ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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とびっきりの、を付けるとネタバレでしょうか?

真・超サイヤ人版のこの二人の激闘を楽しんでください( *´艸`)
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激闘する最強と最強

 

激突する最強と最強

 

 星の海を越えて、クウラの宇宙船の目の前には青く輝く惑星があった。

 

「地球ーーか。小さな星だ」

 

 淡々とした声でクウラはモニターに告げると、自分の背後に来たブロリーとパラガスを振り返った。

 

「行くぞ、超サイヤ人共に挨拶をしにーーな」

 

 事もなげに言い放たれた言葉にパラガスが目を見開く。

 

「な? 超サイヤ人?」

 

「知らんのか? 弟は地球から来た超サイヤ人に敗れたのだ」

 

「あ、あんなものは単なるおとぎ話では?」

 

 驚くパラガスにニッと笑い返し、クウラは告げた。

 

「それは、今から分かることだ」

 

 機甲戦隊に目を向けると彼らは即座に頷き、宇宙船を降下させていくのだった。

 

ーーーー

 

 その圧倒的な戦闘力は、地球に近づいただけで分かる。

 

 二本目の組み手を開始しようとしていた悟空とブロリー、審判役のベジータが同時に天を仰いだ。

 

「! この気、フリーザ? いや、何か違ぇな?」

 

「……! もう一人、強大な戦闘力。だが、この気」

 

「ああ。サイヤ人だ」

 

 悟空、ブロリー、ベジータが天を見上げながら呟く。

 

 強大な戦闘力を持った者は、ゆっくりと地球へと降り立とうとしている。

 

「カカロット! 瞬間移動だ!!」

 

「おし、二人ともオラに掴まれ!!」

 

 ベジータの言葉に頷き、悟空が額に人差し指と中指を揃えて当てる。ブロリーとベジータが悟空の左右に立ち、それぞれ肩を掴んだ。

 

「! 孫君、ベジータ、ブロリー! 何処行くのよ!? これからバーベキューするのに!!」

 

「悪りい、ブルマ! ちょっと野暮用だ!!」

 

 真剣な悟空の言葉とベジータとブロリーの表情にブルマが何かあったと悟る。瞬間移動で消える三人を見送りながら、ブルマは呟いた。

 

「……また、何かとんでもないことが起こるのかしら?」

 

「そのようだな」

 

 ビルスも鋭く目を細めて天を見上げている。

 

 これにウイスが微笑みながらビルスに告げた。

 

「すこ~し、興味が湧いたので私、見に行って来ようと思うのですが。ビルス様、どうされます?」

 

「何しにだよ? 悟空達三人が居るんだぞ? どう考えても圧勝だろう」

 

 最初から興味が無さげなビルスにウイスは微笑みを返すと、ブルマを見る。

 

「私? 私も遠慮しようかなぁ。どうせ行っても訳分かんないし」

 

「分かりました。では、少し行ってきますね」

 

 にこやかに笑いながらウイスは杖を取り出すと、自分の足元を突く。すると光が円を描き彼を運んでいった。

 

「ーー頼んだわよ。孫君、ベジータ、ブロリー」

 

 ウイスを見送ってブルマが呟く中、ビルスが瞳を微かに細めていた。

 

ーーーー

 

 瞬間移動で現れた場所は、広大な氷河が流れる氷の大陸。

 

 吹きすさぶ風に悟空達の表情が微かに陰る。

 

「うへぇ、寒みぃ!」

 

「ーー此処に着陸するっていうのか?」

 

「誰だか知らんが、場所を考えろよ……!」 

 

 寒がる悟空とブロリーに対し、ベジータは鋭い目で天を睨みつけていた。

 

「ウイスさん、よく平気だよな!」

 

「宇宙空間は、此処より寒いですからねぇ」

 

 平然としているウイスに話しかける悟空。

 

 しばらくすると、太陽が消える。

 

 太陽の光を一時的に隠してしまうほどに巨大な宇宙船が空に浮かんでいたのだ。

 

「…やっぱフリーザの宇宙船じゃねえか。だけど……!」

 

「ああ。フリーザやコルド大王の宇宙船とは違う」

 

「…何でもいい。どうせ、ガラクタになるだけだ」

 

 悟空とベジータ、ブロリーの前に宇宙船は着陸した。

 

 ハッチが開き、最初に降りてきたのは2メートルを越える長身の異星人二人と、地球人に似ているが肌の色が水色の中背の男。

 

 彼らは、跳び降りるとサッと道を開けて中の人物を迎えるように左右に別れた。

 

 更に船内から三人の人物が出てくる。身長が180センチを超える長身に紫と白色の肌を持つ長い尾を持ったトカゲのような人間。

 

 その左右には、新型の戦闘ジャケットに身を包んだ尻尾の生えた白髪の老人と2メートルを越える長身の黒髪の青年が並んで立っている。

 

 思わず、悟空が中心に立った人型のトカゲのような存在に目を見開いた。

 

「オメエはーーそうか。オメエは別の世界のオラが倒したフリーザの兄貴。クウラ!!」

 

「? ほう? 俺を知っているのか。軍でもフリーザ以外は俺のことを知っているヤツなどベリブルの婆くらいのものだと思っていたがな」

 

 真紅の瞳を向けてクウラは淡々と告げてくる。

 

 悟空が自分を知っていることを、まるで意に介していない。

 

 そしてーーベジータの眼が驚愕に見開かれている。

 

「お、お前達はーー! 生きていたのか!?」

 

「……!」

 

 ブロリーも目を見開いた。間違いないーーコイツ等は。

 

 老人ーーパラガスもベジータを見て目を見開く。

 

「ま、間違いない……!王にそっくりだ!! ベジータ!!」

 

 怒りの表情に変わる父親の顔を見て、青年もベジータを睨みつける。

 

「生きていたのか、だと? 生きていたさ!! ベジータ! 貴様の父親から受けた仕打ち……!絶対に許さん!俺たち、親子が味わった苦しみを貴様にも味わせてやる!!」

 

「待て、パラガス!!」

 

「ほう? 会ったこともない王子に名を覚えていただけているとは光栄だ!! だが、そんなことは何の罪滅ぼしにもならんぞ!!」

 

 パラガスの言葉を無視して、ベジータは2メートルを越える黒髪の青年を見つめる。

 

「貴様が、パラガスならば。そっちにいるデカいのは、ブロリーか!?」

 

「…なんてこった。この世界のブロリーは生きてんか。死んでねぇから、可能性を統合できなかったんだな」

 

 悟空は自分の父バーダックを思い起こしながら、自分達の仲間のブロリーを見る。

 

「何を訳の分からんことを……! しかし、何故奴ら、俺だけでなくブロリーの名前まで知っている?」

 

 パラガスがゴチャゴチャと話すベジータと悟空を面倒がり、睨みつけているとクウラが横から声をかけた。

 

「おい、パラガス。あのデカい半裸の男、ブロリーに似ていないか?」

 

「ーーえ?」

 

 そこではじめて、パラガスは悟空とベジータと共に立っている男に目をやった。

 

 何処か悲し気な印象を受ける面立ち。髪型は若干の差異があるが、間違いない。思わずパラガスは自分の隣に立っているブロリーを見上げた。

 

「……! お、前……!」

 

 彼も敏感に何かを感じ取っている。自分と同じ顔、姿を持った存在に。

 

「ま、まさか? どういうことだ?」

 

 パラガスが困惑する中、悟空達の側に立っているブロリーが戦闘服を着たブロリーを真っ直ぐに見つめている。

 

「お、前……! まさか……!」

 

 姿だけでなく、声すら自分と似ている男。

 

 惑星バンパに居た頃、彼には聞こえていた。自分によく似た声が、楽しそうに笑っているのを。

 

 その声を聴いて、羨ましかったのを覚えている。

 

 自分にも楽しいことはあった、バァとの思い出だ。

 

 だけど、自分に残ったのはバァの耳。そして父だけだ。

 

「……」

 

 ジッと見てくるその男を前に彼は、何かを伝えたかった。話したかった。

 

 もしかしたら、自分を誰よりも理解してくれるかもしれない、と。

 

「ええい、俺の息子のブロリーは此処にいる!!偽者などに惑わされんぞ!!」

 

「待て、パラガス!こっちのブロリーも、間違いなく貴様のーー!!」

 

「黙れ! 俺たちを苦しめたベジータ王の息子の貴様と仲良くできている時点で、ソイツは俺の息子ではない!!」

 

 ベジータの言葉など聞く耳持たぬとばかりに叫ぶパラガスに悟空も叫ぶ。

 

「ベジータの父ちゃんがアンタらにしたこと、確かに酷えとオラも思うけんど。それとベジータを恨むのは関係ねぇだろ? そっちのブロリーもオラ達の仲間のブロリーみたく、仲良くすりゃいいじゃねぇか!サイヤ人同士さ!!」

 

「黙れ!仲良くだと?貴様らに、俺たちの味わった苦しみが分かるものか!!」

 

 悟空とベジータが更に声をかけようとして、気付く。先程から、一言も話さない男が居ることに。

 

 二人は思わず自分たちの仲間のブロリーを見上げた。彼には背中を向けられているため、表情は分からないが肩を上下させ始めている。

 

 それは、悟空とベジータをして背中に冷たいものが走る姿であった。

 

ーーーー

 

 突如、高笑いを始めた自分に似た男にブロリーは、言い様の無い不安を感じていた。

 

「……クク、クハハハハ!! 今頃、ノコノコ出て来て復讐だと? ノロマめ」

 

 男はしばらく笑うと、ジッとパラガスを見つめる。

 

「!? き、貴様!!俺を侮辱するのか!!」

 

 瞬間、べジータ達の隣にいる男がニコリと笑うと左手に光を生み出して無造作にパラガスに投げ付けた。

 

「ヒ、ヒィイイイッ!!」

 

 あまりにも圧倒的なパワーにパラガスは竦んで動けなくなる。それを見たブロリーがパラガスの前に駆け付けた。

 

「お父さんーー!!」

 

 パラガスの前に出て両腕を胸の前で曲げてガードするブロリー。気弾を放った自分によく似た男は目を細めてニヤリと笑ってくる。

 

「う、ゥウウ。ウァアアアアアッ!!」

 

 気弾を受けたブロリーは、両腕をクロスさせたまま白い気を高めて気弾を脇に弾いた。

 

 弾かれた気弾はいとも簡単に、氷山を消しとばして空中で爆発する。

 

「…ほう?アレほどの破壊力のあるエネルギー弾を、ああも容易く撃つ、か」

 

 クウラが真紅の瞳を輝かせて高笑うブロリーに似た男を見る。

 

 真紅の瞳で見つめられるも、男は意に介さずに軽く見返しただけで腰を抜かしてブロリーの足下に縋り付く父、パラガスを見つめる。

 

「ク、ク、ク、ク、ハッハハハハ!!」

 

 怯えて震えるパラガスを自分に似た男は心底、楽しそうに笑って見ている。

 

「ーーな、んで?」

 

 歯の根が合わずにガチガチと鳴らして震えるパラガスを見つめてから、ブロリーは、楽しげに高笑っている男を見つめる。

 

「なんで、お父さんを撃つ!?お前は、俺と同じじゃないのか!?」

 

 ひとり孤独に過酷な惑星バンパに送られ、寂しくて心細かった時、傍に居てくれたのは父だけだった。言葉を教えてくれたり、戦い方を学んだり。

 

 時に暴走した自分を片目を失ってでも、止めてくれた。

 

「なんで、お父さんを撃つ!?」

 

 男が静かにブロリーを見返して来る。先程までの無表情ではない。右目を大きく見開き、左目を細めて口が裂ける程に口角を広げ、大声で高笑っている。

 

「何が、おかしい!?」

 

 歯を食いしばり、震えを止める。怖い。

 

 姿、形は似ているが、目の前の男はとても自分と同じとは思えないほどに不安を煽る笑い方をしている。

 

「……お前が、俺?違うなぁ」

 

 笑いながら男は告げた。

 

「俺は、悪魔だぁ」

 

ーーーー

 

 自分達の仲間のブロリーが率先して前に出るのを止めようと悟空が手を伸ばすも、彼の前に一人の男が立っていた。

 

 フリーザの最終形態によく似た姿で、背の高い男。クウラである。

 

「どちらが、弟を倒したサイヤ人だ?」

 

 悟空の横からベジータが呟いてくる。

 

「カカロット、コイツーー!」

 

「ああ、別の世界のオラ達が倒したクウラとは別もんだ。とんでもねぇ力を感じっぞ!! フリーザ以上の、スゲェ気だ!!」

 

 構えを取りながら悟空が呟く中、クウラは静かに悟空とベジータに告げる。

 

「どちらでも構わんか。行くぞーー!!」

 

 いきなり、クウラの纏う紫色のオーラがゴールデンフリーザのような神に並ぶ圧の気を象る。

 

「フリーザといい、セルといい。少し鍛えたくらいでアッサリと神(ゴッド)の域に来やがって!!」

 

「ああ。流石に兄貴なだけあって、すげぇな」

 

 舌打ち混じりに吐き捨てるベジータに悟空が冷静に頷く中、クウラは静かに構える。

 

「さぁ。超サイヤ人とやらの力を見せてみろ」

 

 打ち込んで来いと手招きするクウラに悟空とベジータの目が細まると金色の光を放つ白いオーラを纏った。

 

「どっちからやる?」

 

「…決めようぜ」

 

 真面目な顔で話し合う2人にクウラが声をかける。

 

「2人同時に来い。その方が俺も遠慮が要らん」

 

 余裕を持って告げるクウラに悟空とベジータの目が鋭く細まった。

 

「ーー野郎。オラ達を舐めてんな」

 

「そのセリフ、後で後悔するなよ!!」

 

 同時に構えた2人は、クウラに殴りかかった。

 

 右手と左手を巧みに使い、クウラは悟空とベジータの攻撃を捌いていく。

 

「やっぱ、コイツ。オラが知ってるクウラじゃねえ!!」

 

「どういうことだ!? 何故、コイツにこれだけの力と技がある!?」

 

 二人掛かりの拳蹴打のラッシュをクウラは軽々と捌いていく。

 

「…なるほど、この強さ。戦闘訓練をロクにしていない弟では歯が立たないだろうな。まあ、今のフリーザならば良い勝負ができるーーか?」

 

 ラッシュを捌きながら、呟くと強烈な右拳をカウンターで悟空の右ストレートを選んで放っていく。

 

 目の前に迫る拳を紙一重で首を捻って避ける両者。

 

「ーー!?」

 

「いつまでもオラ達をーー!!」

 

 カウンターを外されたことに目を見開くクウラに悟空が叫びーーベジータが彼の脇から踏み込んできた。

 

「俺たちを舐めるなよ!!」

 

 強烈なボディブローが叩き込まれ、クウラが歯を食いしばりながら前のめりになる。

 

 冷徹な彼の表情が、はじめて歪んだ。

 

 更にガラ空きの顔面へ悟空の跳び上段後ろ回し蹴りが決まる。クウラは横面を蹴り飛ばされて後方へ吹き飛び、背中から氷山に叩き込まれた。

 

「ーーよっしゃ。まず一本!」

 

「フン、ざまぁみやがれ!」

 

 笑い合う二人の黒髪のサイヤ人。その前方では、ゆっくりと砕けた巨大な氷の塊を押しのけて平然と立っているクウラが居た。

 

「…あらー、全然こたえて無い」

 

「チ、嫌味な野郎だーー!」

 

 悟空が苦笑い、ベジータが吐き捨てる中、クウラは二人のサイヤ人を見上げて笑う。

 

「驚いたぞ。フリーザを倒したと聞いてはいたが、まさかこれ程までに強いとはな」

 

「そいつは、どうも」

 

「戦闘力などではないぞ? 貴様らの鍛え上げられた肉体と磨き抜いた技を言っている。しかも、まだまだ力を隠しているようだ」

 

 冷徹な笑みを浮かべるクウラに悟空は笑みを返した。

 

「…サンキュー。オメエもな、クウラ」

 

「貴様、いったいどんな訓練を積んで来やがった。その域に達するには、組み手相手が足りないはずだ」

 

 掛け値無しの称賛に悟空は素直に返し、ベジータも問いかける。この強さは、自分の才能に溺れ、弱者を蹂躙するだけの存在には掴めない。

 

 自分と同等か、自分よりも強い相手との闘いを経験して更に己を鍛えねば、まずこの域には来れない。

 

「貴様らと同じだ。俺は強さを極めるために戦っている」

 

 クウラはニヤリと悟空を見て笑う。

 

「なぁ、サイヤ人? 貴様らもそうして戦って来たんだろう? アイツのような奴と」

 

「アイツ?」

 

 その言葉に、ベジータは目を訝しげに細めるが。孫悟空はニヤリと笑みを返す。

 

「ーーオメエにも居るんか? 絶対に倒してぇ、強ぇヤツがよ?」

 

 悟空の脳裏に浮かぶのは、ただ一人。

 

 真の強さとは何か、答えを求めて止まぬサイヤ人。

 

 彼との出会いが悟空を変えた。悟空から見ても純粋で真っ直ぐな道を歩く、自分と同じタイプの顔を持つ男。

 

「真の格闘家が!!」

 

「ーーやはり、そうか。貴様らの拳、似ていると思っていたぞ。アイツにな!!」

 

 突如、冷徹であったクウラが熱く叫んだ。

 

 その全身に纏う禍々しい紫の気に灼金色が交わり、激しく燃えている。

 

「貴様と戦ったのは、ターニッブではないだろうな?」

 

 その熱さ、強さ、覚えがある。このーー心の力は、これを拳に込められるものは、ベジータの知る限り一人しかいない。

 

 いや、戦った相手の心に強さの種を蒔くのは、天下を吹き抜く風しかいない。

 

「ーーフン。俺の戦った相手を知りたいなら、俺を負かしてから聞くんだな。だが、その質問には答えてやる。ターニッブという男ーー「俺は」会ったことはない」

 

「…驚れぇたぜ。アイツ以外に、そんな真っ当な強さでオメエをそこまで高められる奴がいるなんてよ」

 

「俺もだ。まさか、貴様らからその名を聞くとは思わなかったぞ。サイヤ人だと言っていたか、そういえば」

 

「?ターニッブのこたぁ、知らないんじゃねえのか?」

 

「ああ、俺は会ったことはない。名を知っているだけだ」

 

 冷徹な笑みを浮かべて熱い闘気に身を包むその姿は、似ている。真の強さを知る者にーー。

 

「ベジータ! 悪りいが、譲ってくれ!!」

 

「ーーいいだろう。だが、負けは許さんぞ」

 

「おう!!」

 

 拳を握り、悟空はクウラの前に出た。

 

「ーーようやく、本気か?」

 

「よく言うぜ。オメエ、まだまだ力を隠してんだろ?」

 

 悟空の鋭い笑みに、クウラは何も語らない。

 

 悟空は腰に拳を置き、気を高めていく。蒼銀の炎を足下から吹き上がらせる。

 

 髪が天に逆立って水銀に輝き、瞳は蒼に変わっている。

 

「ーーさあ、続きやろうぜ」

 

「コレが、超サイヤ人か?」

 

 目を見開くクウラの目の前に、悟空は現れた。

 

「ーー速い!?」

 

 悟空の右跳び膝蹴りがクウラの顔を打ち抜き、後ろに仰け反ろうとする首を左の肘鉄が後頭部に叩き込まれて前のめりに戻される。

 

 更にガラ空きの顔面へ悟空は後ろ左回し蹴りを放って、クウラを後方へ吹き飛ばした。

 

 クウラは両脚を氷の大地に叩きつけ、勢いが止まらないのを確認して両手を地面に叩きつけてから引っ掻くようにして止まる。

 

「ーーフ、なかなかだ」

 

 瞬間、悟空とクウラ。双方が高速移動合戦を開始する。

 

 そこかしこで発生する光の波紋と消えては現れて殴り合う二人。

 

 空も大地も御構い無しに飛び回っている。

 

 鈍い音と共に超サイヤ人ブルーの悟空が首を右にねじ切れそうなほど、仰け反っている姿で現れて消える。

 

 次の瞬間には、乾いた音と共にクウラの顔が後方へ吹き飛んでいる。

 

 目まぐるしく入れ代わる攻撃と防御。

 

 どちらが守り、どちらが攻めているのか、まるきり分からない。

 

 激しいせめぎ合いをする二人の戦士をベジータがジッと睨みあげる。そこへ、ウイスが近づいて来た。

 

「ベジータさん。あのクウラさんと言う方、なかなかに素晴らしいですねぇ〜」

 

「ああ、超サイヤ人ブルーになったカカロットでも互角か。だが、少しずつカカロットはクウラに対応し始めている」

 

 ベジータの指摘にウイスも見上げながら頷く。

 

「ええ。悟空さんの恐ろしいところは、闘いが長引けば長引く程、相手に慣れてくるところです。相手の引き出しや手の内を理解し始めると戦闘力で多少劣っていても跳ね返してしまうーー」

 

「まして手の内が判明していない状態で互角の勝負なら、カカロットが負ける要素は無い!!」

 

 ベジータが力強く断言するや否や、クウラが押され始めた。右ストレートをかいくぐられ、強烈な左右のショートブローをボディに叩き込まれる。

 

「ぐ、あっ…!」

 

 息を吐き出し、後方へ逃げようとバックステップをするも、それよりも速く悟空は踏み込んでくる。

 

「チィ!」

 

 右の中段回し蹴りを迂闊に踏み込んで来た悟空の脇腹に向けて放つ、しかし蹴りは空を切る。

 

 目を見開くクウラの背後に悟空は右手の人差し指と中指を揃えて額に当てた姿勢で現れた。

 

「な!?」

 

「もらったぁああ!!」

 

 強烈な右の回し蹴りがクウラの頬を捉えて吹き飛ばす。あまりの威力に海面が割れて氷河の勢いが増す。

 

 水面に叩き込まれたクウラを悟空は静かに見下ろした姿勢のまま、目を前に向けて口を開いた。

 

「ーーそうか。オメエも、使えんだな?」

 

 顔をゆっくりと横に向け、身体を構える。そこにはクウラが舞空術で浮いていた。

 

「瞬間移動をーー!」

 

「俺も驚いてる。貴様が瞬間移動を使えるとはな。そして見事だ、超サイヤ人ーー!弟を倒すだけの事はある」

 

 ニヤリと悟空は笑った。

 

「早く本気出してくれよ、クウラ。オラ、もう待ちくたびれたぜ」

 

「ーーく、クク。いいだろう。この変身を見せるのは、貴様が二人目だ!!」

 

 灼金色の光が交わる紫の気が激しく燃え上がり、クウラの肉体が筋骨隆々となり、ふた回り大きくなる。

 

 頭には4本の角が生えて両肘からも突起が伸び、肩の白い外殻も大きく膨らんで発達する。

 

 瞳は消えて目が真っ赤に発光しており、マスク状の外殻が現れて口元を覆うように装着した。

 

「さあーー始めようか?」

 

「さっさと、やろうぜ!」

 

 高速移動を行う両者だが、次の瞬間には光の波紋と轟音が響いて悟空が、吹き飛ばされていた。

 

「ぐぁああ!」

 

 ベジータが目を見開く。

 

「なんだと? カカロットの見切りを越えるスピードとパワーだと言うのか!?」

 

「あなた方が使う超サイヤ人程のパワーアップではありませんが。それでも、今のまま悟空さんが戦えば不利でしょうねぇ」

 

 悟空が空で体勢を整えてクウラを睨みつけるも、既にクウラは其処にはいない。

 

「どうした? 俺に本気を出せと言っておいて貴様は、そのままなのか?」

 

 見ればクウラは、更にゴールデンフリーザのように全身を金色に変えて、纏うオーラも灼金色の炎のようなものに変わっている。

 

「へ、バレてるーーか」

 

 悟空は背後を振り返り笑う。

 

「まさか此処まで強くなるとは、思ってなかったぜ。だけどよーー!」

 

 身に纏うオーラが一度、悟空の体内に吸収されていき彼の髪と瞳は更に濃い色に変わる。

 

 水銀と蒼銀の炎が入り交じり、悟空の髪は蒼く燃え上がるように輝いている。

 

「コレが、完成された上で更に進化した超サイヤ人ブルーのフルパワーだ!!」

 

「なるほどな。確かに受ける重圧が先程よりも遥かに増している」

 

 金色のクウラは静かに言った。

 

「ーーだが、それがどうした?」

 

 瞬間、悟空がクウラに拳を打ち込む。クウラの顔が悟空の右ストレートで仰け反り、ボディに左フックが炸裂。

 

 更に右フックを追加でボディに叩き付けてから右の回し蹴りで顔を蹴り飛ばした。

 

 だが、クウラの巨体は僅かに後ろに一歩下がっただけで止まる。

 

「な、何だと…!?」

 

 目を見開く悟空をクウラは静かに見下ろす。

 

「どうした超サイヤ人? それで終わりか?」

 

 瞬間、悟空の顔が怒りに染まった。

 

「この、野郎ぉおおおっ!!」

 

 強烈な右の回し蹴りを更に放つも、空を切る。悟空の眼は、クウラの動きを捉えて背後を振り返るも遅い。強烈な右の前蹴りが槍のように突き出され、悟空の腹を打ち貫く。

 

「ぐぉお!?」

 

 両腕で抱くように丸太のような太く長い脚を掴み止めようとする悟空だが、勢いは殺しきれずに氷山に叩き込まれる。

 

「ーー終わりか?」

 

「勝手に、終わらせんなよ……! 界王ぉおおお拳ぇえええん!!」

 

 瞬間、悟空の青いオーラに赤いオーラが纏わる。

 

 パワーが増大し、自分を抑えるクウラの脚を一気に腹から引っこ抜く。

 

「ふ、楽しませてくれるぜ!」

 

「ああ、もっとやろうぜ! クウラァ!!」

 

 気を高めていく。

 

 孫悟空はすさまじいオーラを己の全身から噴き立たせている。

 

「界王拳ーー20倍だぁあああ!!!」

 

 圧倒的な気を前にクウラが笑う。

 

「フン。いいだろうーー! 行くぞ、サイヤ人!!」

 

 灼金色のオーラを激しく燃やして、クウラが構える。同時、両者は再び高速移動を行う。

 

 拳と拳、蹴りと蹴りがぶつかり合い、圧倒的な力に氷の大陸は瞬く間に縮小していくのだった。

 

「これで、盛り返しましたか。それにしても、悟空さんがブルー界王拳の20倍を使わなければならないとは。クウラ、非常に危険な相手ですね」

 

 二人の激闘を見上げているウイスの横で、ベジータがゆっくりと顔を前に向ける。

 

 悟空とクウラの戦い。そして目の前で繰り広げられようとしている二人のブロリーの戦いを前に彼は、ジッとその場を動かないクウラ機甲戦隊と共に来たとは思えないほど、恐れおののく事しか出来ない老サイヤ人を見つめた。

 

「し、信じられない。な、なんだ、コイツ等は……! 俺は、なんて化け物どもの所に来てしまったんだ……!」

 

 一人、絶望の真っ只中にいる老人に、ベジータは声をかけた。

 

「パラガス! いつまで、こんな下らないことを続けるつもりだ?」

 

 ベジータの言葉にパラガスが目をこちらに向けて来た。

 

「だ、黙れ! 貴様がーー貴様さえ、居なければ! ブロリーが、俺が、あんな仕打ちを受けることはなかったんだ!!」

 

「……!」

 

 パラガスの言葉にベジータが黒い目を鋭く細める。

 

「だから、俺は貴様に復讐するんだ! 息子を最強の戦士に育て上げてな!!」

 

「…自分の恨みのためにブロリーを利用するつもりか。貴様という奴は、何処まで性根が腐っている!!」

 

 吐き捨てるようなベジータに、パラガスも怒鳴り返す。

 

「黙れ!! 貴様の父に受けた屈辱と理不尽な仕打ち、俺は絶対に忘れんぞ!!」

 

「なら、かかって来いよ。今なら遠慮は要らんぜ? パラガスさんよ」

 

 拳を構えてベジータはパラガスに向かう。

 

 その瞬間、「ひっ」と声を上げて後退ってパラガスは少し離れた所に立っている息子ブロリーに声を上げた。

 

「ぶ、ブロリー!」

 

「! お父さんーー!」

 

 助けを求める父の声にブロリーがそちらへ行こうとして、自らを悪魔と称した自分に似た男がパラガスに顔を向けていることに気付いた。

 

「……親父。身の程をわきまえる程度には賢くなったか」

 

「お前、何をする……?」

 

 右掌をパラガスに向けて悪魔の男は光を集めていく。

 

「まさか……!!」

 

 信じられない。自分とよく似た男が、自分の父親を殺そうとしている。

 

 そこに躊躇などない。ブロリーには、それが悪夢のように見えた。

 

「親父、ここがお前の死に場所だ!!」

 

 笑みすら浮かべて悪魔が光を放つ瞬間、ブロリーがパラガスの前に立って光を再び止める。

 

「! ぶ、ブロリー!?」

 

 パラガスが驚きに目を見開く中、ベジータも悪魔の男に声を上げた。

 

「よせ、ブロリー!! そんなことをする必要はない!!」

 

「ーーいいや。この男は変わらん」

 

 それだけを告げてブロリーは怒りに、狂気に、目を見開いて笑っている。

 

「親父、まだ俺を利用できると思っていたのか? お前のような取るに足らないゴミが……!!」

 

 その顔を見てパラガスはパニックに陥っていた。いつかは、ブロリーに殺される。彼は、そう思っていた。

 

 自分よりも圧倒的に戦闘力が上の息子だ。首輪を嵌めて言いなりにしていたが、その首輪を使用するコントローラーはクウラによって壊された。

 

 その時点で、自分はあの悪魔のような力に踏みにじられるのだと。

 

「や、やめろ。やめてくれ、ブロリー!!」

 

 錯乱したパラガスは、自分を庇っているブロリーではなく光を自分に放っている悪魔の男に声を上げていた。悪魔はその声を嬉し気に笑って聞くと目を見開いて呟く。

 

「……死ぬがいい」

 

 光が、一気に大きくなる。

 

「ブロリー! この世界の自分ごとパラガスをやる気か!?」

 

「……何度も言わせるな、ベジータ。アレは俺ではない」

 

 それだけを返すと悪魔はブロリー親子を見つめた。

 

「ゴミにいいように使われるーーマヌケには似合いの死だぁ」

 

 楽し気に笑いながら光に飲み込まれていくブロリーとパラガスの親子に止めを刺そうと黒髪の悪魔は更に力を込める。その時だった。

 

「お父さんをーー傷付けるヤツは許さない!!」

 

 ブロリーの瞳に金色の光が宿り、黒髪が天に向かって逆立った。

 

 緑色のオーラが全身を覆い、一気にブロリーの戦闘力を上げていく。ブロリーは受け止めていた強烈な光を片手で握りつぶした。

 

 これに悪魔の男がニヤリと笑う。

 

「ほお? そうこなくちゃ面白くない……!」

 

 瞬間、悪魔の躰から強烈な気が爆発した。

 

 その黒い髪は緑がかった金色となって逆立ち、瞳は消えて白目となり、2メートルを越える長身は優に3メートルを上回って、巨大な筋肉の塊と化している。

 

 その姿を見れば、誰もが納得するだろう。

 

 正にーー悪魔だ。

 

「……!」

 

 睨みつける緑色の獣に向かって悪魔はニヤリと笑って手を大きく広げた。

 

「さあ来い、此処がお前の死に場所だぁ」

 

「ぐぅううう! ウォオオオオオ!!」

 

 瞬間、緑色の気を全身から炎のように滾らせてブロリーが獣の動きで悪魔に特攻した。

 





________________________________________

次回も、お楽しみに( *´艸`)

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