爆発する。

 

 後方に弾かれる二人は、互いに相手を睨みつけたまま空中で停止した。

 

 悟空もブロリーも互いに右拳に気を集約させている。再び、高速移動で残像を残しながら消える両者。

 

(流石だ。オラも相当動いて、的を散らしてるが。全部、読まれてる……!!)

 

(カカロット。相変わらず凄いヤツだ。だが、今日は俺が勝つ!!)

 

 互いに動きを読み合い、目と目が合う。

 

 その目を外せなければ、一撃を打ちこんだところで当たるはずもない。

 

 だが、しばらく動き回って悟空は、ブロリーは理解する。互いに手の内を知っているが故に、その隙をついて放り込むなど至難だと。

 

「だったらよぉ!!」

 

「そうだなぁ、その方が俺たちらしい!!」

 

 動きを止めて気を高める悟空を見てブロリーも嬉し気に笑い、白い気を高めていく。

 

 二人は同時に笑みを浮かべると真っ直ぐに相手に向かって突っ込んだ。

 

「正面から打ち貫く! 龍拳ぇえええん!!」

 

「カカロット!! この勝負、終わりの時が来た!!」

 

 同時に拳を振りかぶり、急接近する両者。

 

 黄金の龍が悟空の拳に纏わり、牙を剥いてブロリーに迫る。対するブロリーも拳に気を滾らせて黄金の大猿を浮かばせた。

 

「ギガンティックーーディストラクション!!」

 

 放たれた拳は、悟空の龍拳にぶつかるーーはずだった。しかし、ブロリーの拳は空を切る。

 

「!?」

 

「へへっ! 悪いな、勝たせてもらうぜ!!」

 

 咄嗟に悟空は龍拳を撃つのを止め、拳を振り被るだけで留めたのだ。ブロリーの拳は放たれるはずだった悟空の拳に向かって放たれ、空振る。

 

 正面に踏み込んでくる悟空は、そのまま自分の額をブロリーに叩きつけようとする。ブロリーは伸びきった右腕を曲げて咄嗟に受ける。

 

 衝撃に後ろに下がる。

 

(コイツーー俺の右拳を封じた。ギガンティックデストラクションを打たせないつもりか!?)

 

 悟空は咄嗟にブロリーの利き腕を頭突きで封じて、相手が仰け反るのを待ち、空いた空間を利用して溜めに溜めた右拳を放つ。

 

「もらったぁああああ!!」

 

 がら空きの鳩尾に向かって放つ右ストレート。

 

 しかし、右拳はブロリーの腹の手前で止まっている。見れば、悟空の右手首はブロリーの左手に掴み止められていた。

 

「!? しまーー!!」

 

「終わりだ、カカロット!!」

 

 強烈な右蹴りが天に向かって突き出され、悟空の腹を射抜いて吹き飛ばした。

 

「ぐわぁああああ!!」

 

 天高く舞いあがり、海面にそのまま悟空は叩きつけられる。 

 

 それを白い気を纏ったまま、ブロリーが見下ろした。

 

「冷や冷やさせやがって……!」

 

 額に浮かんだ汗を拭いながら毒づくブロリーの足元で悟空が浮かび上がってくる。

 

「ちっくしょぉ。今のは一本取れたと思ったんだけんどなぁ」

 

「せこい真似しやがって……!」

 

 愚痴のようなブロリーの言葉に悟空も首を横に振る。

 

「通じなかったけんどな。オラの完敗だ」

 

「ーーフン」

 

 悪びれない悟空に口元を引きつらせてからブロリーは気を押さえた。

 

「続きは、飯食ってからにしようぜ!」

 

「よかろう」

 

 悟空の言葉にブロリーも頷き、二人して島で待機しているベジータの前に着陸した。

 

「流石だな、ブロリー。カカロットのフェイントに反応するとは」

 

「当然だ、ベジータ。お前からアドバイスを貰っていたからな」

 

 互いにニヤリと笑う二人に悟空が指さした。

 

「あ~!! ズリィぞ、オメエ等!! オラの動きがバレてんのはそれでか!!!」

 

 騒がしいサイヤ人達に向かって昼寝をしていたビルスが叫んだ。

 

「だ~! やかましい!! もっと静かに修行しやがれぇえええ!!」

 

 地球は、このとおり平和であった。

 

 間もなく訪れる激戦を前にーー。

 

 




________________________________________

次回も、お楽しみに( *´艸`)

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