ドラゴンボールZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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最近、ちょっとエネルギーダウン(;´・ω・)

よろしくお願いいたします(*'▽')


閑話 男の内の闇と影

ーー本物のテメエなら、こんな小細工さえも軽くはじき返してきたぜ。……ニッブよぉ。

 

 自分と同じ顔をした赤いバンダナに頬に十字傷のあるサイヤ人に倒されながら、男は思う。

 

 自分が影だから勝てなかったのか?

 

 この力が、サイヤの波動が負けると言うのか?

 

 血を求め、全てを薙ぎ倒すこの力が、負けると言うのか?

 

 何もない荒野を視界の果てまで続く道。

 

 濃紺色の道着を着、左右非対称に跳ねた黒髪の男は、黒いブーツを一歩、一歩と踏み締めていく。

 

ーーくっかっかっかっ

 

 己の胸の中で渦巻く思いを何処か、小馬鹿にするかのような。

 

 不安を駆り立てるような声が男の頭に響く。

 

「…サイヤの波動が見せる幻か」

 

 男は、己の足元の影から出てきた異形の者を見据える。

 

 異形の者はまるで、男が力に飲み込まれて化け物と化したーー成れの果てのような姿をしていた。

 

 逆立った黒髪、こめかみから生えた紫色に光る角、口から剥き出しになっている牙、そして結膜が黒く角膜が赤い黒の瞳孔が開いた目。

 

 濃紺の道着の上半身だけを脱ぎ、肉体の所々が剥がれて、紫色の波動の光を放っている。

 

「そう! オレこそが波動だ!!」

 

 血に飢えた獣のように下顎から上に向かって発達した牙を剥き出しにして異形は笑う。

 

「…いいぞ! オノレにも分かるだろう? オノレの闘争本能が波動(オレ)と一体化していくのが…!!」

 

「笑わせるな。俺の進む道に自我の芽生えた波動の化身など要らん。この力は俺のモノだ……!! この力で俺は全てを従わせ、ねじ伏せる。俺の邪魔をするなら、お前も倒す」

 

 男の深い深い闇を思わせる黒瞳が、目の前の異形と同じ黒の瞳孔が開いた赤い瞳へと変化する。

 

 男の頭の中にあるのは、惑星の意思と闘い続けた一人のサイヤ人。

 

 鬼と化してまでサイヤ人の存亡を賭けて闘い続けたーー極みへと達した真の超サイヤ人。

 

「虚影の類が、俺に指図できると思うな……!」

 

 吐き捨てるように告げると黒髪は天に向かって逆立ち、男は異形の姿に一気に近づく。

 

「クカカ、戯れ言を…! オノレは惑星の意思に拾われた可能性。それをあの男の中に居たオレが統合、具現化した存在だ」

 

「……だから、なんだ?」

 

「…どちらが紛い物なのか、分からせてやろう。ーーキィエエエエッ!!!」

 

「うぉらぁあっーーー!!!」

 

 二人の黒い道着を着た男は赤黒い炎のような気を纏うと互いに向かって拳を握り振りかぶった。

 

 男の咆哮に応えて異形も吼え返す。

 

「俺の拳がーー血を求めているっ!!!」

 

「その具現化された肉体さえあれば自我は要らん。ぁ跡形も残さずーー叩き潰すっ!!!」

 

 二人の中央で荒々しくぶつかり合う互いの右拳。

 

 紫色の禍々しい気を放ちながら両者の拳は相手に向かって押し込まれていく。

 

「ぬぅううう!!」

 

「くくかかかか!!」

 

 強烈な一撃を互いに相殺した両者は、高速移動で姿を消しながら相手に向かって拳と蹴りを秒間千は下らない勢いで打ち合う。

 

 何もない荒野を所狭しと駆け回り、両者の放った拳や蹴りが空を切る度に空間が裂けて地面が割れる。

 

 殺意に満ち々ちた互いの攻撃を避けることなど、両者の頭の中にはない。

 

 芯に当たれば確実に致命傷レベルの攻撃を躊躇いも逡巡もなく振り回す姿は、二匹の鬼が共食いをしているかのような凄惨な闘い。

 

 瞬間、拳を押し込んでいた男をすり抜けるようにミリ単位で見切りながら異形が背後に回ると強烈な左のひじ打ちを身体を半歩回転させながら後頭部に叩きつけた。

 

「ぐぉ!?」

 

「くかか! ーー空靂刃!!」

 

 更に強烈な飛び回し蹴りが男の背中に叩きつけられ、体が斜め上に蹴り上げられる。

 

 異形は空中で血のように紅いオーラを纏って先ほどのようにつま先立ちになった姿勢のままスライドするように男の躰の下に移動。

 

「死地と定めよ! 滅! ーー昇ぉお龍ぅうう拳ぇえええんっ!!」

 

 顎に向かって渾身の右ジャンピングアッパーが多々込まれ、男の躰が木っ端人形のように上空へと跳ね上げられて背中から地面に叩きつけられる。

 

 着地すると同時に異形は紅いオーラを纏いながら右脚を地面に叩きつけて叫ぶ。

 

「殺せ……! 殺せ!! それが出来ねば、死合うなど所詮お為ごかしよ!!」

 

 黄金の炎が足元から吹き上がり、怒髪天を衝いて既に逆立った黒髪が黄金に燃え上がる。

 

 黒かった角膜は血のように紅く染まり、赤目は黒の瞳孔が浮かんだ翡翠眼へと変化する異形。

 

 瞬間、仰向けに倒れていた男が呼応するように背中で地面を跳ねあがって立ち上がると、黄金の炎を身に纏う。

 

「……利いた風な口を利くな。魂のないーー影法師無勢がぁああああ!!!」

 

 天空を裂き、大地を穿つ圧倒的な鬼気を纏った黄金の戦士二人。

 

 男の赤目もまた黒の瞳孔が浮かんだ翡翠眼へ、逆立った髪は黄金に変化していた。

 

 明らかに先ほどまでの比ではないエネルギーの上昇。

 

 両者の背には赤い文字で「滅」と刻まれていた。

 

「…オノレの殺意でオレが食えるのか!?」

 

「……フン」

 

 異形に向かい笑みを浮かべる男は、鬼気を放ちながら口許を緩める。

 

「そうか、リューベ。貴様はーーコレとやりあっていたのか」

 

 鬼の力を振るう代償は、常に鬼を己の心に飼うこと。

 

 鬼の拳を振るい続ける限り、消えることなく終わることない闘いが己の中に現れる。

 

 敗れれば即、自我を食われるーー己の中の無限の死合い。

 

「この一撃でーー滅せよ!! 魂のない波動の権化よ!!!」

 

 男の右拳に紅いオーラを纏った紫色の波動が生まれる。

 

 異形もまた、同じ色の波動を己の右拳に纏わせる。

 

「くかかか! その身体と魂に教えておいてやる! オレこそがオノレの力の源だとなぁ!!!」

 

 共に同時に振りかぶる中、異形が吠えた。

 

「オレを打ち倒しオノレのモノとできるか? ターニッブが捨てた可能性ーーバズニッブよ!!」

 

「……バズニッブか、良いだろう。これから俺は、己の中の鬼が付けた名を名乗ろう。そしてーーこれで貴様の役目は終わった。心の臓、止めてくれる!!!」

 

 鬼の咆哮を持って応えるバズニッブと名乗りを上げたーー自身が取り込み、生み出して具現化した男を前に異形は耳まで裂けたかのように口角を歪ませて牙を剥き出しにして笑った。

 

ーーーー クッカッカッカッカ

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